もう一度、地上に戻ってからキリトとアスカはあの長い階段を降りた。
「ハァ、ハァ……誰がこんなハードなダイエット望んだよ……!」
「お前が助けなきゃこんなことにはならなかったんだよ!つーかなんで助けに行ったんだよお前!」
「だ、だって!なんか可哀想だったんだもん!」
「だからって次またああいうの見つけたらお前も行くつもりかよ⁉︎」
「うっ……ごめんなさい」
「次は抑えろよ……。ったく、」
で、トンキー二代目の背中に乗って二人はエクスキャリバーを取りに行った。
「いやーしかし、あれだな。こういう雪の上の空の旅もいいもんだな」
「だねー。ていうか、さっきは気付かなかったけど結構綺麗じゃない?」
「あー分かるわ。あれ、覚えてる?ドラゴンのうんこで俺のダークリパルサー作りに行ったの」
「あーアレか。リズも一緒にいた時」
「あん時に少し似てね?」
「それ雪降ってるからってだけでしょ」
「それ言われると何も言い返せないわ……」
「…………そういえば、私と和人が初めて会った時も、雪降ってたよね」
「………ああ、そうだったな」
「……………」
「……………」
二人は見つめ合い、少し照れたように頬を赤くし、顔と顔の距離を近付けていく。その直後だ。
「私は、《湖の女王》ウルズ」
「「うおっはぁああああああああ⁉︎」」
急に声が掛かり、マトリックスのように二人は仰け反った。そして、顔を真っ赤にしながら、ドキドキとうるさい心臓をなんとか押さえつける。
「我らが眷属と絆を結びし妖精たちよ」
「び、ビックリさせるんじゃねぇよ‼︎思わず口から心臓飛び出ると思ったじゃねぇか‼︎」
「ほんとだよ!ていうか少しは空気読めよ!今はこう……そういうシーンじゃん!」
「……ご、ごめんなさい」
なんか勢いで謝る湖の少女だった。
○
湖の女王の話を聞いて、二人はしばらく黙り込んだ。
「……なんか、すごい話になったな」
「実際本当かどうか分からないけどねー。そういう設定なんじゃねー?」
「身も蓋もないこというなよ……」
「や、だってなんつーか……SAOにGGOっていうリアルミッションやってたからなぁ……あんま緊張感なくて」
「まぁ、そりゃ分かるけどよ……」
「何にせよ、あそこの城に殴りこむのが今日の目的じゃん?さっさとエクスキャリバーいただいて帰ろうぜ!」
ニカッと笑って言うアスカ。それにキリトは微笑んで返した。
「ああ、そうだな」
二人は周りと遅れて城の中に突入した。
○
一方、アスナ達は最初の部屋で苦戦していた。と、いうのも敵のうちの片方の物理耐性が高過ぎるからだ。このパーティは遅れてる二人も含めて、というかむしろ遅れてる二人を筆頭にノーキンパーティだ。
「ヤバイですよ、金色の方、物理耐性が高すぎます!」
リーファが全員に言った。全員頷き返したものの、言い返す前に金色の方がバトルアックスを振り上げた。
「衝撃波攻撃2秒前!1、ゼロ!」
ユイのカウント似合わせて、前衛、中衛のメンバーが後ろに飛んだ。
「畜生……!やっぱ最強夫婦を待ってりゃよかったぜ!」
「それじゃあメダリオンが黒くなるまでに倒し切れないから先に来たんでしょうが!」
クラインの愚痴にリズが言い返す。そんなことはクラインにも分かっていた。だが、言わなきゃ気が済まない気分だった。
その時だ。後衛のシノンが言った。二人の会話に参加するように言った。
「来たみたいよ。その最強夫婦」
「えっ?」
直後、ものすごい勢いで突撃してくる影があった。ソードスキルを使うことなく、敵の懐に飛び込み、突きを喉に放った。
「! アスカ!」
「私達のこと置いていくって決めた人、後でビンタするから」
ご立腹だった。さらに、アスカの上に降って来るバトルアックスをキリトが受け止め、そのまま敵の腹を三回斬って、後ろにアスカと飛びのいた。
「ふぅ……危ない危ない」
「ったく、無茶するなお前」
「お兄ちゃん、ウルズさんの話聞いた?メダリオンがもう七割以上黒くなってる」
「わかった」
キリトは頷くと大声で言った。
「いちかばちか、金色をソードスキルの集中攻撃で倒し切るしかない!」
「うっしゃァ!その一言を待ってたぜキリの字!」
「シリカ、カウントで泡頼む!……2、1、今!」
「ピナ、バブルブレス!」
「ゴー!」
キリトの絶叫に合わせ、全員で色とりどりのソードスキルを叩き込んだ。