古明地さとりの遊技盤《ディスボード》散策   作:どっかの放浪人

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お久しぶりです。
ゆっくりヌルヌル、更新させていただきます。


行く(行くとは言ってない)





【03話】「エルキア王国まで、行きましょう」

「あなた方は妖怪、という存在についてどうお考えですか」

 

 炎天下――この世界に季節があるならば、今の季節は夏だろう。でなければ私はもっと暑い熱気に晒される時期があるということ。

 それは認められない。

 

「……何を言い出すかと思えば……妖怪についてだと?」

 

 顔どころか身体全身にまで、この世の怠さというものを滲み出させた空が言う。男のくせに情けない、なんてことは言わない。この人が今までどんな生活だったのかは知っているし、何しろ私も地下で似たような(流石に一つの部屋でずっと暮らしたりはしていないが)生活をしていたのだ。ブーメランの恐さは知っているつもりだ。

 

「ええ、アヤカシ、とも言ったりしますね。ああ、空さんが頭に思い描いているような、そんなものです。人間に忌み嫌われ、恐怖を具現化したかのような、そんな存在。それが妖怪です」

 

 あ、やばい。尋常じゃない暑さのせいで、白さんの顔がその名の通り白くなってる。そして、それを見かねた空が肩車をする。

 ふむ、小学生体型の白さんの太腿に頭を挟まれるのは、別に何ともないわけか。ロリコンのくせに。

 

「ふーん。それじゃあアレか?お前、さt「ええ、覚妖怪の古明地さとりといいます。改めてよろしくお願いしますね」」

 

 ……はぁ。と、ため息一つ。こいつと喋るのだけは絶対好きにはなれない。とありがたいコメントを戴く。嫌われてないだけ、かなりマシですね。

 

「それじゃあ聞くが、その目は?飾り物ってわけじゃないみたいだが」

「そのとおりですよ。飾り物でもないですし、この通り、瞬きだって出来ます。……改めて見るとキモい?そうですね。でも無数の眼がコチラを見ている空間というのもありますし、まだ妖怪の中じゃ可愛いものですよ」

 

 そうか、それは是非とも遠慮したいな。なんて呟く空。

 

 閑話休題。

 

 ところで私達が何故こんな炎天下の中、歩き続けているのか。

 ずばり、理由は一つ。

 

 国王の城でゲームを行うため。

 

 まあしかし、私にはどこぞのストーカーげふんげふんスキマ妖怪のように瞬間移動じみたことは出来ないし、どこぞの盗賊げふんげふんツートンカラーの魔法使いのように早く飛ぶこともできない。

 つまるところ、普通の人間である空と白に合わせて、歩きで王城へ向かうしかないのである。

 

 クラミーさんに足を用意しろとは言ったものの、実際何が来るかわからない。もしも、宿でぎりぎりまで待てど暮せど来ない。いつの間にかクラミー女王(笑)爆誕!なんてなったら笑い話にもなりゃしない。

 

 以上の理由から、ニートリオ揃ってピクニック。と相俟(あいま)った。

 

 しかしあの酒場兼宿屋は、王城からそれなりに離れていたようで、携帯電話(スマートフォン)を方位磁針代わりに歩くこと40分。まだ目的地は見えてこない。

 

「流石に疲れましたね。あの山になってる場所で一度休憩しましょう」

 

 といって指を指した先は一本だけ木の生えた小さな丘。

 妖怪である私がこの程度の散歩で疲れるなんてことはないが、二人はただの人間……いや身体だけはただの人間以下。休憩しないと倒れてしまう。

 

「いや、そろそろ見えてくるはずだ。この地図通りならな」

「おっと、そうでしたか。それでは先を急ぎますか?」

「そうだな。白はこんな様子だが、さっさと着いてから休憩しよう」

「……にぃ、白……もう、だめ……ガクッ」

「おい!白ッ!大丈夫か!違う!それはドロップやない、俺の指やッ!」

「大丈夫そうですね、ペース上げましょう」

 

 妹のボケ(?)に全力で乗っかる兄。これほどにまで仲の良い兄妹が居るだろうか(血涙)。いや、いない(反語)。

 長男長女はあとから生まれた家族に対して、振り回されるもの。私ももっとこいしに対してノリ良く接してあげられれば……。

 

 っと考えても仕方のないこと。城も見えてきたことだし、早足で行きますか――

 

「あっ、さとりさん、いやさとり様!もっとゆっくり行っていたたらければ、この不肖ニート、嬉しいのですが」

「嫌です」

「白……もう兄ちゃんだめかもわからん」

「にぃ……頑張って……」

「よぉし兄ちゃん頑張っちゃうぞォッ!」

「飛びますよ?」

「おいちょっと待って、ください!お願いしますぅッ!」

 

 スカートを押さえつつ3メートル程上昇。こんな時でも私の中を覗こうと必死になる空には一種の尊敬すら覚えます。

 あとちょっと……じゃないですよもし見てしまったら一生のトラウマにしてしまいましょうか。

 

 っと……あれは。

 

「空さん、泣いて喜んでください。エルキア王国が見えました」

「でかしたさとり。ほら、白もうすぐだ」

「……あと少し。こんてにゅー……こいんいっこ」

「ほら、物価がわからんからな。やっぱり辺境の宿とは違うだろうし、はかってくれ」

「……りょー、かいッ」

 

 金貨1枚を白に渡してペースを上げる空。白はいつの間にか自分で歩いてますね。

 この2人、やはりお互いに心を読み合っているんですよね。まあ、こうしたいんだろう、っていうのを空は人外レベルの直感。白はあらゆる統計と人間心理学から。

 

 ふむ、完全にプレイヤーの実力で勝敗が決まるゲームにおいて、この2人に真正面から勝てる人が居るのでしょうか。

 妖怪代表の私としては、相手の心を読む、相手に心を読ませない、これでやっと同じ土俵に立った、ということになると考えますが、どうなんでしょう。

 

 身体能力やら運要素が入ってくれば勝ち目があるかもしれませんが……。

 

 

 

 さて、私もペースを上げますか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おい待てッ!もっとゆっくり!」

「さとり……人の、心……読める、のに……自己中ッ……!」

 

 




/妖怪
 私は居ても面白いと思います。まあ、怖いですがさとりみたいな娘がいたら可愛いですね。
 すぐ真っ黒な心を読まれて、養豚場の豚を見るかのような目で見られるでしょうが。

/炎天下
 寒いです。

/ブーメラン
 すごく痛いです。私はよく考えず言ったことに対して、後からしくじったと思いつめる人なので。

/ロリコン
 そういえば幻想郷の皆様は、見た目は中学生レベルの設定ですよね。紫さんも、永琳さんも、その他の皆様もそのくらいの容姿のはず。
……はず。

/複数の目
 絶対いるだけで発狂しそう。罪袋の皆様は、紫さんに目をつけられないように自粛しよう。

/ストーカー、盗賊
 ストーカーは言わずもがな。
 盗賊――魔理沙は、唯一人間の枠をはみ出ずに妖怪と戦っている人だと思っています。特殊な才能、能力、環境ってわけではないんですよね。
 まあ、それで成功するなら、それも一種の才能かもしれませんが。

/ニートリオ
 兄、妹、妖。

/スマートフォンを方位磁針
 うーん、あの星は磁気で方位を正確に把握できるんですかね?

/仲のいい兄妹
 現実には存在しない。いいね?

/スカートの中身
 言わずがな色は白。異論は認める。

/こいんいっこ
 言わずと知れたフランのセリフ。言いたかっただけで、特に伏線というわけではない。

/心を読む、読ませない
 さとり様は落ち着いて心を読みながらプレイなさると思いますが、こいしちゃんは無理でしょうね。無意識でゲームボードひっくり返すとかやりそう。
 無意識ならしょうがない。

/自己中
 さとり様は自己中。しかし現地じゃ、周りが自己中の塊なので表面化してなさそう。


また今度、それでは。

遅れましたが、あけましておめでとうございます。
お気に入りが消えない限り、ゆっくりぬるぬる行きます。

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