コカビエルを消し去ったネクサスは、ゆっくりと大地へと降りて行った。オカルト研究部たちの自分を見る目が、まるで神にでも会ったような目をしていたが、はっきり言って迷惑でしかない。ネクサス――ノアは自分を神だと思ったことは一度だってない。いや、それよりも神という存在自体が嫌いなのだ。神などという者が存在する次元はこの世界のように確かに存在する。だが、人間は自分に都合の悪いことを他人のせいにする。何か悪いことがあれな人間はこう言う「私は神様に見放されているんだ」と。悪いことがあるのは、そうならなければならない理由が絶対にある。だが、多くの人間はそれをプラスではなくマイナスの事としてとらえ、それを生かそうとする考えを捨て去ってしまう。『神』というものは、人間が逃げるために作られたただの口実でしかない。神が実際に存在していても、それは本当の神ではない。ただの神として崇められている別の何かでしかない。だからこそノアは神として崇められることを嫌う。自分が人々が逃げる口実になりたくないから。自分が、人々が努力することを諦めてしまう理由になりたくないから。
「貴方は一体何者なのかしら? コカビエルを消し去ったあの力、最上級クラスの力を持っているとしか思えないわ」
リアス・グレモリーが話しかけてきた。紅色の髪が特徴的な彼女の着ている制服は、所々がボロボロに破けており、血で滲んでいる部分もある。そんな状態にまでなっても敵か味方か分からない自分に話しかけてきたのは、眷属たちを守る主としてのプライドなのかもしれない。だが、ネクサスは彼女の言葉に対して返事はしなかった。今話したところで、話がややこしくなってしまうだけだ。
それに・・・
「やっぱりもう終わっていたか・・・」
上空から少年の声が響き渡ると、ネクサス以外の者たちは一斉に顔を上に向ける。白い翼のついた白い鎧、龍のようにも見えるその鎧の名は
「白龍皇・・・
姫島朱乃が叫ぶ。恐らくネクサス以外のこの場にいる誰もが、彼の登場に驚いていることだろう。白龍皇とは、兵藤一誠の
「全く、こんなに面白い事は俺に任せてくれればいいものを。アザゼルに後で問いただしてみるか」
『だが、収穫はあったのではないのか?』
白い鎧についた白い翼――
「あぁ、コカビエルを消滅させたあの光線・・・あれでまだ普通の技だというのだから、全く俺を楽しませてくれる」
白い鎧――ヴァーリは仮面の下で笑みを浮かべながら地上に舞い降りた。過去現在未来永劫において最強の白龍皇と言われるヴァーリだが、一年前にノアと会ってから、彼は毎日のように修行をしている。理由は単純、彼が戦闘狂だからだ。神がいないことを知っていた彼は、この世界をだらだらと無気力に生きていた。そんな時に現れたノアの存在は、彼の心を躍らせたらしい。初めて会った瞬間に急に殴りかかってきたので応戦したが、結果はヴァーリの惨敗。奥の手である
「そこのはぐれ神父は回収させてもらうよ。これ以上この場にいたら悪魔と堕天使の関係が悪化してしまうからね」
ヴァーリは気絶して転がっていたフリード・セルゼンを俵のように肩に担ぐと、飛び去ろうと翼を広げた。瞬間
『無視か、白いの?』
兵藤一誠の左腕に展開されていた
『起きていたのか、赤いの』
『せっかく会ったのに、こんな状況じゃな』
意外にも、ドライグとアルビオンは争うこともなく淡々と話していた。これは、再び彼らに対する評価を変えなければならないと思ったネクサスだった。
『いいさ、いづれ戦う時が来る』
『互いに、興味のあるものがあるみたいだしな』
『とは言っても、こちらの宿主は赤は赤でもあちらの赤にご執心だがね』
アルビオンがそういうと、全員の視線が一斉にネクサスへと向けられた。この場で赤いといえば、ジュネッスのネクサスしかいないのだが、余計なことを言ってくれたものだ。
『そういえば、あいつは一体何者なんだ?』
『お前が知るにはまだ早いよドライグ。これは忠告だが、あいつにはあまり関わらない方がいいぞ。本当に消えたくなければな・・・』
「というわけで、いつかまた会おう。俺の宿敵・・・」
そういって、ヴァーリはその場から飛び去って行った。最後の言葉が、一体どちらに対して言われたのかは分からないが、恐らくはネクサスに対してだろう。彼の眼には、宿っている白い龍の古い宿敵よりも、一年前に会った宿敵の方が面白いらしい。
ヴァーリが飛び去った後、誰にも悟られないようにネクサスは音を立てずに飛び去って行った。
数日後、とある用事で職員室を訪れていたノアは、意外な人物とそこで再会した。
「やあノア、久しぶりだね」
そこにいたのは、青い髪に緑のメッシュをした少女、駒王学園の女子の制服を着たゼノヴィアだったのだ。彼女からの話によると、とある事情でこの学園に通うことになったらしい。恐らく、神の不在を知ったがために協会から追放されたのだろう。どこの世界にもこのような奴らはいるのだが、やはり良い気持ちにはならない。そして、ノアが最も驚いたのは、彼女が悪魔になっていたことだ。つい数日前までただの人間だった彼女が、なぜ急に悪魔になったのかは分からない。兵藤一誠やアーシア・アルジェンとの時にも思ったことだが、悪魔たちはどうやって人間の体組織を悪魔の体組織に変えているのだろうか。このことについては後々悪魔側から詳しい話を聞かなければならない。
とりあえず、ノアは職員室にいた教頭、そして校長室にいた校長からとあることに関しての許可をもらい受けると、ゼノヴィアと一緒にオカルト研究部のある旧校舎へと向かった。
「なあノア」
〈なんだ?〉
突然ゼノヴィアに話しかけられたノアは、足を止めた。一体何なのだろうと思っていると、ゼノヴィアは口を開いた。
「数日前に現れたあの赤い戦士、君なんだろ?」
〈さあ、一体何の事だか〉
「とぼけないでくれ。君が最初に私とイリナに言った「光の巨人」と「ウルトラマンノア」、そしてコカビエルの言った「光の巨人」と「ノアの神」という名前、偶然にしては出来すぎている。君なんだろ、私たちを助けてくれたのは?」
まさか、こんなところで彼女に最初にした自己紹介が仇になるとは思わなかった。普通の人間ならば聞き逃すだろうと思っていたことが、コカビエルとの対決の時に「ノアの神」という言葉を言っていたとは知らなかった。
「もしそうなら、教えてくれ! 君は神なのか? もし神なら、私に幸せを与えてほしいんだ!」
「・・・・・」
ゼノヴィアの真剣な表情を見たノアは、ゼノヴィアの肩に手を置いた。
「幸せは、他人から与えられるものではない」
「え・・・?」
「人はいつか、大きな壁と対峙する時がやってくる。高くそびえ立つその壁に、人は絶望して、壁を乗り越えることを諦めてしまう。だが、その壁を乗り越えたとき、人は幸せを手に入れることができる。君は今、その壁の前で立ち止まっているだけだ。だからゼノヴィア・・・・・諦めるな!」
久しぶりに叫んだ気がする。かつて共に戦った孤門一輝が過去の自分へ言ったこの言葉は、ノアの心の奥にしっかりと刻まれている。だからこそ、ゼノヴィアにこの言葉を贈りたい。大きな壁の前で立ち止まっている彼女に、壁を乗り越えることを諦めるなと・・・
「足掻いて足掻いて、壁を乗り越えろ。神などに頼らず、自分の力で幸せをつかみ取るんだ。だからもう一度言う、諦めるな」
ゼノヴィアは頬を赤くしながら涙を流していた。今にも声を出して泣き出しそうな彼女を、ノアはそっと抱きしめた。彼女の心が晴れる、その時まで。
数分後、気の済むまで泣いたゼノヴィアと共にオカルト研究部の部室の前まで来たノアは、ゼノヴィアにとあることをお願いした。
〈すまないがゼノヴィア、私があの赤い戦士だったということ内緒にしておいてくれ〉
「ん? まあいいが。それよりノア、君が持っているのその紙は一体なんだ?」
ゼノヴィアはノアが持っていた紙を指さした。別に隠すようなものでもないし、彼女にも関係がある物なので、ノアはゼノヴィアの目の前にその紙を広げた。
内容は次の通りだった。『特例により、下記の者をオカルト研究部の顧問へと任命する。オカルト研究部顧問 駒王学園生徒ノア』と
新年に投稿するといったな?嘘ですすみませんでした!いや、今日たまたま見たらお気に入り登録してくださった方が101人になっていてビックリしましたよ!それで、なんかこう創作意欲がわいて出来上がったのがこの話です。こんな作品をお気に入り登録してくださった方々、本当にありがとうございます。いまだ未熟すぎる僕ですが、皆様が満足できるような作品を作っていけるように頑張っていきます!
それと、今後登場する怪獣の予定(あくまで予定なので悪しからず)
スペースビースト(数体) ハイパーゼットン 完全生命体イフ 虚空怪獣グリーザ
なんだ後ろの3体の絶望感は!?
とりあえず3巻はこの話で区切りがついたので、次からは4巻の内容に入っていきます。次の投稿は新年になってから(明日から冬休みなので別の作品の方に集中させていただきます)それでは、皆さんメリークリスマス!そして良いお年を~