ALO。アスナによってアスカがGGOの大会に出てるのが確定したことが全員にバレて、アスナ、ユイ、クライン、リズ、シリカ達は観戦する事にした。
「ほらキリト、いつまで拗ねてんのよ」
リズに言われるも、キリトは不貞腐れた表情でこう返す。
「やだ。知るか、あんな奴」
自分に内緒でGGOを始めたことがよっぽど許せなかったようだ。
「はぁ……男らしくない……」
「そうだよ、お兄ちゃん。アスカにだって何か事情があったんだよ」
リズとリーファに言われるも、キリトは頬を膨らませたまま動かない。そのキリトの首にシリカがダガーを突きつけた。
「貴様、大天使アスカ神に選ばれた伴侶ならそれくらい許せる度量を持たんか」
「いや、天使なのか神なのかハッキリしろよ」
シリカファンの方、本当にごめんなさい。
「あっ、そろそろ試合始まるみてェだぞ」
クラインがそう言うと、全員がモニターを見た。
「シリカちゃん、そこのはほっといて一緒に見よ?」
「はい、お姉義さん!」
「いやお姉義さんじゃないけど……」
キリト以外がモニターを見た。
○
決勝進出全プレイヤーが転送された。アスカは田園の小屋の前に立っていた。
「………何処ここ?」
思わず呟いた。何故なら、すごくパッとしない場所だったからだ。
「えーっと……生き残れば勝ちなんだっけ……まぁいいや。とりあえず、銃士Xとペイルライダーとスティーブンを探さないと」
そう呟くと、とりあえず歩き始めた。田園という、おそらく決勝ステージで一番呑気そうな場所を歩くことしばらく、森林が見えて来た。あそこなら誰かいるかもしれない。そう思った時だ。
殺気を感じてそっちを見ると、予測線が自分を狙ってるのが見えた。
「っ⁉︎」
間一髪、飛んで来た銃弾を躱し、撃ってきた方向を睨むと、全身が白と水色の迷彩で、雑魚仮面ライダーのようなヘルメットをかぶった奴が銃口を向けているのが見えた。
「いたぁ!」
嬉々としてペイルライダーの方に走り出した。すると、ペイルライダーは意外にも後ろに逃げ出した。生き残れば勝ちなので、ここでわざわざ戦闘する必要はない。特に、今までのアスカの試合を見た感じだと、動きが早すぎて狙撃できるものではないから尚更だ。
「逃げる脳があったか……!」
言いながら、アスカは追い掛ける。ペイルライダーも割と足は早く、アスカに牽制撃ちをしながら逃げた。
「ッ……!」
すると、さらに横からアスカの頭に向かって予測線が出てきた。帽子をかぶったちょび髭のダインだ。慌てて首を後ろに引っ込めて躱した。
「チッ……2人目……!」
「今ので躱すとか……化け物かよ!」
すると、ペイルライダーは逃げる進路を変えた。ダインにアスカをなすり付けようと考えたのだ。それをいち早く察し、ダインも後ろに下がり始めた。
(これが、GGOの決勝……!やってやろうじゃん!)
アスカはニヤリと笑った。そのまま三つ巴の鬼ごっこ、お互いに牽制し合いながら森林の中を進んだ。銃声音と光剣の音だけが響いた。
○
またまたALO。試合が始まってから、一同は試合の様子をモニターで見ていた。
「アスカ、中々映らないねー」
リーファが金髪のポニーテールを揺らしながら言った。
「アスカってバカだけど、意外と慎重なタイプだから、最初は様子見るつもりなんじゃない?」
リズが隣から口を挟んだ。
「いやいや、慎重な奴があの状況でヒースクリフに挑むかよ。多分、今頃Bobの優勝候補と撃ち合ってんじゃねぇか?」
さらにクラインが言った。
「銃+アスカ様……アリかも……」
1人でブツブツと呟いてるのはシリカだ。
「それで、まだ拗ねてるの?キリトくん」
アスナが聞くとキリトはそっぽを向いた。
「子供じゃないんだから、いい加減機嫌直しなよ。そもそもアスカいないのにここで怒らないでよ」
「いや、怒ってるというより落ち込んでるんだよ。いや少しは怒ってもいるけど……アスカに隠し事されてることに」
「ふぅーん……でも、事情があったんだよ。きっと」
「事情……事情か……」
それを聞くと、キリトは顎に手を当てて考え始めた。
「わー、あの人強いね……」
リズの声が聞こえた。モニターでは、ペイルライダーがダインの銃撃を避けながら迫っていた。
「すっごい動き……。あの人強いね。なんかこうして見てるとGGOも面白そうだなー……」
と、リズが言いかけた時だ。ダインに迫るペイルライダーに何か小さい塊がすごい勢いで突っ込んできた。両手にビームサーベルのような物を持って、両方ともペイルライダーに突き刺している。
「えっ?何?」
リーファが声を漏らす間にも、小さな塊は両手のサーベルをものすごい勢いで振り回し、ペイルライダーを速攻で倒した。
「うっわ……小さいのにすごいですね……」
リーファも感心したように呟いた。さらに、小さな塊はダインに向かって走り出す。
「……強ぇな。あの子」
「そっくりだわ……」
「あ?どしたアスナさん?」
クラインが聞いた。
「いえ、その、そっくりなんです。小さい頃のアスカに……」
「えっ」
全員で画面を見た。
「……確かに、アスカに見えるかも……」
「というか、アスカなんじゃ……」
その瞬間、キリトはガバッとモニターの方に振り返った。
モニターのアスカは、ダインを始末しようと走っている。だが、ダインの上にも【dead】の文字が出た。
「ちぇっ、んだよー」
言うと、また顔を伏せるキリト。気が付けば、全員がニヤニヤしながら自分を見てることに気付いた。
「……な、なんだよお前ら」
「いや〜あ?なんだかんだ言ってアスカの試合見たいんだな〜と思って?」
リズにニヤニヤしながら言われ、ついつい顔が赤くなるキリト。
「う、うるさいな!俺はGGOに興味があるだけだ!」
「でもお兄ちゃん、さっきものすごい勢いで振り返ってたよね?」
妹にもそう言われ、頬に冷たい汗が流れた。
「う、うるせーな!彼女の試合なんだからいいだろ別に!」
「あっ、開き直った」
アスナに言われた。
「それより俺が気になってるのは、なんでアスカがGGOにわざわざコンバートしたのかってことだ」
「言われてみれば確かに……」
リズが顎に手を当てる。
「それも俺やアスナに黙って、だ。そんな隠し事するような奴じゃないだろ」
「何か事情があった、とか?」
「ああ。アスナ、アスカに何かかわった様子はなかったか?」
聞かれてアスナは顎に指を当てて考えた。
「うーん……変わった様子……そういえば、今朝はやけにピリピリしてたような……。Bobの事を聞いたら『私1人でカタを付けるから』とかなんとか……」
「カタ、ねぇ……」
「それと、『GGOで何かあった』って言ってたわ。つまり、GGOに入ってから何かがあったってことよね。あと、キリトくんが口聞かない方が今はありがたいって言ってたわ」
「つまり、俺が知ると首突っ込むかもしれない話ってことか……」
「あんたの場合、面白そうなゲームなら全部首突っ込むでしょうが」
リズに横から言われ、若干ぐっと悔しそうな顔をするキリト。その隣でアスナが口を開いた。
「ううん、そんな感じじゃ無かったよ。なんていうか……真面目な事なんじゃないかな?」
「とにかく、少し考えてみるよ。もし危ないことに首を突っ込んでるようなら、」
「ようなら?」
「めちゃくちゃ怒る」
「ああそう……」
思ったよりショボかった。