先に斬りかかったのはユージーンだ。キリトはそれをガードする。だが、剣が剣をすり抜けた。
「っ⁉︎」
直撃し、キリトは吹き飛ばされた。
「キリトく……!」
開きかけた口を閉じるアスナ。ユージーンが攻撃してきたからだ。それを回転しながら避けると、レイピアで突き返した。それをユージーンは躱し、反撃した。
(剣をすり抜けるなんて……なら、避けるしかない……!)
アスナは攻撃を回避し、下がった。そのアスナを追うユージーン。そのユージーンにキリトが下から突撃した。ガードするユージーン。
「おい、なんだよ今の」
「ほう、よく生きて……」
「はぁ!」
会話の途中なのにアスナが攻撃してきた。そのまま、いい感じのコンビネーションでキリトとアスナはユージーンを攻撃するも、ユージーンは全てをガードする。
(……ふん、中々やるな。だがっ!)
反撃しようとした。が、その隙を突いてアスナが攻撃。ユージーンの頬を掠めた。
「チィッ……!」
舌打ちした所をキリトが攻撃、足を掠めた。
(前言撤回だ、この二人は強い……!)
二人の攻撃に剣がついていかなくなった。
(あれ?強いっつーか、超強くね?)
腹に剣が突き刺さった。
(これ俺、押されてね?)
アスナの剣が足を斬り落とした。
(あれ?これ、負けそうじゃね?)
二人の剣が、ユージーンの両肩から対角線に振り下ろされた。
(あれ?負けてね?)
「グォワアァァアアアァァァァッッッ‼︎‼︎」
勝った。
○
鳥籠。そこにオベイロンが戻って来た。
「はい、ティターニ……じゃない。紫毒姫。お待ちかねのポテチだよ」
だが、中にアスカの姿はない。
「………っ⁉︎ まさか、あのガキャア……!」
一発で怒り爆発するオベイロン。慌てて鳥籠を出て行った。ドアを開けっ放しにして。そして、ベッドの裏からひょっこり顔を出すアスカ。
「うわあ……怒ってたなぁ……ま、いーや」
そう言うと、アスカは開けっ放しのドアから出た。
「さてさて、突撃いたしましょう」
そう言うと、鳥籠から繋がっている道を走り出した。しばらく走ってると、建物を見つけた。
「……よしっ」
中へ侵入し、突撃と言ってた割に、暗殺教室に通ってたの?ってレベルで気配を消した隠密行動でしばらく歩いている。
無論、アスカが逃げた事がオベイロンにばら撒かれているので、研究員的な人達はアスカを探し回り、それに警戒しながらアスカは進んだ。すると、《実験体格納庫室》という部屋を見つけた。
「おいおい……」
一発で何の部屋だか分かったアスカ。ここで自分の目的は合っていると踏んだ。
「よし、行きますか」
言うと、中に侵入。中は、アスカを捜すために全員が駆り出されているのか誰もいない。
(私が脱走した狙いっていったらここに決まってるのに、流石須郷、ちょろいね)
そう思いながら中を見回ると、思わず息を呑んだ。中は馬鹿みたいに広い空間だった。真っ白い、超巨大なホールで全く遠近が感じ取れない。そして、短い柱のようなものが並んでおり、その中には人間の脳髄が浮かんでいた。
(何てことを……!いや、今は感傷的になってる場合じゃないか)
ただでさえ、自分はこの中で指名手配されている。さっさと自分の仕事を終わらせなきゃいけない。で、念の為に他の誰かがいるかもしれないことを警戒しながら、柱を盾にして移動する。すると、ポツンと黒い立方体が浮かんでいた。
「来た……!」
おそらくアレなら……と、思いアスカはそこに近づく。そして、機械に差し込まれているカードを下にスライドさせた。その瞬間、青いウインドウとホロキーワードが浮かび上がった。
しばらくそれをいじってると、【Exit virtual labo】と書かれていた。
(これだ)
そう心の中で呟くと、タッチ。更にウインドウが上面に出現する。そして、【Execute log-off sequense?】の一文と、OKボタンとCANSELボタンが出てきた。
(よしっ……!)
そして、アスカはOKボタンを押した。その瞬間、ゴガッ!と顔面を誰かに殴られた。
「っ⁉︎」
ドシャアァァアッ!と吹っ飛び、柱の一本に激突する。
「やぁ、ティターニア……」
そう言うのはオベイロンだ。冷静な口調だったが、相当怒り浸透してるのか、頬を引きつらせている。
「何やってるのかな君は?」
「え、えーっと……スパイごっこ。本当はかくれんぼのつもりでベッドの裏に隠れてたら須郷さん、ドアを開けたまんま出て行っちゃったから、呼び戻しに行ったら迷っちゃって……」
アスカは作戦を切り替えた。それは、囚われている三百人がログアウトできるまで、時間を会話で稼ぐこと。
「須郷さんじゃない……ティガレックスと、そう呼べ!」
「いやティガでいいのっ⁉︎」
怒鳴りながらアスカの顔面をオベイロンは蹴り飛ばした。
「うぐっ……い、痛いなぁ……」
「そりゃそうさ、ペインアブソーバを切ってるんだからなァ」
アスカは左手を後ろに回して、システム窓を出し、ログアウトしようとした。だが、体が動かない。
「っ! 麻痺、毒?」
「君はもう少し有能なガキだとは思ってたんだけどねェ。流石は姉妹のダメな方、全ての試練を負け続けて来ただけあって愚かだねぇ」
「っ!」
言われて、悔しさで表情が歪んだ。
「いい顔だねぇ、僕は君の笑顔よりもその泣く一歩手前の方が好みなんだよ」
「………ッ!」
「それにしてもやってくれたねぇ。………もう百人以上ものログアウトを許したか。この愚妹がッ!」
さらに顔面に蹴りを入れる。久々の痛みの感覚がアスカの身体に響く。須郷は残り172人のログオフを解除した。
「少し良い対応してやれば調子に乗りやがってクソガキが……いいか、僕なら君を脳から焼き殺してやる事が出来ることを忘れるなよ」
「………………」
悔しさのあまり、アスカは下唇を噛んだ。
「とにかく、君には少しお仕置きが必要のようだね」
言いながら、オベイロンは麻痺って動けないアスカの両手を掴み、背中に回した。
「な、何する気だよ!」
「何、お仕置きさ」
言うと、指パッチンをする。その瞬間、アスカの両手を手錠が繋げる。
「っ⁉︎」
「さて、鳥籠へ戻ろうか。そこで君を待ってるのは……分かるね?」
アスカの頭に一発で嫌な予感が過った。
「や、やめて!私に触るな!」
「ハーハッハッハッ、いい顔と声で泣くじゃないか。でもまだ足りない。それを埋めるのがこれからする作業なんだよ」
「やだ!やだよ……!助けて……!」
「誰も助けになんて来ないよ!アハハハハッ!」
アスカは鳥籠に連れて行かれた。