再び田園。アスカは小屋の中でチョコンと腰を下ろした。ふぅ……と、息をつくと生きてるプレイヤーを確認した。残りはまだ半分弱いる。
「シノンは……まだ生きてる。良かった……」
ホッとまた息を吐いた。他に死銃と思われるスティーブンか銃士X、あとさっき襲撃してきた闇風の名前もあった。
「さて、やるか。今度こそあの野郎を仕留めてやる……」
そう呟きながら小屋を出た時だ。大きく後ろに飛び退いて小屋の中に隠れた。その直後、壁に銃弾が直撃した音がした。
「っ……! 冗談でしょ。こんな時に……」
そーっと撃ってきた相手の方を見ると、白い髪の女性プレイヤーがライフルを構えてこちらに向けていた。
「……特攻しかないか」
そう呟くと、小屋から飛び出して走り出した。目の前から迫り来る銃弾を全て跳ね返しながら進む。
(腕が正確なだけあって……予測もしやすい……!)
心の中でそう呟きながら、また銃弾を弾いた。残りの距離はほんの5メートルほど。だが、銃士Xはもう片方の手で拳銃を取り出した。
「!」
二丁同時射撃。流石に凌ぎ切れるかわからなかったが、それでも突撃した。その時、別の方向から予測線が通った。ただし、アスカにではない。銃士Xにだ。
「!」
それに気付いた銃士Xは慌てて後ろに仰け反って予測線から避けた。その隙を突いて、アスカはヴォーパルストライクで突撃し、なんとか倒した。
が、気を抜く事はなく、予測線が来た方向である別の小屋を見た。どういうわけか、自分に向かっては来ていなかったが、念の為そいつの方へ走った。
アスカが向かって来たのに気付いたのか、アスカの方に銃を向けるが遅い。アスカはド派手に小屋のドアを吹き飛ばすと、中にいたプレイヤーに光剣を向ける。
「! シノン!」
気付いて慌てて剣を引いた。
「………ひさしぶりね」
そう返事されるも、かなり怯えた目をしていた。
「……なんかあったんですか?」
「何でもないわ」
「何でもなくないですよ」
「何でもなくなくないわよ」
「何でもなくなくなくないです」
「何でもなくなくなくなくな……あれ、今何回なくって言った?」
「いや知らないです」
という無駄なやり取りの後、シノンは真面目な顔で聞いた。
「私を殺さないの?」
「助けてもらいましたから」
「それは私も一緒よ」
「……そうですね。多分ですけど、あの時私が助けないで撃たれていたら、シノンさんは死んでました」
「分かってるわよそんな事……」
「ゲームで、じゃありません」
「……?」
「リアルでです」
一瞬、シノンの目が大きく見開いた。が、すぐにいつもの冷静にな顔に戻った。
「な、何を言ってるの?馬鹿馬鹿しい」
「死銃、って知ってますか?」
「ええ。……でも、あんなのただの噂でしょ?」
「私もあいつに直で会うまではそう思ってました。……でも、奴らならそういう事が出来るかもしれない」
「奴ら?というか、死銃と知り合いなの?」
「知り合いをぶっ飛んで殺し合った仲ですよ」
「……まさか、SAOで?」
「はい。……ちょっと、隣座りますね」
言うと、アスカはシノンの隣に座った。隙だらけだが、隙がなかった。今、殺そうとしてもおそらく殺せないだろうとシノンは思い、動かなかった。どちらにせよ、今は身体が動かない。
「実はあいつさ、てかあのボロマントもSAOやってたんだけどさ、ラフィンコフィンっていう殺人ギルドにいたんですよね」
「殺人ギルド……?だって、あのゲームの中だと……」
「うん。殺したら、ほんとに死んじゃいます。それでも、殺人を楽しむような連中がいたんですよ」
「……そんな、」
「で、あいつはそのギルドの幹部だった。それで、そのギルドの討伐隊ってことで、私は選ばれて、出来れば捕獲する予定だったんです。でも、」
そこで言葉を切って、アスカは俯きながらまた口を開いた。
「まぁ、私は結果的に2人捕獲、5人殺した」
それを聞いて、シノンは目を見開いた。
「まぁそんな殺し合いの中なんだから、自分でも仕方ないとは思います。でも、それが心の中が、こう、痛くて……今でもたまに夢で見て……って、そんなのはどうでもいっか。とにかく、その捕獲した中にあいつがいた。だから、」
「……あいつは、アスカを憎んでるってこと?」
「そう。私が捕獲した2人は2人とも顔隠してたし、誰だかは分からないんですけどね。とにかく、わたしはあいつを仕留めるまでこのステージからは降りれません。今回は見逃しますから、シノンさん。なるべくあのボロマントには近付かないようにして下さいね」
言うと、アスカは立ち上がった。その手をシノンは掴んだ。
「待って!」
「………?」
振り返ると、シノンは真面目な顔でアスカに聞いた。
「あなたは、人を殺して、今でも夢を見るんでしょう?どうやって、それを乗り越えてるの?」
「乗り越える?」
「そう……。実は、私も過去に人を殺してる……。ゲームじゃなくて、リアルで。だから知りたいの。あなたはどうやって乗り越えたのか……」
「……シノン、さん?」
シノンは俯きながら自分の過去を語り出した。
少し強引かもですね。原作6巻が行方不明のまま書いたので許して下さい