「行くぞドライグ!」
『Welsh Dragon Over Booster!!』
事前にアザゼルから貰った神器の対価の代わりになってくれる腕輪を使い、
「ふっ、対価なしに禁手に成れない時点で、既に勝負は付いていると分からないのか!」
落胆と怒気の混ざった声を上げるヴァーリは、向かってきたイッセーの攻撃をなんなく防御する。二人の装甲がぶつかった瞬間、辺り一面に衝撃が走り、地上にいたもの達はバランスを崩す。攻撃を受け止められたイッセーの拳はグラついているが、ヴァーリは全くと言っていいほど動いていない。
「たかがその程度で俺に挑もうとは、片腹痛い!」
兜に向かって拳を振り上げると、イッセーを殴り飛ばす。口から血を吐くイッセー。そのまま地面へと堕ちたイッセーは、口の中の血を吐き捨てる。
「クソ、やっぱパワーじゃ全然敵わねえか・・・」
『たとえ今の相棒が最大限まで倍加をしようが、恐らく奴に勝つことはできないだろうな。それに、時間制限もあるからな』
ドライグの言葉に「クソ」と吐き捨てるイッセー。ライザーとの戦いの時からさらに修業は積んではいたが、それもヴァーリの前では全く意味を成していなかった。未だ初心者程度の戦闘しかできない自分と違って、ヴァーリは卓越した戦闘技術を更に磨き上げている。そう簡単に埋められるわけではない。だが
「パワーで埋められないんなら、こっちは今持てる全てを使って我武者羅に奴に挑むだけだ!」
『Blade!!』
『Transfer!!』
「ウオオオオオオオオオオオオ!!!」
再び地面をけり上げヴァーリへと向かうイッセー。
「ほう、アスカロンか。少し厄介だな。だがっ!」
『Divide!』
自身に向かってくるイッセーに対して半減の力を使うヴァーリ。直後、勢いのあったイッセーの動きが一気に落ちる。
『Boost!』
「半減されたら、その分倍加すればいいだけだ!」
赤龍帝の籠手の能力で半減された分の力を倍加の力で元に戻すと、悪魔の翼を広げさらに加速をする。その一連の動きに「ほー」と少し感嘆の声を上げるヴァーリだったが、イッセーの一撃を軽やかに避けると、そのままイッセーの背後へと移動しその背中へと一撃を入れた。
「ガハッ!!」
「君の攻撃は単調過ぎて、一度見ただけですぐに対応できてしまう」
「だったら・・・・・これでどうだ!!」
籠手からアスカロンを分離させると、体を回転させてヴァーリの横腹目掛けて振るう。予想外の動きに一瞬反応が遅れたヴァーリは、防御する暇もなく横腹にアスカロンの攻撃を喰らう。鎧を貫通し、肌に直接アスカロンの刃が触れると、ヴァーリは突然苦しみだし、イッセーへの攻撃を緩めてしまう。その隙を逃さなかったイッセーは、いま出せる全ての魔力を右手に収束させる。
「喰らえっ! 俺の全力ドラゴン・ショットオオオオオオオオオオオオオオ!!!」
赤い閃光が二人の間で放たれると、ヴァーリはドラゴン・ショットによって地面へと叩き落とされる。聖剣であるアスカロンの聖なる力と、龍殺しの力で予想以上のダメージを受けたヴァーリにとって、イッセーの全魔力を込めた攻撃は効いたらしく、禁手が解ける。
「はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・」
『大丈夫か相棒!』
息切れを起こしながらも、何とか立ち上がっているイッセー。だが、ドライグの方がこれ以上は危険だと判断したのか、禁手が解ける。
「思い知ったかクソ野郎・・・っ!」
「くっ! この俺が、君如きに傷を負うとはな・・・っ!」
血がにじんでいる横腹を抑えながら、ゆっくりと立ち上がるヴァーリ。対して、もう立っている事すら奇跡に近いイッセー。もしヴァーリがこの場で傷を回復したのなら、確実にイッセーの負けであろう。
「兵藤一誠。君は一体何を求める」
突然ヴァーリが口を開くと、イッセーはその内容を理解できずに「なん、だよ・・・」と聞き返す。
「君は一体何のために戦う。聞けば君は、女性の事がすごく好きだそうじゃないか。なのに、先程の君は
純粋に、気になってしまった。あれほどまでに力の差があった自分にイッセーが挑んできた理由を。下手をすれば、自分が死んでしまうような事を。何が彼をそこまで突き動かしたのかを
「・・・・・・へっ、憧れだよ・・・」
「憧れ、だと?」
ふり絞った声で答えたイッセーの答えに、ヴァーリは理解をすることが出来なかった。だが、イッセーは言葉をつづける。
「俺、ノアと出会っていろいろと変われたんだよ・・・・・変態で、バカばっかやってた俺たちに・・・あいつは普通に接してくれたんだよ。女子からも嫌われて・・・先生からも見放されかけてた俺たちを、あいつは・・・・・正してくれた。そりゃあ、あいつの更生授業は相当つらかったけどよ・・・それでもあいつは、俺たちを嫌うような目では見なかった」
イッセーの告白に、ヴァーリやその場についたリアスたちも聞き入っていた。その時、リアスと朱乃は思い出したのだ。一年前、問題行動を起こす一年生男子3人を退学処分にしようとしていたが、一人の男子生徒によってそれが白紙になったと。それがイッセーだったとは、今の今まで気づかなかったのだ。
「俺は・・・あいつに近づきたいっ! 誰からも信頼されて、誰をも守れる力を持っているあいつにっ!!」
「っ!!」
その言葉に、ゼノヴィアは勘付いてしまった。もしかしたら、イッセーは既にノアの正体に気付いているのではないのだろうかと。
「ふ、フフフフフ・・・・・ハハハハハ‼︎」
突如笑い出したヴァーリに全員の視線が集まる。傷口が広がるのも顧みずに、額に手を当てて笑うヴァーリ。
「そうかそうかそういうことか! 君もまた、彼に人生を狂わされた人間だったのか兵藤一誠!」
「彼? ヴァーリお前、ノアの事知ってるのか!?」
叫ぶイッセー。だが、ヴァーリはその質問には答えない。
あまりにも運命的過ぎるその出会い。互いに全く違う人生を歩み、その身に長年の宿敵を宿し、同じ人物によって互いに目標を持った。まさに神の悪戯ともいえるその偶然に、ヴァーリはただただ笑うしかなかった。
「兵藤一誠、まさに俺たちは宿命を背負っているらしいな! ドライグとアルビオンだけでない、俺たち自身の宿命に決着をつける日が来る! それまでに、せいぜい強くなっていてくれよ・・・?」
不敵に笑みを浮かべるヴァーリ。その意味を理解したイッセーは、警戒をしながらも笑みを返す。
「ああ! ぜってー強くなって、今度こそお前を倒してみせる!」
互いに拳を向け、再戦を誓う二人。その時こそ、互いの宿命に決着をつけるとき。
『悪いが、その決着は付けさせないよ』
その時、聞き覚えのない声が響き渡ると、先ほどまで張っていた結界が吹き飛び、無数の魔法陣が現れる。
「この紋章は・・・!」
「来やがったか、
ミカエルが驚き、アザゼルがその名を口にする。あらゆる種族たちが集まってできた、まさに世界の
「まさか君がそこまでボロボロになるとはね」
魔法陣から現れたのは、黒髪の漢服を羽織った槍を持つ青年。
「初めまして3大勢力の代表方とグレモリー眷属たち。俺の名前は曹操、三国志で有名な英雄曹操の子孫だ」
青年——曹操がそう名乗ると、イッセーたちは驚きを隠せなかった。彼こそ禍の団のもう一つの集団英雄派所属にして、そのトップ。魏の武帝と言われた、曹操の子孫だ。
「まさか曹操の子孫までもテロに加担するようになるとは、世も末だな・・・」
「ふ、冗談はよしてくれ堕天使の総督。俺たちは人間としてただ当然のことをしているまでさ。『悪』を打ち『正義』を広める。子供でも分かるヒーローごっこのような者さ」
肩をすくめ小さく笑う。普通ならここで攻撃を仕掛けてもおかしくはない。だが、それは出来なかった。曹操から放たれるオーラもそうだが、それ以上に彼の持っている槍が全員の動きを支配していた。
「
アザゼルが絞り出した声で叫ぶ。人の平和のための物が、今こうしてテロの道具として自分たちに牙をむいている。
「赤龍帝兵藤一誠・・・雑魚だと思って放っておくつもりだったが、どうやら早めに始末をしなければな」
曹操が槍を掲げた瞬間、その先端に光が集まってくる。聖槍の光は、一撃で悪魔を葬り去る。イッセーがそれに本能的に気付いた時、既に手遅れだった。他の者たちも、すぐにイッセーを助けようとするが、距離的にも攻撃のスピードからも間に合わない。誰もが諦めかけたその時
「ジェアッ!!」
一筋の光が聖槍に集まっていた光を消し飛ばした。その光が飛んできた方向に全ての視線が集中する。
そこにいたのは、空中で静止し、腕を十字に組んでいた銀色の戦士——ウルトラマンネクサス アンファンスだった。
「ほおう」
その突然の来客に目を輝かせる曹操。ヴァーリから話は聞いていたが、少し形状が違う。だが、それでも十分に迫力はあった。たった一撃で黄昏の聖槍の光を消し飛ばしたのだ。それだけで、どれだけの力を持っているか理解できてしまう。だが、曹操は試してみたくなった。
今の自分が最強の神と言われる存在にどれだけ通用するのか
その思いが芽生えた瞬間、曹操は駆け出し、未だ空中にいるネクサスの目の前まで移動する。そして、手に持った聖槍を振り上げ、ネクサスに攻撃を仕掛けようとした。
しかし
「フンッ!」
「なッ!!」
ネクサスの全身から赤い光が溢れ出すと、曹操の動きが止まる。ネクサスの技の一つ、オーラミラージュ。光によって相手の動きを停止させる、
動きを完全に止められた曹操の腹に目掛けて一撃を入れるネクサス。重すぎるその一撃に、曹操は口から血を吐き、後方へと吹き飛ばされる。
「マジかよ・・・・・」
あっという間の出来事に、思わず声を漏らすイッセー。あれほどまでに強いオーラを放っていた曹操を、たった数秒で蹴散らしたその強さに恐怖を抱きながら。
「大丈夫か曹操?」
「ああ、ゲオルグか・・・」
別の魔法陣から現れたのは、早々と同じ服にフードを被った眼鏡をかけた青年——ゲオルグが曹操に近づく。
当の曹操は地面にぶつかった瞬間に頭をぶつけたのか、血が出ていた。
「相手の力量を見極めずに突っかかるとは、バカか君は?」
「ハハハ、いやー参った参った。手加減されたのか知らないけど、無防備な姿であの一撃を喰らって生きているのが奇跡だよ・・・」
渇いた笑い声の曹操。だが、その心は胸躍っていた。
「ゲオルグ、どうやら俺たちはグレートレッド以上に厄介な奴を敵に回したかもしれないぞ?」
「おいおい、これ以上悩みの種を増やすな・・・」
曹操の告白に頭を悩ませるゲオルグ。だがそんな二人の会話も、ネクサスが地上に降りてきたことによって中断される。
その気高く、美しい姿に見入る一同。だが、そんなネクサスの前に一人の少女が現れる。オーフィスだ。
「ノア、我たちと戦う?」
オーフィスの問いかけに、ネクサスは何も答えない。だが、オーフィスは何かを察したのか、ネクサスから離れると、曹操とゲオルグ、そしてボロボロになったヴァーリたちの元へ向かう。
「オーフィス・・・どこで何をしているかと思えば、まさか・・・」
「今日は、もう終わり。帰る」
オーフィスの展開した魔法陣によって姿を消す曹操達。下手をすれば、その場で戦争になっていたかもしれない短い乱入は、たった一人の戦士によって防がれた。何も言わず、ただその場にいるだけのネクサス。誰もが息をすることを忘れそうな空気。
「君が『ノアの神』かな?」
ネクサスに声を掛けたのは、サーゼクスだった。
「オーフィスと親しげに話していたようだが、一体どういう関係かな?」
単刀直入に聞いてくるサーゼクス。先ほどの会話で不信感を抱かない方がおかしいが、ネクサスは何も答えない。どう思われようが、何も問題はないからだ。
「君は一体敵なのか? それとも味方なのか?」
敵か味方か、その答えはどちらもNOだ。ノアは味方をする気もなければ敵になる気もない。先ほどイッセーを助けたのは、彼の瞳に同じ意思を感じたからだ。ヴァーリと同じ、目的のために諦めない心を宿しているその眼を。
サーゼクスの質問には何も答えず、ネクサスは光と共にその場から消え去る。
残ったのは、微かな疑念と大きな安堵だけだった
サブタイは決して聖杯戦争のシリーズタイトルではない。
ぶっ通しで書いたからグダグダです。すみませんm(__)m
今まで3人称(ノア寄りの)と1人称(イッセーなど)で書いてきましたが、今回この作品では初めての完全な読者視点の3人称で書いてみました。まあノアの出番がないのはご勘弁ください。
映画見てきたあとだから結構疲労溜まってるんです。運動会練習で全身筋肉痛なんです。だから許してください!
次回は後日談を描きます。そのあとに『ULTRAMAN』基準の話書く予定ですが、たぶん投稿までの時間が相当かかると思いますので気長にお待ちください。
君の名は。面白かったのでぜひ見てください(唐突な番宣)
劇中で新宿駅が映ってたからちょっとワクワクしちゃったよ!
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ではまた今度