アスナの妹を作って、SAOに放り込んだ   作:フリーザ様

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第35話

 

キリト、アスナ、ユイは空から、戦闘中のプレイヤーを見つけた。重戦士三人が一人の金髪の女の子を追いかけまわしている。

 

「さて、じゃあ行こうか」

 

「へ?行くって?」

 

アスナが聞いた。

 

「あの子助けて、情報を聞こう。アスナが考えた作戦だろ?」

 

「はいはい……じゃあ行きましょうか」

 

そのまま二人は降下した。アスナは華麗に着地したものの、キリトは、

 

「うわああああっ!」

 

落下した。アスナやユイだけでなく、他の四人が半眼になる中、キリトは呑気に言った。

 

「うう、いてて……。着陸がミソだなこれは……」

 

緊張感もへったくれもなくキリトは立ち上がると、そのキリトに金髪の女の子、リーファが言った。

 

「何してるの!早く逃げ……!」

 

「キリトくん、大丈夫?」

 

(今度はウンディーネ⁉︎)

 

リーファが「何こいつら?」みたいな顔をする中、キリトが言った。

 

「重戦士三人で女の子一人を襲うのはちょっとカッコよくないなあ」

 

「なんだとテメエ‼︎」

 

サラマンダーの一人がランスを構えて突進した。だが、キリトはその先端を掴んで投げ飛ばした。

 

「わああああ」

 

悲鳴をあげながら、投げられたサラマンダーが待機していた仲間に衝突する。アスナがリーファに聞いた。

 

「ねぇ、あの人たち、斬ってもいいかしら?」

 

「へっ?……そりゃ、いいんじゃないかしら……少なくとも先方はそのつもりだと思うけど……」

 

「だってよキリトくん。頑張ってね」

 

「おいぃ!アスナは手伝ってくれないのかよ!」

 

「ここは男の子の見せ場だよー!」

 

そう言われ、やれやれとため息をつきながらもキリトは剣を構えた。そして、背中から貧相な剣を抜くと、ズバァン!という衝撃音と共にサラマンダーの片方を斬った。

 

(は、速ッ……⁉︎)

 

リーファが戦慄した。そして、キリトはさらにもう一人のサラマンダーを同じように斬った。それを唖然としながら見てるサラマンダーのリーダー格にキリトは聞いた。

 

「どうする?あんたも戦う?」

 

「いや、勝てないな、やめておくよ。アイテムを置いて行けというなら従う。もうちょっとで魔法スキルが900なんだ、デスペナが惜しい」

 

「正直な人だな」

 

で、リーファを見た。

 

「そちらのお姉さん的にはどう?彼と戦いたいなら邪魔はしないけど」

 

「あたしもいいわ。今度はきっちり勝つわよ、サラマンダーさん」

 

「正直、君ともタイマンで勝てる気はしないけどな」

 

そう言うと、サラマンダーの方は飛んで行った。

 

「で、あたしはどうすればいいの?」

 

リーファがキリトを見る。答えたのはアスナだった。

 

「ううん。ちょっと、情報が欲しいの。助けてあげたお礼としてね」

 

「情報?」

 

「そう。特に、世界樹、だっけ?あの樹について」

 

「あたしは構わないけど……。じゃあちょっと遠いいけど、北のほうにある中立の村まで飛ぶよ」

 

「へ?スイルベーンってとこのが近いんじゃないの?」

 

キリトが聞いた。

 

「あたしは構わないけど、いいの?スイルベーンはシルフ領だから、シルフは君たちに攻撃できるけど君たちは抵抗できないのよ?」

 

「でもすぐに襲いかかってくるわけじゃないんだろ?だったらそこでいいよ」

 

「君がそう言うならいいけど……あなたはいい?」

 

アスナに聞いた。

 

「私もそこでいいわよ」

 

「じゃあ飛ぶよ……っと、その前に自己紹介がまだだったわね。あたしはリーファよ。よろしくね」

 

「私はアスナ」

 

「俺はキリトだ」

 

「私はユイです」

 

言うと、キリトのポケットからユイが出てきた。

 

「それってプライベート・ピクシー⁉︎」

 

「へ?」

 

「あれでしょ、プレオープンの販促キャンペーンで抽選配布されたっていう……。へえー、初めて見るなぁ」

 

「あ、わたしは……むぐ!」

 

律儀に説明しようとしたユイの口をキリトは塞いだ。

 

「そ、そう、それだ。俺クジ運いいんだ」

 

「ふうーん……ま、いいケド。じゃあスイルベーンまで飛ぶよ」

 

言うと、リーファは浮いた。

 

「あれ?リーファは補助コントローラなしで飛べるの?」

 

アスナが聞いた。

 

「あ、まあね。二人は?」

 

「ちょっと前にこいつの使い方を知ったところだからなぁ」

 

言いながらキリトは補助コントローラを出した。

 

「そっか。随意飛行はコツがあるからね、できる人はすぐできるんだけど……試してみよう。コントローラ出さずに後ろ向いて見て」

 

リーファに言われて、二人は背中を向けた。その二人の背中にリーファは手を置いた。

 

「今、触ってるの、わかる?」

 

「うん」

 

「あのね、随意飛行って呼ばれてるけどほんとにイメージだけで飛ぶわけじゃないの。ここんとこから、仮想の骨と筋肉が伸びてると想定して、それを動かすの」

 

すると、キリトの肩甲骨がピクピクと動く。そして、実体のない灰色の羽が、現れた。

 

「おっ、そうよ、そんな感じ。最初は思い切って肩や背中の筋肉を動かして、羽と連動する感覚を掴んで!」

 

「おっ、来たっ」

 

先に飛んだのはアスナだった。そのまま自由に飛び回る。キリトは未だにピクピクしている。

 

「むむむ……」

 

焦ったくなったリーファは、キリトの背中をドンっと押した。

 

「うわっ⁉︎」

 

途端、垂直に飛び上がるキリト。

 

「うわあああぁぁぁぁ!」

 

キリトの体は小さくなり、悲鳴も遠ざかる。そのまま無限の彼方へ旅立った。

 

「やばっ」

 

「パパー!」

 

リーファとユイが慌てて飛び立ち、ついでにアスナも様子を見に行った。空中では、縦横無尽に元気良く暴れ回っていた。

 

「わあああぁぁぁぁ!と、とめっ!止めてくださいお願いします!」

 

情けない悲鳴を聞くと、アスナもリーファもユイも、「ぷっ」と吹き出した。

 

「あはははははっ!」

 

「ご、ごめんなさいパパ。面白いです〜!」

 

「な、何やってんのよキリトくん!あははっ!」

 

このまま放置しても面白そうだったのだが、流石に同情してリーファがキリトの襟首を掴んで停止させ、随意飛行のコツを教え、ようやくキリトはまともに飛べるようになった。

 

「おお……これは……これはいいな!」

 

「そーでしょ!」

 

なんて言いながら四人はスイルベーンに向かった。

 

 

 

 

スイルベーンで四人はすずらん亭という店に入った。

 

「さ、ここはあたしが持つから何でも自由に頼んでね」

 

「じゃあ、お言葉に甘えて」

 

「あ、でも今あんまり食べるとログアウトしてから辛いわよ」

 

リーファはそれを注意してから、メニューを選ぶ。で、それぞれ各食べ物を注文し、その品々をテーブルに並べられた。

 

「それで、世界樹について、だっけ?」

 

リーファが確認するように聞くと、アスナもキリトも頷いた。

 

「でも、なんで?」

 

「世界樹の上に行きたいんだ」

 

キリトが真剣な目で言った。

 

「それは、多分全プレイヤーがそう思ってるよきっと。てか、それがこのALOってゲームのグランドクエストなのよ」

 

「と言うと?」

 

「滞空制限があるのは知ってるでしょ?どんな種族でも、連続して飛べるのはせいぜい10分が限界なの。でも世界樹の上にある空中都市に最初に到達して、《妖精王オベイロン》謁見した種族は全員、《アルフ》っていう高位種族に生まれ変わる。そうなれば滞空制限はなくなるの」

 

「……なるほど……」

 

「それは確かに魅力的な話ね。その世界樹の上に行く方法は分かってるの?」

 

アスナが聞いた。

 

「世界樹の内側、根本のところは大きなドームになってるの。その頂上に入り口があって、そこから内部を登るんだけど、そのドームを守ってるNPCのガーディアン軍団が尋常じゃない強さなのよ。今まで何度も色んな種族が挑んでるけどあっけなく全滅してる」

 

「そのガーディアンは、そんなに強いの?」

 

「もうメチャクチャよ」

 

「……何かキークエストを見落としてたり、単一の種族だけじゃ絶対攻略できない、とかは?」

 

今度はキリトがタルトを齧りながら聞いた。

 

「へぇ、いいカンしてるじゃない。クエストの方は今、検証してるけど、後の方だとすると……絶対に無理ね」

 

「へ?なんで?」

 

「だって矛盾してるじゃない」

 

アスナが代わりに答えた。

 

「……そっか。確かに。じゃあ、世界樹を登るのは、不可能ってことなのか?」

 

「あたしはそう思う」

 

その台詞にキリトもアスナも奥歯を噛んだ。世界樹攻略不可、それはアスカを助ける事が出来ないことを意味していた。

 

「……なんで、俺たちを救ってくれたあいつが、救われないんだよ……!」

 

「へっ?な、何か言った?」

 

小声でボヤいたキリトにリーファは思わず聞き返した。

 

「や、何でもない。でも、俺たちは必ず世界樹の上に行かなきゃいけないんだ」

 

キリトの目は真剣で真っ直ぐだった。それは、アスナも一緒だ。

 

「……どうして、そこまで……?」

 

「人を、探してるのよ」

 

アスナが答えた。

 

「ど、どういうこと?」

 

「簡単には説明できないの。ごめんなさい。でも、ありがとうリーファ、色々教えてもらえて助かったよ」

 

言いながらアスナは立ち上がり、キリトもタルトを全部口に詰め込んで席を立った。

 

「ち、ちょっと待ってよ。世界樹に行く気なの?」

 

「ああ。この目で確かめないと」

 

「………じゃあ、あたしが連れて行ってあげる」

 

「え……」

 

「い、いいわよリーファ。そんな会ったばかりの人にそこまで世話になるのは……」

 

「いいの、もう決めたの!」

 

アスナに言われるも、リーファは無理矢理押し切った。

 

「明日も入れる?」

 

「う、うん」

 

「じゃあ午後三時にここでね。あたしもう落ちなきゃだから。ログアウトには上の宿屋を使ってね」

 

で、「じゃね」とリーファはログアウトしようとした。

 

「あ、待って!」

 

それをキリトが止めた。そして、微笑みながら言った。

 

「ありがとう」

 

リーファもそれに笑顔で返し、ログアウトした。

 

 

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