艦隊これくしょんー赤い色の風が吹くー   作:プロキオン

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ぎりぎり一週間以内に間に合いませんでした、次は間に合わせます。

それではどうぞ!!


第二話ー邂逅ー

四月三十日、リンガ泊地泊地へ異動する人間二人は輸送船に乗っていた。

輸送船の周りをリンガ泊地へと異動となった艦娘三人(三隻と言うのが正しいのだろうが…)が取り囲んでいる。

海路は深海棲艦の支配領域を抜けて行く行為の為危険には変わりないのだろうが、艦娘が船を守っているので少し安心できる。

そんな船の甲板で志島中佐は溜め息をついていた。

 

「どうしたのたっくん、溜め息なんかついちゃって?」

「分かってんだろ鹿火屋、俺らの行く泊地の事だよ。リンガに比べりゃ横須賀は天国だ。」

 

 

溜め息をつく巧に声をかけたのは日本海軍所属鹿火屋 桔梗(かびや ききょう)中佐だ、横須賀海軍大学開発科の出身で

サバサバとした性格とストレートの黒髪と長身の美貌のため、海大時代から異性に人気があった。

余談だが、二人は海大時代から仲が良い。

 

「リンガ泊地の基地機能の復旧、駆逐艦不知火の状態確認の後メンタルケア、

パレンバン製油所の燃料の価格交渉。仕事は山済みか、頑張れたっくん。」

「何言ってんだ、鹿火屋。お前も手伝え、階級同じだろうが。」

 

階級同じだから仕事を一方的に押し付けられないのが面倒なんだよね 、

と呟きながらあくまでやる気を見せない鹿火屋がやる気を出すのは、

艦娘の装備の開発くらいで他を真面目に行うのは見た人がいないと言う噂もある。

 

「そんなこと言うけど、私ができるのは装備の開発と艦娘の艤装の修理くらいだよ、それ以外はたっくんがやるしかない。」

「仕方ないか。装備の開発と艤装の修理ぐらいはしっかりやってもらうぞ、他の事は出来るだけ俺がやろう。」

 

鹿火屋に仕事をさせるのを諦めた巧は頭を抱えるが、気を取り直し話題を変えた。

 

「そういえば、作りたい装備でもあんのか、中将が決めたとは言えお前の意思は尊重された筈だ、リンガに異動する理由はそれだろ?」

「一番の理由は面白そうだったからなんだけどさ、私とたっくんの二人とか色々出来そうだよね。」

「色々できるが色々問題起こしそうだがな。海大時代の二の舞は御免だよ問題児。」

 

暗に自分の意思は尊重されていないと僻むようなことを言った巧にクスりと笑みを浮かべた鹿火屋が気を取り直すようにそう言った。

海大では前歴のせいでアンタッチャブルな立ち位置にいた巧と海大始まって以来の問題児である鹿火屋のコンビは教官たちの悩みの種だった。

 

「みんなが私の事問題児とか言うけどそんな事無いと思うんだけど・・・」

「あんだけ海大の開発・修理施設(こうしょう)の機能にケチつけて夜中に侵入した挙句開発用の資材使い果たす勢いで接近戦専用のオリジナル装備作った馬鹿は誰だよ?」

「そうは言うけどたっくんも私と一緒に侵入して見周りの人を気絶させて監視カメラまで壊すからテロリスト扱いされて捕まってたじゃん。」

 

お互いの黒歴史とも言える過去を掘り返し軽口を叩き合っている時に輸送船の護衛である軽巡洋艦神通から通信が入った。

 

「志島中佐、こちらは軽巡洋艦神通です。今のところ敵影は無し、後一時間でリンガ泊地に着くので船を降りる準備をお願いします。」

「了解した。輸送船の護衛で疲れているだろうが、もう暫く頑張って欲しい。」

「我らお任せください、それではまた後ほど。」

 

事務的な連絡を受け、船を降りる準備ができたところで一同はリンガ泊地に着いた。

 

 

 

 

輸送船から降りた人間二人と、艤装を外した艦娘三人はリンガ泊地の中央にある司令部と呼ばれる建物の前へ集まっていた。

 

 

 

 

「艦娘の諸君、護衛任務お疲れ様と言っておこう。一先ず補給を終え二時間後に提督室に集まって欲しい。」

「じゃあ、神通ちゃん達は私に着いてきて、時間もあるし軽くなら艤装の整備出来るだろうしね。」

 

 

巧がこの後のしなければならない事の前に一度休んでくれと伝えると鹿火屋が艦娘三人を開発・修理施設(こうしょう)に連れて歩いてった。

周りに誰もいなくなり手持ち無沙汰になった巧がぼんやりと海を眺めていると泊地の中央にある司令部から艦娘が一人出て挨拶をした。

 

「志島中佐、リンガ泊地へようこそ。駆逐艦不知火です、あなたの事は信用する気は無いのでそれを覚えておいてください。」

「なかなか手厳しい挨拶だな、信用はしなくても海の上では出来るだけ命令に従ってくれるとありがたい。」

「わかりました、そういう事にしておきましょう。不知火のせいで他の艦娘を沈める事はしたく無いので。」

 

不知火はお前など信用しないと言った目で巧を睨みつけている。

巧としては深海棲艦との交戦時以外でもコミュニケーションをとらなければと思ってはいるが・・・

 

不知火は思ったよりも頑ならしい。

 

「一つ言っておきましょう。不知火はマフィアなんて連中が嫌いです、リンガ泊地の前任の指揮官もマフィアと癒着していて武器の横流しをしていました。それを上層部に密告しようとした黒潮は、無理な出撃を強いられ既に沈んでいます、不知火はそれを決して許しません。」

「君が俺を嫌いな理由はわかったし、同情もする。だから頼みがある、俺を一人の提督として見てくれないか?

俺の前歴は君の大嫌いなマフィアだ、だが今俺は日本海軍の一人の軍人としてここにいる。」

 

不知火はそんな事で納得できるかと言わんばかりの目で巧を見た後ため息をつき、巧の方へ向けていた顔を下した。

しばらくして顔を上げた不知火は艤装を召喚し12.7cm砲を巧の胴体にに突き付けた、その顔には何の表情も浮かんでいない。

 

「どうやら理解ができていないようですね、不知火はなれ合う気はないと言った筈です、これでご理解いただけたのなら今あなたに突き付けている砲を撃たずに済むのですが・・・」

 

不知火の人間への憎悪は相当な物らしく必要があれば人間を殺すと宣言した不知火に砲を突き付けられている張本人は命の危険にも関わらずさも可笑しそうに笑っていた。

 

「何が可笑しいのでしょうか、怪しい動きをしたら撃ち抜きます。一応言っておきますが不知火は本気です。」

「本気なのは分かってはいるがお前があまりにも人間に似ていて笑えたものでな。そして一つ教えておいてやろう不知火そもそも砲の使い方が違う。それはお前たち艦娘が深海棲艦を屠るためにあるものだ、人間を脅す為の物ではない。」

 

そう言い切った巧は不知火が制止する間もなく不知火へと向きかえり彼女の眉間に銃を突き付けた。

 

「これが人間同士で話す時有利かつ合理的に話しを進めるための魔法の道具だ、これさえあればシュワルツェネッガーの演じる未来から来た殺戮マシンでも壊せる。」

 

そう言うと一歩下がり不知火の眉間から銃口を離し、握っていた銃を不知火に向かって放り投げた。

 

「何のつもりでしょうか志島中佐?こんな物を不知火に与えてもよろしいのでしょうか?」

「何の問題もないさ、自分の私物を与えても上は何も言えんさ。取り合えず持っておくといい、どこかで役に立つだろう。気に入らない提督を撃ち抜くも良し、自決用に取っておくのも面白いだろう。気を付けるべきこととすれ

ばお前の大嫌いなマフィアを片付けるには向いていないが銃を撃つ練習にはなるだろう、マフィアを片付けたいなら言ってくれ別口で用意しよう。」

「どういうつもりかは理解できませんが、ありがとうございます志島中佐。目的への指針ができました。」

「それならば行幸だ、そろそろ時間なので提督室に来てくれ艦娘の顔合わせがしたい。」

 

巧は先に司令部の中へ消えて行き後に残ったのは巧に渡されたスッチェッキンマシンピストルを眺める不知火だったがしばらくして提督室へ向かった。

 

 

 

 

 

「志島 巧だ、階級は中佐だ。まだこの艦隊の勝手がわからないがそれもおいおい判断することにしよう、これからよろしく頼む。」

「鹿火屋 桔梗よ、私も階級は中佐だけど基本は開発・整備施設(こうしょう)にいると思うわ。欲しい装備があれば言ってねすぐに作るから、これからよろしくね。」

 

 

人間二人が挨拶し終わると軽巡洋艦神通が口を開いた。

 

「川内型軽巡洋艦二番艦神通です、ここに来る前は横須賀鎮守府にいました。

この艦隊では旗艦を務めると思います、みなさんよろしくおねがいしますね。」

 

神通は横須賀に居た時から巧を知っており彼の指揮能力を高く評価している艦娘だ。艦娘になる前にも武勲艦として知られている通り練度が高い。

 

「陽炎型駆逐艦一番艦陽炎です、前は佐世保に居たわ、練度にはそれなりの自信があるから期待しててね。」

 

陽炎は不知火の姉妹艦であり佐世保で重巡洋艦那智に鍛えられていたという話は有名だそれゆえ砲撃が得意らしい。これは期待できそうだと巧は考えていた。

 

「陽炎型駆逐艦十番艦時津風だよ、前は佐世保に居たんだ。できればもっと強い砲が欲しいかなって思ってるんだけどね、仕方ないか。」

 

陽炎型駆逐艦十番艦時津風も陽炎と同じように那智に鍛えられた駆逐艦だが姉の陽炎とか異なり雷撃戦が得意らしい、砲撃戦がそこまで得意ではないため強い砲が欲しいらしくすでに鹿火屋に相談をしている。

 

「陽炎型駆逐艦二番艦不知火です、ご指導ご鞭撻よろしくお願いします。」

 

不知火は基本寡黙らしくほとんど喋らない、それでも陽炎と時津風に絡まれてうっとおしそうなふりをしているが内心うれしいらしく笑っている。

 

 

 

 

「いまのところ四隻だがしばらくすればドイツからの駆逐艦が二隻出向してくるらしい、それで六隻になるわけだが一応実験部隊と言う事になっている、武装を作る分の資材はある程度融通が利くらしい。鹿火屋、刀でも改造ハンドガンでもなんでも好きに作れ、もう驚かない。」

 

巧が鹿火屋にあきらめたように言うと艦娘全員を連れて部屋を退出し早速武装を作りに行こうとした鹿火屋をおさえるようなタイミングで警報がなり深海棲艦が泊地に近付いていることが知らさせた。

 

 

「ある意味最高のタイミングじゃねえか、正式に此処の所属になるには一日早いが行ってこい、お前らの力を見せてくれ。」

「さっき艤装も整備したから問題はないはずだよ、帰ってきたらご飯にしようか。」

「了解しました、水雷戦隊出ます!!」

 

 

神通の声により艦娘一同は下の階へ向かった・・・

 

 

 




次回は戦闘回です、うまく書けるといいですが・・・

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