卑の意志でコードギアスを蹂躙する   作:篠崎卑劣

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卑劣な焼身自殺詐欺

 英雄の赤子を災厄の元凶といって苛め抜き

 

 その赤子は奮起して英雄となる

 

 卑の意志に満ちた里は強く逞しい

 

 ~卑劣の二代目~

 

 

「はあ」

 

 途方に暮れるとはこのことか。

 忍者が素人に財布を盗まれるとは。

 

――卑の意志が足りない――

 

 私は篠崎流という忍者の家系に長男として生まれた。技を受け継ぐべく、非常に厳しい環境で育てられた。

 しかし天才である姉とは対照的に、私は凡人だった。一例を挙げると、姉は骨を変形させることで万人に変装し、身長すら上下20センチも変えられる。が、私は鼻をパキっと鳴らすと骨折してうっ血し、涙が止まらなくなる。

 

――卑の意志が足りない――

 

 齢10にして無能の烙印を押された私は、敗戦後間もないこともあって、労働力として富士のサクラダイト鉱山で働いた。生来物に拘りがなく、山で食料と水を得る手段も知っている私は、給料のほぼ全てを貯金に回していた。

 1000万ほど溜まった頃、都市部ではインフラ整備がほぼ完成し、仕事を失った若者があふれていると聞いた。

 

 ということは、若く活きのいい娘を安値で買えるのではないか?

 

 私もいい年だったので、そういうことに興味があった。

 実家に連絡し、都市部に移してもらえるよう頼んだ。

 姉がちょうど人員を求めていたので、そこに入れてもらった。新しく得た仕事は、賭けチェスのボーイ兼打ち手のボディガード。なんでも、姉がメイドとして潜入している施設の要人が、まだ高校生なのに賭けチェスをやっていて、危なっかしいから守って欲しいらしい。また、貴族から有益な情報が得られたら伝えろとのこと。

 

 護衛対象は私と同い年。ルルーシュというひょろ長い男だった。体は貧弱だが、頭は切れるという言葉では足りないくらいの天才で、私も関心してしまうほどだ。

 しかしこの男、いつも一言二言多かった。貴族嫌いなのは分かるが、怒らせて襲撃でもされたらどうするつもりなのか。私はいつも貴族が暴れだす前に飛び出て、お酒を酌んだり女の子と一緒によいしょよいしょやって、宥める必要があった。

 

――卑の意志が足りない――

 

 ある日、そのルルーシュを送り出して程なく、新宿で大規模な戦闘があった。

 日本のテロリストがブリタニアの毒ガス兵器を持ち出し、政庁はその攻撃を防ぐために一般人諸共虐殺の限りを尽くしたそうだ。

 私はそのことに怒りを覚え、同時に被害者に哀れみを感じ、せめてもと自腹を叩いて救援物資を新宿に運んだ。鉱山で得た知識を頼りに、瓦礫の撤去を手伝いもした。日本人たちは悲観に暮れていたが、子供はお菓子などで笑顔を見せてくれたし、お年寄りは涙をいっぱいにして私の両手を握っていただいた方もいて、来てよかったなあと改めて思った。

 ところが、勢いよく食料を配っているうちに、いつの間にか財布をすられていた。相手は日本人。それもズブの素人だろう。金額こそ2万ほどだったが、思うことはある。怒りの前に呆れがきた。何をやってんだ私は。忍者なのに。

 

――わしが育てた卑の意志が足りない――

 

 呆けながら岐路についた。一文無しなのでもちろん徒歩だ。

 途中、珍しい緑髪の女を見つけた。長髪で、歳は私と同じくらい。なぜか囚人服を着ていた。新宿のドサクサに紛れて脱走したのだろうか?

 その女は私を見つけるや、不機嫌そうな顔で近づいてきた。

 

「おい。地図は持ってるか?」

「え? ええ。まあ」

「寄越せ」

「え?」

 

 私はこの日のためにプリントした地図を持っていた。新宿が主だが、瓦礫の山で道が変わっているだろうから、目印になる山や建物にマークをつけていた。

 

「ほう。このピンクの線が分かりやすい道筋というわけだな」

「ええ、まあ」

「ふん。悪趣味なやつめ。今度から目印は緑色にしておけ」

「は、はあ」

「まあいい。助かったよ。これは駄賃だ」

 

 女は突然私の両肩に手を置き、抱きしめるように顔を近づけた。

 何かと思ううちにも、キス。左頬だった。

 

 その時だった。突然、よく分からない情景が私の脳裏を駆け巡った。

 

 忍者としての生。忍ばない大規模な戦い。魔法のような力。うちは一族との殺し合い。頼れる優秀な兄。敵の首領。敵の二番手を切り裂く自分。力による平和の達成。兄の失策。兄の死。戦争の勃発。私の死。

 

――卑の意志が足りない兄者――

 

「なんだ? これは?」

 

 まだ続く。

 

 平成に生まれ、ゆとり世代として何不自由なく育ち、暴力すらない虐めに泣く情けない男の生涯。最後には酒の一気飲みで死んでしまう。

 

――貴様も卑の意志が足りない――

 

 呆然とする私に向かって、緑色の女はクスリと笑った。

 

 私は、わしは、いや俺は、歓喜した。

 

「くっくっくっく」

 

 体内にチャクラを感じる。卑劣な男の記憶と同じもの。それを自由に動かすこともできる。術の使い方も覚えている。

 ここがコードギアス世界だという記憶もある。さすがに細部までは覚えていないが、大まかなストーリーは分かる。

 

 NARUTOの術だけでも十分王になれるのに、原作知識まである。

 

 これは、遊びまくるしかない。俺のハーレムを作ってやる。卑劣な千年王国の誕生だ。

 

 卑劣なチャクラ探知で周囲に人がいないことを確かめる。万一の監視カメラや望遠鏡による覗き見を避けるために、瓦礫の影に隠れる。

 

「影分身の術」

 

 とりあえず2人増やした。

 

「変化の術」

 

 さらにスザクと扇に変化させた。服装は警察のものだ。

 こいつらを、金持ちの家に突入させる。まずは資金集めだ。

 

「はあ、はあ、はあ、はあ」

 

 この星の地球人は体力が無いから、2体程度でもしんどい。まあ初めは実験のつもりでやってもらおう。

 

 

 side 扇要偽

 

 賭けチェスのお得意さんであり、いつも俺に暴力を振るってくるバーンシュタイン伯爵家にやってきた。見張りは門の前に二人。屋敷の中には5人。全員自動小銃を持っている。単純に突破するのは難しい。

 

「変化の術」

 

 ならば、動物になればいいだけのこと。忍術とは便利だな。

 スズメに化けて屋根の上に移動。そこからイモリに化けて屋根を伝い、明かりの点いている子供部屋に。その排気口に進入する。

 

「決めセクだぜえええ! いええええい!」

「アン! アン! アン!」

「あふう! おふう!」

 

 薬物セックスでしかも乱交中だった。馬鹿息子一人に対しメイド4人。

 

 見ていてとても腹が立つ。殺してしまおうか? そして成り代わる?

 いや待て。息子に成り代わったら親に怪しまれる。親を殺して成りすましたほうが確実じゃないか? いや、だとしても、影分身枠が伯爵で埋められるのはしんどい。やつの仕事はできないから、同僚に怪しまれるだろうしな。

 こういうのはどうだ? 伯爵を殺し、馬鹿息子に跡を継がせる。決めセックスの証拠をカメラに押さえ、純血派にバラすぞと脅し、金を搾り取る。いけるんじゃないか? 失敗したってどうせ扇要の責任だしな。

 

 思い立ったが吉日。俺はイモリの状態で馬鹿息子の部屋を探し回り、充電中の携帯電話をゲット。馬鹿息子のセックス、薬などを動画に保存する。音が出てしまったが、決めセックス中なのでバレなかった。

 その後、アリなどに変化しながら伯爵の部屋に侵入。

 伯爵もセックス中だったが、2発出すと泥のように眠った。

 

 監視カメラに術の存在を撮られないよう、扇の姿でタンスから飛び出る。そこからひっそりと伯爵に近づき、風遁を纏わせた手刀で首の上から一振り。真っ二つに切り裂いた。

 次はベッドの下に隠れ、アリに変化。馬鹿息子の部屋を目指す。猫に変化し、隙を見て携帯を確保。馬鹿息子の部屋から出ると、伯爵に変化し、堂々と正面から出る。

 

「お出かけですか?」

「来なくていい。ちょっと風に当たるだけだ」

 

 なんて言って家の周りを散歩し、隙を見て扇に変化。そのまま脱出する。

 

 SIDE スザク偽

 

 スザクはクロヴィス殺害の容疑者として有名人になってしまったので、派手な活動はできなかった。代わりに昼はスズメやイモリになってアッシュフォード学園を回った。夜はシャオランやファイに変化して女狩り。影分身はエイズの心配をしなくていいからやり放題だ。

 

 やがてスザクは処刑へのパレードでゼロに助けられ、しかし自ら法廷へ向かう。そこにユーフェミアの息がかかった人間が弁護人として現れ、スザクはまさかの無罪となる。

 スザクはブリタニア人から何度も襲撃を受けつつ、徒歩で政庁に宿舎に戻っていく。途中で変装用のサングラスを買う。

 昼前に、ユーフェミアが「追われているの!」と言ってスザクの下へ飛び込む。

 スザクはなされるがままにユーフェミアのデートに付き添う。

 

 その途中、ユーフェミアは猫に気を取られる。スザクも猫に話しかけるが、元来なぜか動物に疎まれているので、噛まれる。スザクは猫から距離を置き、ユーフェミアが猫に話しかけるのを遠目で見るようになる。

 

 ここだ!

 

 まず偽扇が現れ、スザクに近づいていく。

 

「なあ君、枢木スザクだろ?」

「え? ええ。まあ」

「実は俺、君に頼みがあってだね」

 

 偽扇はスザクからユーフェミアを隠すように立つ。その隙に、偽スザクこと俺が今のスザクと同じ格好でユーフェミアに近づいていく。

 

「ユフィ。そう言えば君にぴったりな場所があったんだ。行ってみる?」

「え? そうなのですか?」

「ほら、こっちだよ」

「あっ、ちょっと」

 

 俺はユーフェミアの手を持ち、多少強引に引っ張っていく。

 

「あ、あの、スザク。なんというか、変わりましたね」

「まあね。君が僕を勇気付けようとしているのが痛いほど伝わってきたから、応えなきゃと思って」

「そうだったのですか? でしたらその意気です。頑張ってください。スザク」

「イエス、ユア・ハイネス」

「えっ」

「なんてね。ハハハ」

「も、もう! からかわないで下さい!」

 

 キャラ変わりすぎだと思うが、下手に似せるより怪しまれないと思ってやってみた。

 ユーフェミアを引っ張ったはいいが、たどり着いたのはふつうのデパート。買い物、プリクラ、カラオケなどで盛り上がる。

 ナデシコ、銀魂、しまじろうなどを歌ってみたりする。

 

 しばらくの後、ユーフェミアが新宿を見たいと言う。

 

「ひどい状態だよ。まだ復興は進んでない」

「だからこそ、この日本の状態を知るために見なくてはならないのです」

「分かった。だけど危ないから、僕から離れないようにね」

「まあ! ではスザクは私を守ってくださるナイトですのね!」

「ユフィみたいなお姫様なら喜んで騎士になるよ! ははは」

「それはありがとうございます! 私もスザクのようなナイトがいたら心強いですね。では、そうですね。特別に騎士の誓いをしましょう」

「おっ。分かるの? ユフィ」

「私を舐めないでくださいまし。ブリタニアの作法くらい心得ておりますわよ」

 

 その後略式で騎士を誓いを行う。スザクの株を上げすぎた気がしないでもないが、俺自身楽しめたからいいや。どうせスザクはどん底に落とすしな。

 2人で新宿へ向かう。途中、偽扇からスザクが純血派のジェレミア狩りに割り込みに行ったと連絡があった。

 俺たちは決闘場から多少距離を置き、崩壊した新宿を歩く。

 途中、チンピラに絡まれる。

 

「裏切り者の名誉が! 死に晒せえええ!」

「ユフィ! 隠れていて!」

 

 俺は3人のチンピラと戦う。影分身で力を落としていることもあってけっこう危ない。技でなんとか対処する。

 その間、ユフィは瓦礫の隅から戦いを覗いていた。そこへ偽扇が現れる。

 

 SIDE 扇偽

 

「ぐっ。うむむっ」

「大人しくしてな。プリンセス」

 

 思ったより力が強い。だが、卑劣直伝のチョークスリーパーはがっちり決まっている。

 

「うっ。あっ」

 

 落ちた。こっからはスピード勝負だ。

 

 ユーフェミアの服を剥ぎ取り、予め用意していた服に着替えさせる。俺は裸のユーフェミアに変化する。元のユーフェミアの服は俺が着る。さらにユーフェミアから必要量の血を採集する。

 俺はユーフェミアとして再び元の道へ出る。残ったユーフェミアは本体に任せる。

 

「くっ。覚えてやがれ!」

「くそ!」

「はあ、はあ、はあ」

 

 偽スザクはギリギリ勝てたようだ。危なかったな。

 

 俺は用意していた車で東京疎開を走る。

 後ろから、誰かが車で尾行している。秘書か護衛かは知らないが、狙い通り俺をユーフェミアだと思い込んでいるはずだ。

 

 走りながら、世界的な動画サイトに生動画をアップする。

 

「私はユーフェミア・リ・ブリタニアです。私は現在のブリタニアのやり方に絶望しています。世界はもっとやさしい場所であるべき。力による征服、支配は悲しみしか生みません。しかし、力ない私ではお父様を動かすことはできない。かと言ってお父様の言葉通り他人を殺すこともしたくない。ですから、覚悟を見せようと思います。直訴、切腹という言葉をご存知でしょうか? かつて日本では、命を捧げることで、彼らの神である天皇陛下への発言を許されたようです。私もこの命を持って、私の思いが叶えられることを願おうと思います。最期にお姉さまにお願いです。どうか誰も恨まないで下さい。復讐の連鎖を断ち切ってください。そして私のためではなく、お姉様自身、そして皆様の幸せのために生きてください」

 

 俺は車を走らせながらライターと新聞紙で車内に火を放つ。その状態でアクセルをかっ飛ばす。眼前に東京湾が見えてくる。そのまま突っ走る。

 

「やさしい世界になりますように」

 

 最期にカメラに向かって微笑みつつ、爆散。車体はほとんどは燃えながら海に突っ込んだ。

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