障壁のすぐ下。キリトがユイに聞いた。
「どうだ、ユイ届いたか⁉︎」
「分かりません……んっ?」
「どうしたの?ユイちゃん」
アスナが聞いた。
「いえ、何か……空から降って来ています。プレイヤーです」
「プレイヤーだと?」
キリトとアスナは空を見上げた。すると、確かに何かが落ちて来る。見覚えのある影だった。
「アレって……!」
「ママ〜!」
ユイが声を上げた。アスカが降って来た。
「うおっ!」
慌てて受け止めるキリト。
「アスカ!」
「キリト……!お姉ちゃん!」
そのままアスカはキリトと近くにいたアスナに抱き付いた。
「キリト、お姉ちゃん、ユイちゃん……会いたかったよ……」
「うん、私もだよ。アスカ……」
アスナも抱き返す。キリトが聞いた。
「お前なぁ……何処から降って来た?」
「鳥籠……相変わらずオベイロンはチョロいよ。すぐに抜け出せた……」
「相変わらず無茶苦茶な奴だ……」
「キリトに言われたくないよ……」
アスカもキリトもアスナも涙を流す。
「えっ?オベイロン……?どういうこと?」
リーファが声を漏らした。
「……お姉ちゃん、この人は?」
「リーファちゃん、私達の協力者でキリトくんの妹さんよ」
「………リーファさん、ありがとうございます」
「い、いえいえ。こちらこそキリトくんに助けてもらってましたから……。それより、オベイロンって……?」
そこで、アスカはすべて説明した。オベイロンの目的、天空都市なんて存在しないこと、実験台格納室のこと。全部。
「そんな……ひどい……!」
リーファは今すぐにでもログアウトしたかった。こんなゲーム、気持ち悪いからだ。特にGMが。
キリトが聞いた。
「でも途中、百何人かは目を覚ましたよな?アレは何があったんだ?」
「二回目なんだ。あの鳥籠から逃げ出したの。その時に何人か逃がしてあげられたんだけど、見つかっちゃって……こんな、メチャクチャにされちゃった……えへへっ」
そう無理して微笑むアスカの身体はボロボロだ。服は破れ、刺し傷などはないものの、何故か歯型などが付けられている。キリトもアスナも奥歯を噛み締めた。
「人の妹に……!あんの野郎……!」
「それで、どうすればいい?」
「あそこのドームから天井に到着すれば、そこから入れば私がある程度中は案内出来るんだけど……」
「けど、なんだ?」
「オベイロンが言ってた。このグランドクエストは絶対にクリアできないみたい」
「なっ………⁉︎」
アスカの言葉に、キリトもアスナもリーファも絶句する。
「どういう意味だ……?」
「分からない。けど、そう言ってた」
「難易度がそれだけ高いということか……?」
キリトもアスナも、うつむいた。このままじゃ、アスカを助けられない。そう思った時だ。
「なら、私達が力を貸しますよ」
キリト達が振り返ると、いつの間にかそこは100人以上のプレイヤーが並んでいた。そして、その先頭に立つのはエギル、クライン、シリカだった。シリカは振り返り、言った。
「アスカ親衛隊隊長」
「はいっ!」
「アスカファンクラブ会長」
「はいっ!」
「アスカ防衛隊総隊長」
「はいっ!」
「アスカ護衛部隊全隊長」
「はいっ!」
「アスカ聖教教範」
「はいっ!」
「アスカ研究会研究室長兼教授」
「はいっ!」
「アスカエンジェル艦長」
「はいっ!」
「アスカ合衆国大統領」
「はいっ!」
「アスカ海賊団船長」
「はいっ!」
「シン・アスカ」
「はいっ!」
「アスカ愛護団体団長」
「はいっ!」
「その他アスカ組織全リーダー」
「「「はいっ!」」」
「全568名、我々が力を貸しましょう」
「………なんか、増えてない?」
アスナが若干引き気味に言った。
「みんな……」
アスカが声を漏らした時だ。クラインが言った。
「そゆことだ。こんだけ数がいれば、クリアできねェクエストはねェだろ!」
「全員、エギルさんが集めてくれたんですよ」
シリカが言うと、エギルが親指を立てた。
「エギル……エギルー!」
アスカはエギルに抱き付いた。その瞬間、シリカの目の色が変わった。エギルを指差す。
「全員、こいつ、死刑」
「ま、待て待て待て!今はそんなん言ってる場合か!」
言うと、何とか収まった。そして、シリカが全員に言った。
「全員聞こえるか!このゲームのゲームマスターは我らの主神、アスカに涙を流させた!その上、暴力的にも精神的にも性的にも我が主を縛り続けた。この暴挙は許し難いものであるッ!」
『オウッ‼︎』
「ならば教えてやろうぞ!我らの神に手を下した者への神罰を!」
『うおおおおおおおおおおおッッッ‼︎‼︎‼︎』
男達の拳が突き上げられる。その様子を見ながらリーファはアスカに聞いた。
「あの、アスカさん?」
「は、はい」
「何したんですか?SAOで」
「何もしてないはずなんですけどね……」
そして、一同はグランドクエストに突入した。