かくして少女は鬼となる   作:魚住幸来

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プロローグ

ー鬼の少女ー

 

誰が言い始めたのかは知られてはいない。

昔の話なのか最近あった話なのかはよくわかっていない。

それに真実か虚偽かもわかっていない。

だが非常に有名な話だ。

 

 

「・・・母さん。鬼の少女の話って知ってる?」

 

10歳にも満たない少年は自身の母に尋ねる。

初めて知ったことを母に自慢したかったのだろう。

 

「それがどうしたのかしら?」

「今日ね、学校で先生が話していたの。鬼の少女の話。」

「へー。どんな話だったの? お母さんに教えてくれないかしら?」

 

少年は体を動かし必死に母に話しの内容を伝え始めた。

途切れ途切れで説明になっていない言葉だったが、彼は必死に伝えようとした。

 

「えっとね・・・家族を殺された女の子がね、(あやかし)と手を組んで悪い妖をやっつけちゃう話しなんだよ。」

「そうねー。あなたはどう思ったの?」

「可哀想な話だと思ったよ・・・」

 

彼は俯いてそう答えた。

そして言い続ける

 

「でも少女は親友を殺しちゃったんだよ? 親友と意見が合わないだけで殺しちゃうんでしょ? それに女子供も小さい妖も全部容赦なく殺したんでしょ? そんな奴は悪人だよ!」

「・・・そうね。彼女は極悪人だったのかもね。でも悪にならないと妖は殺せなかったのよ。」

 

少年の母は少年の肩を持つ。

非常に優しい表情で少年を見つめる。

 

「ありえないよ・・・妖が悪いことするなんて。友達も妖だけど、意地悪なんてされたことないよ。」

「そうね。ありえないわよね。私が子供の時もありえなかった。」

 

妖・・・

すなわちこの世のものではないものだ。

だが通常は人間と見た目も変わらなく、非常に友好的なのだ。

少年はそんな妖が悪いことをするなんて考えられないのだった。

 

「でも、私が聞いた話はちょっと違ったわね。もっと詳しく聞いた記憶があるわよ。」

「そうなの?」

「そうよ。気になる?」

「うん! 気になるよ!」

 

少年は目を輝かせて母に尋ねた。

すると母は少年を膝に座らせた。

 

「それじゃ長くなるけどいいかしら?」

「うんいいよ。僕は我慢できるよ。」

「いい子ね。それじゃ昔に煙草臭いおじいさんから話された通りに話すわよ。」

 

母は目を少し瞑り話を整理する。

そして話しを聞いたおじさんからの約束の通りに話しを始めた。

 

「この話は鬼になった少女の話よ。鬼の少女を永遠に語り継ぐ物語よ。」

「・・・先生も言っていたけどそれ必要なの?」

「必要よ。決まりみたいなものよ。それじゃ始めるわね。」

 

そして少年の母は鬼の少女の話を語り始めたのだ・・・

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