最強の光の巨人は静かに青春を過ごしている   作:鎧武 極

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部活 ‐オカルト‐

「冗談じゃないわ!」

 

オカルト研究部の部室に響き渡る机をたたく音とリアス・グレモリーの怒鳴り声。彼女の左手には、先程ノアが持ってきた任命証があった。

 

「ま、まあ落ち着いてくれ部長」

 

「これが落ち着いていられるもんですか!」

 

ゼノヴィアが止めようとするも、リアス・グレモリーは彼女を怒鳴りつける。理由は、自分の部活の顧問が勝手に、それもただの学生でしかないノアに任されていたからだ。オカルト研究部は、本来彼女の眷属しか入ることは許されず、今まで顧問などという者は就いたことがなかったのだ。だが、目の前にいるノアは一瞬で彼女の部活の顧問へと就任していた。しかも、なぜかゼノヴィアはノアの味方をしている。

 

〈教頭や校長からも許可は得た。君は教師たちが決めたことに文句をつける気かね?〉

 

「だからと言って、ただの学生に顧問を任せるなんてどうかしているわ!」

 

〈それは私の日頃の行いの結果だ。それに私は君たちの内部事情もよく知っている。数日前に、君たちがコカビエルに惨敗したこともな〉

 

『っ!!』

 

ノアの文章に、ゼノヴィア以外のオカルト研究部の全員が驚いた。あの場にいたのは、オカルト研究部を除けば生徒会と途中で乱入してきた白龍王――そしてあの赤い戦士だけのはずだ。

 

「どうしてそのことを・・・」

 

〈知っているも何も、私はあの場で君たちをずっと見ていたからね〉

 

「あの場で・・・? まさか、貴方が白龍皇なの!?」

 

「えぇ!?」

 

リアス・グレモリーの言葉に誰よりも反応したのは、兵藤一誠だった。それもそのはず、もしリアス・グレモリーの言葉が本当なら、ノアは兵藤一誠の宿敵ということになるのだから。

 

〈悪いが私は白龍皇ではない。ただ屋上からずっと見ていただけだ〉

 

「・・・そう」

 

私がネクサスだというのは聞かないのだな。とノアは思った。まあ無理もない。ネクサスの時点ですでに二天龍よりも力は上なのだ。今のノアは力を一般人程度まで抑えているため、白龍皇の光翼(ディバイン・ディバイディング)を持っているのなら兎も角、ただの一般人があそこまでの力を持つことなど無理だと判断したのだろう。だが、力を抑えることならそれなりの実力者ならば誰にだってできる。その考えに至らないあたり、やはりまだ未熟ということなのだろう。

 

〈ともかく、私が今日からオカルト研究部の顧問になったノアだ。これからよろしく頼む〉

 

その文章に反応するものは、誰一人としていなかった。無理もない。一週間ほど前に初めて会った、しかも自分たちの事情まで知っている者が急に自分たちの部活の顧問になったのなら、誰だって不信感は抱く。唯一ノアの事情をある程度知っているゼノヴィア以外には、受け入れがたい事だろう。だが、彼らとの繋がりはこれから作っていけばいい。無論、彼らにその気があればの話だが

 

 

 

 

「ふあぁ~眠い」

 

〈夜更かしは女子にとっては致命傷だぞ〉

 

「君に出された課題をしていたら、すっかり眠るのが遅くなってしまってね」

 

〈私は早く寝ろと忠告したぞ〉

 

翌日、ノアとゼノヴィアは一緒に登校をしていた。昨日の夜はゼノヴィアが住んでいるマンションにノアも一緒に行き、ゼノヴィアに日本語を叩き込んでいたのだ。そして、ノアが出した課題プリント約50枚を徹夜して終わらせたためか、ゼノヴィアは少し眠そうにあくびをしている。

 

「そういえば、もうすぐ授業参観だな」

 

〈君の両親は来るのか〉

 

「私はずっと教会で育てられてたから両親の顔は知らない。だが、姉のような人はいたぞ」

 

少しウキウキしながら、その「姉」と呼べる人について話すゼノヴィア。なんでも、元々戦闘しか能がなかった幼少時代のゼノヴィアに礼儀作法などを叩き込んだ教会のシスターらしく、今でもその人の前では頭が上がらないらしい。もっとも、教会から追い出された彼女にとっては、それすらも過去の事らしいが。

 

「ノアには両親はいないのか?」

 

両親。考えてみれば、ノアに両親と呼べる者は存在しない。そんな事を今まで気にしたことはなかったし、これからも気にしないだろうと思っていたのだが、こうして人から聞かれると、どう答えて良いのか分からない。両親はいるかもしれないが、その記憶もないからいないかもしれない。

 

〈いない〉

 

とりあえず、いないと答えたノア。もしかしたらいるのかもしれないが、今まで一度も会っていないのだから、いないと思う。

 

「す、すまなかった・・・」

 

〈いや、元々私の方が失礼だった。君が教会を追放されたことは知っていたはずなのに〉

 

「別に良いんだ。そういうのには慣れているのでね」

 

〈お詫びに、なにかしてほしいことはないか?〉

 

ノアがそう書くと、ゼノヴィアは一瞬顔を赤らめて体を震わせる。特に恥ずかしい事ではないはずなのだが、一体どうしたのだろうか。

 

「じゃ、じゃあ・・・手をつないでくれ」

 

もじもじしながら手を伸ばしてきたゼノヴィア。この雰囲気を作ったのは自分なのに、わざわざ謝った上に手を繋ぐだけで許してくれるとは、器としては大きいのかもしれない。

ノアは無言でゼノヴィアの手を握ると、そのまま二人で通学路を歩いていく。道中、二人が手をつないでいるのを見た駒王学園の男子生徒は「くそ野郎があああああああああああああ!!」と叫び、女子生徒は「いやあああああああああああああああ!!」と叫んでいたが、一体何に対して叫んでいたのかを、ノアは知りはしなかった。

 

 

 

「なあノア、お前テストの点数どうだった?」

 

4時間目の数学の授業が終了後、ノアに近づいてきたのは兵藤一誠だった。本日の授業は先週受けた期末テストの回答だった。ノアは特にやることないので、この4時間はずっと窓の外を眺めていたのだが、兵藤一誠はテスト用紙を自信満々にノアの前に広げた。

 

「どうだぁー! 今回はめっちゃ頑張って数学94点取ってやったぞ!」

 

ならばなぜ数学の宿題をやってこない。とノアは心の中で思った。この兵藤一誠、頭のつくりは決して悪くはない。むしろ、普通の高校生と比べたら頭の出来はいい方である。だが、その頭がエロに使われている残念は学生である。

 

「ふふん! 前にお前にあんな事に言われたからな、今回はお前を見返してやる!」

 

そういえば、前に兵藤一誠の点数を見たときに、そのあまりの酷さにうっかり口を滑らせて「バカにもほどがあるバカだな」と本人にしか聞こえない程度の大きさで言ってしまった事があったのだ。

だが、兵藤一誠は現実を甘く見過ぎていた。上にはさらに上がいるということを。ノアは机の中から4枚の答案用紙を取り出して兵藤一誠の前に出す。そして、その数字に兵藤一誠は目を見開いた。

 

「げっ! 全部100点とかありかよ!?」

 

オール100点。今までノアは一度も100点以外を取ったことはない。35万年以上も生きているのだから知識がそれだけ豊富ということもあるが、何度も人間と融合したため、その人物の知識まで取り込んだということが大きい。一番は、千樹憐との融合の時がすごかった。元々天才少年の千樹憐の知識が入ってきてくれたおかげで、今のノアは大抵のことは答えることができる。

 

「チクショー!! 絶対にぎゃふんと言わせてやるからな! 覚えてろよー!」

 

若干最後が昭和の悪役がいうセリフになっているが、やる気を出すことはいいことである。ノアがこの学校に来た時、兵藤一誠はかなりの変態であった。女子の更衣室を覗くなど、行き過ぎたことをしたこともあったが、その辺は彼の共犯者である松田、元浜と共にノアの教育を施したので、今では教室でそういう系の雑誌を読む程度になっているが、その辺の話はまた後程。

 

「なあ、ノア」

 

ゆっくりと昼休みを過ごそうとしていた時、次に現れたのはゼノヴィアだった。

 

「その・・・一緒にお弁当を食べないか?」

 

もじもじとしているゼノヴィアの手には、ピンクの布に包まれた弁当箱があった。食事を必要としないため、昼休みはいつものんびりと空を眺めていたのだが、まさかこうして人から食事の誘いを受けるとは思っていなかったノア。幸い、財布は持ってきているため購買でパンでも買って屋上で食べれば問題はないだろう。

 

〈それじゃあ少し購買でパンを買ってから一緒に屋上へ行こう〉

 

「ほ、ほんとうかっ!?」

 

嬉しそうに喜ぶゼノヴィア。それを見ていたクラスの男子は「イチャイチャすんじゃねえ!」と、女子は「ノア×木場のカップリングがあああああ!!」と叫んでいたが、一体何に対して叫んでいたのか、やはりノアは知ることはなかった




新年、あけましておめでとうございます。
2016年最初の投稿、いかがだったでしょうか?原作とは違い少し乙女なゼノヴィア、そしてラノベ主人公よろしくな「鈍感」属性持ちのノア。まあノアの場合は恋愛感情を持ち合わせていないといった方が正しいですが。

ノアが白龍皇と誤解されましたが、あながち間違いではなくなるかも・・・次回はプール回。積極的なゼノヴィアが書けると良いかも・・・それではまた今度
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