牙狼《GARO》―とある神浄の黄金騎士―   作:じゃすてぃすり~ぐ

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今回は、ステイル君と、皆大好きねーちんが登場します。


第2話『神裂火織―Salvare000―』

 

 上条がホラー討伐している同時刻。

-ライカの教会近く。

 

「ここに、禁書目録が居る事は間違いないのですか?」

「ああ」

 暗がりの中、話し込む二人の男女。1人は赤い髪に長身の神父姿の男。もう1人は黒髪をポニーテールにした、Tシャツにジーンズといったラフな格好の女性であった。

 その視線の先には教会がある。

「僕は彼女が教会から出た瞬間を見計らって、人払いの結界を張ろう。君は、確保を頼む」

「ええ、分かりました」

 女は表情を曇らせながら頷く。その心情を知ってか、男が声をかけた。

「・・・分かっているとは思うが、これが彼女の為だ。このまま放っておいたら彼女は死んでしまう。・・・それだけはなんとしても阻止しなければならない」

「・・・分かっています。・・・分かっていますよ・・・」

 消え入りそうな声で、本当に消え入りそうな声で男に答える女。

 分かっている。

 分かっているのだ。こんな事が間違いであると言う事は、だけれども・・・どうする事も出来ない。

 こうする事でしか、彼女を救えない。

(・・・ごめんなさい、インデックス)

 女は謝る。これから保護をし、記憶を消すであろう少女に。

 

-そして、上条がホラー討伐を終え・・・、

 

「ライカさ~ん、インデックス迎えに来ました」

「あら?当麻ちゃん、お仕事お疲れ様。怪我とかはない?」

 教会に入った上条を出迎えたのはライカだった。心配そうに問いかけるライカを見て、相変わらず心配性だなぁ・・・。と胸中で苦笑しつつ、上条は答える。

「大丈夫大丈夫。この通り上条さんは怪我一つ無しですよ。所でインデックスは?」

「遊びつかれて眠っちゃってるわ。今起こしに行くわね」

「あー、いいんだいいんだ。寝てるなら俺がおぶっていくよ。起こしちゃ悪いしな」

 そう言って、上条はライカからインデックスが居る部屋へと向かう。そこには可愛らしい寝息を立ててすやすや眠っているインデックスが居た。

「ぐっすり寝てら・・・」

 上条は、そんなインデックスを見て呟きながらおんぶしようと両手でインデックスの服に触れる。そのときだった。

 

-パキン。

 

「はい?」

 幻想殺しが発動する時に発する何かが割れる音と共に、インデックスの修道服が弾け飛んだ。発達途上な彼女の華奢な裸体が露になる。・・・と言っても、パンツは穿いているが。

『どうやら、この嬢ちゃんの服に魔術が施されてたみたいだな。それで、トウマの幻想殺しが反応したようだ』

「ザルバさん!?この状況で何呑気に解説たれてやがりますか!?やべぇよ・・・、早いトコどうにかしねーと、ライカさんに見られでもしたら・・・」

 呑気に解説などをやっているザルバにツッコミを入れつつ、目の前の状況を如何にすべきか考える。幸い、インデックスはすやすやと気づかずに眠っている。今のうちに、代えの服を探さねば・・・。そのときである。

「ととととととととととと当麻ちゃん!?」

「」

 ノゾミガタタレタ。ギギギギギと、油の切れたロボットの如く背後の声のほうへ振り向く。そこには、顔面蒼白なライカの姿が。

「ら、ライカさん?これにはふかーい訳が・・・」

「ああ・・・神様・・・当麻ちゃんがとうとう本性を・・・」

「いや、何だよ本性って!これには深い事情が!」

 ガクガクブルブルと震えながら怯えた目で自分を見つめるライカに弁明しようとする上条。そこへ・・・、

「ん~・・・、もう五月蝿いよ~。何~?」

「ゲェー!?」

 余りの騒がしさにインデックスが起き出した。それを見て上条は素っ頓狂な声を上げる。

「何~?とうま、一体何が・・・」

 インデックスはそこまで言って、今の自分の姿を見て固まる。・・・そして、段々と顔が真っ赤になっていき・・・、

「とぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉまぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」

 怒声と共に、口をガバッとあけながら上条に向かっていく。・・・そして、

 

-ガブリ!

 

「不幸だぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

 噛みつかれる音と激痛と共に、上条は絶叫を迸らせたのであった。

 

-それから暫くして・・・。

 

「ごめんね、とうま。私が『歩く教会』の事を教えてなかったからこんな事になっちゃって」

「はっはっは、上条さんにはこんな事日常茶飯事ですよ」

 教会を出た近くの公園にてインデックスは申し訳なさそうに上条に謝る。そんな彼女に上条は仏のような笑みを浮かべ、インデックスを許した。・・・噛み付きによって全身血まみれになっていて凄く不気味だが。

 ちなみに、先ほど起こった現象。どうやら、インデックスが来ていた『歩く教会』に幻想殺しが作用してしまった為起こったようである。今来ているインデックスのシスター服はライカさんが弾け飛んだ歩く教会を補修したものであるが、術式が消されているので『歩く教会』の機能は失われているそうだ。

「とうまのその右手の力って一体何なの?」

「ああ、これは幻想殺しって言ってな。あらゆる異能を打ち消せる力を持ってるんだ」

『ただ、コイツは神の祝福とやらも消しちまうらしくてな。それで、やたらトウマは不幸なのさ』

 便利かどうかと答えれば・・・不便な代物さ。とザルバがしめくくる。

「まぁ、日常茶飯事だから慣れてるけどな。・・・それにしても、何か様子が変だな」

「・・・どうしたの?」

「ああ、いつものこの時間帯なら教師がベンチに座って一休みしたりリア充とかがキャッキャウフフと仲むつまじくイチャイチャしてたりするんだけど・・・。一体どうなってんだ?」

 上条の言葉通り、この公園はこの時間帯だと仕事に疲れた教師がベンチに座ってくつろいだり、カップルとかが仲良く話していたりするのだが、今回は何故か一人も通っていない。これは一体・・・?

「うん?僕達、魔術師のせいだけど?」

 声がした。上条でも、インデックスでもザルバでもない。第3者の声。それは目の前に居た。

 漆黒の神父服を着た赤い髪を長く伸ばした青年。右目の下にあるバーコードと口に咥えているタバコ、そして身にまとう雰囲気が彼が(カタギ)の人間でないことを物語る。

「その魔法衣に、剣。・・・見た所魔戒騎士か。自己紹介をしておこう、僕はステイル・マグヌス。目的は、『インデックスの確保』だ」

「ッ!私が目的なんだね!?」

 ステイル、そう名乗った男の言葉に身構えるインデックス。だが、上条は、そんな彼女をそっと右手で制すとステイルの前に立ちはだかった。

「どういうつもりだい?この子を引き渡してくれれば、君の安全は確保出来るが?」

「・・・その前に、一つ聞かせてくれ。何で、インデックスを追う?その理由は何だ?」

「僕が教えるとでも?教えた所で、君にどうする事もできはしないさ」

「だったら、なおさらインデックスを引き渡すわけには行かねぇな。理由を話さない怪しいやつにインデックスを渡す気は毛頭ないんでね」

 上条のその言葉に、ステイルは額に青筋を立てた。一触即発の空気が漂う。

「そうか、だったら力ずくで奪わせてもらうぞ!Fortis931ッ!!!」

 ステイルの右手に炎が灯り、それが剣の形へと変化。そして、それを横なぎに上条に振るう。

「無駄だぜ、魔術師」

 

-パキン!

 

「なっ!?」

 だが、それは上条には届かない。上条の右手の幻想殺しで炎剣を砕いたからだ。そして、そのまま右ストレートをステイルにぶつける。

「ぐ・・・ガハァ!?」

 狙いたがわずステイルに直撃。そのままステイルは吹っ飛び、地面に何回かバウンドして仰向けに倒れた。

「す、すごい・・・。魔術師を一撃で・・・」

 その光景を見てインデックスは思わず、そうこぼした。

「さて、話してもらうぜ。何でお前らがインデックスを狙っているのかを・・・」

 そう言って、上条はステイルから情報を引き出すために、倒れているステイルに歩み寄る。

「そこまでです」

 声と共に、上条の前に女性が立ちはだかった。白いTシャツ、そして何故か左足がばっさりと切られたジーンズ。腰の辺りまで伸ばしポニーテールにした黒髪。そしてグラビアモデル顔負けのボンキュッボンなスタイル。

「・・・アンタも、コイツの仲間かい?」

「ええ、私の名前は神裂火織と申します」

「俺は上条当麻だ(・・・こいつ、ステイルとは一味違う・・・)」

 自己紹介をかわしながら上条は思う。上条の魔戒騎士としての直感が、そう告げていたのだ。彼女は強い、と言うことを。だからとは言えど、上条は退く事はしない。何故なら彼は守りし者であるから。

「ステイル、ここは私に任せて後ろに」

「・・・神裂、分かっているとは思うが手加減はするな。・・・この魔戒騎士は恐ろしく強い」

 ステイルはそう言うと、さっと安全な場所に退避する。頷く神裂。

「話し合いをするつもりはなさそうだな・・・」

「そうしたいのは山々ですが、状況が状況ですから。さて・・・言葉で語り合うのはここまでにしましょうか。・・・ここから語るのは、」

 それと同時に、神裂の身に纏う雰囲気が変わる。

「互いの刃にて語り合いましょうッ!!!七閃ッ!!!」

 

-チャキン。

 

 神裂が手に持つ長刀が鳴った。

 それと同時に、七つの斬撃が上条に迫る。上条もまた、魔戒剣を抜き応戦。

 

-斬ッ!

 

「なっ!?」

「細長い七本の線が見えると思ったら・・・成る程、ワイヤーを使った斬撃か」

 七閃のからくり、神速で放たれる7本のワイヤーによる斬撃。それを初見で見切り魔戒剣を一閃、7本全てを切り落とした。これには神裂も驚愕を隠せない。

「っ・・・、七閃を見切るとはやりますね。だが!これならどうですか!?」

 そう言って、神裂は目にも留まらぬ速さで肉薄、手に持った長刀を抜き放ち、斬りかかる!

 

-ギィン!

 

 それを魔戒剣で防ぐ上条。だが、

「うっ!?」

 彼女の放つ斬撃の重さに防ぎきれず、上条は吹っ飛ばされてしまう。何とか、踏みとどまり転倒は避けられた。

『成る程、分かったぞトウマ』

「・・・何がだよ、ザルバ?」

 突如喋り始めた相棒に上条は問いかける。

『あの女のパワーと、スピード・・・察するにヤツは「聖人」だ』

 聖人、世界でも20人ほどしかいないという生まれた時から神の子に似た身体的特徴・魔術的記号を持つ人間。

 偶像の理論により、『神の力の一端』をその身に宿すことができる。 具体的には、聖人の証『聖痕(スティグマ)』を開放した場合に限り、 一時的に人間を超えた力を使うことができる。

 特に魔術を使用していない状態でも幸運など何らかの加護が存在するらしい。

「聖人・・・か、生で見るのは初めてだな。どわっと!?」

「独り言を言ってる場合ですか?」

 始めてみる聖人にそういう感想を述べていると、かかと落としが来たので、咄嗟に回避。

「だけれど、どうしても解せないな。・・・アンタ、何でそんな力を持っててその力をインデックスを追い回す事にしか使わないんだ?」

「ッ!?」

 何気なく発した言葉、その言葉が神裂の動きを止めた。

「その力さえあれば助けられる人は幾らでも居るだろ?それを何で、こんな事に使うんだ?お前のその力はそんなつまらねぇことの為に使うものじゃない筈だろ?」

 上条の言葉は刃物のように神裂の心に突き刺さる。そして神裂は思う。

 

-何も・・・何も知らないくせに・・・!

 勝 手 な 事 を 言 う な ! ! !

 

「うるっせぇんだよ!ド素人がァ!!!」

 気がつけば、怒声を上げていた。そして、そのまま激情のままに刀を振るう。

 

-ガギィ!

 

「っぐあ!?」

 余りの力強さに上条の魔戒剣を持つ手が痺れる。

「さっきから聞いてれば知った風な口を聞きやがって!私が!ステイルが!どんな気持ちでインデックスの記憶を奪わなければいけないのか分かりますか!?どんな思いでインデックスの前に立ってるか分かりますか!?」

「ぐううっ!!?」

 そんな事などお構い無しに、神裂は激情のままに上条に斬撃を叩き込む。上条は防ぐので精一杯だ。

「何も・・・何も知らないくせにッ!!!!」

「づあっ・・・!」

 ガードが崩れ、がら空きになった上条のボディに神裂の拳がめり込む。アバラが何本が砕ける音と共に、上条が吹っ飛んだ。だが・・・、

「ぐっ・・・!」

「ッ!?」

 彼が倒れる事はなかった。歯を食いしばり、両足で地面をしっかりと踏みしめしっかりと立っている。

「ば、馬鹿な・・・!?」

 コレには安全な所で観戦していたステイルも驚愕する。そこいらの魔術師が束になってかかっても敵わないほどの神裂の一撃を喰らって、立っていられる人間等居なかったからだ。対する神裂も、驚愕を隠せないで居る。

「成る程な・・・、大体分かったよ。アンタの胸の内が。どんな気持ちでインデックスの前に立ちはだかっているのかをな・・・。だからこそ・・・」

 上条はそう言うと、魔戒剣を空にかかげる。

「アンタ達を助けてやるよ!そして・・・」

 円を描く。それから光があふれ出し、上条を包み込んだ。

「その陰我、俺が断ち切る!」

 そして、現れる。絶望と言う闇を照らす金色の牙。その名は・・・、

 

-黄金騎士・牙狼ッッ!!!

 

「黄金騎士の鎧・・・それが貴方の奥の手と言う事ですか」

「・・・ああ」

 互いに言葉を交わす両者。

「ならば・・・私も全力で貴方に挑みましょう。『Salvare000』、それが私の魔法名です」

 その名を口にすると共に、神裂の周りの空気が変わる。長い沈黙が公園を支配する。

「「いざ、尋常に・・・」」

 その沈黙を破ったのは、牙狼と神裂だった。互いに足を踏みしめる。そして、

「「勝負ッ!!!」」

 次の言葉と共に、両者は同時に地面を蹴ったのであった。

「唯閃ッッ!!!」

「うおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!!!」

 そして、同時に己が得物を振るう。神裂は居合いで、牙狼は袈裟斬りで。

 牙狼剣と、神裂の持つ長刀。ぶつかり合う、二つの刃金。次の瞬間。

 

-バキィン!!!

 

 鋼の砕ける音がした。

 砕けた刃がくるくると回り、地面に突き刺さる。それは神裂の長刀の刃であった。

「ば・・・馬鹿な。神裂を打ち破るだと・・・!?」

「と、とうまが聖人の魔術師に勝っちゃったんだよ・・・」

 その光景を、ステイルとインデックスは驚愕の表情を浮かべていた。

 無理もないだろう。ただの人間の魔戒騎士が聖人で魔術師である神裂を打ち破ったのだから。

「・・・俺の、勝ちだ」

 牙狼はそう言うとキズ一つついていない牙狼剣を鞘にしまい、鎧を解除する。

「・・・ええ、貴方の勝ちです。完敗ですよ上条当麻」

 頷き、上条に返す神裂。その顔には思いつめた表情等はなく、むしろ憑き物が落ちたような表情であった。

『アンタ達を助けてやるよ。そして・・・その陰我、俺が断ち切る!』

 そういった、上条の瞳。そのまっすぐな瞳を見て神裂は直感した。・・・この少年ならば、この理不尽でどうしようもない現実を変えてくれるだろう・・・、と。そして、自分が心の奥底で思い描いていた、自分もステイルも、インデックスも笑顔になれる、『最高の結末(ハッピーエンド)』にしてくれるかも知れない。

 ならば、賭けてみよう。この少年に・・・、そう思い、神裂は上条にこう切り出した。

「では、教えましょう。何故、我々がインデックスを追っているのかを・・・」

 

続く。




いかがだったでしょうか?
今回は、ねーちんとステイルが登場しました。
ねーちんはともかく、ステイルの戦闘シーン・・・妙に早く決着つきすぎィ!
ステイルファンの方、申し訳ございませんでした。
さて、次回予告となります。

ザルバ『神裂火織の口から語られる衝撃の真実。このまま行くと完全記憶能力でインデックスの嬢ちゃんが死んでしまうだと!?一体どう言うことなんだ!?
次回、「完全記憶能力―インデックス―」そのからくりはあまりにも残酷すぎる』

それではまた次回~。
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