MONSTER HUNTER DESTINY   作:N-ao

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そろそろシンが狩りに行くのを見たいという方がいらっしゃいましたら、申し訳ございません。もうしばらくお待ちください。


HUNTING-03 「新たなる何か」

 シュッ、ズシン、シュッ、ズシン...

 

 心地よい風切り音と、聞く方をドキッとさせる激突音が交互に響く。音の主はただひたすらにそれを繰り返す。それが数百回を数えた頃、教官ー ライアン・ウィーバー・ゲイル ーから音の主に静止が入る。音の主は、その身の丈をはるかに超える剣をその場に置き、教官の方に向き直った。

 

「今のところ、大剣(この武器)が一番筋が良い」

 

教官はそう評した。音の主ーシンーも同じような感想だった。身体全体で持ち上げた時の重量感、肩に担いで振り下ろす態勢を作る時に芽生える攻撃的感情、振り下ろした瞬間の爽快感、その全てがシンに

 

「お前はこの武器を使う運命にあった」

 

と語りかけている、そんな感覚すら、シンは味わっていた。

 

「俺、大剣を使いたいです。」

 

 シンが教官に話しかけると、教官はその理由を問うた。曰く、「今まで教えた新米のハンターの中に、始めからこの武器を使うと決めていた者はいるが、決めていないのに、少し振っただけで武器を決める者は初めて見た」らしい。

 

 シンは、さっきの感覚を言葉にするために的確な語を探しつつ説明した。教官は頷きつつ、黙って聞いていた。シンが話し終わると、教官はさらに問うた

 

「お前、自分に戦士の資質がある、って思ったことはないか?」

 

その問いかけに、シンの顔が一瞬歪む。かつてザフトにいた時のことを嫌でも思い出してしまう。議長が言っていた「戦士の資質」それも「最強の戦士たり得る資質」、それが自分が憎む「フリーダム」のパイロットにはあるとは聞かされていた。

 

では自分はどうなのか。

 

直接言われたことはなかったと思うが、「デスティニー」のパイロットとしては十分な戦果を挙げてきた。家族を失ってから、力を得るための努力を惜しんできたつもりはないが、正直努力だけであれほどのことができたとは思えない。

 

「一応、ある...のかな?」

 

と答えておいた。一瞬でも顔に出てしまったのに嘘をついてもどうしようもない。もともと感情が表に出やすいシンにとっては、嘘で取り繕うこと其れ即ち己の首を絞めることであった。だから最低限当たり障りのない言葉で済ませる、ことでなんとかしてきた...が

 

「...いや、ふと思っただけだ。気にするな。」

 

とライアンの方からフォローが入った。シンはホッと胸をなでおろす。深く詮索したりはしないようだ。ついでにライアンは「今日の訓練はここまで」と言ってくれた、こういうところも含めてライアンはいいやつだ。シンは改めて、この人についていこうと思った。

 

 ふと見ると、ライアンが何か大きな包みを持ってきていた。それをシンの目の前で開くと、中にはさっき振ったものとは別の大剣二振りと防寒着が入っていた。ライアン曰く、大剣の片方は「ボーンスラッシャー」という、文字通り骨でできた大剣、防寒着の方は、「マフモフシリーズ」という、防寒着と鎧を兼ねた装備らしい。そしてシンが一番気になったのは

 

「この大剣、ちょっと細身ですね」

「それは、『太刀』ってやつだ。持ってみるか?」

 

促されて、シンは渡された太刀の柄を握った。こちらも骨製であるが、刀身の細さがそのまま軽さにつながっていて振りやすそうだった。オーブにいた頃に見た太刀よりも刀身かなり長く、太刀というより野太刀みたいだ、というのが見た目の第一印象だ。ライアンに許可をとり、振り下ろしてみると、先程よりずっと鋭く風を切り裂いた感触が手に残った。そのまま一気に連続で振ってみると、大剣を振る時とは比較にならないスピードの素振りが繰り出せた。

 

 先程の「この武器を使え」と言われるような感覚はあまりないものの、「デスティニー」に乗って対艦刀を振り回していた時を思い出し、逆にこちらが「この武器を使いたい」と思わせるような、そんな武器だった。

 

「どうだ、感触は」

 

どうだと聞かれて、シンはこの武器の、大剣とはまた違った爽快感やスピード感、魅力に惹き込まれる感覚を説明する。ライアンはフフッと笑い、同系統の武器なら扱い易かろうと太刀も併用していくことを勧めてきた。

 

「自分を使ってくれ」と、「自分と一緒に戦おう」と、己を引っ張ってくれるように語りかける大剣

「こいつを使いたい」と、「こいつとやっていきたい」と、惹き込まれずにはいられない太刀

 

 シンは深くは考えなかった。この二つは、例えるなら元戦友のルナマリアと、かつて守りたかった少女ステラのような「両方とも大事な」ものだとなんとなくそう思えて、端からどちらと決めることなどできないと分かっていたから。

 

「俺、両方とも使っていきたいです。」

 

今ここに、大剣士にして太刀使いの「シン・アスカ」が新たに生まれた。

 

 

 

 

 シンは新たなハンターとしてポッケ村の村長に挨拶しに行くべく、マフモフ一式を着込みボーンスラッシャーを担ぎ、村長のいるテントへ向かった。テント前には既にミラが到着していた。彼女は女物のマフモフを着込み、腰に短めの剣を差し、右手に盾を持っていた。

 

「ほうほう、お前さん達かね?」

 

 テントの入口から老婆の声が聞こえる。そちらを向くと、人間にしては異様に小さい背丈の老婆が立っていた。老婆はシンとミラをテントの中に入るよう手招きした。ミラは何の疑いも持つことなく入っていったため、シンはきっとあの老婆こそが村長であると信じてテントに入った。

 

「ミラ、お前さんがハンターとはのぅ。月日の経つのが早か早か。シン殿も、異郷の我が村のハンターを引き受けてくださるとは誠に感謝じゃ。」

 

テントの中で老婆が挨拶をする。「我が村」の発言から、どうやら本当にこの人が村長らしい。シンはとりあえず会釈をとった。互いに軽い自己紹介をした後、村長がハンターズギルド(ハンター達の自治組織。通常の職種ではこなせない危険な依頼をを受けて、それを自然界の様子、ハンターのレベルなどを見つつ割り振る役割を持つ。)の説明をし、シン達はその入会手続きを行った。

 

「さて早速じゃが、お前さんたちに簡単な任務(クエスト)をこなしてもらうぞ」

 

 シンは耳を疑った。まだここでは必要事項を紙に記入しただけなのにクエストを勝手にやっていいのだろうか。そのことを尋ねると、ミラが答えてくれた。

 

「この村ってすんごい辺境なの。だからギルド本部に連絡がつくまで時間がかかるわけね。それで、このポッケ村他いくつかの村は特例として、事後報告でクエストをやっていいってことになってるの。」「そのとおりじゃ」

 

 理解したところで話を戻す。今回のクエストは「雪山で、ポポという草食モンスターのタンを集めて来て欲しい」というものだった。どうやら最近、雪山でポポが見られなくなっており、タンのような一部分ともなると殆ど手に入らない状況らしい。村長曰く「いつもとフィールドの状況が違うのに新人を送り出して申し訳ない。十分に気をつけてほしい。」とのことだ。

 

「では今夜、雪山に向けて出発いたします。」

 

そう告げると、シンとミラは支度をしに、先程村長に指定された部屋に戻ることにした。

 

 

 

 

 村長に指定された部屋とは言っても、建物の少ないこのポッケ村で空いている部屋はなかった。そのため、苦肉の策として、ライアンの空き部屋があてがわれた。そのためシンとミラは二人揃ってライアンの家に踏み込んだのだが

 

「ニャニャ!誰だニャ!?侵入者だニャアアアア!」

「落ち着くニャ。今日から来るって言ってた二人組で間違いないニャ。」

 

...ドアを開けると、二匹の猫が二足歩行をして、しかも言葉を話していた。シンはあまりにも信じがたい光景にドアの前に突っ立ったままだった。すると中からライアンが出てきて二匹に何か話しかけ、それからシンたちを招き入れた。ミラは猫に向かって「初めまして」などと挨拶をしている。

 

「もしかして、シン、アイルーを知らないの?」

 

問いかけられ、シンは頷いた。ミラ曰く「アイルー」とは「獣人族」と言われる生物群の一種で、簡単に言うと「知能を持った二足歩行の猫」ということで、人間社会に暮らす者もいるらしい。アニメだったらよく出てくるような存在だが、現実に存在するということへの衝撃は未だ収まらなかった。ライアンはそんなシンと二匹のアイルーをとりあえず椅子に座らせて自己紹介をさせた。

 

「ニャッ!ボクはランマルだニャ。お二人さんのクエストについて行ってサポートをするのが役目ニャ、よろしくお願いニャァ。」

「ニャニャ!ボクはブレイクと言うニャ。美味しい料理を作るのが仕事ニャ、楽しみにニャ。」

 

ここまできても、シンの頭の中は未だ真っ白だった。この猫達が他の人に話しているならまだしも、自分に向かって喋りかけられると混乱して出る言葉も出なくなってしまう。そんな時、シンの背中に衝撃が走った。

 

「こら、ちゃんと挨拶しなさいよ。」

 

ミラが背中をぶったらしい。半ば強制的に、シンは未知の存在との交流をしようと、たどたどしくも言葉を紡ぎ出した。

 

「お...俺はシン...アスカって...言うんだ。まだルーキーやけん...たよっ、頼りないかもしれんけど......トリアエズヨロシクナ」

 

シンが話し終えると、二匹の猫はもっと話を聞かせて欲しいと目をキラキラさせシンにまとわりついてくる。そんな様子にシンは、アイルーという存在も案外悪くないものだとなんだか安心しじゃれあいだしたのだった。




どーもです。N-aoは今日19歳になりました。

とりあえずシンに関しては今回の話で割と「自分の中にあるシン像」をだせたかなと思っています。違和感のある人もない人もぜひぜひ感想お願いします。
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