――其処は廃屋だった。
都市部から大きく離れたその場所には色々な噂が渦巻いていた――曰く、借金を重ねて一家心中しただとか、何かに呪われているだとか、神話的恐怖の巣窟になっているだとか――。
実際、興味本意で足を踏み入れて行方不明になった者も居るのだから――仕方ないのかも知れない。
そして、事実として其処は普通では無かったのだ――。
「がぁっ!!?く、くそっ!!」
『あぁぁあぁ……忌々しい忌々しい忌々しいぃぃぃ――忌々しい悪魔払いがぁ……ふひ、ふひひひひひひっ!!』
宵闇に包まれた其処は正に、誤字でも何でもなく――悪魔の巣窟と化していた。
悪魔――厳密には『はぐれ悪魔』と呼ばれるソレは、禍々しくも悍ましい容貌をしていた。
人外――そう呼ぶにも醜悪に過ぎるソレは成る程、神話的恐怖を連想しても可笑しくはない。
『潰す……捻って嬲って弄んで――ぐちゃぐちゃグチャグチャぐちゃぐちゃグチャぁ―――ヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒッ!!!』
元来、悪魔の姿は人と然程変わらない。
しかし、力に溺れた代償なのか――ソレは人の面影等、あまりにも少なかった。
顔は裂け、肉は肥大し、巨大な四肢には獣も逃げ出す様な尋常ならざる爪。
人という体積からは想像もつかない巨躯――大型の熊よりも更に一回り以上の大きさ。
その膂力は想像に難くないであろう。
「……くっ、神よ――」
曰く、主人である悪魔を殺し、力に溺れた末路――人に仇為す存在。
故に、教会より派遣された悪魔払いによる討伐が為されるのは自明の理であった――だが、正真正銘の化け物と化したソレは、並みの悪魔払いでは歯が立たない程に成長していた。
現に教会の悪魔払いは数人構成ではぐれ悪魔に挑んだが、悉く返り討ちに合い、その殆どが無惨な屍を曝すことになった。
生き残った内の一人は援軍を請うために脱出し、残った者たちは足止めの為に残り――今、最後の一人の灯火が消えようとしていた。
悪魔がゆっくりと、ゆっくりと近付いて来る――恐怖を与え、絶望に歪む様を愉しみ、泣き叫ぶ醜態を味わいながら咀嚼する為に……。
対して生き残った悪魔払いの男は満身創痍――身体中傷のないところは無く、その利き腕も明後日の方向にネジ曲がってしまっている。
恐怖はある……絶望を感じ、泣き叫びたくもある。
しかし、みっともなく取り乱さないのは彼が敬虔な神の信徒であり、悪魔の欲を満たしてなるものかという――意地である。
(願わくば……逃れた同胞が、この醜悪な悪魔を滅することを――我らの魂が、神の名の元に誘われんことを――)
手も足も出ないとは正にこの事か、逃げることも、抗うことも出来ないと悟り、せめて魂は汚されぬ様にと神へと願い――最後の時が来るのを待った――が。
『ぐぎゃあぁぁぁぁっっ!!?』
「!?」
閃光――ソレは連続して炸裂し、悪魔を怯ませた。
そして――。
「シッ!!」
『グギィッ!!?』
ズンッ――と、何かが軋み、大地が揺らぐ感覚と共に悪魔は吹き飛び――内壁をぶち抜きながら廃屋の奥へと消えていった。
男は見上げる――月明かりに照らされる中……噴煙、土埃が舞う中に現れたのは青年。
床を踏み砕き、拳を突き出した――くすんだ白髪の青年だ。
「内臓一発――ってか?」
青年はニヤリと笑みを溢してから、構えを解いて男に向き直る――。
「君は……」
「アンタの仲間から話は聞いたよ、俺はフリード。助っ人って奴だ、これがな」
「お、おぉ……主よ……」
不敵な笑みを浮かべるフリードと名乗った青年に、男は光を見た。
主は――神はまだ自分を見捨てては居なかったのだ、と。
「アンタ以外に生き残った奴は――」
「……私以外は、全てあの悪魔めに――!!」
「そうか……って、アンタもボロボロじゃねーか」
悔しさと痛みにうち震える男に気付いた青年は、何を思ったか男の眼前――床へと掌を打ち付けた。
「な、何を――!」
次の瞬間、床より暖かみのある光の柱が立ち上ぼり、男を包んだ。
「き、傷の痛みが……」
「守護方陣――気休め程度だけど、無いよりマシってね。本当はもうちょいしっかりと応急処置したいんですが――」
傷の痛みが和らいでいくのを感じ、驚く男に笑い掛けた、次の瞬間――。
『グガアァァァァァッ!!!』
「どうやら熱烈歓迎してくれるみたいですからな~……期待にはお応えしませんと」
廃屋の奥から響く、怒りの咆哮――ソレにヤレヤレと言う体で廃屋の奥を見遣り――。
「――アンタはソコを動くなよ、って……その傷じゃ動けねぇだろうけど」
雰囲気が、醸し出す空気が変わった青年は瞬時にホルスターより銃を抜き放ち、構えた。
ソレは通常、教会より支給される物とは異なる――白銀に輝く大型のリボルバータイプ。
先程の閃光はこの銃より撃ち出されたモノだろう。
成程、ソレは通常のモノより威力が高いのだろうことを窺わせる――しかし。
「……だ、駄目だ――奴は、奴には破魔の弾丸の効果が薄い……結界に、守られている……!!」
現に男たちも、通常のモノではあるが破魔の弾丸をコレでもかと浴びせてやったのだ――が、結果は悲惨の一言だった。
先程、青年の放ったものは少なからず結界を越えてダメージを与えていたみたいだが、それでも微々たるモノだったのだろう。
「――まぁ、そうなるな」
だが、それでも青年は平然と――眼前を見据えていた。
分かっている……そう言った風だ。
そうこうする内に視界にソレは映る――只でさえ醜悪な顔を怒りに歪め、猛烈な勢いで迫り来るソレは――悪鬼羅刹と言っても差し支えない。
悪鬼は自身を傷付けた要因を見付け、怨嗟の雄叫びをあげようとして――。
『グギッ!!?』
――それは一瞬の出来事だった。
冷徹に見据えた青年の一射――ソレは結界に炸裂して、弾け――間髪入れずにもう一射。
閃光と共に再び炸裂、更にもう一射――寸分違わず同じ場所に撃ち込まれた弾丸は楔となり、閃光と共に結界を打ち砕き――ラストシューティング。
『ぎ、GIYaaaaaaaaッッ!!!??』
自身の体表に直撃した悪魔が大きく仰け反る――瞬間、青年の姿が欠き消える。
悪魔払いの男には見えなかったが、強烈な踏み込みで音を置き去りに疾駆――疾風と化したのだ。
瞬時に間合いを詰めた青年……しかし、悪魔もソレを感じ取ったのか闇雲に爪を振るった。
ソレは至近にまで接敵していた青年を確実に捕らえた筈……だった。
爪を振るった悪魔も、ソレを見ていた悪魔払いも眼を見張る――。
何故なら、青年は振るわれた爪を『すり抜けた』のだから――。
残像を伴う様に消えた青年に戸惑う悪魔――その背後から。
「……色即是空」
何かの囁きに、驚愕し背後に爪を振る悪魔――しかし捕らえたのは残像らしきもの。
再び悪寒を感じた悪魔は背後に爪を振るう――だがそこに青年の姿は無く、ただ残像が残るのみ。
男は全体を見ていたから辛うじて分かるが、青年は残像を伴い突然消えたと思ったら悪魔の背後に現れた――何を言っているのか分からないと思うが、真実だ。
きっと、男は頭がどうにかなりそうだったに違いない――そして対峙する悪魔も。
『ウ、ウガアァァァァ!!!』
いや、実際どうにかなったのだろう――怒りに歪めていた筈の貌を恐怖に歪め、ガムシャラに爪をふりまわしていたのだから。
そんなことをする内に、まるで残像が分身の様に増えては消えてを繰り返し――悪魔を無数の青年が包囲する様な形になった――仮に先程の『色即是空』なる囁きが、何かの技術だとしたなら―――今は【シキシキシキソシキシキソシキシキシキソクシキソクゼクゥ……】位の勢いだと、男は思った……やはり男も頭がどうにかなったのかもしれない。
「――ふっ!!」
『ぎぃっ!!?』
いつの間にやら悪魔の懐に潜り込んでいた青年は、その手に二振りの光剣を持ち、既にソレを振り抜いていた。
両の腕を切り飛ばされ、悶絶する悪魔――そして。
「星の奔流に――呑まれやがれ」
それが悪魔の聞いた、最後の言葉となった――。
*****************
どうも、皆の清く正しい神父ソン――フリード君ですよ~……アレから10年――早いモノだ。
二次創作でよくある、アーシアちゃんやゼノビア、イリナとのフラグ何てなぁんにも無く、ジーク……いや、すまないさん擬きや、木場くんとも接点を持つことはなかった――まぁ、それが普通なのかも知れないが。
えっ、ジーク何とかに対して辛辣じゃないかって?
ぶっちゃけ英雄派嫌いですしおすし。
いや……原作知ってると、アイツ等の何処が英雄なのか分からないんだもの。
fateファンだった俺としては、アイツ等を英雄だなんて認めたくないんだよな。
――勿論、実際の神話――って言うと語弊があるかもしれないが、原点の話だと色々英雄もやらかしてはいるが……fateのヘラクレスを知ってから原点を調べて愕然としたのは、俺だけじゃない筈。
fate以前にもヘラクレスの栄光シリーズとかをやっていたから、余計にショックだったなぁ……。
そういう意味じゃ、ヘラクレスは適任なのかも知れないな……認めたくないけど。
……GOの時は、すまないさんはいらしてくれなかったが――何気にお気に入りの英雄なのだ。
その高潔な魂は、真実正義の味方に憧れて――しかし、時代にその在り方を望まれずに表舞台から消えてしまった英雄。
――何処かの紅茶と似ている部分があるよな……何気に中の人も同じだし。
まぁ、すまないさんことジークフリートは愚直な弱者の味方で、紅茶ことエミヤは皮肉屋な正義の執行者――みたいなイメージがあるが。
GOのエミヤは答えを得た後なのか、実に真っ直ぐで頼れる兄貴分みたいな感じになっていたから、イメージが随分変わったけど。
ちなみに、無銘は皮肉屋を拗らせて悪化したイメージ。
ジークフリートに大した活躍が無いと言うなかれ――英霊となり、1度は見捨てた命を救うために自らの心臓を捧げた……その魂は間違いなく英雄だったんだと、思う。
……だからこそ、自らの為に英雄であることに固執して狂い――暴走した奴等を英雄なんて認められない……認めたくない。
……いかんなぁ、どうしてもfateの英雄と英雄派を比べてしまう――それもコレもアイツ等がご先祖の名前を名乗ってるのが悪い。
ちょっとは名前を変えろよややこしい……せめて孫 悟空と空孫 悟くらいは変えろよ――――ゴメン、例えが悪かった。
いや、この世界のドラゴンボール的なアレ……面白いんだよ?
俺も海外版を見て……アカンと思って日本語版を見たから。
……なんで海外版がアカンって?――声が実写版ドラゴンボールっていったら分かる?
若しくは外国の若人が、スーパーサイヤ人になろうとしてみた、的な動画――海外版は演じる人が終始あんな感じなんだよ。
……だからこその日本語版だけど、ドラグ・ソボールって……もう少し何か無かったのか……?
ドラゴン波は、まだ良いけど……主人公の空孫 悟ってのも……。
……いや、止めよう。
何だか頭が痛くなって来たから……。
何はともあれ、この10年――俺は教会所属の悪魔払いとして働いてきた。
最初は、はぐれ悪魔=元眷属悪魔の元人間ということで躊躇いがあったり、明確な意思で何かを殺すという行為に抵抗があったが……慣れた。
はぐれの見た目がSAN値チェックモノだったこともあり――そこに至るまでに、葛藤やら拒否反応が無かった訳じゃないが……仲間の悪魔払いが殺されそうになったり、はぐれに喰われそうになった被害者――実際に目の前で喰われたり嬲られたりする場面に出会せば……恐怖感とか倫理観とかすっ飛びましたよ?
とりあえず、ユグドラシル絶対に許さねぇ!!位には怒り狂った気がする――当時は未熟だったから死に掛けたのは1度や2度じゃないし、俺の暴走で仲間が死に掛けてからは自重したけど。
つーか、原作フリード君も激しやすい性格で何度も足元掬われているのを思い出したので、戦闘では『なるべくクレバーに』を心掛ける様にした。
――そのせいか、戦闘思考に切り替えると妙なテンションになってしまう――若干の厨二病を発症してしまうというか……さっきも、やっちまったしなぁ……何だよ『星の奔流に――呑まれやがれ』とか。
『やがれ』が『な』じゃなかっただけ、まだマシだと思いたい。
『星の奔流に――呑まれな』――うん、大丈夫、俺はまだ大丈夫だ。
あぁ、うん……色々突っ込みどころがあるのは自覚しているけど……。
とりあえず、10年の間に思い付く限りのあらゆる修行を行ってきた……何つーか、人間の可能性ってスゲーと思いました。
勿論、フリード君になる前の俺では絶対に成し得ないことなんだろうけど……向こうと違ってコッチは上がり幅が凄いと言うか……限界値が遥かに高いと言うか――。
こう、修行して眼に見えて成果を実感できるのが楽しすぎてさ……色々やり過ぎちゃった感が否めないと言うか――。
いや、コレでもこの世界の上位者には通じないと思うし、心の安寧を得るためにも修行は続けてますけども。
お陰様で色々と出来る様になった訳で――とりあえず、ブラッキー先生の真似事は出来る様になったし、マジカル☆八極拳も形に成った。
オーラの扱いにも習熟出来たし――オーラ総量も増えた。
その過程で俺にも魔力があることを理解したり――。
他にも色々出来ることはあるが……まぁ、追々使っていくこともあるだろうし。
とにかく、はぐれ悪魔相手なら、無双出来る位にはなった……当初の目的の一部は達したとは思う。
だからこそ、今回も俺が援軍に向かう運びになった訳だし。
念のために弁解しとくけど、汚名返上作戦が失敗してハブられている訳ではなく、今回は他の悪魔払いが出払っていて、手が空いているのが俺だっただけだから。
教会の仲間とはそれなり以上に良好な関係だからっ!
俺なら一人でも大丈夫だって、司祭様の太鼓判があるだけだから!!
――本当に、大丈夫、だよね?
本当はハブられているとかだったら泣いちゃう自信があるぞ、俺は。
「あら、お帰りなさいフリード――どうでした?」
「ただいまシスター。まぁ、何とか間に合いはしましたですよ?――生き残りは一人だけだったけど」
「そう、ですか……」
一口に教会とは言っても、様々な宗派がある――唯一神を崇め奉るのは変わらないが、教えが微妙に違ったり……。
勿論、別の宗教と言うわけでもないので確りと繋がりはある。
基本、一つの町には一つの宗派というのが通例だが、日本の様な多神教的な国は例外であるのはさておき。
繋がりがある故に今回の様な、近場の教会に別の宗派の悪魔払いが助力を求めてくる――なんてことはザラにある。
本来は助力を請うことなく、はぐれを駆逐出来るだけの戦力を投入する筈だから、助力を求めることは稀な筈なんだけど――最近は事情が変わってきているみたいだしなぁ……。
「一人でも無事だったんだから、まだマシでしょうよ――少しやりきれないのは、変わんねぇし」
「……フリード」
「まぁ、言ってもしょうがねぇんでしょうけどねぇ」
悪魔払いはその性質上、教会の暗部に位置する存在で――その仕事ははぐれ悪魔の討伐、そして証拠の隠滅だ。
世間一般に悪魔の存在は知られてはいない。
知られたら大騒ぎされるのは眼に見えているし、人間に紛れて生活している悪魔ってのはコレで意外と少なくない。
原作主人公の周りが特別……という訳ではなかった様だ。
――つまり、はぐれの犠牲者は裏表関係なく行方不明者として『処理』される。
比較的損傷が少なかったりすれば、医者や警察の口裏を合わさせて、家族の元に帰れるし――そもそも無事ならそんなことは必要ない。
……一般人は記憶を操作されて、裏に関する情報を忘れさせられるから――五体満足とは言えないけど。
一応大義名分もあるし、行方不明者にされた犠牲者は手厚く埋葬し、神の元へと誘われる様に祈ったりしているが――何と言うか、自身の罪悪感を誤魔化したり、自分の行動を正当化する御題目にしている連中は結構居そうだよなぁ……。
――俺は……まぁ、罪悪感なんだろうな――真剣に、神様の元へ行けます様に……もしかしたら、俺みたいに転生なり憑依なりするかも知れないから、次は良い一生を――って真剣に祈りますが。
……いや、この世界の神様が死んでるって知識として知ってるから、正確には神様の代理の元に行けます様に……だけどな。
確か――ミカエルとかその辺りが分担して頑張ってるんだっけ?
「それはそうと、司祭様は?今回の報告をせにゃあならんのですが――」
「ええ、司祭様なら自室においでです」
「了解しました、っと」
それを聞くと、俺は軽く会釈をしてから――と、そうだ。
「シスター、こんな夜遅くまで働いてるとお肌が曲がっちゃって、嫁の貰い手もいなくなっちまいますぜ?」
「なっ――!!か、構いませんよ?わ、私は神に仕える身ですし?この身は神に捧げている訳ですから?」
「今時そう言うのは流行りませんことよ?――日本の言葉でシスターみたいな人のことをこう言うらしいですぜ?――THE・行き遅れ♪」
ブチッ――っと、聞いてはいけない音を聞いた気がした。
ヤバい……。
「――成程、面白いことを言いますね貴方は……初めてですよ……此処まで私を虚仮にしたお馬鹿さんは――」
瞳のハイライトが消えたシスターさん……アカン。
「は、ははは……イッツジョーク、イッツカナディアンジョークね……」
俺はね、ただ場の空気を変えたくて――ちょっとしたスキンシップのつもりだったんだ。
実際、この手のジョークは過去に何度かシスターにしたことがある……しかし、此処までの怒りを見せたのは初めてだ……。
時期が……タイミングが悪かったのかもしれない。
「――ヤロウオブクラッシャァァァァァアァァッ!!!」
「スンマセンっしたぁぁぁぁぁっっ!!!??」
何処からともなく取り出した2丁の小型ハンドガンを、狂気の表情から連射するシスター様の背後には某コマンドーの顔芸担当のあの御方が、スタンドの様に鎮座していらっしゃるのが見えた気がした――チクショウ!!銃なんか捨てて掛かってこいってんだ………いや、ゴメン、絵面的にそっちの方が恐いからやっぱ無しで。
****************
「……フリード、君は何をやっているのかね?」
「いやぁ、ちょっとした茶目っ気だったんですけど――女性は恐いって実感しましたわ……」
呆れ顔の司祭様に、ちょっとボロボロになった俺が苦笑いを浮かべて弁解した訳ですが……いやぁ、マジでおっかなかったですよコレが。
流石に実弾を使わない程度には理性が残っていたシスターですが、不定の狂気に陥ったんじゃないかと思うくらいに……発狂なされて……。
アレならはぐれ悪魔の大群に放り込まれた方がマシですわぁ……何と言うか、精神的に。
「良い教訓だ……今後はそれを活かせるように努めると良い。……今回は人が出払っていたから良かったが、平時であれば怪我人くらいは出たかもしれないからね」
「いやぁ……面目次第もございませんですハイ」
実際、シスターは美人なので嫁の貰い手も引く手数多な筈なんだけど――この世界、一部を除いて美男美女比率が高いからなぁ――もしかしたら、この世界の基準的には平均値を抜け出ない容姿なのかもしれない。
……いやいや、確かにシスター以外の女悪魔払いもチラホラ見掛けたし、皆可愛かったりするが……比べてもシスターは十二分に美人さんなんだがなぁ……。
本人が言ったように、本気で神様に操を捧げているのかも知れないな……勿体無いと言うべきか、何と言うべきか。
「さて、では報告を聞こうか――」
「――はぐれの討伐と悪魔払いの救出に成功。生存者は1名――その生存者は治療の後、此方に救援を要請にきた悪魔払いの同士と共に所属する教会に帰還した模様――それと」
司祭様が顔付きを真面目なものに変えたので、俺も真面目に報告をする。
――最後に溜め息を吐きながら、疲れたように告げた。
「――今回のはぐれ、神器持ちでした」
「……そうか」
「防御型の結界神器って奴ですかね?向こうの教会さんの武器は殆んど通じず、俺の特注品も効果が薄かったですし――」
本当に神器って奴は反則である――1から10の……物に寄っては1から100の差をゼロにしちまうんだから。
悪魔には猛毒とも言える、光力を無効化無いし軽減しやがるんだから。
そのせいで、件の悪魔払いたちは全滅一歩手前に追い込まれた訳で。
「――君でも苦戦する程か」
「苦戦って程じゃありませんがね……完全に無効化されるならいざ知らず、少しでもダメージ通るならやり様はありますし」
とは言え、鼻歌混じりな楽勝ムードかと言うと決してそんなことは無く……神器一つでコレだけ差を埋めてくるのだ――神滅具とかだとどれだけチートなのやら。
いや、まぁ……おっぱいドラゴン君やら、そのライバルやら、英雄派のリーダーやらを鑑みれば色々と御察しではあるんだが。
「ちなみに、やり様とはどんな方法かね?」
「幾つかありますが、今回は光弾でほぼ同じ個所を撃っただけです。ダメージは微量ながら通っていた様なので――最初に接敵した時に、結界の感触からして受けた衝撃を完全に殺すタイプじゃなく結界自体にダメージを蓄積して、それを受け流すタイプだったので――瞬間的に局所的なダメージを与えればイケるかなぁ、と」
「――結界の感触……そんなことが分かるものなのかね?」
「ぶん殴った手応えで何となく」
こちとら、それなりに場数を踏んできたつもりなので、結界使う奴と戦うのは初めてじゃない。
コレくらい分かるようになるさね。
「その気になれば、素手で結界貫くことも出来た感じでしたけど――怪我人も居たし、撃った方が楽なんで」
これぞ徹甲作用(物理)!――って、アレも一応物理だし、偉そうには言えないけど。
「……何と言うか、君は無茶苦茶だな……分かってはいたが」
「い、いやいや、俺ってばそんなに和を乱したりしないでしょ?今回は一人だからこうなっただけで、普段はチームワークを意識してますから!」
そんな疲れた溜め息を吐きながら、無茶苦茶言われるのは大変遺憾である。
少なくとも原作フリード君みたいなスタンドプレーはしとらんぞ俺ぁ。
「……そういう意味で言ったのではないがね。まぁ、良い」
何か自己完結されてしまった感があるが、微妙に納得いかないんだが?
「――しかし、神器持ちのはぐれ悪魔、か」
「最近、増えてますよねぇ……全く、彼方さんの戯れにも困ったもんだ……」
神器持ちのはぐれ――つまり、神器持ちの悪魔の成れの果て。
付け加えるなら、元来神器ってのは悪魔には持ち得ない代物だ。
――神器持ちの悪魔とは即ち、神器持ちの元人間。
何らかの理由で、悪魔に転生した神器所有者を指す。
神器持ちは優遇されることが多いので、はぐれの中では少数派だが、出会したら質が悪いのはご説明の通りで。
「駒取り遊びの為に人間辞めさせられたら、そりゃあ反逆もしたくなるでしょうよ」
原作主人公、イッセー君やアーシアちゃんみたいな命を助けるために悪魔に転生した例もあれば――自分の手駒にするために無理矢理悪魔にさせられた例もあるってこと。
そんな圧制、スパPじゃなくても反逆するわ。
――尚、昔見た主人公組改悪アンチ二次ではスイッチ姫がイッセー君やアーシアちゃんの素性を知った上で悪魔にした、とか言うクソアンチ物があったが――ぶっちゃけ有り得ない話だ。
アレだ……昔流行った、リリなの二次の『アースラ黒幕アンチ物』と同じ様な物だな。
やたらクロノとかリンディ艦長が管理局至上主義狂信者な、アレな。
オリ主を立てる為に誰かを扱き下ろす必要があるとか、筆者がそのキャラが気に入らないからとか、理由は色々あるんだろうが――何だかなぁ、と思う。
最も、俺もリアルに似たような立場になってしまった今になって初めて理解出来たが――オリ主と呼ばれる奴らは、ただ必死にその物語を生きていただけなんだよなぁ……。
物語の登場人物が改悪されているのか改善されているのか、そんなの選べない訳だからして。
――願わくば、未だ見ぬ原作登場人物が……マトモなままでありますように――オリ主……ではないだろうが、この世界の異物という意味では同じである所の俺としては、そう願わざるを得ない。
尚、改善は全面的に認める!綺麗なジャイアン的に、元はゲスい奴が良い奴的な――優しい世界は大歓迎!!
……まぁ、はぐれ悪魔とか跋扈している時点で優しくない世界であることは確定的に明らかなのだが――。
えっ?ジャイアンはゲスくないって?
……幾ら劇場版で男を見せても、幻の最終回でのび太にした所業を忘れんぞ俺は。
「確かにな……時に、フリードよ。一つ聞いておきたいのだが」
「何です?」
「君は我々、教会側以外の存在――この場合は悪魔や堕天使についてどう思う?率直に、思った通りのことを言ってくれないか?」
「うぇ?ど、どうしたんです急に――」
「良いから、答えてくれたまえ――心配せずとも、異端審問に掛けたりはせぬし、此処だけの話として私の胸先のみに留めておくつもりだ」
本当に急にどうしたんだ……?何やら直感的に胸騒ぎがするが――。
「それは、はぐれではない悪魔ってことで良いんですか?」
「うむ」
……まぁ、司祭様とは付き合いも長い……俺にとってはこの世界での親父ないし爺さんみたいな物だ。
だから疑うべくもないし、ウチは悪魔も堕天使も絶対殺すマンな過激的方針ではなかった筈だから――。
「特に何も。人に仇為すなら討ち果たすまでですが……主も仰っておいででしょう?汝、隣人を愛せよ、罪を憎んで人を憎まず――ってね?」
「それは意味が違う気もするが……」
「まぁ、要するに悪魔も堕天使も、悪さをしなきゃ気にはしませんよ。何らかの理由で教会を追われた信者には堕天使の存在は拠り所だろうし、悪魔にしてもアコギな契約で魂を毟り獲るなんてことは殆んどしていないらしいですからね」
だかしかし、そもそも堕天使は神への信仰を無くしたからこそ堕天使なのであって、そんな堕天使の元でまで信仰に縋ろうとするのは滑稽と言えなくもない。
悪魔にしても、アコギな契約をするものが居ないわけではないし、ゲームの駒にするために人間を無理矢理眷属悪魔にする輩は俺的嫌悪の対象である。
「……って、本当にオフレコでお願いしますよ?信じますからね?」
原作を鑑みれば、教会側は基本的に自分たちが絶対正義――他は悪という極端な思想だった。
フリード君は言うに及ばず、ゼノヴィアとイリナのヒロイン組ですらヘイトを稼ぎまくるアンチっぷりを見せ付けた。
教会――というより、それより上の天使――その中でも一番上、神に近い連中は知らんが。
和平会談の件を鑑みるに、どの陣営もイケイケで敵愾心剥き出しなのは末端から中堅クラスであり、何かしらの役職に付いてる奴はその限りではない様に思えた。
……ウチの教会は極端な――狂信者染みた思想では無いとは言え、やはり堕天使にあまり良い感情は持っておらず、悪魔は良くない存在という共通認識である。
……俺の考えが露見したら村八分からの自発的追放になりかねない。
「オフ……言ってる言葉は分からないが、二言は無いとも。――だが、成程……やはり君に頼むしか無いようだな」
「な、何をですかね……?」
「フリード……君にはとある場所に出向してもらおうと思う」
「……えっ?」
「これから話す件は、他言無用で頼むぞ……」
うわぁ……何か凄く聞きたくないんですが――具体的に俺の比較的平穏な日々が脅かされる予感ががががが………!
*****************
―――アカン。
俺が司祭様から聞いた話、確かに他言無用なレベルでござった。
『これで我々は互いの秘密を共有した訳だ。これで君も胸を撫で下ろせるだろう』
とか、司祭は仰りやがったが……逆に胃痛がする思いだわっ!?
本人に悪気は無く、俺を安心させる為に言ってくれた様だが――尚のこと質が悪いわい。
まさか司祭が……。
「あら……フリード、報告にしては長かったのですね」
「シスター・クラレンス……まだ起きてたんスか?」
司祭様とは、一時間以上話し込んでいた筈なんだが……。
「……えぇ、誰かさんが行き遅れだの、行かず後家だの、餓えた狼だの言ってくれましたが――私には私なりの役目がありますから?」
「……本当にすんませんでした」
そこまでボロクソ言ってねぇ!!と、叫びたかったが……実際、罪悪感半端なかったので素直に謝ってみた所存。
シスター・クラレンスは有事の際に悪魔払いとして活動し、それ以外では孤児の世話や料理の仕込み等も兼任する――我が教会のオカン的存在だ。
ウチの教会、孤児院も兼ねてるからね――何処ぞの外道麻婆神父みたいなことこそしちゃいないが……才能ある子供を悪魔払いとして育てたりしてるから100%クリーンでもない。
クラレンス女史も、俺ことフリード君もそうやって育てられてきた……らしい。
しかし、ギスギスした雰囲気は無く、アットホームというか、信者同士というよりは家族に近いと思う。
――まぁ、原作のフリード君みたいなタイプだと、そんな比較的優しい空間には馴染めなかったのだろうと思う。
……しかし、俺としては非常にありがたかったし、お陰で今まで頑張ってこれた。
「けど、そろそろ休まないと――明日も早いんしょ?」
「……そうなのだけど、ね」
一応教会なので、一般的な御勤め……ミサ等を行うための準備で忙しい筈なのだ。
「シスター・エカテリーナが帰ってくるのは明日だっけ?」
「ええ、シスター・エカテリーナが帰ってくれば、少しは余裕が出来るのだけれど……」
シスター・エカテリーナは我が教会の元祖オカン的存在で、この教会の炊事炊飯雑事を一手に担う肝っ玉オカンである。
悪魔払いとしては一線を退いているが、彼女のお陰で神父として、悪魔払いとして頑張れているという奴も少なくない。
この教会で育った者にとっては、正に母親そのものである。
クラレンスを始め、多くの者が彼女の教えを受けている――こう、生活の知恵的な物を。
今は長年の勤労を労って、療養を兼ねて故郷に帰省してもらっているので、次点のクラレンスが代理を引き受けているって訳……つまりクラレンスは次代のオカンだな。
「フリード、明日は貴方も暇な筈でしたね?先程の件を謝罪するというなら、明日は貴方にも手伝ってもらいます。シスター・エカテリーナの帰りを迎えて、だらしない所は見せられませんから」
普段ならその言葉に、不平不満を述べながら何だかんだで手伝うのが俺だが――今回は本気で怒らせてしまった為に二つ返事でOKを出したい。
それでご機嫌を直して下さるなら、必要経費という奴だ。
―――そう、する筈だったんだけどなぁ……。
「――申し訳ない、シスター・クラレンス。司祭様から急な任務を仰せつかっちまいましてね、明日の朝一番には此処を発たなきゃならんのですわ」
「……それは、また急な話ですね――いったいどちらまで」
「任務の都合上、言えないんですわ……正直、いつ帰れるかも分からねぇし」
「そう、ですか……それは寂しくなりますね」
「なので、シスター・エカテリーナや他の連中、それにガキ共にも宜しく伝えておいて下さいな。土産話は期待すんなよ、って」
土産話の一つも持って帰りたいが、何せ現時点では他言無用――この先どうなるか――予想は出来ても予測は出来ないから、無責任なことは言えねぇし。
「……なので、シスター・クラレンスにお願いが」
「――はい?」
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「……全く、早く休めと言っておきながら、こんなことをさせるなんて――」
「良いじゃん別に。折角可愛い弟分が旅立つんだから……記念に一肌脱いでくれても、バチは当たりやせんぜ?」
「……仕方ないですね」
クラレンスはそう言いながら、俺の頭を優しく撫で――。
「けど勿体ないわね……こんなにサラサラなのに」
「サラサラだから、鬱陶しいわけですよ。切る暇もなかったので仕方ないんだろうけど……折角なのでバッサリやっちまって下さいな」
「ハイハイ……やってあげますから、大人しくしてなさいね」
俺の髪にハサミを入れた――ぶっちゃけ散髪ですが何か?
いや、日々の激務や修行にかまけて髪が伸び放題で原作フリード君みたいなサラサラロン毛になってしまっていたので。
正直、何かと邪魔なんですよコレ――手入れにも時間掛かるし……特別なことはしてないけど、洗うだけで倍以上の時間が掛かるのは、ぶっちゃけ面倒なのですよ。
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数十分後――。
「ハイ、出来ましたよ――髪は自分で洗ってくださいね」
「おおっ、サッパリしたぁ!……けど、前髪はもっと切ってもよかったんだけど」
「貴方に極端な短髪は似合いませんから、コレくらいが丁度良いんですよ」
「しかし、こりゃあ……」
手鏡を借りて、写し出されたその姿は……何と言うか――目付きの悪い黒くないブラッキー先生みたいな風体が。
「……そんなに気に入らないなら丸めるなり、部分的に剃るなり……してあげましょうか?」
「滅相もございませんッ!!綺麗にカットして戴き御ありがとうございますッ!!」
神に仕える者として、是非そうましょうとか言い出しやがるので飛び退いて全力で謝罪しましたさ。
ザビー教に改宗なんてしたくないんだよ俺は。
「そんじゃ、髪洗うついでに軽くシャワー浴びてきますわ――お休み、シスター・クラレンス」
「えぇ、お休みフリード……無事に、帰ってくるんですよ」
――どうやら、俺が皆に挨拶せずに此処を発つつもりだと感付かれたらしい。
遠回しに見送り無用と告げたつもりだったが、モロバレだったみたいだ。
「シスターこそ、俺が帰ってくるまでに良い男でも捕まえておけよ?今日日、信仰に殉ずるなんて流行らないんだからよ」
「あ、貴方はまたそんな――」
「へへっ、そんな当たり前な幸せくらい神様だって御許し下さる――処か、祝福してくれるだろうさ」
照れ隠しに、俺は再びそんなことを言うが――今度は茶化す気は更々ない。
前世込みなら俺より若い娘さんが、そんな当たり前の幸せを掴めないなんて嘘っぱちだ。
俺はそんな幸せを掴むことなく、おっ死んじまったから――余計にそう思うのかもな。
「フリード、貴方……」
「神父として、シスター・クラレンス――貴女に祝福があらんことを――なんつってな」
下手ッくそなウインクを置き去りに、俺はその場を後にした。
ったく、ガラじゃないっつーに。
老婆心?家族愛?或いは未練か、憧憬か――本っ当に……ガラじゃねぇな――。
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――翌日、彼は準備を整え旅立っていく。
進む先は、今まで以上に茨の道だ――彼自身が望んだ道から、徐々に外れてきてしまっていた。
望む道筋を目指して力を付けたことが、結果として道を外れることになるのは……皮肉という奴なのだろうな。
だが、彼は自身の選択を否定しなかった――逃げることも出来たのにそれをしなかったのは、それが必要だと感じたからだ。
彼を育ててくれた家族の期待に答えたいという、親愛の情もあったのかも知れないな。
彼は彼だった頃、誰からも期待されず、利用されるだけだったのだから。
それでいい――君は自分の思ったことを、思った通りに、自由に選択していけ。
結果は自ずと着いてくる――それがどんな結末になろうと……。
最悪の結果になったらだって?
いざとなったら、私がサポートするさ。
――何、彼なら上手くやってくれるさ――それに今は眠っているが、神の叡智は彼と共にある……おいおい、私のサポートが心配なのか?
ふっ……まぁいい。
気になるのなら、君たちにも彼の過程と結果を見守って貰おう――彼のこれからの軌跡は、私にとっても、君たちにとっても、明日の出来事――なのだから。
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某日某所――。
俺は古巣の教会を離れ、新天地に赴いていた。
そこで待ち受けていたのは出向先の御偉いさん――なのだが。
「よぉ、お前がニコルの所の腕利きか?成程、若いのに良い面構えしてるじゃないの」
あっ、ニコルってのはウチの司祭の名前ね――この御偉いさん、かなりご年配な筈のウチの司祭様を、まるで親戚の子供のように扱ってらっしゃるが――見た目はまだまだ若々しい……一昔前に流行ったちょいワルオヤジ的な風体だ。
だがそれも当然――だってこのオッサン……。
「いやぁ、ウチはお前さんみたいな骨のある人間は居ないから、正直助かるぜ」
人間じゃないんだもの――。
「フリード・セルゼンです。貴方がアザゼル総督――ですね?」
「おうよ。俺が『神の子を見張る者(グリゴリ)』の総督――アザゼルだ。まっ、宜しくな」
堕天使陣営のトップ、神器研究の第一人者――皆大好きアザゼルさんがそこに居た……わぁい、テンプラ定食おいしいです(^q^)
【悲報】ウチの司祭様が堕天使と繋がっていたでござるの巻。
こんなん、知られたらエライことですわぁ……本当にテンプレ過ぎるだろJK?
この任務が終わったら俺、有給休暇を取るんだ――。
クラレンス女史、俺の代わりに……幸せを掴んで下さいよ――俺は大丈夫。
答えもなぁ~んにも得てないけど、これから頑張っていくから……頑張らざるを得ない……戦わなきゃ……現実と(白目)
「勿論、全力は尽くしますが……ウチの司祭様との約束、忘れないで下さいよ?」
「分かってるよ、ギブアンドテイクって奴だ」
こうして、餅は餅屋とばかりに神器について学び、対策法を得るために向かった先は、堕天使のお膝元。
……確かに、悪魔でも堕天使でも、悪さをしなきゃ気にしないとは言ったよ?
けど、だからって――原作の最重要人物兼、二次のお約束的にも重要な存在とコンタクトとか……。
10年の修行と人間関係の改善で、教会を追放されることは無かったが……結果的に原作とあまり変わらなくない、コレ?
と、軽い絶望感に襲われる俺は、きっと特別な存在なんだと………こんな特別、《いりません》それならむしろヴェルター○オリジナルを下さいよ……。
【悲報】神父のテンプラ定食、始まりました。
……ま、まぁ?原作の最重要人物と関わったからって?堕天使側だからって?
原作の展開なぞるなんて、ありえませんしおすし?
原作のフリード君は教会を追放されて、レイアウトさんのなんちゃって教会に所属する流れで?俺は出向という形で?堕天使側に出迎えられる形になってるわけですしおすし?
ほ、ほら大丈夫!!まだ……まだ……未来は明るいんだ!!この理想は……間違っちゃいないんだからっ!!
――フラグ乙……?
何でだ!!なんでそんなことを言った!?言えっ!!
クソッ……俺は、フラグなんかに……絶対に……。
――絶対に負けないっ!!
絶対にだッ!!!
【悲報】主人公、シキソリストになる。
……それはそうと、モンハンクロスって、面白そうですよね?(小波感)