和奏:私達が白祭の準備をしていた
紗羽「おはよ~」
大智「おっす」
ウィーン「おはよ、紗羽」
和奏「おはよ、ねぇ紗羽、来夏がまだいないんだけど…」
紗羽「え?」
和奏:ある雨の一日の出来事
紗羽「もうとっくに集合時間だもんね…どしたんだろ、来夏…」
大智「どうせ寝坊でもしたんだろ?」
和奏「田中は黙ってて」
大智「なっなんだよ…」
紗羽「ん~でもありえるかも…」
ウィーン「…あ、紗羽、携帯なってるよ?」
紗羽「来夏かな?…もしもし来夏?…うん…大丈夫?…もう、
来夏は頑張りすぎだって…ゆっくり休みなよ?それじゃ」
和奏「来夏なんだって?」
紗羽「昨日、夜遅くまで台本書いてて、朝起きたら熱があったみたい。
雨も降ってるから親に寝てなさいっていわれたんだって。
ごめんねってみんなに言っておいてって」
ウィーン「お見舞いいく?」
大智「あいつが風邪ひくなんて、意外だけどな」
紗羽「田中、それどういうこと?」
大智「馬鹿は風邪ひかないっていうだr」
紗羽「さいってー」
和奏「くず」
紗羽「くず」
大智「おっ、お前らまたっ!」
ウィーン「くず!」
大智「ウィーンまで!?」
ウィーン「来夏がいないから、僕が言った方がいいかなって」
大智「ウィーン…」
和奏「で、どうしよっか。来夏がいないなら、
白祭の歌の練習みんなでやるつもりだったけどできないね」
紗羽「うん…今日は私達も休も。来夏が良くなったときに今度は私達が…
なんてなっちゃったらもともこもないしさ」
大智「そっか…じゃあ俺はちょっと練習してくるわ」
和奏「バトミントンの?」
大智「バドミントンだよ!」
紗羽「ちょっと田中、今休もうっていったのに…」
大智「俺はむしろバドミやってる方が体調いいんだよ」
ウィーン「雨降ってるよ?」
大智「かっぱもってるから、それ着てやるわ。んじゃ」
ウィーン「大智は本当にバドミントン好きなんだね」
紗羽「好きだからってこんな雨の中かっぱ着てまでやって…田中って本当に
バドミ馬鹿だよね。田中からバドミントンとったら何が残るんだろ」
和奏「それ気になるかも」
ウィーン「じゃあ今度大智のラケットかくしてみよっか?」
和奏「ちょっ、ちょと、ウィーン?」
紗羽「ウィーンってたまにすごいことさらっと言うよね」
ウィーン「そう?」
紗羽「うん、ウィーンの天然って本当にすごいね…」
ウィーン「天然?」
和奏「ん~、なんていったらいいのかな…」
紗羽「ウィーン、天然って言うのは天に然りっていう漢文の言葉からできたんだよ」
ウィーン「そっそうなの!?それで、どういう意味なの?」
紗羽「天に然り、天である、神様みたいってこと」
和奏「ちょ、ちょっと紗羽?」
ウィーン「神様!?僕の中に神様が!?」
紗羽「そう、だからウィーンすごいっていったの」
ウィーン「知らなかった、僕の中に神様がいたなんて…ねぇ、紗羽、それは
どうやったらわかるの?ヤンにも教えてあげないと」
和奏「ウィーン、まただまさr」
紗羽「じゃあウィーンには特別に教えてあげる」
ウィーン「ありがとう紗羽!」
紗羽「じゃあウィーン、田中が帰ってきたら大声でこういってみて…ごにょごにょ」
ウィーン「うっうん、わかった。それで大智の中にも
神様がいるかどうかわかるんだね」
紗羽「そうそう、ちゃんと目をみてね」
和奏「紗羽、ウィーンになんていったの…?」
紗羽「ごにょごにょ…って」
和奏「ぷふ…それ、面白いけど…ふふっ」
紗羽「田中どんな反応するかな?」
和奏「うん、はやくみたいかも」
ウィーン「あ、少し雨が強くなってきたね…大智大丈夫かな?」
大智「すっげぇ降ってきたな!」
紗羽「あ、おかえり田中」
ウィーン「よっし…大智!!」
大智「なっなんだ!?どうしたウィーン?」
ウィーン「実は僕…女の子なんだ!!」
大智「………」
和奏&紗羽「(失笑)」
ウィーン「たっ、大智?」
大智「待ってくれウィーン、お前はちゃんと男と女ってわかるよな?
えーっと、そうだな、メンとウーマン、な?」
ウィーン「そっそれくらい知ってるよ!」
大智「じゃああれか…その、本当にウィーンは…いや、やっぱそんなわけない…
沖田、坂井、ウィーンになんか言ったろ?」
紗羽「何も言ってないよ…ふふっ」
和奏「うん、何も…ふふふっ」
ウィーン「大智の中に神様いなかったね…」
大智「は?神様?」
ウィーン「紗羽が教えてくれたんだ。神様が大智の中にいるかどうかわかる方法」
大智「待てウィーン。何もわからねぇ…そもそもどうしてそうなった?」
ウィーン「僕が天然だって紗羽が言って、どういう意味って聞いたら
神様が僕の中にいるってことだって教えてくれて、じゃあs…」
大智「だーもう!わかった、わかった!つまりまたうそ教えられたんだな?」
ウィーン「え?うそ?」
和奏「ごっごめん、ウィーン」
紗羽「ウィーンってほんと面白いからさ」
ウィーン「もう!ヤンにまた変なこと教えるところだったじゃないか!」
和奏「本当にごめんって」
大智「ったく、何度もだます方も方だけどな、何度もだまされるウィーンも
どうかと思うぞ?やっぱ、今度ちゃんとした本買いにいこうな」
紗羽「でもウィーンってよく本読んでるよね」
和奏「今は何読んでるの?」
ウィーン「今はこれ! タケシの道!!」
紗羽「タケシ?」
和奏「そんな本あるんだ…主人公の名前かなんかかな…?」
大智「ウィーン、その本貸してみ?」
ウィーン「え?いいけど…はい」
大智「はぁ…やっぱりな」
紗羽「何なに?どしたの田中?」
大智「ウィーン、これな?タケシじゃなくて、ブシな」
紗羽&和奏「あぁ(納得」
和奏「雨、やまないね」
紗羽「そういえば今私達以外って、誰も学校にいないんだっけ?」
大智「こんな雨だし、何よりも一応白祭は中止っていわれてるしな」
ウィーン「でも、かならずやろう、そして成功させよう!」
紗羽「もちろん!」
和奏「どうする?そろそろ帰る?」
大智「この雨じゃかっぱ着てても制服やばそうだな…」
紗羽「田中、あんたのかっぱ貸してよ」
大智「なっなんでだよ!?」
紗羽「だってちいさい傘しかもってきてないんだもん。濡れちゃうのいやだし。
ね?お願い田中!」
和奏「田中は濡れても大丈夫」
ウィーン「そうだね」
大智「お前ら本当に最近俺の扱いおかしくねぇか!?」
紗羽「だって田中だし」
和奏「ねぇ?」
ウィーン「うん」
大智「くっ…わっわかったよ!じゃあ…ほっほら…」
紗羽「もじもじしてきもーい」
大智「うっうっせぇ!」
ウィーン「そういえばさ…」
和奏「どしたのウィーン?」
ウィーン「いや、今思ったんだけど、和奏は普通科の制服もってないんだっけ?」
紗羽「あ、そういえば和奏ずっと声楽科の制服だよね」
大智「先生にいってねぇのか?」
和奏「ううん。作ってもらいはしたんだけど、断って、やっぱりこの制服にね」
ウィーン「どうして断っちゃったの?」
大智「金がなかったとか?」
紗羽「田中は黙ってて、無神経」
大智「ぐっ…」
和奏「ううん。全然そういうんじゃなくて…」
紗羽「和奏、無理には話さなくてもいいよ?」
ウィーン「うん。和奏にはその制服がすごく似合ってるしさ」
和奏「ありがと。この制服のままなのには、ちゃんと理由があるんだ」
大智「坂井がまた歌やろうって思ったことと関係あるのか?」
和奏「ちょっと長くなるかも…いい?」
紗羽「うん、大丈夫だよ」
ウィーン「ゆっくりでいいよ、和奏」
和奏「私ね、普通科に入った時に、もう歌に関係することは一切やらない
って、そうきめて入ったんだ。歌は私とお母さんを引き裂いたって
勝手にそう思い込んで。
だから、ほら、田中が校歌歌わされた時あったでしょ?」
大智「あぁ、すげぇ恥ずかしかった」
和奏「あのときね、”坂井さんに歌ってもらおうよ”っていう声があがって
あと少しで大声で怒っちゃうところだったんだ
”私はもう歌なんて歌いたくない!!”って。
それぐらい、本当に歌が私を苦しめてた。
そんなときにさ、来夏と紗和が合唱部に入らないかって言ってきて、
正直本当にいやだった。嫌われてもいいから、二度と一緒にやろうって
いってこなくなるくらいやな態度をとろうって思った。
でも、来夏にも紗羽にも全然きいてなかった」
紗羽「来夏にはそういうのまったく意味ないからねぇ」
和奏「うん、本当にそうだと思う。そして、部設立のために私は名前を貸した。
名前くらいいいやって思って。田中とウィーンとバドミントンをして、
勝って、部員がそろった」
ウィーン「あの時から僕達合唱部は始まったんだね」
大智「ときどきバドミントン部な」
和奏「でも、私はすぐに退部するつもりだった。
一回歌えば来夏もこりるんじゃないか、あきらめてくれるんじゃないかって。
でも…」
紗羽「あきらめるどころかむしろやる気にさせちゃったね」
和奏「そう、あのときはもうあきらめてたかな。
もともと名前だけって話だったし、
幽霊部員にでもなっちゃえばいいかなって。
その時ぐらいにね、お母さんとの思い出を全部処分しようとしたんだ。
ピアノもストラップも、お父さんに頼んで、
まとめておくから処分しておいてって」
大智「全部か?」
和奏「ううん。結局ね、お父さんが全部自分の部屋にひきとってたんだ。
全部部屋からなくなった後でね、私、お母さんの気持ちに気付いた。
でも、気付いた時にはもう遅くって。私は本当にくやしくて、
お母さんごめんなさいって、ただただその気持ちでいっぱいになった。
私は、勝手に一人でいろいろ思い込んで、大事な大事な思い出を、
全部なくして逃げたんだって思った。その時に、お父さんが部屋に
はいってきて私に一枚の楽譜を渡してきて、、
”母さんが作ってた歌なんだけど、和奏の手で完成させてほしい”、
それから、”部屋が狭くなったから元に戻すならはやくピアノとか戻して
くれ”って」
紗羽「お父さん、優しいね」
和奏「全部私一人で勝手にやったことなのに、まるでお父さんには初めから
わかってたみたいで…私は夢中でその楽譜に飛びついて、
そして続きをつくりはじめた」
ウィーン「お母さんも喜んでるんじゃないかな」
和奏「そうだといいな…それで、ちょうどその時に制服ができるっていう連絡が
学校からあった。でも、私はそれを断った」
大智「なんで?」
和奏「知ってると思うけど、私のお母さんもこの学校出身で、
声楽科だったんだ。だから、この制服は、私とお母さんを
つなぐ制服。私は、この学校を卒業するその日まで、
お母さんと同じこの制服でいるってきめたんだ…
随分関係ない話もしちゃったね、はい!これでおしまい!」
紗羽「和奏」
和奏「ん?」
紗羽「ウィーンもいってたけど、きっとお母さんにも和奏の
その気持ち、伝わってると思うよ」
大智「あぁ、そうだと思う」
ウィーン「うん!」
和奏「みんな…」
紗羽「白祭で準備してた歌ってもしかしてさ…」
和奏「うん、お母さんからもらった、その楽譜」
ウィーン「これはいよいよ気合い入れなきゃね!」
大智「中途半端なことはできねぇな!沖田!宮本にも早く風邪治させて
練習しようぜ!」
紗羽「そうだね、来夏が始めた合唱部だもん、ちゃんとしてもらわなきゃ!」
大智「だから!ときどきバd」
ウィーン「まぁまぁ!いいじゃない大智!」
大智「よくねぇって!ウィーンおまっ」
紗羽「田中うるさい~!」
ガヤガヤガヤ…
和奏「ぼそっ(みんな、ありがと…」
和奏:いつの間にか、外は気持ちのいい晴れになっていました
~ED~