夫婦漫才あり(雄「まだ夫婦じゃねぇ」)定番の甘い(?)展開ありです。
話の中で出てくる『空飛ぶペンギン(原題:Mr popper's penguins)』は日本では劇場未公開の作品ですが、最近見て個人的に気に入った作品なので入れちゃいました。
笑いあり、感動ありの作品なので動物好きの方は見る価値ありだと思います。
ある獣医漫画を読んで知ったのですがペンギンの飼育は大変なようですね。
Pipipipipi Pipipipipi
「んあ? もう朝か」
俺は目覚ましの電子音で目を覚ます。今日は休日だが朝飯の用意は俺がしないと良くて食あたり、最悪の場合は考えたくない結果になるので、朝が苦手でも起きなくてはいけない。
♪~♪~~~
俺が二階から降りて一階のリビングのドアに向かっているとリビングの方向、正確には台所から女性のものと思われる鼻歌が聞こえてくる。まさかっ
「♪~。あら? おはよう雄二。今日も早いわね~。」
おふくろがゴルフボールを持って台所に立っていた。
「おふくろ なんで朝っぱらから台所に立っているんだ?」
おふくろは料理ができない、いや、正確には材料を間違えるから人間が消化できる物を作れない。そんなおふくろが台所にいる理由は料理以外のはずだ。
「いつも雄二に料理を任せちゃっているからお母さんも料理をしようかと思ったのよ」
「あんたはゴルフボールで何を作る気だっ!!」
「あらやだ。ゴルフボールと玉子って似てるから困っちゃうわ~」
は? どこが似てるんだ? 共通項が色しか思いつかないんだが
「はぁっ……朝飯は俺が作るから大人しくしててくれ」
この母親に何を言っても仕方がないのでおふくろを台所から追い出し、冷蔵庫から朝飯の準備を始める。今日は冷蔵庫に入れて水分を少し飛ばしたフランスパンでフレンチトーストを作るつもりだ。しかし、なんで明久は冷蔵庫に入れて水分を飛ばすとか考えつくんだ?
ジュウ~
「おふくろ。出来たから先に食ってくれ。」
「あら。いつも悪いわね~。」
俺は先に作った分を皿に乗せてお袋の所にもっていき、台所へと戻る。俺は朝は弱いから軽めの朝食を摂りながらおふくろと親父の分の昼食を作り始める。
ピンポーン
「……雄二 お父さんから映画のチケットを貰ったから行こう。」
俺が昼食の準備をしていると呼び鈴が鳴ると同時に翔子に話しかけられる。毎度のことで慣れてしまった自分が怖い
「あら。翔子ちゃんいらっしゃい。」
「……おじゃましてます。」
おふくろはおふくろで翔子がいる事に気にせず挨拶をしている。
「ちょっと待ってくれ。すぐに昼食の用意ができる。」
「……何か手伝う。」
「後は仕上げだけだから大丈夫だ。」
「……わかった……。」
翔子は渋々といった様子で引き下がる。なぜそこで残念がるんだ? うちの事情なんだからうちで解決すべきなのに……
「よしっ。翔子 飯の準備ができたから行くか?」
「……わかった。」
昼食の準備まで終えたので翔子に声をかける
「そういうことだから、おふくろ 俺は出かけるぞ。」
「あ、雄二ちょっと待って。」
俺が部屋を出ようとしたところでおふくろに呼び止められた。
「なんだ? 昼飯ならいつもと同じように電子レンジの上に置いてあるから、温めてくれ。」
「そうじゃないわよ。これを渡したかったのよ。」
そういっておふくろは戸棚の引きだしから何かを取り出して俺に渡してきた。
「このチケットがどうかしたのか?」
「実はお母さんたち主婦仲間でそのチケットでプールに行くんだけど、3枚だけ余っちゃったから雄二と翔子ちゃんに使ってもらおうと思ってもらってきたのよ。一枚は友達にもあげてちょうだい。」
俺は軽く礼を言ってから部屋を出た。
「ところで場所はどこなんだ?」
駅へと向かいながら翔子に映画館の場所を聞く。ここから行ける映画館は限られてるが貰い物のチケットなら少し遠い場所の場合があるからな。
「……隣町の映画館。」
翔子は持っていたチケットの一枚を俺に渡してきた。『空飛ぶペ●ギン』か……タイトルだけ見ると明らかにB級映画だし自腹で見ようとは思わないだろうな。
「……雄二 いい映画だった。」
「あぁ、そうだな。思っていたより感動したな。」
タイトルだけでは分からなかったが見てみるととんだB級映画だが、仕事人間の主人公が父の遺言で送られてきたペンギンと過ごすうちに大切なものに気付くという何とも心温まるものだった。特にペンギンの行動が笑えて思ったよりもいい映画だった。
「……ペンギンがかわいかった。」
「そうだな。笑える行動ばっかりだったもんな」
「……私もペンギンが飼いたくなった。」
「ワシントン条約もあるし無理じゃないか? それにペンギンの過ごしやすい環境を整えるだけでも大変だろ。」
映画の中にもあったがペンギンは極度に暑さに弱いから氷点下近くをキープしなくちゃいけないらしい。前にテレビで見たが普通の水族館なんかでもカビに弱いペンギンを守るために空気清浄機やら浄水設備やらを使って数十分置きに空気の殺菌や水の濾過をしてるから設備の維持費がバカにならないらしい。
「……じゃあ、雄二を飼う。」
「あのなぁ、俺は人間だから『飼う』って表現自体間違っているんだが」
「……大丈夫。ちゃんと散歩と餌はあげる。」
「小学生が親を説得する言い訳みたいな事を言うんじゃねぇ!!」
「……雄二の好きな首輪とリードを買ってあげる。」
「そういう話をしてるんじゃねぇ!!」
「……冗談。」
「疲れる冗談を言うんじゃねぇ。つうかどこから冗談だったんだ?」
「……『ペンギンを飼う』ってところから。」
「ほぼ最初じゃねぇか!! 今までの会話はほとんど意味がなかったのかよ!!」
「……意味はある。」
「ほぅ、どんな意味があったんだ?」
「……雄二の慌てる様子が見れた。」
「結局お前は何がしたかったんだよ……」
俺は翔子の謎の行動に少し頭を抱える。
「……夫婦生活には刺激が必要。」
「はぁ~。もういいから次行くぞ。」
これ以上翔子に付き合っていても仕方ないと思ったので俺は足を速めた。
「で? なんで水族館に来たんだ?」
映画館を出てから昼食を終えた俺達は今、何故か水族館の前にいる。
「……ペンギンを見たくなったから。」
「はぁ。わかった。さっさと行くぞ」
今からだと帰りの電車など考えると長居はできないがコイツの為なら仕方ねぇだろう。
「……待って雄二。」
「ほらよ。」
翔子に呼び止められたので手を差し出す。コイツがこういう時にしたい事はだいたい分かるようになった。
「……うん。ありがとう雄二。」
翔子は顔を赤らめながらも俺の手に自分の手を絡めていわゆる『恋人繋ぎ』をしてきた。たまに見せる一面が可愛く見えてしまうのは惚れた弱みってやつだろう。
「時間もねぇんだし逸れないようにしっかり掴まってろよ。」
「……わかった。」
俺の言いたいことが伝わったのか俺の手を握ってる手とは逆の腕を俺の腕に絡めて抱きついてきた。
『ねぇカノジョ~。休日に水族館に一人って誘ってるの~?』
『……一人じゃない。』
水族館を回った後に、俺が翔子に『トイレに行く』と嘘をついて土産物を買って翔子のもとへ向かっていると、翔子に絡んでいる軟派野郎がいた。
『強がっちゃって~。ホントは一緒に来てくれる人がいなかったんでしょ~。』
『……知った口を利かないで!!』
『それじゃ、これから君のこと教え――』
「おい、テメェ俺のツレになんか用か?!」
俺は殺気を放ちながら軟派野郎の肩を”軽く”掴む。
「痛てててててて。ちっ男連れかよ。萎えるわ~。」
俺が掴んでた手を離すと軟派野郎は舌打ちをして去って行った。
「……雄二 ありがとう。」
「気にすんな。ほらよっ。」
翔子が礼を言ってきたのを軽く流して、土産物屋で買った物の入った紙袋を翔子に投げ渡す。
「……?」
「開けてみろ。」
ガサガサ
翔子が首を傾げていたので開けるよう指示すると翔子は紙袋を開けた。中から出てきたのは、
「……ペンギン?」
「流石に本物を飼うのは無理だからな。それで我慢してくれ」
翔子が映画を見て飼いたいと言っていたペンギンのぬいぐるみだ。
「……冗談って言ったのに。」
「はっ、何年お前と付き合っていると思ってんだ? あれが嘘なことぐらい分かってるよ。」
言葉で表現するのは難しいが翔子が嘘をつくときには何か違和感があるからな。
「……ありがとう。」
なんか思っていた以上に甘い展開になってしまった。
甘い話が続いていたのでサッパリとした作品を書きたかったのですが、雄二の野郎がそうさせてはくれませんでした。
ISの二次創作読んでいたらバトル物を書きたくなってしまったので、もしかしたらISの作品を書くかもしれません。
まぁ書くかは分からないですが書いた時にはこの作品でも宣伝するのでそのときはよろしくお願いします。