異形のバースト・リンカー『凍結中』   作:羽島羊

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ついに本編に入ることが出来ました。
どう原作キャラと絡ませるか色々四苦八苦しながら書いていますが、それが楽しく思えてきますがそれに伴い執筆スピードが目に見えて落ちてきているのが悩みですが…。
それと感想を頂いたのですが、その際カーボン・マジシャンのカラーがグラファイト・エッジと被っているのでわ?という質問を頂いたのですが、かなり近いカラーということで納得して頂ければ幸いです。
詳しいことは感想にて返信させて頂きましたのでそちらをご覧下さい。
それでは今後ともよろしくお願いします。


紅き来訪者達
転校生


「我と、我がレギオン<ネガ・ネビュラス>、今こそ雌伏の網より出でて偽りの平穏を破らん!!

剣を取れ!!炎を掲げよ!!戦いの時・・・来たれり!!

 

金のレギオンの結成、そして赤と黒のレギオンの崩壊から時は流れ悠夜は中学生になっていた、リアルでの中学生としての普通の日常と加速世界でのバースト・リンカーとして戦い続けている。

そんなある日、彼にとある知らせが届いた。

 

それは飛行アビリティを持つデュエル・アバターの出現と黒の王ブラック・ロータスとそのレギオン<ネガ・ネビュラス>の復活、どちらも衝撃的なニュースだった。

 

その知らせを受けたのは休日ということもあり自宅の自室にて学校の課題をこなしている時だった。

 

「黒の王の復活と飛行アビリティの出現か、杉並区で同時期に2つもこんな大きな事が起きるとはね…まさかとは思うけどこれは何か関係が有るのかな?」

 

そしてその知らせを受けた直後にメールが届いた、差出人は悠夜の所属するレギオンの参謀役を勤めているカーボン・マジシャンからだった。

 

メールを読んでみると黒の王の復活に関して緊急の会議をするので無制限中立フィールドに有る本部に集合してほしいとのことだった。

 

集合時間を確認してメールを閉じると今度は部屋のドアがノックされカズトの声が聞こえた、その声はかなり焦っているようだ。

 

因みにカズトとナギサは小学5年生になっていた。

 

「ユウ兄いる!?大変!一大事だよ!」

 

「飛行アビリティと黒の王についてだね?」

 

「そう!どうすんのこれから?」

 

「取り合えずこれから会議があるから、そこで色々話し合って今後の方針を決める事になると思うよ」

 

「そっか、じゃあ方針決まったら教えてね」

 

「うん、了解」

 

カズ君が部屋から出て行くのを見送りながら無制限中立フィールドに行く準備をする、自動切断タイマーをセットし終わり一息付く。

 

「飛行アビリティに黒の王の復活・・・これで漸く8大レギオンがそろったか、これは荒れるね」

 

 

 

 

 

              ****************

 

 

 

 

 

場所は変わり杉並区に有る梅里中学校、そこに通う生徒の一人である有田春雪は二ヶ月前、生徒会副会長である黒雪姫と出会い、ひょんなことからブレイン・バーストをコピーインストールされバースト・リンカーになって二ヶ月、その間に色々な事が有った。

 

黒雪姫が入院したりハルユキの親友であるタクムがチユリにバックドアプログラムを使って黒雪姫を襲撃してそれがきっかけで、互いの気持ちと拳をぶつけ合い今では和解して一からやり直す事になった。

 

そしてタクムがネガ・ネビュラスに入り梅里中に転校して二ヶ月、チユリとの関係も少しずつだが改善されており昔の関係に戻るのも時間の問題であった。

 

そんなある日の朝、ハルユキは何時ものように梅里中へと登校しラウンジへと向かう、中に入るといつものテーブルには既に黒雪姫がいた。

 

「おはようハルユキ君」

 

「おはようございます先輩」

 

朝の挨拶し軽い雑談をしていると黒雪姫はふと何かを思い出しような感じで話しを切り出してきた。

 

「そう言えばハルユキ君、今日君のクラスに転校生が来るそうだ」

 

「転校生ですか3学期に珍しいですね?

「ああ、今日の生徒会への連絡事項であったのだよ、因みに女の子だそうだが分かっているとは思うがくれぐれも・・・私を裏切る様な事はしないでくれよ?」

 

そう言って笑顔で微笑む黒雪姫だがその目は笑ってず、おまけに凄い威圧感まで出していた。

 

「しません!絶対しません!」

身の危険を感じたので直ぐさま否定するハルユキ、すると信じてくれたのか「そうか、なら安心だ」と言って置いて有ったコーヒーを飲んで漸くその威圧感を収めた。

 

「それともう1つ君に言わなければない事が有るんだよ」

 

「な、何ですか!?」

 

まだ何か有のかと一瞬体がビクンとなってしまう。

 

「今回は転校生の前居た学校が東京と遠く離れた所だから恐らく問題ないと思うが基本的には都内での転校及び進学の際は警戒しなければならないが何故だと思う?」

 

「え~と、転校生や新入生の中にバースト・リンカーがいるかもしれないからですか?」

 

「その通りだ、今回の転校生は都外だから問題無いが今後もそうとは限らないからな。

まあ、警戒するとしたら来年の入学式の時だな。さてそろそろ授業が始まる時間だな、また昼休みに」

 

「はい」

 

その後黒雪姫と別れ自分のクラスに向かい自分の席に着くと少しして担任の教師が入ってきた。

 

「朝礼を始める前にまず今日からこのクラスに新しい仲間を迎入れる事になった」

 

教室に入るなり開口一番に発した言葉に教室はざわめき始めた。

 

ハルユキは事前に黒雪姫から知らされていた為驚きは無い。

 

「静かに、それじゃあ入って来てくれ。」

 

そう言われて入って来たのは茶色く長い髪をポニーテールにした活発そうな女の子だった。

 

「皆さん初めまして、愛知県から転校して来ました秋山 零と言います、趣味はお菓子作りで部活動は柔道部に入ろうと思っています。これからよろしくお願いします」

 

そう言って一礼する秋山。

 

「それじゃあ秋山の席は・・・幾つか空いてる席が有るから選んで座ってくれ」

 

「はい、わかりました」

 

秋山が選んだ席はハルユキから見てニ列前の席を選びそこに座った。

 

「お前達も秋山に色々と聞きたい事が有ると思うから特別に10分間だけ質問タイムにしてやる、質問が有る奴は手を挙げろ〜」

 

するとクラスの8割近く(主に男子)が手を挙げた。)

 

まず1人目男子「彼氏はいますか!?」

 

いきなり欲丸出しの質問がきた、恐らく転校してきたばかりなので、いないと思っているのだろう。

此処で秋山がいないと言えば立候補する気だ。

 

勿論ハルユキは立候補する気は無い、と言うより立候補したことが黒雪姫の耳に入れば間違いなく自分の首と体は即サヨナラする事になるだろう。

 

そしてクラス中の男子が注目する中彼女の答えは・・・。

 

「残念ながらいますよ」

 

だった、これにより男子の8割近くが撃沈したがそれを聞いて彼氏に興味を抱いたのか今度は女子からこんな質問がきた。

 

「その彼とはいつ頃からお付き合いしてるんですか?」

 

「小学生の低学年の頃からですね、ようするに幼馴染というやつです」

 

秋山の答えを聞いた女子達は遠距離恋愛だ、ときゃあきゃあ言いっている、一方ハルユキは別のことを考えていた。

 

「(聞いた限り秋山さんは東京とは接点が無さそうし、これならブレイン・バーストとも関係は無さそうだから心配要らないな)」

 

この時点で既にハルユキの秋山に対する警戒心は殆ど無くなっていた。

ハルユキが脳内でそう結論を出している間に質問時間は終わり通常の授業へと移りいつもと何も変わらず平穏に進んでいった。

 

そして休み時間になると警戒されていた当の本人は休み時間と言う事も有り周りに集まってきたのクラスメイトからの質問に答えていた。

 

それを大変そうだなと思いながら席を立ち教室から出て行くハルユキ、警戒心が無くなった為加速してマッチングリストを確認するのも必要無いだろうと思い、のんびりと歩く。

だからこそハルユキは気付かなかった、席を立ち歩きだす際に質問に答えながらも秋山が横目で自分を見て不適な笑みを漏らしたことに。

 

 

 

午前中の授業が全て終わり昼休みに入るとハルユキはすぐさま教室を出ると学食で買った昼食であるカレー(大盛)が載ったトレイを持ちながら黒雪姫のいるテーブルに向かう。

 

「来たかハルユキ君」

 

そう言って出迎えてくれる黒雪姫、ハルユキがテーブルに着くのを確認すると直結用のケーブルの片方をハルユキに差し出してきたのでそれを自分のニューロリンカーに接続する。

 

最初の内は戸惑ったりしていたのだがそれも今ではすっかり馴れてしまった。

 

『早速で申し訳無いが転校生の件はどうだった』

 

『1時間目の授業が始まる前に転校生への質問タイムがあったんですけどその時聞いたことを聞く限り、秋山さんはバースト・リンカーじゃなさそうですね』

 

それを聞いて黒雪姫も安堵を浮かべた。

 

『それならば安心だな。それで、その転校生は可愛いかったか?」

 

『そうですね…活発そうでボーイッシュな感じがしました、多分チユに近いタイプの人ですね』

 

『それで彼氏はいるのか?』

 

『それはさっき言った質問タイムの時にも出たんですけど、いるそうですよ』

 

『ほう、それは好かった。これで要らぬ心配をする必要が無くなったな』

 

その一言を聞いてハルユキはようやく自分が黒雪姫に誘導尋問されているのに気付く。

 

『例えいなかったとしても僕は黒雪姫先輩一筋ですから大丈夫です!』

 

『なら安心だな、さてそろそろお昼にしようか?』

 

接続していたケーブルを抜く黒雪姫を見てハルユキも自身のニューロリンカーに接続していたケーブルを抜きカレーに手をかけようとしたその瞬間バシイイと鳴り響いた。

 

そしてハルユキの体がリアルの体ではなく加速世界のシルバー・クロウの姿へと変化した。

 

「対戦!?何で!?」

 

突然の出来事に訳が分からず混乱しているハルユキだが隣から聞こえてきた凛とした声が聞こえてきた。

 

「落ち着きたまえハルユキ君」

 

声のした方を見るとブラック・ロータスの姿となった黒雪姫がいた。

 

そして次にガシャン!と音がタイマーと対戦者同士の体力ゲージが出現した。

体力ゲージに付いている名前を見ると自分の名前が表示されていたので対戦者が自分ということは分かったが問題は対戦を申し込んできた方だ。

 

「カーマイン・カノン・・・しかもレベル6!?」

 

名前を知らないのは仕方が無いとしても相手のレベルが6というのに驚いたハルユキだがそれ以上に驚くべき事が有る

 

「この学校には僕達三人しかいないはず」

 

「考えるのは後にして今は集中するんだ」

 

黒雪姫に言われ、理解し難い現象だが直ぐさま気持ちを切り替える。

 

「ハル!」

 

すると少し離れた所から自分の名前を呼ぶ声が聞こえてきたのでそちらを向くと青色のデュエル・アバター、シアンパイルことタクがいた。

 

「ハルこれは一体どう言うことなの?」

 

タクはどうやら今の状況を理解出来ていないらしい。

 

「俺にもさっぱり・・・!?」

 

自分も今の状況を理解しきれていないと話そうとした瞬間目の前から不可視の威圧感がハルユキを襲った。

 

「気をつけたまえハルユキ君、相手は中々の実力者みたいだぞ」

 

近くにいた黒雪姫にも恐らく今自分が受けた威圧感に気付いたのだろう、そして威圧感がした方向から一人のデュエル・アバターが姿を表した。

 

 

 

そして威圧感を出した張本人であるF型のデュエル・アバターはハルユキ達の目の前に来て立ち止まり対戦相手であるハルユキの姿を見て一瞬息を飲む様な感じがしたが恐らく気のせいだろうとハルユキは思い正体不明に対戦相手が攻撃してきた場合即座に対応出来る様に構える。

 

「そんなに警戒しなくても何もしないよ、まあ警戒するなって言うのが無理な話だよね?」

 

聞こえてきた声は間違い無く今日転校して来た彼女のものだった、そして彼女の問いに返答したのは黒雪姫だった。

 

「当然だ、マッチングリストにも載っていない相手が突然現れれば警戒すのは当たり前だろう?」

 

「マッチングリストに載っていないだって!?まさかバックドアプログラムか!?」

 

かつて自分が同様の手段を用いた為か過剰に反応してしまう。

 

「バックドアプログラムが何なのかは知らないけど多分違うよ、それよりも挨拶がまだの方もいたね。

ボクの名前はカーマイン・カノン、リアルの名前は秋山 零と言います、本日この梅郷中に転校してきました。以後お見知りおきを」

 

そういって一礼する秋山だが何も問題は解決していない。

 

「リアル情報までばらすとは何を企んでいる?」

 

「別に何も企んでいませんよ、まあ詳しい事は今日の放課後にお話しますよ、それよりもボクと手合わせ願うよシルバー・クロウ」

 

「何故だ?」

 

乱入されている時点で戦う以外に理由は無いと思うが一様聞いてみる。

 

「簡単な理由だよ、噂に聞く加速世界初の飛行アビリティを持つ相手と戦ってみたいだけだよ」

 

「分かったなら俺が勝ったら洗いざらい話してもらうぞ!」

 

レベル6の相手に勝てるかどうか分からないが一応条件を出しておく。

 

「おっ!強気だね~久しぶりにワクワクしてきたよ、いいよ君が勝ったら出来る限り話してあげるよ!

ただし、勝てればね」

 

「気を付けろ相手は仮にもレベル6だ、最初から全力でいかねば勝つ事は出来ないぞ!」

 

レベルが3つも上の相手に今の自分が太刀打ち出来るとは思ってないが戦うからには負けるつもりは毛頭無い、そして先程の黒雪姫に返す言葉は勿論。

 

「元より、そのつもりです!」

 

謎の襲撃者との戦いが始まった

 




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