最強の光の巨人は静かに青春を過ごしている   作:鎧武 極

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悪夢 ‐ザ・ワン‐

都会に響き渡る騒音。車の音、人の話す声、セミの鳴き声、どこにでもある日常をそのまま切り取ったような景色。

小さな事件と、ここ一週間頻繁に起こる小さな地震を除いては平和と言える東京の新宿。多くの人が行きかうその街では、夏休みということもあり親子連れの家族が多くいる。楽しそうに街を歩く家族。クーラーの効いた洒落たお店で談笑をする若者。熱いなか必死に歩く社会人。広場の日陰で一休みしている老若男女。誰もが笑顔を振りまいているその一瞬が、この世界の日常だった。

 

「ねえお母さん、お父さん! 次はあっちに行きたい!」

 

薄いピンクのワンピースを着た8歳ほどの少女は、少し後ろにいる父と母に言う。まだ30代前半に見える夫婦の間には、先程の少女によく似た顔つきの8歳ほどの少年と12歳ほどの少年が手を繋いで歩いていた。

この家族、夏休みを利用して父親が妻と子供達の行きたい場所へと連れて行っているのだ。毎日の仕事に残業と、日々のストレスが溜まっている父親にとって、今日ほど嬉しい日はないだろう。今まで中々遊ぶことが出来なかった双子の兄妹の反応も随分と良い。

正直、最近の原因不明の地震発生率が一番高い新宿へと来るのは気が引けたが、ほかならぬ子供の願いとあっては断ることはできなかった。妻も最初は渋っていたが、何とか自分が説得してここまで来たのだ。楽しまなければ損だ。

 

「よーし! それじゃあパパと一緒に行くぞー!」

 

「わーい! パパと一緒だー!」

 

「あんまり無茶しないでよー!」

 

「パパ気を付けてねー!」

 

「地震が来たら机の下に隠れてねー!」

 

娘を肩車し、愛する妻と子供たちからの忠告も受けながら、娘の指さす方向へ向かう父親。正直、最後の次男の言った「机の下に隠れる」にはツッコミそうになったが、大勢の人がいる手前そんなことができるわけもなく、家族たちの忠告のせいで注目を浴びているこの場から一刻も逃げ出したい父親だった。

その時

 

「ん? また地震か?」

 

「パパ、怖い・・・」

 

「大丈夫だよ。でも、いつもより長いな」

 

突然発生した地震に、周りの人たちも少し焦っている。しかも、今までが数秒程度の揺れで済んだはずなのに、今回に限っては異様に長い。気のせいであるとは思うのだが、徐々に揺れの強さが強まってきている気がする。怖がる娘を安心させようと、娘を肩から下して抱きしめる父親。

その数秒後、ようやく揺れが収まった。周辺の人から安堵の声が聞こえてくる。やはり今日もいつもと同じだった。少し危機感は抱いたが、いつもと変わらぬ日常に戻った。誰もがそう思っていた。

瞬間、少し離れた場所にあった高層ビルから聞いたこともない音が響き渡ると、ビルが消えた。いや、消えたのではない、()()されたのだ。

安堵から一転、周りから驚きの声が聞こえてくる。中には写真を撮っている者もいるが、

 

『早くその場から逃げろ』

 

父親は、誰かがそう告げたような気がした。だが、周りにそんなことを言っているような人は誰もいない。突然の出来事に、動けないでいる人間たちの前に、ついに()()は姿を現した。

無くなったビルのあった場所にできた巨大な穴から、それは飛び出して来た。昔から生物は好きだが、今まで見たどの生物とも一致しない顏に鋭く尖ったかぎ爪に長い尻尾。普通ならあり得ない50メートルはあるであろうその巨体のあちこちには、記憶の中にある生き物たちの顏のようなものがついていた。だが、その全てが白目をむいたグロテスクな顔であり、まるで『怒り』を訴えるかのように叫んでいる。

昔、自分が生まれる前の映画でこのような生物がなんと言われていたのかを思い出した。

 

 

怪獣

 

 

 

『グオオオオオオオオオオオオオオオ!!!』

 

怪獣は咆哮を上げると同時に、近くにあった建造物目掛けて口から青い火の弾を吐く。火の弾が直撃した建造物は轟音と共に爆発し、その破片が下にいた人に降り注ぐ。

そこまで来て、ようやく人々は悲鳴を上げた。不思議な光景に囚われ、死人がでてようやくその恐ろしさを理解した。皆怪獣とは逆の方向に走って逃げていく。

怪獣は、その光景を楽しむかのように次々と周りの建物へと攻撃をしていく。鳴り響く破壊音、落下音、破片の下敷きになった人の悲鳴。その一つ一つの音が響くたびに、まるで喜ぶかのように怪獣は叫ぶ。

父親はそこで、先ほどまで握っていた娘の手の感触がない事に気が付いた。先ほどの人の大移動で、はぐれてしまったのだ。父親は焦り、怪獣から逃げながらも娘の名を叫ぶ。

 

「ナギー! ナギー! どこにいるんだー!」

 

娘――ナギの名を叫びながら、父親は探し回る。建物の陰、瓦礫の下、ありとあらゆるところを探し回る。だが、一向にナギは見つからない。どうすればいいのか、あまりの事態に頭を悩ませる父親。だが、こうして頭を悩ませている間にも怪獣はすぐそこまで迫ってきている。

-もしこの場にナギがいて、今逃げ出してしまえば-

そんな事を考えた瞬間、父親の顏は恐怖に染まった。まだきっと生きているはず。だが、もうすぐそこまで怪獣は迫っている。どうすればいいのか分からなくなってしまったその時、微かに耳に声が入ってきた。

 

「ぱ・・・・・・ぱ・・・・・」

 

小さいが、間違いない。ナギの声だ。父親は必死になって、ナギの声のした方向へ駆け出した。そこは、怪獣の攻撃の余波で崩れた建物の瓦礫が積み重なっている場所。そこに、確かにナギはいた。

 

「待ってろナギ! 今助けてやるからな!」

 

必死に瓦礫をどかしていく父親。固く重いコンクリートをどかす際に手の皮が剥がれて血だらけになるが、そんなことを考えている余裕などなかった。必死に瓦礫をどかしていくと、そこにはナギの姿があった。

 

「ナギ!」

 

父親は瓦礫の隙間からナギを引っ張り出す。ナギの足は瓦礫の下敷きになった時にやられたのか、血で赤く汚れている。他にも腕から血は出てきているワンピースが血だらけになっているが、生きている。

それだけを確認できただけで、父親は泣きそうになった。だが、次に響いた音が彼を絶望の淵へと叩き落とした。

怪獣が、自分たちのすぐそばにまで来ていた。しかも、その黄色く光る二つの眼は自分たちをとらえていた。

もう終わった。ようやく手に入れた家庭。ようやく手に入れた新しい命。ようやく手に入れた()()()()()()。その全てが、この()()()によって奪われてしまう。思えば短かった人生を思い返しながら、父親は最後の悪あがきで自分の背を怪獣に向けて娘を覆い守るようにした。

そんなことを気にも留めない怪獣は、その口に青い炎を集めていく。

 

ごめん、みんな

 

最後に心の中で残った家族たちに懺悔をする。

そして、二人に向かって青い火の弾が放たれた。

 

 

 

「あれ?」

 

不思議に思う父親。いつまで経っても、怪獣の攻撃の衝撃が襲ってこない。それどころか、先程よりも妙に風に当たっている気がする。恐る恐る目を開ける父親。その前に広がっていたのは、煙が立ち上がる新宿の街だった。ただし、()()()()()()()()場所から見た。

何かがおかしい。いや、それ以上に体に違和感がある。先ほどまで自分は固いコンクリートの上にいたはずなのに、今は柔らかく温かい物の上にいる気がする。上から何か見られているような気がして、振り返って顔を上げる。

 

「うおっ!」

 

父親は驚いた。そこにあったのは、巨大な顔。銀色の肌と赤い二本のラインの下にある黄色い目。うっすらと口のようなものがあり、さっきの怪獣とは違う人間がそのまま巨大化したようなものだった。

巨人はそのままゆっくりと下降をしていくと、父娘の家族が避難している場所に下した。

 

「おいなんだよあれ」「化け物?」「でもあの親子を助けたぞ」「味方なの?」

 

更なら事態に人々が困惑をする中、巨人は怪獣のいる場所へと移動する

 

 

 

 

『また貴様が相手か、光の巨人』

 

怪獣、ビースト・ザ・ワンはテレパシーでネクストへ言葉を贈る。

今目の前にいるのは、かつて自分を倒した忌まわしき光の巨人。だが、奴は完全に力を取り戻しているにもかかわらず、こうして()()()な状態で自分の前に再び姿を現した。

 

『貴様、その姿で俺を完全に葬る気か? 人間と不完全な形で融合して、世界中に俺の因子を受け継いだビーストを生み出した責任をまだ感じてるのか?』

 

図星だった。ネクスト・・・ノアは不完全な状態でザ・ワンと戦い、その結果世界中にビーストが大量発生する原因を作ってしまった。あの時は仕方がなかったとはいえ、それによって多くの命が犠牲となったのに変わりはない。だからこそこの姿(ネクスト)でやってきたのだ。あの時できなかったことを、やり遂げるために。

 

『ならばここで終わらせる!』

 

先に動いたのはザ・ワンだった。長い尻尾の先端が割れ、鋭い牙を持った口と目が開きネクストへと襲い掛かる。ネクストは尻尾を両手で押さえると、ハンマー投げのように体を回してザ・ワンを空へと放り投げる。

空へ飛んで行ったザ・ワンを追いかけるようにネクストも地面を蹴り大空へと飛翔する。

 

『小癪な、あの時とは違うことを思い知らせてやる!』

 

ザ・ワンは体を震わせ、形態を変化させていく。天使と堕天使と悪魔の翼を背中から生やすと、ザ・ワンは空中で旋回をしてネクストの方へ自ら飛んでいく。

口から火球弾を放ちネクストへ攻撃を仕掛けるが、それを難なく回避をしてラムダ・スラッシャーをザ・ワンの翼へと放つ。

しかし、ザ・ワンはラダム・スラッシャーを尻尾の口でかみ砕くと、再び形態を変化させていく。両肩から生えてくたガルベロスの首を持つ形態へと変化したザ・ワンは、今度は両肩の頭から火球を放つ。

 

「セアッ!」

 

両手で火球を左右にはじくと、ネクストはザ・ワンへと急接近し、胴体部分へ拳をめり込ませる。

 

『グルアアアアア!!!』

 

悲鳴を上げるザ・ワン。だが、その直後にザ・ワンは尻尾を伸ばしネクストの足を取った。一瞬の隙に足を取られたネクストは、そのままザ・ワンによって地上へと叩き落とされた。

上空1000メートル以上から一気に叩き落とされたネクストはコクーンタワーへとぶつかる。周辺の建物を巻き込み地上に激突をしたネクスト。頭を押さえながらも立ち上がるネクスト。だが、ザ・ワンは休む暇も与えず再び上空から攻撃を仕掛けてくる。ネクストはサークルシールドでそれを防ぎ、地上に被害を与えないようにする。

 

『どうだ! 人間たちがいるせいで地上ではろくに戦えまい!』

 

卑怯な手を使ってくるザ・ワン。幸いにもネクストがぶつかったコクーンタワー周辺は避難が完了していたが、まだ近くには大勢の人間が取り残されている。そんな状況でもし一発でも攻撃が当たれば、多くの人の命が失われてしまうことになる。極力地上での戦闘を避けたいネクストとしては、この状況は明らかに不利だ。せめて人間たちがいなくなるまで、何とか持ちこたえなければならない。

 

『そうはさせん!』

 

ザ・ワンはネクストへの攻撃をやめ方向転換すると、まだ避難が終わっていない人口密集地へ攻撃を仕掛けた。それに気付いたネクストは、地面をけり上げて攻撃の軌道上まで飛んでいく。

間一髪のところで間に合ったネクストは、人々に被害が出ないようサークルシールドで攻撃を防ぐ。

 

『やはり不完全態になっているとはいえ、完全に復活をした貴様と相手をするのは手こずるな。だが、これまでの攻撃は人間は俺に恐怖を抱いた。この恐怖の力が、俺を更に進化させる!』

 

ザ・ワンは三度形態を変化させる。口から糸を垂らしながら出てくる新しい顔、膨らんだ胸から出てくるライオンとワニが混ざった顔、脇腹生えてきた新しい2本の腕、3本に増えた意志を持った尻尾。その姿は、もはや生物と形容できないほど醜く恐ろしい姿へと進化する。

 

『人間どもよ、俺の姿に恐れおののくが良い!』

 

初めてザ・ワンが言葉を発した。その言葉に人々はさらに恐怖を抱く。力を持ち、知識を持つ生物。それが明確な悪意で自分たちを殺しに来ている。それが一体、どのような結末を導くのかは容易に分かる。

人間は、人類はもう終わった。誰もが絶望の淵へ叩き落とされた。

 

「ヘアッ!」

 

『ッ!』

 

ネクストは上空へいるザ・ワンへ攻撃を仕掛ける。全身をバネのように扱い地面を蹴り、一瞬でザ・ワンがいる場所まで飛んできたのだ。

 

「シェアッ!」

 

ゼロ距離からラムダ・スラッシャーを放ち、ザ・ワンの量からの頭を切り落とすと、即座にその頭をクロスレイ・シュトロームでその頭を消し去る。

 

『貴様ああああああ!』

 

激怒したザ・ワンは尻尾でネクストの体を拘束すると、4本の腕で嬲っていく。ネクストも尻尾を引き剥がそうとするが、強固に絡みついた尻尾が剥がれる気は一切しなかった。尻尾の先端に生えた顔が口を開き、ネクストの肩や足に噛みつく。

もがき苦しむネクスト。それをあざ笑うように高笑いを上げるザ・ワン。

 

『これで終わりだ!』

 

腕のかぎ爪でネクストにトドメを刺そうと腕を振り上げた瞬間

 

「シェアッ!」

 

一瞬の隙をついてザ・ワンの腹部にひじ打ちを決める。ザ・ワンの拘束から解放されたネクストは後ろへ回り込み、背中にキックを決めてザ・ワンと共に地上に落ちていく。

廃墟と化した街の真ん中に、2人の未確認生命体が舞い降りる。日が沈み、夕焼けが二人を照らす中、ネクストは構えを取る。

 

『なぜだ・・・なぜ進化したはずの俺が・・・っ!』

 

ザ・ワンが瓦礫の中から起き上がると、ネクストは両腕にエネルギーを溜めていく。

 

「デアッ!」

 

ネクストはザ・ワンにエボルレイシュトロームを放つ。ザ・ワンは光線に耐えようとするも、徐々に押されていく。そして、ネクストが先ほどまでとは比べ物にならない威力のエボルレイシュトロームを放つと、ついにザ・ワンは光線を受け止めきれずに、体の細胞が青い粒子となって消滅していく。

夕日に輝く青い粒子が天に昇って消えていくのを確認すると、ネクストはゆっくりと街中を歩き始め、助けた家族の元へ行く。

自分たちの方へと近づいてくるネクストに人々は一瞬驚くも、ザ・ワンとの戦いで彼が敵ではないと悟ったのか、すぐに静かになる。

怪我をして、未だ意識が目覚めないナギを抱えた父親の元までくると、ネクストは片足をついて父親へと手を伸ばす。

 

「えっ・・・」

 

父親は手を差し出された理由が分からなかった。だが、ネクストの目を見た瞬間に何かを感じ取ったかのように、ネクストの左手の中にナギを置く。その行動を家族たちは誰一人として止めず、静かに手を合わせてネクストに祈るポーズをした。

ネクストは右手に淡い光を集めると、それをナギへと向かって放つ。ナギの体が光を受けた瞬間、徐々に傷口が塞がっていき、血で汚れたワンピースも元に戻っていた。

そのあまりにも人知を超えた力に、人々は呆気にとられた。唯一、父親だけは傷の治ったナギを抱き上げる。

 

「ぱ、ぱ・・・・・?」

 

「っ! ナギッ!」

 

意識を取り戻した娘に、父親は思わず抱き付く。それにつられるように、他の家族たちもナギの周りに集まっていく。

それを確認したネクストは立ち上がり、数歩後ろへ下がると、夕日をバックに空へと飛んでいく。その神々しい姿を見た誰かが言った。

 

「神だ・・・・・」

 

その言葉に触発され、次々とキリスト教徒たちが十字架を取り出しネクストの去った空へと祈りをささげていく。

後に「新宿大災害」と呼ばれるこの事件は世界中に報道され、各国の評論家たちが意見をぶつけ合うことになる。曰く、ネクストは神であり、ザ・ワンは悪魔である。曰く、二人は長年宇宙で争ってきた敵対種族。曰く、地球侵略のためにやってきた別の星の住人。様々な意見が出る中、世界中では子供たちがネクストに対して憧れを込めた呼び名が広まっていた。

 

光の巨人 ウルトラマン




ええこのたび私マイコプラズマになってしまい、家にずっと引きこもってます。宿題も全部終わりやることがないのでどうせならと書きましたが、



書き方忘れちゃいました。


自分が一体どういう風に書いてたか全くわからなくなってしまい、結構グダグダです。だから暴言だけはやめて!

ではまた今度!
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