土方歳三――義豊
徐晃公明――
程立仲徳――風
郭嘉奉考――稟
公孫賛伯珪――
董卓仲穎――
呂布奉先――
「いや、盧植殿のご高名、かねがね伺っております。一度会ってみたかった」
「そうなんですよ!
「うーん……風鈴、そんな褒められるほどかなぁ?」
劉備の言葉に歳三は頷きながら、考え込む盧植を見た。
小首を傾げながら、頬に人差し指を当て考える姿は、艶めかしいというより微笑ましい。
童顔とも相まって子供の様な仕草にしか見えないのだ。
最も、身体つきは乳も尻も脚も立派なものであり、大人そのものであるのだが。
(結構なことだ)
と、歳三は不愛想な
切れ長の眼をちらりとやると、犯人は後ろに控えていた程立と徐晃のようである。
お見通し、と言わんばかりの眠たげな眼が、歳三をじっとりと見ていた。
「痛いじゃないか」
と、二人だけに聞こえる様に抗議すると。
「風のことも香風ちゃんのことも見てくれないと酷いのですよー」
と、言われてしまった。
歳三にしてみれば可愛い嫉妬である。
笑いを
「ご自身が思っておられるより、人の噂は早いものです。盧植殿の名は青州にまで響いておりますよ」
「武ではなく智で勝利を収め続ける、正に私塾を開いていたに恥じない人ですねー」
歳三の言葉に、後ろに控えていた程立が前に出て続いた。
確かに程立の言う通り、武人特有の空気がないことから軍師であるとは歳三、感じていた。
「あはは、ちょっと運動が苦手なだけで、勉強を頑張っていただけなんですけどね」
と、盧植本人はこう言っているが、それだけでは兵は付いてこない、とも歳三は思っている。
歳三の持論ではあるが、兵が付いてくる将というのは大別して三種類ある。
一つ目は、共に行軍していて割の良い将、要は金払いが良い将がこれにあたる。
やはり戦は何といっても金である。武器であれ食料であれ、金が生命線に繋がるのだ。
二つ目は、勇猛な、あるいは覇気溢れる猛将であり、歳三や趙雲などはこれに当たる。
この時代はどうしても、前線に将が出なければ兵は腰砕けになりやすいのだ。
そして最後。三つめこそが、盧植のあてはまる優しさと思いやりとを持った将である。
戦をする者には致命的に向かない資質ではあるが、乱世であるからこそ逆に輝くと言っていい。
「あまりご謙遜されないでください。貴女はもっと自信を持っていいと思います」
「土方さん……ありがとうございます」
この傲岸不遜で不愛想な男でも、盧植の包まれる様な優し気な雰囲気は悪くないと思っている。
歳三ですらこう思うのだから、普通の兵ならば母の如く慕うであろう。
(俺には、とても無理な領域だァな)
と、思っていると、劉備の顔が硬くなっているのに気が付いた。
よくよく見れば劉備の横に控える関羽と張飛の表情も、硬い。
三人の視線は歳三ではなく、横に立っている程立の方へと
「あ……あの、程立さん。こ、こんにちは!」
と、なんだか素っ頓狂な挨拶を劉備がするものだから、歳三は苦笑を浮かべた。
「風のことが、苦手かね」
一体幽州でどれだけ
だが、劉備たちがこれだけ苦手意識を持っているのだから、なんとなしに想像はつく。
ついたところで、歳三には屁みたいに軽い言葉で慰めることしかできないのだが。
(俺ァそういう男じゃねぇからなァ)
やはり、歳三は弁舌より剣の男である。
しかしかと言って、程立に後を丸投げされたことを忘れたわけでもない。
伊達に蛇蝎の如く嫌われていたわけではないのだ、記憶力も蛇のようにしつこい。
「悪気があったわけではないのだよ。風も、漢のことを思って言ったのだ」
「そうだったんですか!? 程立さんも漢王朝の復興を考えていたんですか!?」
劉備が驚いた様な声を上げる。
が、驚いた声を上げたいのは歳三の方だった。
何故話がそんなにも突飛というか、自分の都合の良い方向に行くのか点でわからない。
趙雲の言っていた天真爛漫さはここか、と納得しながら歳三は程立の冷たい視線を感じていた。
「そうですね。ただ、それにはやはり王朝の周辺をなんとかしないといけませんねー」
程立の言葉に劉備たちだけでなく、盧植までもが顔を曇らせた。
漢帝国という大樹の腐敗は枝葉のみならず既に幹や根にまで及んでいるのかもしれない。
(根が腐ってるってんなら、新しく植え直して同じ名前を付ければいいだけだァ)
が、歳三にとってはそんなことはどうでもいい。
未だ誰にも言っていない腹案が、この男の頭の中には、ある。
(坂本さんよ、あんたの理想。劉備と共に叶えることになるかもしれないぜ)
妙な話である、と歳三は笑いそうになった。
歳三はかつて劉備を坂本龍馬だと評したが、その坂本の案を劉備に対して使おうとしているのだ。
まったく奇妙なもんだぜ、と心中思いながら、理論を白熱させている程立を止めることにした。
「まぁその辺にしておけ、風」
「……お兄さんがそういうのならー」
すっかり委縮してしまっている劉備たちに、歳三は声を掛けた。
このまま縮こまってしまって、立ち止まってしまうことが歳三には一番困るのだ。
だからとにかく、歳三が喋って気を紛らわせてもらうに限る。
「劉備よ、今のお前の兵は白蓮から借りたものだろう?」
「あっ、はい。そうです土方さん。って、土方さんは白蓮ちゃんと仲がいいんですか!?」
早速話の腰を折られて、歳三は頭を抱えそうになった。
なるほど、これは歳三の理解を超えた天真爛漫さだ。
こうもいきなり話題を変えられてしまうと、大多数の人間は流されてしまうだろう。
けれども歳三は多数の方に入る男ではない。
少しばかり頭痛を覚えながらも、歳三は聞きたかったことを尋ねることにした。
「ああ。白蓮に何かあれば、私は漢のどこに居ようと助けにいくつもりでいる。それはともかく一つ聞くがね、白蓮からの兵は、一体どうするつもりだ?」
「え? もちろん黄巾党と戦うために白蓮ちゃんから借りて……」
「違う、黄巾党との戦いが終わった後の話だ。そのまま兵を借りるのか、返すのか。どうなのだ?」
「それは……できればずっと一緒に、皆が笑っていける国を創れたらな、って」
「そもそもそれは君の兵ではないだろう。このまま借り逃げするのかね?」
歳三は面白そうに笑った。
やはり発想が常人ではないし、理想のままに兵たちを酔わせてそのまま連れ立って行ってしまいそうなところも、劉備にはある。
だからこそ、歳三は現実を突きつけるのである。
「そうだな、仮定として兵たちが君についてきた、ということにしよう。では兵はどうやって養う? 黄巾党になりかねない流民はどう扱う? そもそも君たちに
前々から、聞きたかったことの一つであった。
劉備の理想に賛同する者は、彼女自身の気質や関羽と張飛の存在もあって確かにいるだろう。
しかし、劉備の理想には必要なものが多過ぎるのだ。
「劉備よ。理想は確かに結構だ。だが人を養うには、安全な土地が、賢い為政者が、強い軍隊がなければならない。その必要性を、風はもっと強く感じてほしかったのだ」
「桃香様」
「愛紗ちゃん……」
「土方殿の言うこと、一理どころではなく万理あります。私たちには足りないものが多過ぎます」
「鈴々、難しいことはよくわからないけど、でも歳三お兄ちゃんの言うことはよくわかるのだ」
「鈴々もそう思うの?」
劉備の眼が、助けを求める様に歳三を見た。
(ここいらが、一番重要かもしれねぇな)
と、歳三が口を開く前に、盧植が言葉を挟んだ。
「あのね、前にも言ったけどね、桃香ちゃんはきっとすごいことをしてのける子だと思うの」
「風鈴先生……」
「だから、すぐに答えを求めるんじゃなくて、もっといろんな人と会ってみたり、新しい仲間を見つけることが重要なんじゃないかなって、風鈴は思うの」
「新しい……仲間?」
「そう。土方様に程立さんが居る様に、桃香ちゃんも軍師を見つければいいの。そうすればきっといい策を授けてくれたりするんじゃないかなって、風鈴は思うの」
一瞬、盧植の瞳がこちらを見たのを歳三は見逃さなかった。
(これァ、もしかしたら薄々勘付いているかもしれねぇな)
私塾を開いて多くの人間を見てきたと言う経験は、確実に盧植の
歳三の真意がどこにあるかも、どうして程立が劉備に辛く当たるのも、何故かを気付きかけているのでは、と歳三は思った。
でなければ盧植ほどの人物が会話の最中に口を挟むような真似はしないだろう。
だったら、まるで害意がないようにしなければならない。
「その通り。前にも言ったが、答えを出すのを急ぎ過ぎるなよ、劉備」
「土方さん……」
「考えることだ。何が良くて何が悪いのか、簡単に割り切れるものではなかろう」
それに、と歳三はここに来て初めて子供っぽい微笑を浮かべた。
声音もどこか、少年の様なものに聞こえる。
「私は、そんな劉備の理想が嫌いではない、むしろ好きかもしれない」
劉備の顔がぱあっと明るくなった。
(こりゃァ、劉備を慕うのが多いのも頷けるわけだ)
笑顔で人を惹きつけるなど、並の人間にできることではない。
坂本もよく笑っていたが、劉備も坂本も、この人の笑顔を見たいと思わせる何かがある。
無論、それが一体どういう仕組みなのかは歳三でもわからない。
わからないからこそ、恐ろしくもあると感じるのが、歳三の感性だった。
「土方さん……ありがとうございます!」
「礼を言われるようなことではないよ」
もう、既にいつものむっつり顔の、冷たい声に戻っている。
それでも劉備は、己を励ましてくれたことにひどく感謝しているようだった。
(俺としたことが、むず痒いな)
人から感謝されることが、少なかった男である。
慣れがなさ過ぎたのが転じて、戸惑っているというべきだろうか。
そんな背中を、劉備や盧植に見られぬよう、程立がぎゅっと抓った。
歳三はその痛みで我に返る。
(危なかった……。坂本で慣れていると思ったが、劉備も
歳三は程立に眼で感謝しながら、これ以上この場に留まる理由もないと思い始めていた。
盧植にも会えた、劉備にも会えた。
そして、劉備に歳三なりの毒も仕込めた。
十二分に上出来であると言えるし、このまま留まっていても逆に劉備に呑まれかねない。
こうなったら逃げるに限るが、なんと言って逃げるとするか。
と、歳三が思っていた時、天幕の外から何か言い争う様な声が聞こえてきた。
双方とも、女性のようである。
盧植が、何かに気付いた様に声を上げた。
「あら、この声は賈駆ちゃんの……」
「賈駆、という女性は官軍の方ですか?」
「賈駆はいい人なのだ! 董卓と一緒に義勇軍にも気を配ってくれるのだ!」
張飛が元気よく答えたのを聞いて、歳三はこいつは丁度いいと心の中で手を叩いた。
絶好の、機会ではないか。
「少し様子を見てきます。陣中にて言い争いがあるのは兵士の士気に関わる。風」
「はい。では私たちはこれで失礼します。色々とありがとうございました、盧植殿ー」
「あはは、風鈴特に何もしてないかな、って思うんだけどね」
さっさと天幕を出て行く歳三と徐晃に代わって、程立が丁寧に礼を述べる。
それに対し盧植は何も言い返すことができず、ただ曖昧な笑みを浮かべるだけだった。
歳三の言い分、配下としての程立の言葉、全て順当であったからである。
盧植は天幕を潜る程立の背中を見ながら、不安な思いを募らせていた。
◇
「土方様は、なんというか、不思議な人だよね」
「風鈴先生もそう思いますか!? 土方さんって良い人なんですよ!」
盧植が小さく漏らした言葉に対し、鋭敏に反応した劉備。
歳三のことを良い人だと言う劉備に、盧植はまたも曖昧な笑みを浮かべることしかしなかった。
程立と歳三による劉備の否定と肯定は、あれは一つの術ではないのかと盧植の中にはある。
相手に対し痛烈な否定をした後に、全てを肯定するような優しい言葉を掛ける。
悪人が行う思考誘導そのものではないか、と盧植は思うのである。
だが、程立はともかく歳三の方はそう考えていたか、どうか。
とてもそういう腹芸ができるような人間に見えないのも、盧植を混乱させていた。
そして、劉備たちである。
「これから皆と一緒に頑張れば、どこかの領地を任せてもらえるかもしれないね!」
「そうですね。やはり頑張った者に対する報奨というものはそういうものかと思います。桃香様」
「鈴々、俄然やる気が出てきたのだ!」
今までの劉備は、宙に浮いている様な、夢を見る理想家で地に足が付いていない感じだったのが、急に現実的になり始めているということが、盧植の頭を更に悩ませた。
確かに現実と理想を擦り合わせるのは悪いことではない。
むしろ理想の実現には必要不可欠なことである、が、それも時と場合によるのである。
劉備の抱く巨大な理想に、現実が擦り寄った時、一体どうなってしまうのか。
盧植には何も考え付くことが出来ず、思わず。
「土方、歳三……」
と、黒龍と呼ばれる男の名前を呟いていた。
◇
天幕を出てみれば、益々大きく聞こえる応酬の声。
どこだと探し出す様な労も特になく、歳三は声の大元を見つけていた。
如何にも武将という風貌の女と、如何にも軍師という装いの少女が歩きながら言い争っている。
「先程の突撃! 土方というやつの突撃がなくても私はやれていた!」
と、言うのは武将の方である。
各所の銀鎧が陽光を浴びて煌めき、妖艶な衣装を身に纏っているが、背中に負う身の丈もあろうかという
「無理よ! 恋も限界が来てたし、兵たちも疲れ切っていた! そんな中で華雄一人が頑張れても!」
とは、軍師らしき者の方である。
董卓とはまた違った飾り帽を被り、戦には向かぬであろう一見地味ではあるが華やかな衣装を身に纏っている。
落ち着いた色合いがなんとも言えぬ、と歳三は感心していた。
が、感心しているだけではこの言い争いは止まりはしない。
歳三は二人の間に向かってさっさと歩き始めていた。
「土方というやつが出来て、私が出来ぬ道理がなかろう! 私はまだやれる!」
「ほう、私が一体何をしたというのかね?」
「くっ……!? お前!」
「陣中での言い争い、見逃せんな。何かあったのかね?」
このまま戦斧で叩き切って来る可能性も無きにしも非ず。
歳三は兼定の柄に手を掛けたまま、切れ長の眼でじっと華雄と呼ばれていた武将を見た。
無言の睨み合いが、数秒ほど続く。
先に眼を逸らしたのは華雄の方だった。
ふん、と大きく鼻をならすと歳三のことを無視して行ってしまった。
「もう華雄! ちょっと! ……もう!」
と、軍師風の少女も最後は疲れたように吐き出していた。
「どうやら、私のせいで一悶着あったみたいだな」
と、歳三が軍師風の少女に話しかけるが返事がない。
上から下まで、じっくりと視線を感じる。
どうやら値踏みをされているらしい。
当の歳三は値踏みできるものならやってみろと、威風堂々と立っているままだ。
「……貴方が青州の土方歳三?」
「確かにそうだが、官軍では自分の名を名乗らないのが流儀なのかね?」
無礼には無礼で返す。
のが必ずしも歳三の流儀ではないのだが、なんとなしに意地を張りたくなったのである。
程立からの冷たい視線を感じるが、歳三はどこ吹く風で無視をした。
「……どうしてボクを官軍だと思ったの?」
「ただの、勘。 ……では納得しないのだろうな」
歳三はなんてことのないように、事の真実を話した。
「盧植殿が言っていたよ、この声は賈駆殿の声だ、って」
「そう……」
目の前の少女は納得したように呟くと、ようやく名乗った。
「
「月の軍師か」
「なんで月の真名を……って恋とも親しそうにしてたから、当然か」
見られていたのか、と思いながら歳三は賈駆に違和感を覚えていた。
頼みごとをしたい人間というのは得てしてこういうものである、と歳三は知っている。
だがそれを話さないのは賈駆なりの配慮なのか、矜持によるものなのかはわからない。
わからないが、この男特有の嗅覚で、戦の気配を感じ取っていた。
「で、何か私に頼みたいことがあるのだろう、賈駆?」
「……わかる?」
「ああ」
「……ところで、貴方の軍はまだ戦えそう?」
「何か、黄巾党に関してあったのかね?」
今この場で、戦えるかどうかなど聞いてくるのは戦に関してでしかないだろう。
歳三は先を促す様に、賈駆の眼を見た。
少し賈駆は
「
「余程の負けをしたみたいだな」
「……そうね。朱儁将軍は所詮農民の叛乱だと高を括っていたみたいだし」
ぽつりぽつりと語る賈駆の内容は、官軍の実情を照らし合わせてみれば明白である。
歳三はふむふむと頷きながら、如何に戦うかを考え始めていた。
「……本来はボクたちが向かうべきなんだけど、官軍の本隊はああだし、私たちも限界、恋は大丈夫だけど、食料の方が限界。恋はよく食べるから」
「ああ。確かにそのようだったな」
大の大人である歳三の分ですら、平気の平左で貰っていくような呂布である。
しかし、それだけ戦働きをするのなら仕方のないどころか当然である。
歳三が呂布を預かっているのなら、米
そして華雄は自軍が疲弊しているのを知っていても尚、救出の為に、もしくは自身の自尊心の為に長社への攻勢に出たがっていたのを賈駆は止めていたのだろう。
なるほど、と歳三はおおよその事態を把握してから賈駆にあることを尋ねた。
「それでだ、黄巾党の詳しい数はわかるか?」
「二万の将兵が恐れ
「そうか」
と、言うと歳三は小さく笑って。
「大した数ではないようだな」
と、言い切った。
これには賈駆も眼を見開いて驚いた。
「ちょっとあんた! 何言ってるのかわかってるの!?」
「わかっているさ。ちょっと多いくらいの黄巾党がいるのだろう?」
「違うわよ! 報告では大地を埋め尽くすくらいの黄巾党の兵が!」
す、と歳三が手を上げて声を小さくするよう促すと、賈駆は今自分がどこにいるかを思い出したかのように押し黙った。
今は陣中である、あまり官軍が不利であるということが触れ回っては、官軍はそれだけで崩壊しかねない。
が、歳三にとっては黄巾党の大軍が相手であったとしても、何も怖いと思っていない。
つくづく、恐怖の出所がわからない場所にある男だ。
「例え剣林ならぬ剣の森であったとしても、向けられる刃はせいぜい四本が限界よ。別にすべての刃が私に向くわけではない」
と、歳三は笑って賈駆を見た。
この時になって賈駆は、土方歳三が何故鬼や黒龍と呼ばれているのかわかったような気がした。
歳三の顔は笑っていても、眼だけはぎらぎらと輝いていたのである。
賈駆は未だかつて、このような手合いの特異な男に出会ったことはなかった。
「さぁ、潁川付近と長社城について教えてくれないか? 数は黄巾党に大きく劣るかもしれないが、それでも我々が、黄巾党を破り官軍の将兵たちを救ってみせよう」
賈駆は知らず、唾をごくりと飲み込んでいた。
劉備の兵の扱いに関するセリフ周りを修正。
ペロチナ勢2様、ご指摘ありがとうございました。