最強の光の巨人は静かに青春を過ごしている   作:鎧武 極

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総督 ‐アザゼル‐

駒王町から離れた港。人気がないその場所で、ノアと堕天使の総督アザゼルは釣りをしていた。

アザゼルがノアの正体に気付いたのは、ノアがこの世界にやってきて数日が経った時だった。彼はノアの事を「ノアの神」と呼んでいた。だが、ノア自身にこの世界に来た記憶は全くない。これまで数々の世界を訪れ、そのたびにに様々な星を救ってきたが、この世界に来たのは初めてのはずだ。なのに、なぜアザゼルは自身のことを「ノアの神」と呼んでいるのか。それは、かつてこの世界に光の巨人が訪れたことがあるという事だった。ある一つの小国を怪獣の魔の手から救い、その巨人はすべての勢力から「ノアの神」として崇められている。もっとも、その巨人は怪獣を倒した後すぐにどこかに消えてしまったらしいので、細かな容姿を描いたものは全くないらしい。

 

「それでぇ~どうだリアス・グレモリーたちは?」

 

〈どう、とは?〉

 

「あいつらと会って何を感じたかだよ」

 

〈木場祐斗、あの者は駄目だ〉

 

ノアが答えると、アザゼルは口笛をヒューと吹き、理由を聞いて来た。

 

〈あの者は復讐心にとらわれている。あのままでは死ぬ〉

 

「なら、どうするか考えているのか?」

 

〈強大な復讐心は他者によって納まる物ではない。私はただ、彼らがコカビエルと戦うのを見守るだけだ〉

 

「相変わらずの傍観者だな」

 

アザゼルが皮肉交じりに言うが、ノアは相変わらずの無反応だ。彼にとってはそれが普通であり、35万年以上も続けてきたことだ。例え他人に何を言われようとも、この生き方は変えるつもりは毛頭ない。

 

「町ではぐれ悪魔が暴れてるときも、兵藤一誠とアーシア・アルジェントが死んだときも、お前はただ影から見てるだけだったしな。まあ、お前がそうしないといけない理由も分かってるよ」

 

ノアが多くの出来事に於いて手を出さない理由は、自身の強大な力を頼りにされないためだ。人々は強大な力があればそれにすがる。それにすがり続ければ、いずれ滅んでしまう。だから、ノアは傍観者を続けている。バランスを保つために。

 

「だが、いざとなったらお前にコカビエルの排除を頼めるか? 図々しいとは思っているが、俺はまだこの町にいる事を知られるわけにはいかないし、ヴァーリはお前を倒すためにいろいろと特訓してるんでね。行ってくれるかどうか分からないんだよ」

 

〈仕方がない。君にはいろいろとお世話になっているからな、その借りを返すという事で了承しよう〉

 

ノアがアザゼルにしている借りとは、ノアの偽の住民票と駒王学園への転入への手続きだ。さすがにノアでも、住民票などは偽装できないので、たまたま出会ったアザゼルがそれを代わりにやってくれたのだ。

 

「そういえば、お前いつの間にそんなメモ帳買ったんだ?」

 

〈喋らなくても会話ができるようにと思って買った〉

 

「それ、普通にしゃべった方がいいじゃねえか?」

 

〈これなら余計なことを言わなくて済む〉

 

「余計なこと、ね・・・・・おっ! 掛かった掛かった!」

 

獲物がかかり、グルグルと回りながら引っ張られる釣り糸を見てリールを回すアザゼル。それを横目で見ながら、顔を上にあげるノア。今までずっと他人の体を使ってしか見たことがない、宇宙に浮かぶ星が一つ一つ輝いている大空を、自分の眼で見ていることがとても不思議でならなかった。

 

 

 

 

 

次の日、ゼノヴィアと紫藤イリナから聖剣についてもう少し詳しい話を聞こうと、午後の授業を早退して街を歩いて捜索しているノア。アザゼルからコカビエルについてのことはだいたい聞いていたが、聖剣については情報が全くないため、唯一情報を持っていると思われるゼノヴィアと紫藤イリナを探している。が、既に探してから2時間が経過している。彼女たちがいそうな協会などの場所はしらみつぶしに探していったが、どこにも彼女たちはいなかった。今はノアがいるのは、駒王町の繁華街だ。彼女たちのような目立つ格好をしたものがこんなところをうろうろしているとは思えなかったが、念のためここも捜索をしている。この繁華街で彼女たちがいそうな場所を探しているが、やはり神の信徒がこんな場所にいるはずもなく、それらしい姿は全く見えない。

すると、前方に白いローブを着た通行人にお金をねだっている女性二人と、その後ろに置かれた変な絵を見つける。

 

「えぇ~迷える子羊にお恵みを~」

 

「天の父に代わって、憐れな私たちにお慈悲を~」

 

その姿は、あまりにも惨めだった。先ほどから通る通行人たちも変な目で彼女たちを見ている。

その惨めな姿を見たノアは、財布の中を確認する。何かあった時のために一年前にバイトやら指名手配犯を捕まえてもらったお金が銀行にある預金も合わせて約3000万。財布の中には約10万円ほどあるので、何とかなるだろう。

ノアは二人に近づくと、ゼノヴィアの肩をトントンと叩く。

 

「ん? お、お前は!」

 

「ノア君!」

 

驚く二人に、ノアはメモ帳の紙を見せる。

 

〈そこのファミレスに入れ。私の奢りだ〉

 

その文字を見た瞬間、二人は一瞬顔を合わせると涙を流しながらノアの手を握った。

 

「「か、神よぉ~!!!」」

 

二人が食事をしている間に聞いたことだが、紫藤イリナが詐欺に会って協会から出された資金をすべて変な絵に使ってしまったらしい。

 

「それで、君はいったい何のために私たちに近づいたのかな?」

 

「ゼノヴィア、口にハンバーグのソースついてる」

 

紫藤イリナに指摘され、口についていたソースをなめるゼノヴィア。どう見ても淑女には思えないが、そこは考えないことにする。

 

〈君たちにエクスカリバーについて詳しい話が聞きたかったのだが、どうやら彼らに譲った方がよさそうだな〉

 

ノアが顔を窓の外に向けると、それに合わせてゼノヴィアと紫藤イリナも顔を向ける。そこには、オカルト研究部の兵藤一誠と塔城小猫、そして生徒会の匙元士郎がいた。

 

「さ、先を越されていた・・・」

 

「ノア先輩、意外に行動力がありますね」

 

「な、なんでノアがいんだよ~!」

 

〈彼らも同伴でいいかな?〉

 

「・・・・・まあいい。君には命を救ってもらった借りがあるしな」

 

そうして同伴することになった兵藤一誠たちがゼノヴィアと紫藤イリナに言ったのは、聖剣を破壊するためにこのメンバーに木場祐斗を加えた4人を聖剣の破壊に協力をさせてほしいという事だった。無論、紫藤イリナは反対したが、ゼノヴィアはそれを了承した。元々、3割しか生きて帰れる確率がなく、3本の聖剣を回収するためにも協力は惜しまないらしい。

 

「それではノア、君が聞きたいと言っていたエクスカリバーについてだが、先ほど兵藤一誠たちと話した内容とあまり変わらないが、他に聞きたいことはないか?」

 

〈いや、先ほどのでだいたい分かった。それと、私はここで失礼させてもらうよ〉

 

ノアは席を立つと、会計を済ませて店から出ていった。店から出る瞬間、ノアが兵藤一誠と塔城小猫に視線を向けていたことをその場にいる誰もが気づいていなかった。

 

(兵藤一誠、塔城小猫、彼らもまた心に闇を持つものか。いや、彼らだけではない。あの部活にいる全員が・・・・・)




今回は短め。
よくよく考えたら、ハイスクールD×Dのキャラクター心に闇抱えている人多すぎ!こんな世界にスペースビーストが来たら、とんでもないことになっちゃいそ~(フラグ)
今回からおそらく更新するペースは結構落ちます。次に更新するのは年末か、おそらくは新年始まってからになると思います。
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