牙狼《GARO》―とある神浄の黄金騎士―   作:じゃすてぃすり~ぐ

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今回は、戦闘描写無し。
代わりに、上条さんが何故、黄金騎士として戦うのかが明らかになります。
それではどうぞ。


第3話「完全記憶能力―インデックス―」

「実は私達とインデックスは必要悪の教会の同じメンバーだったのです」

「貴方達と私が!?」

 神裂火織が発した衝撃の事実に、インデックスは驚愕の声を上げる。・・・しかし、どうにも腑に落ちない。上条は神裂に問いかける。

「同じメンバーなら何でインデックスを追いかけるようなマネを?」

「・・・それは、彼女を助けるためです」

「助ける?どういう意味だ?」

「インデックス、貴方はここ一年前からの記憶がありませんよね?」

「う、うん。そうだけど・・・それと何の関係が?」

 インデックスは神裂の問いに頷き、逆に質問を投げかける。

「『完全記憶能力』。インデックスは一度見たものは必ずしも『忘れない』と言う体質を持ち、それを生かして10万3000冊もの魔道書の原典を記憶しています」

「10万3000冊もの魔導書を?」

「ええ、その特異な体質によって彼女の命は危険に晒されている」

『危険に晒されてるだと?どういう事だ?』

 神裂の言葉に、上条の代わりにザルバが問いかける。

「彼女の脳はその膨大なる魔導書の量を暗記している所為で15%しか空き容量が入っていません。だから1年おきに記憶を消去せねば脳が記憶に圧迫され、死に至ります」

「だから・・・私は1年前の記憶が無いって訳なんだね?」

 インデックスの言葉に、神裂はええ・・・。と頷いた。その事実を知り、俯くインデックス。・・・重苦しい沈黙が辺りを包んだ。

 

『・・・はぁ』

 長く続く沈黙。それを破ったのはザルバであった。呆れたようにため息を吐く。

「どうしたんだよ、ザルバ?ため息なんかついて」

『・・・いや、なんつーかな。呆れてため息しかでねーよ』

「どういう事です?」

 ザルバの言葉に、神裂は眉を潜め、全身から怒気をかすかに発しながら問いかける。

『大体、人間の脳ってのは記憶を色んな場所に収められるように出来ていて、歩き方とか喋り方と言った記憶と、その日あった出来事だとか勉強して学んだ知識などの記憶は別々の場所に収納されるらしいぜ。だから、一度見たことを忘れられないからって記憶で脳が圧迫されて死ぬって事はありえないんだ』

「詳しいんだなザルバ」

『昔、相棒を務めた黄金騎士でそういった事に詳しいヤツが居てな。それでだ』

「だ・・・だが、このまま記憶を消さなかったらインデックスは苦しむんだ!しかも高熱を出して!これが完全記憶能力でなければ何なんだ!?」

 神裂の代わりに、ステイルが声を荒げて反論する。それもそうだろう。もし、完全記憶能力で脳が圧迫されると言うことがありえないとなれば、自分達のやってきた事は無意味であるのだから。

『10万3000冊の魔導書を記憶してあるんだ。それなりの対策はするだろうさ、必要悪の教会以外の魔術結社に利用されないように呪いのようなものをよ。お前さん達、魔術師なんだろう?それくらい気づけないでどうする?』

「そ・・・そんな・・・」

「じゃあ・・・私達は今まで・・・」

 自分達のやっていた事は無意味であった・・・。残酷なザルバの言葉に、完全に打ちひしがれる神裂とステイル。そんな2人に手を差し伸べる者がいた。そう、上条当麻だ。

「上条・・・当麻・・・」

「・・・言っただろ?お前たちを助けてやるって」

「・・・だが、どうやって助けるんだ?」

 ステイルが上条に問いかける。上条は、簡単さ。と答え、右手を見せながら続けた。

「俺の右手は『幻想殺し』っていう力が宿っててな。異能の力を打ち消すことが出来る。呪いだろうと、神の祝福だろうとな」

「成る程、だからあの時・・・」

 先ほどの戦いにて上条の右手に触れた瞬間、炎剣が消えた事を思い出す。あのからくりはそういう事だったのか。そう胸中で呟いた。

「・・・ならば、お願いします!インデックスを・・・、彼女を助けてください・・・!!」

「ああ。必ず助けるさ」

 目に涙を浮かべ、上条に懇願する神裂。上条は力強く頷き、神裂に答える。その時だった。

 

-ぐらり・・・。

 

「う・・・」

「か、上条当麻!?」

 唐突に上条の体が傾く。慌てて神裂が上条の体を支えた。

「あー・・・大丈夫大丈夫。・・・ちょっと緊張の糸がほぐれたら疲労と痛みが襲ってきただけだからさ」

 どっと来る疲労感と激痛に襲われ意識を失いそうになりながらも神裂にそういった。

「ま、まさかあの時の一撃で・・・も、申し訳ありません!」

 神裂が思い出したのは、あの時、ボディに放たれた拳。それが上条に甚大な被害(ダメージ)を与えてしまったのだと悟る。

「気にすんなって、人の気も知らないでズカズカと土足に踏み入った俺が悪かったんだしさ・・・。とりあえず今から言う病院へ連れて行ってくれねぇか・・・」

「わ、分かりました!」

 そんな訳で、神裂達は上条が言う病院へと向かったのであった。

 

冥土返し(ヘヴンキャンセラー)の病院

 

「うう・・・あの苦い『リヴァートラの刻』をまた飲まなきゃならんとは・・・不幸だ」

『自業自得だ。下手に煽らず速やかに無力化しとけばこんな事にはならなかったんだ』

 『もうダメだぁ、おしまいだぁ』と言い出しそうな某野菜王子のような表情で呟く上条にザルバがツッコミを入れる。ちなみに既に夜は明けており、朝となっていた。

 上条が神裂達に伝えたこの病院。学園都市随一の腕を持つ医師、通称『冥土返し』が経営する病院である。

 この病院には抗争等で怪我をしたスキルアウトや暗部の人間達はおろか、魔戒騎士達も訪れる。その為、上条も例に漏れず来ているのである。

 そして、上条が言っていた『リヴァートラの刻』、飲めば様々なキズを治す万能薬なのだが・・・問題が一つ。

 不味い、圧倒的に不味いのだ。『良薬は口に苦し』ということわざがあるが、現在の上条がそうであるように、彼よりも遥かに熟練された騎士ですらも飲むのをためらうほどのレベルだ。

「ザルバ君の言うとおりだよ。レントゲンで見た所、アバラが何本か折れてるから普通なら2,3ヶ月は入院を推奨するけど・・・はい」

 そう言って、カエルに似た顔の初老の男性医師-冥土返し-は上条に透明な蒼の液体の入った薬ビンを渡す。これがリヴァートラの刻である。

 それを受け取り、上条は何回か深呼吸した後、意を決する。

「南無三ッ!!!」

 そう言って、ビンのふたを開け、中の液体を己の口の中に流し込んだ。

 

-その後、待合室にて・・・。

 

「口の中に何とも言いがたい苦味が・・・」

「た、大変だったみたいですね・・・」

 苦虫を噛み潰した表情の上条に神裂はそう声をかける。今現在、インデックスが冥土返しの診察を受けているのだ。

「まー、魔戒騎士(この仕事)をやってる以上、怪我とかは覚悟はしてたけどな。・・・あの不味さは未だなれねぇ・・・」

「・・・上条当麻」

「ん?」

 神裂が上条の名を呼ぶ、彼の顔を見つめ問いかけた。

「貴方は何故、魔戒騎士になろうと思ったのですか?」

「・・・んー、何でか・・・ねぇ・・・」

 上条は、頬をぽりぽりと掻きながら、その訳を話した。

「俺の母方の爺ちゃんが魔戒騎士だったからかな?」

「母方のお爺さんが・・・?」

「ああ、今は黄金騎士の座を俺に譲って婆ちゃんと一緒に後進の育成に励んでいるけど、昔は結構凄腕の黄金騎士だったらしいんだ」

 そう言って、右腕を見ながら続ける。

幻想殺し(この右腕)の所為で俺は辛い目に逢ってきた。周りの大人たちから疎まれてきた、だけど・・・俺の両親、そして爺ちゃんと婆ちゃんは俺の味方でいてくれた」

 顔を挙げ、思い浮かべるのは祖父の言葉。呪われた右手の所為で自分だけでなく周りまでもを不幸にしてしまう自分に絶望していた。その絶望は陰我を生み、幼かった上条を襲った。

 それを救ったのが黄金の鎧、『牙狼 翔』を纏った祖父、道外流牙だった。

『自分の存在が周りを不幸に陥れると思うのなら・・・、強くなれ当麻。そして、周りを不幸から救ってやれ』

 あの時、爺ちゃんがそう言ってくれたから、俺はここにいる。今はまだ未熟で、爺ちゃんのような黄金騎士にはなれないけれど、だけれどきっといつか・・・。その思いで、上条は口を開く。

「だから、俺は爺ちゃんみたいな『守りし者』になりたい。それが俺に出来る爺ちゃんたちへの恩返しだから」

「・・・貴方は、強いですね」

「それほどでもねぇよ。爺ちゃんや歴代牙狼の面々に比べたら、俺なんかまだまだだぜ?」

「ちょっといいかい?」

 上条と神裂が話をしていると、冥土返しが声をかける。

「どうしたんだ?先生」

「ああ、呪いの元が見つかった。とりあえず詳しい話は中で話そう」

 

-診察室。

 

「インデックスを苦しめてる呪いの元が見つかっただって?」

「ああ、コレを見てくれ」

 ステイルの問いに冥土返しは頷くと、一枚の写真を見せる。そこには体の内部の写真とその壁に刻まれていたルーンのような記号が写っていた。

「これは何処で?」

「喉の奥だよ。口の中を調べてみたらビンゴだった」

『成る程、これなら気づきにくいな・・・』

 ザルバの言うとおりだ。喉の奥に呪印があるなんて誰も想像できない。

「そうと決まれば、君の出番じゃあないか?早く、その幻想殺しでインデックスの呪いを解いてくれ!」

「ああ!インデックス、口を開けてくれ」

「分かったよ、あー」

 そう言って、ステイルに促され上条は開かれたインデックスの口の中に右手を入れ、喉にある呪印を幻想殺しで破壊する。その時だった!

 

-ガカッ!?

 

「うおおっ!?」

 突如、閃光が上条を吹き飛ばした。そこに立っていたのは、無表情のまま上条を見るインデックスの姿があった。

「警告、第三章第二節。Index・Librorum・Prohibitorum・・・禁書目録の『首輪』、第一から第三まで全結界の貫通を確認。再生準備・・・失敗。『首輪』の自己再生は不可能、現状、10万3000冊の『書庫』の保護のため、侵入者の迎撃を優先します」

 翡翠色の瞳を真っ赤に染め上げ、魔法陣を輝かせながら、インデックス・・・否、禁書目録は淡々と告げる。

 

 そして、病院にて戦いが始まった。

 

 続く。




いかがだったでしょうか?

今回は戦闘シーン全く無し、ただの説明(何故神裂がインデックスを追うのか?&何故上条さんが黄金騎士として戦うのか?)回となってしまいました。
ですが、次回はインデックスとのバトルとなりますので熱い戦闘シーンにしたいと思っております。
では、次回予告をば・・・どうぞ。

ザルバ『「自動書記(ヨハネのペン)」それは、インデックスの嬢ちゃんの中にある10万3000冊の魔道書を保護する為に作られた迎撃システム。圧倒的な力に押されながらもトウマは前へ進む、助けてくれと泣いていた少女に思い描いていた、誰もが幸せになれる結末(ハッピーエンド)を届けるために・・・。次回!『神浄討魔―イマジンブレイカー―』!その陰我、その幻想、ぶち壊せ!牙狼ォォォォォォォォォォ!!あ、最終回的なノリだけどまだまだ続くんだぜ!』

それでは~(0w0)ノシ
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