…………まぁ学校では優等生を演じているから、意外と乙女チックでも問題は無いか、うん。
早く合宿編に進みたいのになかなか進まないもどかしさが……
一輝Side
「一輝君 代表は……?」
オレが席に戻ると優子が霧島について聞いてきたが
「ぷっ 霧島のことは雄二に任せとけば大丈夫だ」
優子の顔を見て少し吹き出してしまった
「ちょっと、なんでアタシの顔を見て笑ってんのよ!」
「悪ぃ悪ぃ、優子が兎みたいでかわいかったから、つい」
涙で赤くした目が兎のようで、保護欲のようなものが駆り立てられた
「だ、代表の話が良かったんだからしょうがないじゃない」
霧島の夢の話のあたりから優子は涙し始めたからな
「いやぁ~、優子にこんな一面があったとは思わなかったな」
学校での優子はどこか冷めているような感じだったから、こんなに感情を表に出すのは意外だったな
「な、なによ!コレがアタシなんだからいいじゃない!」
「いや、スマン。からかいすぎた」
優子がキレそうになったので慌てて謝った。せっかく付き合いだしたのに初デートで別れる、とか洒落にならねぇぞ
「とりあえず、顔を洗ってきたらどうだ? オレも頭冷やしたいし……それに、雄二と霧島のことが気になってデートって気分でも無いだろ?」
優子の顔を見たらだいぶ怒りが引いたが、雄二達のことも気になるのでそう提案してみる
「そうね……そうさせてもらうわ」
オレと優子はひとまず会場を後にしてトイレへと向かった
Side out
雄二Side
俺は一輝と別れると直ぐに会場から出た。まずはケリをつけないとな。会場から出て5分ほどで目的地が見えてきた
『イッテ~~。ったくいきなり殴ってくるとかあのジャリ頭おかしいんじゃねぇか?』
『うわっ、リュータ血ぃ出てるよぉ~。ビョーイン行った方がいいんじゃない?』
俺の視線の先にはさっき一輝に殴り飛ばされたチンピラがいた。確かに病院に行った方がいいかもな。……精神科あたりに
『ったく、あのガキ訴えてやるっ!』『キャーっ!リュータカッコいー』
翔子のこともあるし、さっさと済ませるか。そう思い俺は歩み寄って、背後から声をかける
「なぁ、アンタら」
『あぁ?ぁんだよ?』
二人組がまっ茶色の顔をこちらに向けてくる
『リュータ。コイツさっきのオトコじゃない?』
『みてぇだな。んで、その新郎サマがオレたちになんか用か、あァ?!』
「いや、大した用じゃないんだが――」
借り物の上着を脱ぎ捨て、タイを緩める。さて、久しぶりに
「――ちょっとそこまでツラぁ貸せ」
悪鬼羅刹に戻るか
「……ここにいたか」
ステージ裏の方を探していると翔子を見つけ声をかける
「……雄二」
翔子は俺の声に反応すると顔を上げた。泣いていたせいか目の周りが少し腫れていた
「……雄二、私の夢、変なの……?」
翔子は縋るような目で俺を見上げてきた
「まぁ、高校生であんな夢を持つのはあまり一般的ではないな」
俺は少し言葉を選んでから、翔子の問いに答える
「…………」
俺の言葉に黙り込んでしまう翔子
「ったく、お前の夢は他人に笑われた程度で諦めるようなものなのか?」
「……違う!」
そうだろうな。あの一件から俺に好意を抱くようになったのだから……7年か。そんな長い間抱いていた夢が他人に笑われた程度で揺らぐはずがない
「それに、誰がどんな事を言おうとも――」
俺はそこで一旦区切って翔子の目を見て
「――俺はお前の夢を笑わない。お前の夢は、大きく胸の張れる、誰にも負けない立派なものだ」
そう言って俺は会場で拾ったものを翔子の頭に載せる
「……これ……さっきの……ヴェール……」
「せっかくの体験なんだ。これくらい思い出として貰っても構わねぇだろ」
俺の言葉で翔子はやっと笑った
「腹も減ったしどっかで飯食って帰ろうぜ」
「……うん。雄二……ありがとう」
「気にすんなよ」
俺は一輝にメールを送ってから、飯を食って帰った。後で、また来た方が良いな。今回はロクな思い出がねぇし
Side out
一輝Side
Pipipipi
オレと優子が何をするでもなくベンチに座って時間を潰しているとオレの携帯電話が鳴った
「お、雄二からか」
メールの送信元は雄二だった
「坂本君? どうなったの?」
オレはメールを確認すると優子が結果をきいてきたので、オレは携帯電話を見せる
From 坂本雄二
To 高瀬一輝
無事解決
迷惑掛けてすまない
こっちのことは気にせずデートをしてくれ
「よかった。上手くいったみたいね」
優子は雄二からの簡素なメールを見て安堵した。かなり気になってたようだな
「それじゃ、オレらもデートの続きをするか」
「そうね。随分と時間かかっちゃったけど楽しみましょ」
オレが腰を上げて優子に手を差し出すと優子はオレの腕に抱きついてきた
「……随分と積極的だな」
「ホントはいつもしたいけど周りの目があるから我慢してるのよ」
オレが優子の行動に驚いていると意外な答えが返ってきた
「それなら、ちゃんとデートした方がいいのか?」
いつも学校で一緒だからあまり気にしていなかったが人目を気にするなら二人きりの時間を多く取った方がいいんだろうか?
「え? いいわよ。そんなに気を使わなくっても」
「さっきも言ったろ? 『甘えてくれて構わない』って。っても、白金の腕輪の調整があるから来週までは忙しいけどな」
学園長が作った白金の腕輪のデバッグに丸2,3日くらいはかかりそうだからな
「それなら、再来週でいいから買い物につきあってくれる?」
「それくらいお安い御用だ。じゃ、ひとまず今日を楽しもうぜ」
オレらはそのままアトラクションを回って行った
「帰りのバスを考えると後一つくらいか」
オレは腕時計で時間を確認しながら言う
「時間もちょうどいいし、観覧車に乗るか?」
「そうね。綺麗な夕焼けが見れそうね」
オレの提案に優子が賛成したので観覧車の場所へと向かった
『それでは、30分の空の旅をお楽しみください』
30分か……結構長いんだな。ゆっくりと景色が見れそうだ
「ねぇ一輝君の夢ってなに?」
「は?」
観覧車の扉が閉まって少し経ったときに優子が口を開く。突然の質問にオレは聞き返してしまった
「だって代表の夢をバカにされてかなり怒っていたみたいだし、一輝君の夢と関係があるのかな? って思ったから……」
優子はすこし言い辛そうに質問の理由を言ってきた
「あ~……なんて言えばいいんだ? 詳しい事情は知らねぇけど、霧島の夢って多分、子供のころからの夢だろ?」
「そうね……」
優子はオレの言いたい事がいまいち分からないのか続きを促す
「子供のころの夢ってのは、成長して現実を見ていくうちに諦めることが多いのに、それをいまだに諦めてないから、だからそれを笑うアイツらが許せなかったんだよ」
「なるほどね……それで、一輝君は夢を諦めたの?」
う……やっぱ聞いてくるよな
「『諦める』って言うよりも……『妥協』だな。オレの場合は」
「へぇ~。どんな夢を妥協したのかしら?」
優子が興味深そうに聞いてくる。仕方ねぇな、逃げ切れる気がしねぇから全部話すか
「ガキの頃の夢は『ヒーローになること』だよ。結局は全てを守るなんてできねぇから諦めたよ。そんで、今の夢は『大切な人……つまり、優子を守る』ってとこだな」
オレは恥ずかしくなって外に目を向けた。窓に映る俺の顔は耳まで赤かった
「ねぇ、今のってプロポーズ?」
は? オレが外に目を向けていると隣にいる優子から予想外の単語が出てきた。……プロポーズ?
「『アタシのことを守る』って言っていたけど……」
「い、いや、ちょっと待ってくれ。なんで、その話がプロポーズになるんだ?」
オレは夢の話をしただけだぞ? まぁ優子となら幸せな家庭が築けそうだが
「アタシのことを守るってことは、いつも傍にいるってことでしょ? それってプロポーズじゃないかしら?」
あぁ、なるほど。優子の言うとおりだな
「あぁ~なんか締まらねぇけど、……オレと結婚前提で付き合ってくれるか?」
オレは優子の目を向いて婚約を申し込む
「もちろんよ。これからもよろしくね」ちゅっ
優子はオレのプロポーズを受けると同時にキスをしてきた
「あぁ、これからも末長くよろしくな」
オレは優子の肩を抱きながら髪を軽く撫でた
「そういや、優子の夢は何なんだ?」
「へっ?アタシの夢?」
オレは優子の髪を撫でながら少し気になった事を聞いてみた
「あぁ。オレの夢は教えたんだから、優子のも教えてくれよ」
「う……あんまり夢とか考えたことないから、特にないのよ」
優子は目をそらしてバツが悪そうに答える
「あ~、なんかスマン」
オレは気まずさからひとまず謝る
「謝られるほどのことじゃないわよ。……今考えてみると、むかし秀吉のこと見下してたのは、自分と違って夢に向かっているのに嫉妬してたからかもしれないわね」
「夢を追っている奴ってのは眩しいからな」
どこか憂いを帯びたような表情の優子の言葉に同意する
「お、そろそろ頂上だぞ。ひとまず景色を楽しもうぜ」
いつの間にか観覧車は頂上付近まで来ていた
「そうね…………綺麗……」
優子もオレの言葉に頷いて外を見る
「あぁ……そうだな、いい景色だ」
オレも優子同様に一瞬言葉を失うが、景色に見惚れたわけじゃない
「ん? どうしたの? 一輝君 アタシの顔に何かついてる?」
「いや、夕日に照らされた優子が綺麗でさ……」
オレは優子の横顔に見惚れて言葉を失っていた
「へ、変な事言わないでよ!」
優子は真っ赤になりながらそっぽを向いてしまった。
それからは特に会話は無かったが心地よい時間を過ごしてから、家へと帰った
一輝がプロポーズをしてしまった……書くまではそんな予定なかったのに
深夜のテンションって怖いですね
やりたい事やってしまったので明久編は短く(多分1,2話)なります。
そのせいで内容は濃くなっていて急展開になると思います