「それで、何を知りたいの?」
シノンが聞いた。
「え、えと……二つ名が付けられるくらい強くなりたい、です」
「は、はぁ?どゆこと?」
「ステータスは問題ありません!コンバートなので。要は、パァーッとみんなに私の名前を知って欲しいんです!」
手を大きく広げて力説するアスカ。
(………可愛い)
それを見てほっこりしながらもシノンは言った。
「ま、まぁそういうことならBoBに出れば良いと思うけど……でも始めたばかりなら」
「BoB?」
「簡単な話がGGO最強決定戦みたいなものよ。それで優勝とは言わずとも、決勝戦に上がれれば……」
「出ます!それ!」
「でも、初心者には……」
「大丈夫ですよー。私こう見えて……」
SAO救った英雄なんですから、と続けようとしたところで口が止まった。そんな事は口が裂けても言えない。
「ちゅ、チュッパチャプス大好きなんです……」
「………はっ?」
シノンは目の前の幼女がチュッパチャプスをしゃぶってる所を想像してしまった。
(…………可愛い)
と、思いつつも首を振って言った。
「分かったわ。一緒に優勝を目指しましょう?」
膝に手を乗せてアスカに視線を合わせると、ニコッと微笑んだ。
(………私、子供って思われてる……?)
そう思いつつも、「う、うん」と頷いた。
「でも、まずは装備を揃えないとね。とりあえず武器屋にでも案内してあげる」
「あ、ありがとうございます!」
で、武器屋。
「ふおおおおお」
今まで剣以外の武器屋に来たこともなかったアスカは、興奮気味に目の前に並べられた色んな種類の銃を眺めた。
「ほらほら、この中から選ぶわよ。あなたのステータスはどんなタイプ?」
「これがいい!」
「いいから」
「むぅ……。ステは素早さ一筋。それ以外は……まぁ、普通かな?」
「ふーん……なら、中距離戦闘タイプ、かなぁ……色々と装備を揃えないと……あ、でもお金は……?」
「……千クレジット」
「……バリバリ初期金額だね」
「うーん……」
二人で唸った。
「なんか、ドカンと儲かる方法ないんですか?」
「……似たようなのならあるけど……」、
シノンの視線の先には、《Untouchabl!》と書かれた、幅3メートル、長さ20メートルほどの筐体があり、その一番奥には西部劇のガンマンのようなNPCが喚いていた。
「………なんこれ?」
「奥のガンマンの銃撃を躱しながらどこまで近づけるかってゲーム」
「奥まで行くとどうなるの?」
「あそこに表示されてる金額が全額入るの」
「全額⁉︎やる!」
「やめときなさい。無理よ」
「………なんで?」
「ちょうど、チャレンジャーがやるみたいよ」
シノンの視線の先では、男がスタート位置に立っていた。そして、挑戦。最初の方は良い感じに迫っていた。が、残り8メートル辺りで急に弾幕が濃くなる。ブライトさんに怒鳴られたのかってレベルで。結果、失敗した。
「……ってわけ」
「なるほど……」
ニヤリと笑うと、アスカはそのゲームへ向かった。
「あ、ちょっと……!」
「簡単だよ、こんなの」
「はぁ?」
「こんな弾丸じゃ、遅過ぎる」
アスカはそう言うと、500クレジット入れた。そして、ギュンッ!と、ものすごい速さでNPCに迫った。弾丸の雨を潜り抜けて、NPCの肩をポンっと叩いた。
その瞬間、ワァッと周りから歓声が上がった。