土方歳三――義豊
趙雲子龍――星
徐晃公明――
程立仲徳――風
郭嘉奉考――稟
太史慈子義――
「流石にきついかなぁ、これは」
己の得物である三叉槍を振り回しながら、太史慈はぽつりと呟いた。
敵の数が、多過ぎる。
地の果てまで黄巾で埋め尽くされている光景を、太史慈は見たことがない。
正に圧巻の一言に尽きる戦場であった。
「歳三も同じ光景を見てるんだろうけど、怯えてないよね?」
と、言いながらちらりと太史慈は視線を、遥か向こうに見える小高い丘に向けた。
丁度黄巾党の死角になる、あの丘の裏側には歳三たちの本隊が居るはずである。
歳三の姿を一目見れたらなぁ、と太史慈は残念に多いながら、槍を振るった。
突撃してきた黄巾党が、吹き飛ばされる。
「嫌な戦場だよ」
思わずそう漏らしてしまうくらい、異様とも言える戦場だった。
太史慈ら青州兵たちの本来の目的は、補給物資を黄巾党にわざと襲撃させて左翼を本陣から引き剥がすことである。故に、この情報は黄巾党に筒抜けにしてある。
ここまでは良かった。
部隊が想定地点に到着する前に、黄巾党の襲撃にあったのである。
陽動のつもりが、逆に奇襲を受けた形になるが、太史慈による必死の指揮によって混乱はすぐに収まった。しかし、青州兵は怯えていた。
黄巾党にである。
「敵の数が多過ぎます!」
太史慈の近くに居た兵が悲壮に叫んだ。
そのくらいわかってるよ、と思いながら太史慈はまたも槍を振るう。
問題は数が多いことではない、恐ろしいくらいに敵が食らいついてくることである。
目が落ち窪み、頬が痩せこけ、腕が骨と皮になりながらも、黄巾党の軍勢は突撃してくる。
そして皆一様に言うのだ。
「張角様の為に! 張宝様の為に! 張梁様の為に!」
まるで呪詛のようだ、と太史慈は思う。
黄巾党はある意味で呪われているのだ、信じるだけで救われるなんてこと、ある筈ないのに。
太史慈の槍の一振りで、また多くの黄巾党が吹き飛ばされた。
兵の練度はまるで素人で、歳三が調練した兵よりも遥かに弱い。
しかし、繰り返される絶対的信奉の言葉を聞いているだけで気が滅入って来る。
本当に呪われてしまいそうだ。
こういう時、歳三はどうするのだろうと、ふと思ってまた丘の方に眼をやった。
黒衣の男が立っている。
その横には見知った姿である、趙雲らしき姿も見える。
「歳三?」
あんなところに立っていては伏兵が露見するのではないか、と太史慈は心配した。
その時、黒衣の男こと歳三の首がぐるりと回って、太史慈を見た。
遠く、ここからでは豆粒の様にしか見えないが、歳三は確かに笑っている。
太史慈はそう直感した。
それだけで、呪詛も怨嗟の言葉も全て跳ね返せるような気がして来た。
向こうに張角は妖術使いと聞いているが、それがどうした、こちらには黒龍が付いている。
「そうそう、ちゃんと仕事は……しないとね!」
太史慈の腕に並々ならぬ気合いが入った。
「はぁぁぁぁぁ!」
どっ、と黄巾党の軍勢を吹き飛ばすと太史慈は叫んだ。
「皆! 撤退するよ! 荷車は全部置いて行って!」
わっ、と青州兵たちは武器や鎧までも投げ出さない勢いで逃げ出した。
この様子なら、太史慈の指示がなくとも荷車は置いて行かれていただろう。
その姿に太史慈は少しばかり悲しくなった。
同じ青州の生まれであるというのに、どうしてこうも肝が据わっていないのだろうか。
歳三と比べるのは酷であるとはわかっている、けれどもどうしても比べてしまう。
「あーあ。私もすっかり歳三にぞっこんだなぁ」
照れ笑いを浮かべながら、太史慈は走りながら火矢を強弓に
そして器用にも振り返りながら、荷車へと火矢を放った。
荷車の表の食料へと群がる黄巾党を吹き飛ばす勢いで突き刺さった火矢は、油
「あぁあぁああああ!」
「熱い! 熱いぃぃぃ!」
「誰かぁ! 誰かぁぁぁ!」
運悪く荷車の放火に巻き込まれた黄巾党の兵たちの、断末魔が聞こえる。
やせ細った姿も相まって、地獄の餓鬼が炎に塗れて燃えているようにも見える。
あまり気持ちのいい光景じゃあないなぁ、と太史慈はなるべく考えないようにして、荷車すべてに火矢を放っていくが、意識は周囲の青州兵たちの言葉に向いていた。
「あの荷車は囮だったんだ!」
「土方はやっぱり俺たちを信頼していないんだ!」
「あいつは嘘つきだ!」
何が信頼してないだ、と太史慈は胸中毒づきたかった。
青州兵の中にも、歳三に自ら直談判して付いていこうとしている連中は居るのだ。
自分から行動も起こしていないのに、無条件に信頼されると思う方が間違っている。
その癖、ただ豪族の指示に従って歳三に嫌がらせを続けたのは誰だと太史慈は叫びたかった。
が、容易ならざる言葉が青州兵の間から聞こえてきた時、流石の太史慈も肝を冷やした。
「青州はやはり太史慈様が治めるべきだ!」
「そうだ、今なら土方が居ない!」
「青州は太史慈様のものだ!」
軍中で歳三を批判するのは、まだ良い。
だがこうして堂々と謀反の嫌疑を掛けられてもおかしくないことを言えるのか。
これも全て、青州の政治に入り込みたい豪族たちの声なのか。
「これは……私の手にはあまる事態だよぉ……」
太史慈は小声で漏らした。
趙雲ほどの機転もなければ程立の様な謀才もない、と太史慈は自分では思っている。
このままでは本当に、土方歳三に対する反逆の旗頭にされかねない。
「一体どうしたら……」
青州へと悶々としたものを抱えながら走る最中、太史慈はふと思い出した。
そういえば、青州を治める為に孫乾が訪れる手筈になっている。
孫乾に付いて、程立に並ぶ軍師・郭嘉も付いてくるのは間違いないのではないか。
この危機についても、程立は郭嘉に任せるようなことを言っていたではないか。
展望が明るくなったのを見て、太史慈は憂いを絶つよう様に首を振った。
「しっかりしなきゃ、私!」
郭嘉なら、歳三と程立が信じる郭嘉ならなんとかしてくれると思い、太史慈はただ走った。
◇
太史慈による陽動作戦は見事に成功したと、遠目から見てもよくわかった。
太史慈が率いる青州兵らは無事、撤退に成功。
左翼と本陣の連携は全くと言っていいほどになくなり、飢えに飢えた黄巾党の軍勢が荷車に殺到し燃え盛り混乱する様を見れば大成功だと太鼓判を押せる。
連携がなくともひたすらに大地を埋め尽くす黄巾党の軍勢を見なければ、の話であるが。
「いやしかし、こうしてみるとなんとも多い」
太史慈が見ていた丘の上で、趙雲が少しだけ声を震わせながら、軽口を叩いた。
目下全てを埋め尽くすほどの人、人、人の群れ、正に人海である。
そして目に映る頭全てに黄色の布が纏われているのだから、黄巾党の勢力が如何に強いかがわかる。皆、顔が引きつっていた。数は質を凌駕する。恐怖が蔓延していた。
しかしこの男、土方歳三だけは何が可笑しいのか、涼しい笑みを浮かべている。
「なに、この程度の兵なんざ私たちの前には居ないも同然さ」
本当に、眼の前には蟻の大軍しか居ない様な気軽さで、歳三は簡単に言ってのけた。
この男は剣戟槍弓が一万あるよりも、前装式のエンフィールド銃が百丁ある方がよっぽど怖い、ということを数々の戦争から熟知してきている。
だから、陽光を受けて鈍く光る刃を見ても、恐ろしい気持ちなどちっとも湧かないのだ。
ある種の気違いとも言えるが、真っ先に斬り込む将はこれくらいでなければ務まらない。
事実、大将格である歳三がこんなにも
歳三は、なおも笑いを浮かべながら言った。
「むしろこんなにも居てくれて助かるくらいだ。これを叩き割ったとなれば、私達の名は更に上がるぞ」
本当に嬉しそうに、こんなことを言ってのけるのである。
一番槍を務める為に隣に立つ趙雲でさえ、歳三の頭が狂ったのではないかと思うくらいだ。
けれども、そんな趙雲の視線を受けてか歳三は笑って。
「この数の前に臆したか、星」
と、言った。
こうまで言われては、天下に槍一番は私か太史慈かと自負する趙雲が面白いと思うはずがない。
自慢の槍をぶるんと頭の上で一回転させると。
「主こそ、この数を前に粗相などされたら困りますぞ」
と、言い返して見せた。
歳三はそれに大きく頷くと、趙雲に声を掛ける。
「さぁ、行こうか」
「もちろん。一番槍はこの星が見事に務め上げます」
「任せた」
短くそう言うと、歳三は兼定を鞘から抜いた。
陽光を受けてぎらりと光るその刀身は、眼下のどの刃よりも血を求めているように見えた。
「諸君!」
歳三が兼定を振り上げ、丘の後ろに振り返った。
徐州の兵、幽州の兵、そして自ら志願した青州の兵たちが、歳三を見ている。
歳三の腹から轟く声が、兵たちの腹の底でこだまする。
「駆けあがれ!」
どっ、と隊列を乱すことなく、丘の上に一軍が現れたのを、黄巾党は果たして見ただろうか。
黄巾党の一部が、歳三たちの存在に気づいたようだがもう遅い。
先に歳三達に気づき、攻撃を仕掛け機先を挫いていたならば、彼等は勝てていただろう。
それほどまでに数というものは強い。
だが逆に言えば、同じように攻撃を仕掛けられ機先を挫かれれば、数も質に負ける。
「全軍突撃!」
歳三が叫び、趙雲と共に走り出した。
兼定が振り下ろされ、獲物を喰らおうとする刃が陽光を反射し
「一番槍、土方歳三が配下! 趙雲子龍が参る!」
だが、彼等はもう歳三と趙雲を頭とした、一匹の黒龍に成り上がっていた。
そして龍に相対した愚かな人間の末路はただ一つ。
絶対の敗北である。
趙雲が黄巾党を吹き飛ばし、歳三も負けじと討ち漏らしを斬り殺す。
そして続く者たちが立ち塞がろうとする者共を剣で、槍で、あるいはその身体で叩き潰していく。
その鋭さは例えるならば
わっ、と全軍が黄巾党の陣に出来た隙を鋭く突き進んでいく。
その姿は正に、黒龍が現れ人海を断っていくと例えるに相応しいと言えた。
◇
走る、斬る、走る、殴りつける、走る、蹴り飛ばす。
一歩たりとも止まることなく黄巾党の海の中を走り続ける歳三の眼に、遂に切れ目が見えた。
(なんでぇ、もう終わりかい)
と、落胆の声を心中で上げた歳三はもう一度兼定を握り直して、叫びながら走った。
「全軍止まるな! 後ろを見るな! 星の指示を仰げ!」
と、向かってくる自軍の合間をするりと通り抜けていく。
途中、軍中の真ん中に居た徐晃と程立とも会ったが、目で会話を果たすと歳三は走った。
徐晃も程立もわかっている眼だったのが、歳三にはわかったのである。
このまま軍中を突破しても、勢いを付けてきた黄巾党がこちらに突撃してくる可能性がある。
そうなれば勢いのまま、被害が出る可能性が無きにしも非ず。
だから、それを止める役目が必要だった。もちろんそれは歳三でなくてもいい。
それでも、歳三は黄巾党へと向かって走る。
途中ですり抜けていく徐州の兵が、幽州の兵が、青州の兵が、驚きの眼で歳三を見ている。
(ああ、こいつらが驚いているんなら、敵さんはもっと驚く筈だぜ)
と、嬉しく思いながら歳三、再び黄巾党と相対した。
将軍が、一度抜けた敵陣にまた向かうと言うある種の異常事態に、黄巾党は度肝を抜かれた。
黄巾党は皆一様に足を止めてしまうのは、致し方ないと言えるだろう。
その中でも、絶句しながらも斬りかかろうと剣を振り上げた者が居た。
歳三、即座にその者に狙いを定めると、兼定を振り抜いた。
兼定は見事腰の柔らかい、肋骨と腰骨の間を斬り裂いたが、未だその男は絶命していない。
その場で、たたらを踏んだ。
「聞けぇ! 黄巾党どもォ!」
歳三は倒れそうな男の、裂かれた腹の間にずぶりと腕を突っ込むと、腸を引き出した。
あまりの痛みに、男は白目を剥いて絶叫を上げているが、歳三はやめることはない。
「これより先ァ、この俺! 土方歳三が相手する!」
返り血で顔を真っ赤に染めながら腸を握りつぶし、放り捨てた。
男はようやく絶命し、地面にどうと倒れ伏した。
ひっ、と悲鳴を漏らした者が、居た。
歳三は手近に居た黄巾党の者に兼定を右手で握りながら、左手指を目に突っ込み抉り出す。
そして苦痛のあまり折れ曲がった身体に、膝蹴りを叩き込んで殴り飛ばした。
またもや黄巾党から悲鳴が上がった。
先に、恐怖は伝染すると書いたが、正に今、黄巾党の大軍勢はたった一人の男に恐怖していた。
黒龍、土方歳三にである。
「お、鬼だ……」
「聞いたことがある……土方歳三って……」
「黒龍だ! 青州の黒龍……土方だ!」
恐怖はやがて混乱に変わる。
歳三の正体に気付いた黄巾党の軍勢は、逃げ出そうと我先に走り出す。
しかし後ろに居るのは進もうとする黄巾党の軍勢である。
進むものと退くもの、そして一方は恐怖に駆られまともに思考のできる集団ではない。
必然、起こる結果は収集がつけられないほどの大混乱だった。
歳三は兼定を振りかざし、突撃の用意を整えた自軍を見た。
恐らく程立か助言をしたのだろう、しっかりと隊列を整え直し、武器を持ち直した自軍の先頭で、趙雲が槍を肩にしながら笑っている。
「主よ! これでは一番槍の私がかすんでしまう。ここからもう一働きさせてもらえませぬか!」
趙雲の言葉に歳三はゆっくりと頷くと、もう一度同じことを言った。
「全軍突撃!」
わっ、と
趙雲が、兵たちが、歳三の横をすり抜けて黄巾党へと突撃していく。
(この様子なら、大丈夫さ)
そう思いながら、軍勢を通り過ぎた歳三は、待っていた徐晃と程立と合流した。
二人とも、特に戦闘に参加していないために身形は綺麗である。
ただ、徐晃は自慢の大斧を振るう機会がなかったからか、幾分不満そうではあったが。
そんな徐晃の様子を他所に、どこかいつもよりぼんやりしている程立に、歳三は声を掛けた。
「風よ、恐らく初めて軍勢を通り抜けたろうが、粗相はしていないかね?」
「そ、そんなことはないのですよー」
慌てる様子が、全てを物語っていたが、歳三はそれ以上何も言わなかった。
言ったところで程立の自尊心を傷つけるだけであるし、それに。
(初めは誰でも漏らすもんさ)
と、どこか感慨深げに思っていた。
珍しく歳三に見透かされている、と思ったか程立は歳三の返り血の酷さを指摘した。
「それよりも、お兄さんは顔を拭くべきだと思うのですー」
「そんなに酷いか?」
「ええ。今のお兄さんを見たら、官軍や義勇軍の方だって敵だと思うくらいですよー」
そういうものかと思いながら懐から手拭いを取り出そうとした時。
「援軍、感謝する。しかし何者だ?」
と、後ろから声を掛けられた。
殺気は、ない。が、先に名乗ろうとしないのが気に食わない。
歳三はわざとゆっくりと、手拭いを懐から取り出した。
その泰然とした動作に、後ろの人間が少しばかり苛々としながら、言葉を重ねた。
「何者か、と聞いている」
「官軍か義勇軍か知らないが、顔を拭く暇もくれないのかね」
と、たっぷりと時間をかけて顔を拭いてから、振り返った。
そこに立って居たのは、顔のみならず全身に傷を負った、三つ編みの美女であった。
(こいつもまた、名のある将なんだろうなァ)
などと、ぼんやり思いながら歳三はその女性を観察した。
趙雲や徐晃などよりはよっぽど戦がしやすそうな格好で、両手の手甲が鈍く光っている。
そんな彼女の鋭い視線を受けていると、歳三はなんとなく悪い気がしてきた。
(山南さんみたいに生真面目なんだろうなァ)
と、思わずにはいられない雰囲気があった。
そう思うとぐっと親近感が沸いてくる。
趙雲や程立に良い様にからかわれそうな感じだ、と思いながら歳三は名乗ることにした。
「青州、土方歳三」
徐州とは言わず、青州の土方歳三と名乗った。
もしかしたら相手は官軍かもしれない。
後々、青州を正式に領有出来なくとも、青州は土方歳三の土地であると言う印象を残す為であった。が、それも特に意味なく終わった。相手は官軍ではなかったのである。
「こ、これは失礼を。私は義勇軍を率いる」
「楽進さん、ですねー」
程立が眠たげな眼で言うと、楽進と呼ばれた女性は驚いた様に眼を見開いていた。
どうやら当たりであるらしい。
(ほぅら早速からかわれてやがる)
と、歳三はいつもの眠たげな眼で、程立に問うた。
「知っているのか、風?」
「ええ。全身傷だらけで拳で戦う将、と言ったら楽進さんしかいないのですよー」
歳三、楽進が恥じ入る様に身体を縮ませるのを見逃さなかった。
楽進は身体の傷をなるべく隠す様に、腕を組んでいる。
それが、歳三には気に食わなかった。
「そうか。なるほど、道理で美しいわけだ」
「えっ、なっ!? 急になにを!?」
「男子の向こう傷は愛でたいものだ。向かって負った傷なのだからな。それが女子にも当てはまらぬ道理はなかろう」
歳三の突然の口説き文句に、楽進は顔を真っ赤にして下を向いている。
程立からは元々の、徐晃からはいつもより強めのじっとりとした視線を向けられるが、歳三は構いやしない。美しいものを美しいと言って何が悪い。
そう言いたげな口ぶりである。
「だから楽進よ、お前は美しい。だから顔をそう下げるな」
それでも尚、顔を伏せて隠そうとする楽進の顔を、歳三の両手が優しく包んだ。
くいっ、と顔を上げさせて、緋色の瞳をじっと覗き込む。
そして。
「お前を美しいと言うことに文句を言うやつがいるのなら、私が直々に斬ってやろう」
にっこりと微笑んだ。
楽進は頭から煙が出そうな勢いで顔を真っ赤にしているが、歳三はどこ吹く風である。
すっと楽進の顔から手を離すと、道でも尋ねるような気軽さで。
「ところで、盧植、という将軍がいるはずなのだが」
と、
h995様、誤字報告ありがとうございます。
よもぎもち様、誤字脱字報告ありがとうございます。