僕が騎空団を立ち上げてから大分経ったのでそろそろ振り返ってみようと思う   作:トマード

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これで二回目の記録

さっきまでジータがレディ・グレイたちと今後の相談をしているのをみかけて混じっていたのだが、その時にこんなことがあった。

 

今回の依頼は体調面を鑑みて、裏方に収まっていたサルナーン。

 

その恋人である精霊、名前かどうかは怪しいのだが…ハニーがなにやら身振り手振りで僕たちに対して訴えてきたのだ。

 

それがさっぱりわからなくて、一つのゲームの様なものになった。

 

彼女は言葉が話せない。

 

精霊である彼女の言葉がわかるのはルリアとサルナーンくらいか?

 

「寝る」「読む」「目を開く」と断片的にはわかったものの、それ以外は動きが複雑でわからなかった。

 

ヴァンピイは「眠れないんじゃないの?」と言っていたが、精霊はそもそも寝る必要がない、肉体がないのだから…これをいうとサルナーンは不機嫌になる。

 

「読むっていうのは何かしら?」「本だと思うなあ」レディ・グレイとナルメアはそれぞれの推理を巡らしている。

 

「ご本読んで欲しいのかなぁ?」

 

ヴァンピイが素っ頓狂な声でハニーに問いかけた。

 

ハニーは首をフルフルと降っていた。

 

「自分のことじゃないんじゃないか?

サルナーンのことだろ?」

 

「なるほど」

 

ヴィーラが僕の意見に賛同する。

 

そう聞くと、ハニーは激しく頷いた。

 

なるほど、そうなるとヴァンピィは惜しい線をいっていたのだ。

 

「あの子、また夜更かししてるの?」

 

察したのか、レディ・グレイが心配そうな声で言う。

 

「私が寝かしつけてあげた方がいいかな?」

 

ナルメアがジータに聞いていたが、ジータは大丈夫だよとナルメアの提案を断った。

 

ナルメアは落ち込んで僕の隣でまた反省会を始めたが、必要になったらたのむから、と僕が言うと嘘のように明るくなって「うん!わかった!」と輝く瞳で返事をした。

 

いや、サルナーンのことだよ・・・?

 

勘違いしていないといいが。

 

しかし、ちょっと前に精霊の島でひと騒動があってやっと寝付けるようになったというのに、寝たら寝たでこんどは体力が回復して夜更かしするようになってしまった…というのは確かに問題だ。

 

身振り手振りをつなげていくとそういう結論になったが、どう対策を取るべきか。

 

結局その場で結論は出ず、お開きとなった。

 

きっと秘術についての研究なのだ。

 

アイツはハニーのことになるととことん頑固だし、ある程度…いやほとんどハニーの言うことには従うが、それでもきっと隠れて研究はするだろう。

 

取りあえずは保留だ。

 

ハニーには近く会議しようということを告げた。

 

ニコリとほほ笑んで消えたハニーだったが、やはり、心配なのだろう。

 

…どうしても気になったのでこうして書き込んでいるが、この四人のことはおいおい書いていくことにする。

 

…しんぱいだな、会議は明後日くらいにするか

 

うん、でもまあ、気を取り直してウェルダーの話しの続きを書こう。

 

僕にだけ、自分の弱点を打ち明けてくれたウェルダーだったけど、示し合わせたかのように僕たちに町による用事が出来た。

 

用事といっても各自の私物や日用品の調達、ようは息抜きだ。

 

空を旅しているのだ、浮島の上とはいえ土や草の臭いが恋しくなることはある。

 

カタリナやルリアが何を買おうかと楽し気に話している中、ぼくは甲板の上から見える島、そしてかすかに見える町をどこか憎々し気に眺めるウェルダーを見つけた。

 

「…慣れないものは慣れん。

俺は船番をしていよう」

 

背後の僕に気付いたのか、ウェルダーは振り返りもせずそういった。

 

するとどこからか聞いていたのか、ビィが飛んできて「ジェイドへの土産話を集めるチャンスだぜえ?」といった。

 

ウェルダーはすこしひるんだような顔をして振り返る。

 

「アイツは町の話など…聞きたがるだろうか?」

 

僕が「話はいっぱいあった方が楽しいと思うよ」というと、ウェルダーはすこし考えてこういった。

 

「…つ、ついたら考える!」

 

そういうと船室の中へ入ってしまった。

 

少したってからラカムが桟橋に横付けして必要書類をカタリナが済ませると、仲間たちはそれぞれの買い物のために続々と船から降りて行った。

 

ビィはジータとリンゴを買いに行き、ルリアはカタリナの武器屋めぐりについていった。

 

マリーとウィルという珍しい組み合わせが見えたので声をかけると、どうやらウィルの行きつけの骨董商を紹介してもらうそうだ。

 

なんでもこのあたりの骨董商は剥製から動物の骨でできたアクセサリーまで珍しいものを取り揃えており、マリーはその話をきいて興味をそそられたのか、お宝目当てに覗きに行くのだそうだ。

 

でかいものは買わないようにと釘をさすと、『わかって「るーッ!」「ます」』と同時に返事をした。

 

二人に言えることだが、ウィルは見かけに反して社交的なので団内で友人は多い。

 

カタリナとビィについて語っているところもよく目にするが、たいてい価値観の違いで口げんかに発展する。

 

それをみんなは面白おかしいものとして見ているのだが、ビィは自分が喧嘩の理由になっているのが気に食わないようで「まぁたやってるぜえ…」とあきれたように愚痴を漏らすのだった。

 

で、肝心のウェルダーはというと。

 

船からは降りたものの、やっぱり怖いのかその場で腕を組んで立ち尽くし、唯々町をにらんでいるのだ。

 

ちょうど船から降りてきたレオノーラが「行かねーんですかい?」と声をかけていたが「うむ…」と口ごもるだけでその場からは動かない。

 

レオノーラは首をかしげると「あっしはいってきやすね!」と元気にジロキチと町へかけていくのだった。

 

ウェルダーはそんなレオノーラを見送ると、ため息交じりに「団長、やっぱり俺は船番をしていることにする…」というのだった。

 

僕としても無理はしてほしくなかったので「わかった」といって二人で船の中に戻ると、同じく船に残っていたラカムとあった。

 

「おうグラン町へは行かねえのか?

ウェルダーも行って来いよ、ナイフ研ぎに出したいって言ってたろ?」

 

ラカムは船の点検をしていたようで顔にすすをつけていた。

 

ごちゃごちゃとした計器のさらに裏のごちゃごちゃとした空間に手を突っ込んでいた、これがラカムのすごいところだ。

 

話しているときも手は動いている。

 

「いや、おれは船の番をすることにした」

 

「…まさかまだ町に慣れねぇってのか?」

 

ラカムが眉をひそめてウェルダーに問いかける。

 

「い、いや…」

 

「お前さん森しか知らねえんだから、こういう機会にだなあ」

 

ラカムはいったん手を止め、諭すようにウェルダーに話しかけた。

 

「わ、わかってはいる!

わかっているのだが…」

 

ウェルダーは肩を落とす。

 

「まあ、無理にとは言わねえけどよ。

町は楽しいぜ?

相棒にゃもってこいの土産話になると思うけどな」

 

ウェルダーは黙ってその話を聞いていたのだが、俺は後部甲板にいると言ってその場から離れたのだった。

 

「…ちといいすぎたかな」

 

ラカムが気にしていたので「大丈夫だと思うよ」と答えた。

 

僕がラカムの船の整備の手伝いをしてしばらくたったころ、突然、後部甲板で聞きなれた声があがった。

 

「おいお前たち!」

 

ウェルダーが何か異常を察知したらしく、あわただしくかけていくのが見えた。

 

「そこまでだ!」

 

慌てて後を追うと、そこには船尾の格納庫を荒らしている盗賊の姿があった。

 

「なんだお前らは!」

 

「ちッ!

船尾は手薄だと思ったのによぉ!」

 

「長居は無用だぁ!

ずらかるぞ!」

 

盗人猛々しいとはこのことか、盗賊たちは手に持てるだけの食料やみんなの私物を持ち出すと、入り込んだのであろう窓から逃げていく。

 

「そうはいくか!

この勇猛なる森の戦士、フォレストレンジャー、ウェルダー様が成敗してくれる!」

 

そういってウェルダーの放った投げナイフは盗賊の一人の顔面をかすり、頬に赤い筋を作った。

 

男はひるんで体制を崩したがどうにか持ち直し、こちらを睨んだ。

 

「何事だ!」

 

ラカムも異常に気が付いて駆けつけ、不利と見た盗賊はどうやって持ち込んだのか、小型の檻を蹴り上げた。

 

「金目のものはいただいていくぜぇ!

お前らの相手はこいつらだ!」

 

蹴り飛ばされた檻から飛び出したのは羽虫の様なモンスターだった。

 

数で群れるモンスターだから1頭や2頭では脅威ではないが、動きが速いので対処は面倒だ。

 

魔物をけしかけていった男は何か箱のようなものを抱えたいったが、僕はその箱に見覚えがあった。

 

「あ、あれは!?

ウェルダー!」

 

散々見せられたものだ、間違いない。

 

「あ、あれは俺のジェイドの思い出が詰まった…ッ!野郎!」

 

ウェルダーは飛び回るモンスターに的確にナイフを突き立てた。

 

「格納庫で銃は使えねえ!

悪いがここは頼む!

おれは甲板から奴らを狙う!」

 

ラカムはそういって格納庫を出ていった。

 

僕も剣を抜くと2匹ほど同時に切り倒した。

 

僕の切り倒したのが最後だったようで、ウェルダーとともに格納庫を後にする。

 

甲板に上がるとラカムが苦い顔で立っていた。

 

「悪い、あいつら存外足が速い。

町に逃げ込まれちゃ狙撃出来ねえ…」

 

どうやら盗賊は町に逃げ込んだようだ。

 

「追おう」

 

僕がそういうとウェルダーは頷いた。

 

「言いづらいんだけどよ…行けるのか?

無理すんなよ?」

 

ラカムが心配そうにウェルダーに問いかける。

 

「ば、馬鹿にするな!

その気になればウェルダー様にその…苦手など!!」

 

「無理すんなよ」

 

「無理ではない!

行くぞ!

ほら、さっさと行くぞ!

一思いにやってくれ!」

 

ウェルダーはなぜか注射を我慢する子供のようになっていたが、僕らはウェルダーの思いを尊重して連れていくことにした。

 

しかし、町が混み合っていて、ラカムの言った通り盗賊は足が早く、地の利があちらにあるのも災いし、一向に縮まらない距離にイラつきが増して言った頃だった。

 

 

 

 

 

…うん、書いているときにナルメアが寝ぼけ眼できてその対処が大変だった。

 

よく見ればもうこんな時間だ。

 

サルナーンの夜更かしのことを言えなくなってしまうので今日はこのあたりでペンを置こうと思う。

 

ヤッパリ勘違いしてたんだな、ナルメア…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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