「はあ!? ミカエルの野郎と話がしたいだと!?」
(そうだ。天界出身で彼とも交友関係があった君なら彼と話を付けることも簡単なはずだ)
とあるマンションの一室。この部屋の主であるアザゼルは、目の前にいるノアの言葉に驚きを隠せないでいた。いくら自分が元いた場所とはいえ、堕天使と天使の仲は最悪なのだ。ノアは一応一般人で通してはいるが、向こうが堕天使の送ってくる者をただの一般人として受け入れるわけがない。下手をしたら、天使と堕天使の戦争になってしまう。
「言っておくが俺は反対だぞ。たとえミカエルの野郎が了承しても、確実に天使の中に不信感が生まれる。堕天使が送り込んだ野郎を、天使の奴らが「はいそうですか」って天界に入れるわけないだろ! 堕天使の協力者には、普通の人間も混ざってるんだ。下手したら、天使と堕天使の戦争が始まっちまう!」
(それぐらい私も分かっている。だが、誰が人間で行くといった?)
「はぁ? お前は一応人間って事になってんだから人間以外で行くわけ・・・まさか!」
そこまで言うと、アザゼルはノアの言いたいことに気が付いた。ノアは堕天使が送り込んだ人間としていくのではなく、
「それだけは絶対にダメだ! ただでさえノアの神は各勢力でもトップシークレットで、堕天使で知ってるのは俺とシェムハザとヴァーリの3人だけなんだぞ!? 天界でも知ってるのはミカエルと他の
(少し事情が変わってしまった。それに、元々時が来れば正体は明かそうと思っていた、それが早まっただけだ)
「・・・・・はぁ、分かったよ。どこから漏れ出すか分からないから、ミカエルへの連絡は俺の方から極秘にやっておく。たぶんあいつも、ノアの神の名前を出したらすぐに了承するだろうさ」
ため息を吐きながら、しぶしぶといった感じで引き受けてくれるアザゼル。こういう人物だからこそ、ノアは信頼を置けるのかもしれない。
「だが、姿だけは隠していけ。もしもお前が駒王学園に通ってるって分かったら、悪魔との間にも亀裂が出来ちまう。これ以上面倒なことだけにはしないでくれよ?」
(君が兵藤一誠と何度も接触している時点で既に手遅れだ)
すかさず入るノアの突っ込みに、アザゼルは「うっ」と言葉を漏らすと、不機嫌に台所へと移動し、酒を持ってきた。
「こうなったら今日は盛大に飲んでやる! ノア、お前も付き合いがやれ!」
ノアはため息を吐きながらも、日頃の疲労がたまっているアザゼルの心情を察し、酒に付き合うことにした。無論飲んではいないが、次の日、二日酔いに悩まされる堕天使の総督を看病する最強のウルトラマンというなんともシュールな光景が完成したとかなんとか
〈なぜこんな格好をしなければならない〉
「お前は存在そのものがトップシークレットなんだぞ? 黒いローブを着るぐらい我慢しろ」
数日後、まだ太陽も出ていない暗がりの朝、ノアはアザゼルから渡された黒いローブを着ていた。なんでも、存在そのものがトップシークレットのノアが正体を明かしたうえにその姿をさらすのは相当な危険があるらしく、こうして素顔も隠さないと大事になるらしい。
〈しかし、黒を着るというのはいささか抵抗があるな〉
「なんだ? それは黒い翼をもっている俺やサーゼクスたちへの宣戦布告か?」
〈別にそういうわけではない。ただ、少し思い出すだけだ。私が作り出してしまった哀れな人形をな〉
神妙な面立ちになるノアを横目に、アザゼルは「ふ~ん」と言うだけでそれ以上はなにも言わなかった。
『黒』
それは、ノアと全く正反対の存在でありながら、同じ存在でもあるダークザギのメインカラーであった。かつて自分が救ったM80さそり座球状星団の者たちが作り上げた、ノアと同じ力を持つ存在。だが、奴はその力で多くの人を傷つけ、命を奪ってきた。奴が倒されるのは道理ではあるが、ノアとしてはとても複雑な気持ちだった。いくら人工的に作られたとはいえ、奴にも自我はあったのだ。ただ、
〈それでは行くとするか〉
「おう。気をつけて行って来いよ!」
フードを深く被り顔を見えないようにすると、ノアの体が光に包まれ、アザゼルの目の前から消える。
次の瞬間、ノアの目の前にあったのは、巨大な扉だった。これが天界への扉らしく、天使でしか開けられない特殊な魔法をかけているらしい。
だが、ノアは特に驚くそぶりも見せず、その扉に手をかざす。刹那、ウルトラマンよりも巨大であろうその扉が、一瞬で左右に開いた。この程度の扉、ノアにとって開けることなど造作もない事なのだ。
(警備はいない・・・というより、他の天使たちは隠れているのか。視線をあちこちから感じる)
扉を潜り抜けた瞬間、目の前にあったのは警備兵すらいない無人の天使の街並みだった。雲の上に浮かぶ建物、上を見上げれば白く輝く天井が広がっていた。恐らく、ミカエルが他の天使たちに外に出ないようにでも言ったのだろう。
(これはローブを貰って正解だったかもしれないな)
心の中でアザゼルに感謝をしながら、ノアは歩みを進める。目に入るのは光と足元の雲のみ、それ以外は全く目に入ってこないが、それでも気配で何となく分かる。この先に、
「貴方がノアさん・・・でよろしかったでしょうかぁ?」
突如前方から間の抜けた女性の声が聞こえてくる。恐らく、ガブリエルが迎えに来たのだろう。フードの隙間から見えるウェーブの掛かったブロンドの髪に、アザゼル曰く人類が到達できない奇跡の結晶の大きな胸、そして機長から分かるおっとりとした雰囲気。間違いない、アザゼルから聞いたガブリエルの人物像そのものだった。
ノアは「んんっ」と喉の調子を整えると、ゆっくりと口を開いた。
「いかにも、私がノアだが? そういう君は熾天使のガブリエルだね?」
「え、ええ・・・」
ノアの声音に、ガブリエルは驚きを隠せないでいた。なにしろ、ノアの声は
「ミカエル様がお待ちです。こちらへどうぞ」
ガブリエルに案内されるまま、ノアはエレベーターへと乗り、ミカエルの元へと目指す。
天界は主に7つのエリアに分かれており、先ほどまでノアたちがいたのは第一天と呼ばれる、一般の天使たちが住む前線基地らしく、一般的な『天国』は第三天にあるらしい。そして、今ノアたちが目指しているのは第六天と言われる、熾天使たちが集まる天界の中枢機関『ゼブル』がある場所らしい。無論、これはすべてアザゼルから聞いた情報であり、彼が天界にいたのはもう何百年も前の話のため、差異があるかもしれないが、今のところはそんな様子は全くない。
「そういえば、ミカエル様と謁見なされるのならそのフードを取ってはくれませんか? いくら貴方がノアの神だとは言って、一応ミカエル様はこちらの代表なので」
「おっとすまなかったね。これは失礼だった」
ガブリエルに指摘され、あっさりとフードを取るノア。そこにあったのは、銀髪の少年の顏ではなく、腰まではあろう長い明るい銀髪に、怪しげな美しさを秘めた赤い瞳が特徴的な女性の顏だった。正体が知られる可能性をなるべく減らすため、今まで見てきた女性の顏のパーツを使い、今の顔を作ったのだ。
「これでいいかな?」
「ほけぇ・・・・・」
「ん? どうかしたかね?」
「あっ! い、いえ! なんでもありません!」
ノアの顔を見たまま動かなくなっていたガブリエルに呼びかけると、慌てたように返事を返す。
「き、綺麗な顔ですね・・・・・」
「別に、所詮この顔も作り物でしかない。こんなことを初対面の君に言うのは失礼だが、人を顔だけで判断するのはよくない。人の価値は外見だけでなく中身で決まる。もう少し、人の内面を見極める力を身に付けたらどうだね?」
「うっ・・・・そ、そんなこと貴方に言われなくても十分わかっています!」
「なら、もう一つ君に教えておこう」
ノアはガブリエルの顔を指さし、言った。
「熾天使なら、口元の汚れぐらい拭いたらどうだね?」
「へっ? あ、いやだ私ったら!」
懐から手鏡を出して口元を確認するガブリエル。果たしてこんな女性が熾天使で、天界は大丈夫なのだろうかと疑問に思うノアが乗ったエレベーターは、『ゼブル』のある第六天へと到着した。
うーん、本気でTSやってよかったのか?・・・まあ仕方がない。
7月23日追記 ノアって生命体かどうかも分からないからTSじゃなくない?という結論に最近至った
ウルトラマンオーブ、メビウス以来の単独放送ということでめっちゃ気合入ってますね。YouTubeで公開されているウルトラマンオーブのスペシャルムービーみてると、ガイが黒タイツ姿で「ウルトラマンさん!」「ティガさん!」って言ってるのなんかシュールで笑ってしまったwwてか、変身してる場所トイレだよね?
ウルトラマンフュージョンファイトも始まるし、本当に今年のウルトラマンは50周年ということもあって凄い気合入りまくりです!できれば円谷さん、11年ぶりにノアを地上波に出してください!