日も沈みかけの夕方。駒王学園の屋上にただ一人残ったノアは、寝転がって空を見上げていた。とっくに完全下校時刻は過ぎているのだが、ノアにはここに残る理由があった。
昨日兵藤一誠たちと別れた後、彼らはエクスカリバーを奪った神父、フリード・セルゼンと交戦、あと一歩のところまで追いつめた。だが、そこに現れたもう一人の神父、バルパー・ガリレイによる助言によって状況は一変。兵藤一誠たちはフリード・セルゼンとバルパー・ガリレイを取り逃がしてしまう。さらにその直後、別に行動していたゼノヴィアと紫藤イリナが今回の事件の首謀者、コカビエルに襲撃され、紫藤イリナは負傷。持っていた
「ノア、見つけた」
目の前にオーフィスの顔が現れた。どうやらここでのんびりと兵藤一誠たちの戦いを見るというのは不可能になったようだ。ノアは上半身を起こすと、オーフィスにメモ帳を見せた。
〈
「今日は勧誘しに来たのではない」
オーフィスの言葉に少し驚くノア。つい先日まではあれほどまでに勧誘をしてきたのに、今日はそれが目的ではないというのだ。では一体、何をしに来たのだろうか。
「我、ノアのことを知りたい。だから、ノアの昔の話、聞かせてほしい」
(昔の話、か・・・)
35万年以上も生きてきたノアにしてみれば、昔話などというものは腐るほど存在している。だが、それは決して人が楽しめるような話ではない。スペースビーストとの地獄のような闘い、ダークザギとの闘い、いくつもの星を巡っては人々に感謝もされたり、恐れられたりもした。だが、そんな経験を積んできたからこそ、今のノアは存在する。それに、オーフィスは今までとは違う反応を示している。彼女がノアの力以外に興味を示しているのならば、それに答えなければならない。
〈少し長くなるから、場所を変えよう〉
ノアは右手に光を集めると、そのまま右手の光を真上に向かって放った。すると、光がドーム状に広がっていき、ノアとオーフィスを包み込んでいく。次の瞬間、ノアとオーフィスは駒王学園の屋上から暗黒が広がる宇宙へと移動をしていた。
「っ!」
さすがのオーフィスでも突然自分が宇宙に来たことに驚き、咄嗟に口を手でふさぐ。
〈安心しろ、ここは本物の宇宙ではない。だから呼吸もできる〉
ノアの言葉を信じ、オーフィスはゆっくりと手を放す。確かに呼吸はできる。だが、自分は確かに宙に浮いている。宇宙ではないが、重力は感じない。ならば、ここはいったいどこなのだろうとオーフィスは思った。
「ここは宇宙とよく似た別の空間だ。重力はないが、しだいに慣れる」
そういうと、ノアは自身のことを語りだした。スペースビーストの事やダークザギのこと、光の国の事や彼が戦った世界の事、過去に出会ったウルトラマンXやウルトラマンゼロの事、できる限りのことを彼はオーフィスに語りだした。
○●○
オッス!兵藤一誠だ!みんなからはイッセーって呼ばれてるぜ!って、こんなこと言ってる場合じゃなかった!今俺たちオカルト研究部は、とんでもない事態に陥っているんだ。
堕天使の
「それにしても緑のメッシュの女、使えるべき主をなくしてまでよく戦えるものだな」
「なに? 一体どういうことだ!」
コカビエルの野郎がゼノヴィアにそんなことを言う。ゼノヴィアの使えるべき主ってことは、聖書の神の事のはず。その神様がいないってどういうことだ?
「答えろ、コカビエル!」
ゼノヴィアがコカビエルに叫ぶ。すると、コカビエルは急に笑い出しやがった。あいつ、一体何がおかしいんだ?
「はっはっは! 冥途の土産に教えてやるよ、先の3大勢力との戦いで、魔王だけでなく神も死んだんだよ!」
『っ!』
その場にいたみんなが言葉を失った。部長から先代の魔王様は死んだって聞いたけど、まさか神様まで死んでいたなんて・・・。俺の後ろにいたアーシアの方を見ると、目の焦点が完全にあっていない。それもそのはずだ、アーシアは今は悪魔になってるけど元は教会のシスター。悪魔になってもその信仰心はずっと持ち続けていたのに、今自分の人生が完全に否定されたも同然な話を聞いてしまったんだ。
「アザゼルは『ノアの神』がいれば神が生きていた時以上にシステムを使えるといっていたが、結局はミカエルの野郎がやっているらしいな」
「ノアの神、ですって?」
コカビエルが言った『ノアの神』という単語に部長が反応する。たしか、ノアって言ったら大昔に神様が起こした大洪水から自分の家族と動物たちを助けるために箱舟を作ったっていうあの『ノア』だよな?それに・・・俺のクラスメイトで俺たちの正体を知っているノア。なんでだ、どうしてこんな時にあいつの顔が思い浮かぶんだ
「なんだ知らないのか? まだ3大勢力による戦争が始まる前に現れた光の巨人だよ。もっとも、そのことはすべての勢力を合わせても知ってるやつは十数名程度だが、魔王の妹であるお前なら知っていると思ったぞリアス・グレモリー」
「光の巨人・・・ノア・・・」
デュランダルを支えにしていたゼノヴィアが小さな声でつぶやいた。あいつ、何か知ってるのか?いやそんなことより!
「おいおいコカビエル! お前さっきから戦争戦争いってるけどよ、お前の勝手な理由で俺たちの町を、仲間を消させたりはしねえ! それに俺は、ハーレム王になるんだよおおおおおおおおおおおおおお!」
町を壊されたり、仲間を消さりたりすることもすごく問題だが、俺にとって一番の問題は、俺の夢であるハーレム王になるための邪魔をされることだ!こんなところでコカビエルに負けて、俺の夢の道を閉ざされてたまるかよ!
「イッセー!」
「は、はい!」
ぶ、部長に怒鳴られた。ですよね、めっちゃ緊迫してる中でハーレム王になるなんて大きな声で叫んだらそれは怒りますよね!?ああこの後俺また尻たたき1000回されるのか?いや、最悪の場合10000回とか!?いやだああああああああ!俺の尻がマジで死んじゃう!
「そんなに女の子が好きなら、この場から生きて帰れたら、私がいろいろしてあげるわよ!」
いろいろしてあげる?いろいろって、部長の裸を見たり、部長の乳を触ったり・・・
「そ、それって、おっぱいを吸うのもありですか・・・?」
恐る恐る聞いてみる。
「ええ、その程度で勝てるなら安いものだわ」
その瞬間、俺の中の何かが目覚めた。
○●○
「ドライグ、パワー跳ね上がった」
オーフィスとの昔話を終えた直後、ノアとオーフィスの見た光景は、リアス・グレモリーの乳を吸うということだけでパワーが一気に跳ね上がった兵藤一誠の姿だった。ノアは今まで様々な世界を見てきたが、こんなバカげた理由でパワーが上がる者は初めて見た。心の中で「地獄の特訓をしてきたいろいろな人たちに土下座をして謝れ」と思うほどにバカげたパワーアップだった。これを聞いたら、おそらく光の国の見習い戦士たちは心が折れるだろうなとノアは思った。だが、コカビエルという強大な敵に対していまだ戦意を失わなかった心は見事だった。実際、先ほどまでコカビエルに一方的にやられていた兵藤一誠はコカビエルの顔に一撃を食らわせた。
「このままではドライグ、死ぬ」
オーフィスの言うとおり、兵藤一誠のパワーは確かに上がった。が、結局はコカビエルとの差は歴然だ。このまま戦ったら、おそらく彼らは殺されるだろう。
ノアは静かに立ち上がった。
「ノア、行く?」
〈ああ、今日はここまでだ。また今度〉
「わかった」
オーフィスは頷くと、魔法陣を展開してその場から立ち去った。それを見届けたノアは、空を見上げる、すると、胸の部分に赤いY字の光が浮かび上がると、ノアの体は赤い光に包まれ空高く飛翔する。
(本気で行くわけには行かないから、ジュネッスで行くか)
ジュネッス、かつて自分と同化した
(では行くか)
赤い光となったノアは、そのまま急降下してグラウンドへと向かった。
ノアがグラウンドに激突すると同時に、駒王町を破壊する魔法陣と学校の外で生徒会の役員たちが張っていた結界が一瞬で破壊された。
「な、なんだ一体!?」
「こ、この力はいったい!?」
その場にいた全員が驚く中、舞い上がっていた土煙が晴れるクレータの中心にいた
それは、最強の戦士の不完全な姿。かつて一人の少女を救うことができなかった男が生み出した力の戦士。その名は、ウルトラマンネクサス ジュネッス。
「な、なぜ貴様がここにいる!」
ネクサスの姿を見ると同時に、コカビエルは震えながらネクサスを指さした。コカビエルはネクサスの胸にあるエナジーコアに見覚えがあったのだ。それは『ノアの神』と呼ばれる光の巨人の胸についていたものと全く同じだったからだ。
「い、いやだ! 俺はまだ死にたくない!」
コカビエルは恐怖のあまり翼を広げてその場から飛び去る。だが、ネクサスはコカビエルを逃がすつもりなど毛頭なかった。
「シュワッ!」
ネクサスは両手からパーティクル・フェザーを放つと、コカビエルの翼をすべて切り落とした。コカビエルの黒い羽根が舞いながら、コカビエルは背中から血を引きながら地面へと落下する。
それを見届けたネクサスはゆっくりと浮上すると、コカビエルをとらえた。
「ひっ! や、やめてくれ! こ、殺さないでくれ!」
コカビエルは涙を流しながらネクサスに命乞いをする。先ほどまで兵藤一誠たちを追い詰めたコカビエルの姿は、もうそこにはなかった。そこにいたのは、ただ『死』から逃れたいだけの堕天使だった。
「フンッ! ハアアアアア!」
だが、ネクサスには命乞いなど通用しなかった。ネクサスは腕を下方でクロスさせる。そしてそのまま腕を広げ、一度頭の上まで腕を伸ばす。
「ひぃぃっ! お、俺はこんなところで死ぬわ・・・」
「ジェアッ!」
コカビエルの最後の言葉は、そこで終わった。ネクサスは一度広げた腕をL字に組むと、青白い光線――オーバーレイ・シュトロームをコカビエルに向かって放った。光線はそのままコカビエルへと直撃し、コカビエルは叫び声も上げずに粒子まで分解されると、コカビエルだった粒子はそのまま空気中へと消滅していった。
「す、すげぇ・・・」
「あのコカビエルを一瞬で・・・」
「なんという威力なのでしょう・・・」
「恐ろしすぎる・・・」
「強い・・・」
「あれはもしかして・・・」
「主、なのか・・・?」
兵藤一誠たちがそれぞれの思うことを言葉にしながらも、ネクサスを見上げていた。月の光に照らされたネクサスは、神秘的な雰囲気を放っていた。ネクサスを見上げるオカルト研究部の部員の眼には、ネクサスが神にしか見えなかった。
おっかしいな~ウルトラマンX見てたら話が思い浮かんだから書いたけど、書き終わった瞬間にそれまで考えていた話が全部消えたw
さあやっと出たジュネッス。あと何気にオーフィスに昔話をしちゃってるノアさあ次回はヴァーリが襲来、そして主がいないと知ったゼノヴィアにネクサスがあの一言をっ!?
というわけで、次回は新年を過ぎてから。みなさんメリークリスマス、そして良いお年を~(先に言っておきます)