ふしぎ遊戯~四神天地之書火影異聞録~   作:英キョウ

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初めまして、英(はなぶさ)キョウと申します。
初心者ながら書いてみたいものがあってやって参りました。

この作品は、小中学生の頃この上なくハマっていた『ふしぎ遊戯』の最終章永光伝の後日談と、『烈火の炎』とのクロスオーバーとなっております。

ご覧頂ければ幸いですm(__)m


序章其之一:火影起つ光

地図にも記されない山の奥深く、人知れず蠢く二つの肉塊が地表へと姿を現した。

 

一つは朽ち果てた肉体を垂れ下がった皮膚が覆う…例えるならミイラがゾンビ化した、というのが適切だろうか。

辛うじて骨格だけがかつて人間であったことを物語っている。血が通っていないはずの眼には、未だに費えない野望を宿している。

 

もう一つは虫程の大きさではあるが、その背に醜悪な男の顔が浮かんでいる。

大きく開いた口は歯を剥き唾液が糸を引き、ぎょろりと飛び出た目玉は斜視なのか別の方向を向いている。

また頭蓋骨は大きく割れ隙間からは脳味噌や無数の眼球が覗く。

 

 

「──神…我は神…─」

 

 

「グェヘ…グェハハハぁ…!!

此れで…我が欲望…我が永遠のォ──」

 

 

禍々しいそれらは、互いを取り込もうとするかのようにドロドロと混じり合い、地中へと身を潜めながら、下卑た笑いを撒き散らした──。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

東京、午前1時。

まだ茹だるような残暑と熱を帯びた夜が続く9月。

青年はベッドで何度も寝返りを打つ。

 

 

──…よ、…めよ、…宝…──

 

「…誰だ…俺、違…名、前…」

 

謎の声が頭の中に響く。

 

不気味さや恐怖感はなく、何故か神々しい余韻があるのを感じて、そっと聞き返してみる。

 

 

「目的は…何ですか…?

俺は、どうしたら…」

 

──神座宝よ、邪悪から世界を救…火影…──

 

ぼやけた姿が消えたかと思うと、頭の中に映像が流れ込んできた。

 

「工場だ…火薬かな…ハナ、ビシ?字の入った玉、変な武器、腕から炎~!?」

 

それらがあまりに鮮明だったので、忘れないうちにノートに記した。

 

「何だったんだ、今のは…」

 

 

 

 

 

翌朝は土曜日。ゆったりと朝食を摂っている両親にその事を話してみた。

 

「神さまのお告げ、とかゆーのかね、アハハ…」

 

冗談半分で青年は笑っていたが、母親は食べていたものを噴出させ、父親は血相を変えて息子の肩を掴んだ。

 

 

「ゲホ、がはっ、それってす、す、すざく──っっ!!?」

 

「詳しく聞かせろ、光(ひかり)───!」

 

 

 

 

 

 

 

 

午前10時、千葉県。

少し開けた場所に小さな工場がある。

手書きで『花菱花火製作所』と記した木の表札が掛かっており、離れが住居となっている。

工場の主人の息子と仲間達の溜まり場でもあるのだが、この日はいつもの馬鹿騒ぎとは雰囲気が違っていた。

 

「あ゛ーづがれだー、ひと休みぢゃあ!」

 

この花火屋の息子・花菱烈火は握っていたペンを放り投げ、大きく伸びをした。

一体どうすればこうなるのか、不思議なほど逆立ったウニ頭のこの少年は、明朗快活にして喧嘩最強の名を馳せるヤンキーである。

そして人智を越えた生い立ちを持つ、本来なら神秘の存在…のはずが、勉強を前にすると見る影がなくなってしまう。

 

 

「アンタさっきも休んでなかったー?

けどこーんな暑いとやる気出ねーし。」

 

 

その隣で英語の教科書をパタンと閉じて、霧沢風子が気怠げにぼやく。

ショートヘアのサイドを少し長く伸ばした髪型が特徴的な、勝ち気な少女である。卓越した格闘センスと、グラドルに引けを取らないグラマラスボディーが彼女の自慢…であるが、成績は自慢出来るほど芳しくはない。

因みに烈火とは家が隣同士の幼馴染みである。

 

「んだんだ。なぁオメーら、気分転換にコンビニでアイス食うべ?」

 

「おっしゃ、行く行くー!」

 

「ダメだよお、おやつはあとでー」

 

烈火は早くも集中力を切らして周りをも巻き込むサボりモードだ。しかし返事が一人分返って来ない。

 

 

かくんっ。コクリ。

 

 

「…っぱい…ムニャ…」

 

 

石島土門は、コクリコクリ船を漕ぎ始めていた。しかも如何わしい夢の中に居る模様だ。

いかつい顔にモヒカンヘッドと鼻ピアス、190cmを越える筋骨隆々の巨体、人並外れた馬鹿力…ともかく彼の『全て』が規格外である。

風邪すら引きそうにない本人いわく、教科書を見るとジンマシンが出る、らしい。

 

 

座卓に突っ伏して眠りこける土門だが、その幸せはすぐに壊された。唸りを上げた木刀が鼻先すれすれに突き付けられたのだ。

 

 

「「い゛っ?!」」

 

「う、ふばぁ!」

 

だらけた二人は縮み上がり、惰眠を貪っていたもう一人は目を剥いて飛び起きる。

 

 

「おい、サルとゴリラとシーモンキー。留年するのはお前らの勝手だがな。」

 

 

木刀を手に補習生トリオに容赦なく毒を吐くのは水鏡凍季也。頭脳明晰で女性と見紛う美貌だが、口が悪い事をはじめ性格には色々と難がある。色々と。

 

「満足に単位を取れないお前等の為に、柳さんからのご要望で勉強会を開いているんだ。

せめて僕の時間を有意義なものにして貰おうか。」

 

そう言って水鏡は手作りの5教科のプレテストを取り出し、全員に配る。

 

「大丈夫。学年トップの水鏡センパイに教えて貰ったら何とかなるよぉ。烈火、風子ちゃん、土門くん。みんなで二年生になろうね。」

 

座卓を囲むもう一人、佐古下柳が屈託なく笑い掛ける。

色素の薄いロングヘアの、容姿端麗な少女だ。

成績優秀・不思議ちゃん・お嬢様・地域で一番の美少女・貧乳等様々なヒロインスペックを併せ持つが、一つは地雷である。

 

「ありがとよ、柳…みーちゃん。けどオレぁ親の後継ぐから勉強しなくてもいーんだぜ。

留年さえしなきゃいいから楽勝だべ。」

 

「そ、そうなの?」

 

「ふん、甘いな。」

 

余裕をかます烈火に釘を刺す水鏡。

 

「赤点のボーダーは30点。

お前は1学期の得点がほとんどないから、2学期で埋め合わせをするなら、中間・期末共に60点前後必要だ。

立迫先生の補習は助け船だったんだが、踏み倒したんだろう?」

 

「嘘だろぉおおーー!」

 

糸が切れて地獄の底へ墜ちていくカンダタ状態の烈火だった。

 

「ほえー、知らなかったー」

「ちゃんと得点のある柳さんには無関係な話ですよ。」

 

 

「ぐおぉおー分かんねぇえー!チクショウ60点めえー!」

 

やる気になったはいいが、独り言まで騒がしい大声。塾だと即退学にされても文句は言えないだろう。

 

「フン、まずは黙って机に向かうところから勉強だ猿。」

 

「うっせえ!馬鹿って言ったらバカだから猿ってゆうてめーもサルだ固羅ぁー!」

 

「小学生かお前は」

 

「ケンカしちゃだめっ、私が教えてあげるからこっちでお勉強しよ、ねっ?」

 

柳が二人をなだめていると、嬉々とした声が上がった。

水鏡の手に、意外にも解答欄が埋まった『赤点対策プレテスト』が手渡される。

「終わったぁ──っ!どおみーちゃん、風子ちゃん合格っしょ?

烈火、土門、おっ先─v

行こ柳、さーアイスあいす~」

 

「…待て。」

 

ハイテンションな風子を背後から沈んだ声が刺した。

 

「日本語は理解出来るか?

僕は英語と国語の課題を出したはずだ。ここにある数学は得意科目だったな。」

 

「くうー、英語なんかガイジンがやればいいんだー!古文は昔の人が、」

 

「今や・れ。サボったらコロス。」

 

「うぅ、ワカリマシタ…

と見せ掛けてみさわのエルボー」ゴンッ!

 

「……風子。そこでバケツ持って立っていろ。」

 

「~、暴力はんたい、体罰はんたい!」

 

「お前が言うな。」

 

拳骨で風子の不意打ちをあしらって、水鏡は深い溜め息を吐いた。

 

「はー…(コイツらに勉強させるより幼稚園児に九九を教える方が簡単だ。絶対に。)」

 

 

一息ついて水鏡は、何故か土門が馬鹿騒ぎに加わっていないのを不思議に思って問い掛けてみた。

 

 

「どうした、考え事かフランスモアイ。お前らしくないな」

 

「みー坊。いや、平和過ぎんのも退屈だなーて思ってよ。

なんかまたスゲー悪いヤツが来て仲間とやっつけてハッピーエンド~! とかねーかなー、なんて」

 

 

「…間違ってもヤ○ザの事務所には乗り込むなよ。

あとせめてプリントやれ。」

 

その時彼らはまだ気付いてはいなかった。

天地を揺るがすくらいに壮大な事件に巻き込まれるとは──。

 

 

ピンポーン!!

 

またこの来客がその引き金になろうとは──。

 

「すいませーん!」

 

「へーい。」

 

引き戸を開いた先に長身の青年が立っていた。手には少し分厚目の赤い本を持っている。

 

「花菱花火屋さんですかー?」

 

「おう。」

 

烈火は誰に対しても、友達のような調子で言葉を返す。

例え相手が客でも、教師や先輩でも、年上目上でも関係ない。

 

「俺、宿南光(すくなみひかり)っていいます。突然で悪いんですけど。」

 

「ん?別にいーぜ。」

 

「腕から火が出る火影忍者、後『マドウグ』はご存知ですか?」

 

「おーいおめーら、ちょっと来ーい。」

 

 

懐かしい言葉を聞いて、烈火は他のメンバーを呼ぶ。

 

 

「何を隠そうオレが火影忍軍七代──」

ぐしゃ、ドゴッ、バキィッ。

 

すかさず土門、風子、水鏡が

制裁を加えた。

 

「また悪い奴だったらどーすんだお馬鹿!」

 

「人体実験や人身売買…変な輩は大勢いるんだぞ!」

 

「アンポンタン!」

 

「痛~、コイツは悪いヤツのやな感じはしねえ。だからいーんだ。

もし悪いヤツだったらぶっ飛ばすだけだ!」

 

「あ…そうっすかどうも…っとと!?」

 

火影メンバーに圧倒されて、気が緩んだ光の手から本がずり落ちた。

床に落ちた本はパラパラめくれて、開いた状態で静止した。

そのとたん、

 

 

本の中から赤い光が溢れ出て、6人を吸い込んでいった。

 

「おわぁあーっ!」

「きゃあぁぁー!」

「災難だ…」

「ホワイトホール希望─っ!」

「死にたくねえ──ッ!」

 

「ありえねー、まだ話し終わってねぇぞー!」

 

 

 

 

光は母親譲りと思われるドジを心底呪ったが後の祭り。

虚しい叫びは木霊さえ残らずに現世から立ち消えた。

 

 

 

 

 

いざ物語は始まらん──

 




…前置き長くてすいません。
火影メンバーがひと所に集まって騒いでいるのを想像すると、ダラダラしたギャグになってしまいました。烈火原作のおバカな会話が好きなんです。
烈火の炎を知らない方を意識してキャラの説明を入れてみたのですが…文章って難しいです。
半分オリジナルでふしぎ遊戯の主人公カップルの息子・光くんを出してみました。情けない登場で本当にごめんなさい。
後々格好よくしてあげたいです。






…ってここまで読んでる方いるのかな?
ご閲覧頂いた方に感謝であります。

2015.11.25
英キョウ
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