死なないことはチートでは無いのだろう   作:my茸

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どうしよう。
主人公がなんか黒い。
でも戦わない方針で行くとこうするしか無かったんだ!
こんな主人公だけどよろしくお願いします。


第4話、ゾンビと不死は違うんだぜ?

前回のあらすじ〜

 

「返事がない。ただの屍のようだ。」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

本編スタート〜

 

先程までの喧騒が嘘のように中は静かだった。

"ベート(レベル5)少年(レベル1)を蹴りとばした。"

さすがに手加減はされていた。蹴られた箇所が折れる程度だろう。

だが、酔っていたせいと、煽られ、プライドを刺激され、怒りが頂点に達していたせいとで狙いがずれ、その蹴りが最悪の場所に当たった。具体的に言うと、左胸だ。

高等回復薬(ハイ・ポーション)では骨折しか治らない上、下手に治すと骨の位置がおかしくなる。

そして宴にエリクサーを持ってくるような酔狂な輩はいない。

これにはロキ()も背筋が冷えた。

 

「………み、見てくるっす。」

 

「…ん、頼んだでラウル。」

 

「了解っす…ってわぁ⁉︎」

 

目を向けると、無傷の(・・・)少年がそこに立っていた。

 

♢♢♢♢

 

「うわぁ⁉︎」

 

酒場に戻るなり叫ばれた。

え、ちょっと何?ヤメテその幽霊を見るような目。傷付くよ?

 

「…なんで、無傷なんや…」

 

無乳神が誰に聞くともなく呟く。

 

「いやぁ、流石ベートさんです。滅茶苦茶痛いけど怪我しないギリギリの力で吹っ飛ばすなんて。まさかレベル1に酔った勢いで蹴り入れるとかあり得ませんもんね?」

 

「ぐっ…てめぇ!何で生き」

 

「やめえベート。」

 

そう。それが賢明だ。それでこそ主神だな。

未だに酔っているベートさん(バカ)を諌めた無乳神が小声で聞いてくる。

 

「お前さん、何をやったんや?」

 

「…神ロキ、それはどういう事ですか?」

 

「どうもこうもあるか。ベート(あのアホゥ)の蹴りまともにくらって無傷なはず無いわ。」

 

「なら…仮にあの蹴りで俺が死んでたらどうするつもりだったんだ?」

 

「………むぅ。」

 

「これは譲歩だぜ?神ロキ。今なら大サービスでベート(ヤロー)からベルとアイズへの謝罪と、俺らに対する慰謝料たったの4000ヴァリスだ。」

 

「…ハァ。…しゃあないな。近いうちにベートに行かせるわ。もともとウチの子供のせいやし。アイズたんの事まで考えてくれとった事は礼言いたいくらいや。」

 

「そりゃどー」

 

「それはそうと。」

 

目の前の神(ロキ)の目つきが変わる。

 

「へ?」

 

「だ、れ、が、無乳おっさんもどき変態神やボケぇ!!!!!」

 

「そ、そこまで言ってなこめかみが痛てててててててて!!!!!!!」

 

♢♢♢♢

 

彼が無傷で帰ってきた時、驚くと同時に、やっぱりな、と思った。

彼はロキと何やら真剣に話をしている…と思ったら急にロキがグリグリを炸裂させた。

 

「…アスタ。」

 

こめかみからしゅうしゅうと煙を出しながら倒れ伏す彼に声をかける。

 

「…ハッ!ここはどこ?私は誰?」

 

…大丈夫だろうか。すごく心配になる。

 

「…ここは、豊穣の女主人で、君はアスタだよ?」

 

「あ、大丈夫大丈夫!心配すんな!」

 

そうだった、アイズは通じないタイプだったとか呟いているけど、よく分からない。

 

「…それで、何の用だ?」

 

「…うん。私、明日休みなの。だから、明日12時にガネーシャ像の前に来て。」

 

「へ?えっと、アイズさん?」

 

アイズは自分の想いを精一杯込めて言った。

 

 

 

「…アスタの事、もっと知りたい。」

 

 

♢♢♢♢

 

「…アスタの事、もっと知りたい。」

 

…………………………………へ?

 

「「「「「な、な、なにぃぃいいいいい!!?」」」」」

 

爆発が起きたかと思った。

阿鼻叫喚する人々、苦笑する小人(パルゥム)の男性とエルフの女性、真っ白になる狼人(ウェアウルフ)とエルフの少女と女神(仮)、純粋に驚いた様子のアマゾネスの2人。

 

「…じゃあね。」

 

マイペースに立ち去るアイズ。

ちょ、ちょっと待って、ここで1人にしないで。

逃走を図ろうと入り口を見ると、暗い表情で立つシルが見えた。

忘れていた訳ではないが、先程まではこの場を切り抜けることで精一杯だった。だが、今は違う。

ーーベル!そうだ、あいつのとこに行かないと!

 

「あいつアイズさんの何なんだ!」

 

「彼はアイズさんの何なんですか⁉︎」

 

「うちのアイズたんに何しよったんや‼︎」

 

「アイズが…アイズがあんなゾンビ野郎と…」

 

何か言っている店内の人々(モンスター)達を無視して入り口へと向かう。

 

「悪かった、シル。あいつ(ベル)には後で謝りに来させっから。」

 

と、すれ違いざまにシルの肩を軽く叩くと、ビクッと肩を震わせるシル。その様子が気になったが、今はベルが優先だ、とそれは気にせずベルがいるはずの場所(ダンジョン)へと向かう。

 

♢♢♢♢

 

…ベルを見失い、肩を落として帰ってきたシルは見てしまった。

窓から飛ばされてきたよく知る人物(アスタ)が自分の首を切り裂き、その後何事もなく立ち上がる様子を。

シルは立ち去った彼の行った方をぼんやりと見ながら呟いた。

 

「…アスタさん。アスタさんは…人間(・・)、なんですよね?」

 

「…シル?どうしたんですか?」

 

心配そうに聞いてくる親友のエルフに笑顔で答える。

 

「…ううん、なんでもない。さ、入ろ?ミア母さんに怒られちゃう。」

 

騒がしさを取り戻している店内に入る前、シルは一瞬だけバベルの方向を見やった。




次回、ベル君のホームへの帰還と、待ちに待ったアスタのステイタス詳細です。
請求した4000ヴァリスの理由はミア母さんに渡した食事の代金ですね。
アイズさんとのデート(?)は次次回ですね。
勿論アイズさんにはデートに誘ったというつもりは全くないです。
…いやぁ、それにしても主人公黒いなぁ。真っ黒だなぁ。
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