決勝が終わり、シノンからの「お願い」で、詩乃と友達になった明日香。数日後、バイク(和人とツーリングしたくて免許取った)で詩乃の学校で待っていた。
すると、やがて小走りで詩乃がやって来た。
「あの、アスカ、ですか?」
「ああ、うん。結城明日香です。シノン、だよね?」
「うん。朝田詩乃です。……なんか、あのアバターがそのまま成長したみたいな外見だね……」
「お姉ちゃんにも言われたよそれ。そう言う詩乃ちゃんこそ、あのアバターからは考えられないほど質素じゃん」
「うるさい……」
「それよりさ、なーんか注目されてるような……」
「アスカ様だ!」
「「は?」」
そんな声が聞こえた直後、二人して声を上げた。一人の男子生徒が明日香を指差している。
「ほら見ろよ!」
「…そっくりさんじゃねぇの?」
「ねぇよ!俺の友達、SAO時代からあの人のファンクラブで写真見せてもらったけど間違いねぇよ!英雄の!」
「え、マジ?サインもらえっかな?」
「あ、じゃあ俺も……」
などとザワつきが広がる。明日香は焦った様子で詩乃に言った。
「詩乃ちゃん、早く乗って!」
「う、うん」
そんなわけで、二人乗りで逃げた。ちなみに、明日香は免許を取って一年経っていない。
○
銀座まですっ飛ばし、再びどっかの店。
「おーい、明日香くん、こっちこっち!」
ご入店するなりアホな声が聞こえて、明日香はため息をついた。で、詩乃の手を引いて、明日香は手を挙げた奴の方へ向かった。
「菊岡さん、前にも行ったと思うけどあんま大声出さないで」
言いながら詩乃と共に席に着く。菊岡が笑いながら言った。
「ごめんごめん。さ、何でも頼んでください」
菊岡はメニューを開いて、明日香と詩乃に見せた。それを見るなり、唖然とする詩乃。どのメニューも四桁の数字が並んでいる。
「じゃあ私はレアチーズケーキの奴四つとこのコーヒー。砂糖とミルク多めでー」
笑顔で躊躇なく恐ろしいことを言う明日香。それを若干引きながら横目で眺めつつ、詩乃も注文した。
「じゃ、じゃあ……この、レアチーズケーキ・クランベリーソース……と、アールグレイ」
ウェイターが深々とお礼をしてから立ち去ると、菊岡は名刺を取り出した。
「はじめまして。僕は総務省総合通信基盤局の菊岡と言います」
「は、はじめまして。朝田……詩乃です」
「この度は、こちらの不手際で朝田さんを大変な危険に晒してしまい、本当に申し訳ありませんでした」
「い、いえ、そんな」
頭を下げられ、詩乃も頭を下げた。
「ほーんとだよー。危なかったんだからねー。菊岡さんが私に依頼してなかったら多分殺られてたね死銃に」
「まぁまぁ、そう言われるとその通りなんだけどね……。あ、そういえば、キリトくん達からは死銃のトリックは聞いたのかい?」
「うん。お姉ちゃんから。和人のアホとは喋ってない」
「……喧嘩でもしたのかい?」
「誰の所為だと思ってんの?」
あの後、明日香がログアウトすると、病室で和人が待っていたのだが、見事に喧嘩が勃発した。
「……ふんだ、和人のばか」
「ま、まぁ話を聞いてたんなら話は早い。朝田さんはどうかな?」
「いえ、私はまだです……。だけど、新川くんが犯人だったっていうのは聞きました……」
「そうか、一応話しておくね」
と、菊岡は死銃事件について話し始めた。と、いうかここから先は面倒だから飛ばすわ。詳しくは原作6巻で。
で、菊岡と別れて、明日香に詩乃が声を掛けた。
「あ、明日香。さっき出てきた『和人』って人、誰?」
「え、えーっと……」
なんと答えたか迷ったものの、ふいっとそっぽを向いて明日香は小声で答えた。
「…………………………彼氏」
「へっ?そ、その人が?」
「あんな奴知らんもん」
頬を膨らませてそっぽを向く明日香。
「け、喧嘩でもしたの?」
「……………うん」
「あの、助けてくれたお礼って言ったらアレだけど、仲直りしたいなら協力するけど……」
「したくない!……ことはないけど、向こうから謝るまで仲直りしない」
(やだ面倒臭いこの子。可愛いけど)
そう思いつつも、詩乃は笑顔で言った。
「ま、まぁまぁ。とにかく話してみてよ、何があったのか」
「………移動しながら話す」
「? 移動?」
「このあと暇ならでいいんだけど、ちょっと来て欲しいところがあるんだ」
「暇だけど……どこに?」
「私のお友達のお店」