シノンはファンクラブのメンバーの後を追った。ファンクラブに入りたいとかじゃなくて、話をしたかったかだ。だが、そんな雰囲気ではなかった。ファンクラブのメンバーの足元をするっするっと抜けて、アスカは重い足取りでシノンの隣を通り過ぎた。
「ち、ちょっと。どうしたのよ」
「………あっ、シノン」
声を掛けて初めて気づいたのか、作り笑顔を浮かべた。
「どうしたの……?」
「ううん、初めて銃撃戦やったから、ビックリしちゃって」
「はぁ?あなた撃ってないじゃない」
「あ、あー……そうだっけ?」
「………大丈夫?」
「だ、大丈夫ですよ。元気100倍アパマンショップ」
「絶対大丈夫じゃないわよね」
「気にしないで。それより、そろそろ試合じゃないんですか?」
「あ、うん。後で問い詰めるからね」
そんなわけで、2人は一旦別れた。
○
それから、アスカは鬼神の如き強さで片っ端から敵を叩き斬った。で、Fブロック決勝。アスカvsシノン。
「まさか、本当に決勝で当たるとは……」
「ええ。さっきも言ったけど手加減しないからね」
「あ、あはは……」
苦笑いを浮かべるアスカ。
(こりゃ全力でやらないとなぁ……)
心の中でそう呟いた。
○
で、2人はフィールドに転送された。場所は大陸間高速道。ただ長細いだけの単純なマップだ。シノンは先にバスの中に隠れた。そして、窓からスコープを覗き込み、ただアスカが現れるのを待った。
「………近づかれなければ、こっちが勝つ」
ステージは一本道。もはや勝利を確信していた。すると、スコープから人が歩いてくるのが見えた。
「来たわね……!」
早速一発、引き金を引いた。が、その瞬間アスカの姿が消えた。ように見えた。
「ッ」
「っ⁉︎」
アスカが走る。
「くっ……!」
シノンは発砲するが、当たらない。ここのままでは斬られると思ったシノンは、スタングレネードを叩きつけ、目を眩ませてる間にバスの中の椅子と椅子の間に隠れた。
(バスの中に入ってきた所を狙い撃ちしてやる……!)
そう思い、手持ちの拳銃を抜いて構える。すると、ガタッと音がした。
(来たッ!)
だが、顔は見えない。
「………?」
シノンは忘れていた。アスカは身長が小さい。椅子より小さい。見えるはずがなかった。
案の定、こめかみに拳銃を突き付けられた。
「……あのー、ごめんなさい。小さくて」
「……………」
「あのさ、シノン」
「何よ、早く撃ちなさいよ」
「その……前にやってたゲームの影響か分からないけど、私はあまり友達を殺したくないんです」
「はぁ?」
「決勝では、決勝こそ本気でやるので……その、降参してもらえませんか?」
「………まぁいいわ。どうせ私の負けだしね」
勝った。