「あ、あなた……どんな敏捷値の上げ方したの?」
シノンが聞いた。
「それに、反射神経も……弾道予測線すらも躱してたんじゃないの……?」
「あ、えーっと……特に特殊なことはしてませんでしたけど、一層の時からステータスはとにかく速さを極めようって思ってましたからね。当たらなければどうということはないとも思ってましたし。ヒースクリフ戦の時だってほとんど速さで」
「……一層?ヒース……?」
「なんでもないです」
黙った。
「そ、そんなことよりお金手に入りましたよ!早く買いに行きましょう!」
「そう?」
そんなわけで、二人は武器を選びに向かった。
「で、どんな武器が良いの?」
「とりあえず……ライフル、サーベル、バズーカ、バルカンがいいです!」
「ガンダムじゃない」
「サブウェポンでハイパーハンマーとジャベリン追加」
「だからあのね?」
「冗談ですよ」
シレッとアスカは言った。
「実際は何がいいのよ」
「うーん……でも、ガンダムみたいな……バランス取れた感じが良いです」
「バランスって……このゲームは銃が基本なのよ?」
「わ、私はほら、今までやってきたゲームが剣メインでしたから……その、何、剣があったほうが落ち着くんです」
「……まぁ、あれくらい速いならあっても良いと思うけど……剣ならあそこにあるわよ」
シノンの指差す先には筒のようなものがあった。
「……あれって、まさか」
「そうよ。ビームサーベル」
「ふおおおおお!」
興奮気味にダッシュで壁に引っ付いた。
「こ、こんなものがあるとは……」
「正式名称は光剣っていうんだけどね」
「これ買う!」
「……まぁ、止めはしないけど」
「いえーっす!」
拳を天井に突き上げたあと、腰に引き戻して喜び、アスカは買った。
「……ま、戦闘スタイルは好きずきだけど、さ」
シノンの台詞を流してアスカは剣をブウンと出した。
「おお……」
ヴンヴォンヴォンッ!と簡単なソードスキルを試すアスカ。
「……結構、サマになってるのね。剣がないと落ち着かないって言ってたけど、なんのゲームやってたの?」
「えーっと、SA……LO」
「ALO?へぇ〜……」
「うん……。あとその前に少しね、……丸2年ほど……」
「案外侮れないのかな?」
「それほどでもないですよ」
「一応、メインがそれで良いとしても、サブに何か持ってた方が良いわよ」
「……じゃあ、ビーム兵器とかないですか?」
「残りいくらある?」
「えーっと……25万くらい、ですね」
「うへ、光剣って無闇と高いんだなぁ。残り150Kだと……弾や防具にかかる代金を考えるとハンドガンかな」
「もう一個買えるな」
「へっ?」
もう一個買った。
「な、何してるのよ!」
「へ?キリトの真似、二刀流」
「二本も剣買って……牽制射撃も無しにどうやって近付くつもりよ!」
「うーん……まぁ大丈夫ですよ。魔法同士の遠距離戦の中にキリト……彼氏と二人で剣一本で飛び込んで生き残りましたし」
「彼氏⁉︎あなた、その歳で彼氏いるの⁉︎」
「その歳って……あっ、いや、小学校の四年生にでもなれば彼氏……というより両想いの相手くらい出来ますよ」
と、なんとか言い訳してみた。
「ふぅーん……」
で、そのまま二人で防具と安い拳銃を買って、店を出た。
「すっかりお世話になっちゃいました。ありがとうございます」
と、アスカが頭を下げると、シノンは胸前で小さく手を振った。
「ううん、私も予選が始まるまで、特に予定なかったから。……あっ、いけない。確か3時で締め切りだよ。うわ、総督府までダッシュしても間に合わないかも……」
「えっ、あなたもこれからエントリーだったんですか?」
「うん」
すると、アスカはシノンの手を取った。
「えっ?」
「走るよ」
アスカは言うと猛ダッシュ。シノンの身体が宙に浮くほどの速さだ。
「っ⁉︎ ち、ちょっと……!」
「舌噛むよ!」
そして、走ってる間に駐車スペースのようなものが見えた。そこには小型車量が3台並んでいた。
「………よしっ」
小さく呟くと、アスカはバイクに跨った。この方が速く移動出来ると判断したからだ。だが、
「……足が届かねぇ……」
「ダメじゃない!それにこれは運転がメチャクチャ難しくて……!」
だが、アスカは足の裏に買った光剣二つを、これまた買ったワイヤーで括り付けて、脚を延長して運転した。
「きゃっ……!」
急発進したからか、シノンから可愛らしい悲鳴が聞こえた。
「す、すごい……!あはは……気持ち良い!」
「あ?なに?」
「もっと……もっと飛ばして!」
「ええっ⁉︎」
「早く!」
言われてアスカはスピードを上げた。
「やっほおおおおおおお!」
と、気持ちよさそうに雄叫びを上げた。それを微笑みながらアスカは眺めつつ、総督府まで飛ばした。