地上を這う男   作:ぽけてぃ

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最近めっきり寒くなって来ましたね。インフルエンザに気を付けたいと思います


4話

 

 

 

 

 

シュン

 

…シュン、シュン…

 

 

ここはウォール・ローゼの南に位置する大森林

殆どの木は全長30メートル越え、樹齢百年を越えている

そのため、動物も多く生息していて熊や猪などは、さほど珍しくない程度だ

 

そんな木々の間をすり抜ける幾つもの人影

 

その動きは下から上に、上から下に、はたまた横から横へと似て非なるもののであったが、全ての物に共通するのがそのワイヤーが擦りきれるような機械音だ

 

ーーーーーーーーーー立体起動

腰に装着しているそれは巨人と戦うなら必ずしも必要な装備である、詳しい原理を説明すると長くなるので端的に言うと“立体起動装置から出るワイヤーを使い建物からの建物へ移動する機械”である同伴の強硬質スチールで出来たブレードにあるスイッチでワイヤーが飛び出す仕組みになっている。

何故このような装備がいるのかと聞くと兵団の人々は口を揃えてこう言う『屋根から屋根へ移動するため』

 

そのため立体起動装置は兵団に無くてはならない物となっていた。そんな中、今この大森林で行われているのは立体起動の訓練である

 

大森林の中にあるいくつもの巨人のレプリカを倒すという訓練だ

 

 

 

その中に1人立体起動装置を着けていない者がいる

 

ーーーーーーーーーーアレク・チプス

 

ただ大森林の中を駆け巡り巨人を見つけたと思ったら、もうやられているという状況がずっと続いていた

もし仮に見つかったとしても高さが高さだけにアレクには到底やれることはない

なら何故、立体起動の素質がない彼がどうして此処にいるのか

 

キース教官曰く『お前は巨人の囮になるのだから先ずは立体起動の動きを知り、それを生かすような役回りをしろ』とのことだ

 

そんなことでアレクは今、森の中を走っている

 

「はぁ…はぁはぁ……」

 

ひたすら巨人を追うが全く見つからない

 

 

「頑張れよ、我らの囮君……きゃはっはっはっ」

 

「もっと早くしろよ、俺の立体起動装置貸してやろうか?あ、使えないんだから無理だったな」

 

「「はははっ」」

 

アレクの上を二人の男子が通り過ぎる

 

 

全くもって不愉快だ……

 

アレクには憎悪だけが増していく訓練であった

 

 

アレクが開拓地行きを取り止めになった日から皆の反応は大きく2つに別れていた

 

1つ目は俺の諦めない姿に感動して凄いと思うと奴だ

ライナーやベルトルトがその類だ、今では仲良く話もする

 

そして2つ目が俺の事を馬鹿だと笑う奴だ

こっちの方が圧倒的に多く、全体の約8割を占めている

男子だけで考えたら9割を軽く越えているだろう

 

そんなやつらはところ構わず俺の事をからかってくる

 

 

 

 

 

立体起動の訓練が終わり、森の正面?に集合する

 

 

「マジかよ俺一体しか倒せなかったし…」

 

「大丈夫だろ、どうせ何処かの馬鹿は一体も倒しちゃいねぇよ」

 

「それもそうだな、ぷっははは」

 

またしてもこれだ本当に嫌になる

 

 

 

「アレク!」

後ろからそんな声が聞こえて俺は後ろを振り向く

すると

 

「えいっ!」プニッ

 

いきなり俺の頬を突つかれた

 

「…………えっ?」

 

「アレク引っ掛かったぁ~」

そこにいたのは笑顔で微笑むクリスタであった

 

「クリスタ?」

 

「アレク元気ない様子だったから元気づけようと思って」

 

アレクはクリスタのその行為にどう反応していいか戸惑う

「あ、ありがとう」

結局出たのはそんな単純な言葉だった

 

「えっとねアレク、私今日の立体起動の訓練で9体倒せたよ」

クリスタはえへへっと自慢気に語る

 

「そっか…クリスタは凄いな」

アレクもその笑顔に返す

 

「アレクに褒めてもらうと照れるなぁ~/////」

にやけるクリスタ

 

そんな会話をしていると

 

「ちっ、」

 

多分さっきの奴等だろう、凄い形相で俺の方を睨んでいる

 

「でもさ、なんで立体起動も出来ない馬鹿がこんなとこに居るんだろうな」

結局そいつ等がとった行動は今までと同じで俺への侮辱だった

 

「むぅ~」

その声が聞こえたのかクリスタは顔を歪める

 

「アレク…」

 

「大丈夫だ」

 

「でもっ、」

 

「大丈夫だって心配性だなクリスタ」

そう言って頭を撫でる

 

「うぅ~/////」

 

こうすればクリスタは大体反論しなくなる

と、最近気付いた

 

 

あれ、俺って確信犯?

 

「おうおう、見せ付けてくれるねぇ、お二人さん」

ユミルがクリスタの後ろから出てくる

 

「別にそんなんじゃねーよ」

その言葉に異議を唱える

 

「まぁそんなの、どうでもいいんだけどな」

 

「いいのかよ…」

やっぱりユミルのキャラは掴めないな

 

「それより帰ろうぜ、こんなところにいても意味ねーだろ」

 

「いや、教官が帰ってよしって言うまで帰れねーんじゃねーの?」

それを聞いた瞬間にユミルの顔が、だるいなぁ~という顔になる

 

それはユミルが顔を変えたのと同時だった

 

「これで今日の訓練を修了する!各自食事前までに帰ること、それとアレク訓練生はこのあと私の部屋に来るように、以上解散!」

 

「お、噂をすればなんとやら…だな」

そしてまたしてもユミルの顔が変わる

 

「だな、呼ばれたけどどういう要件だろう?」

 

「なんだろうね?」

 

「まあ、行かねぇことには分からんからな…悪いけど夕食先に食べといてくれ」

 

「うん!」

 

「私とクリスタだけで十分だからもう帰ってこなくていいぞ」

 

「……絶対に帰ってくるからな!」

 

そういい放ちアレクは教官の部屋に向かった

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

キース教官の部屋の前に立ち、扉をノックする

 

コンコン、

「訓練生のアレク・チプスです」

 

「うむ、入っていいぞ」

 

中から教官の声がする、一旦深呼吸をして扉に手をかける

 

ガチャ

「失礼します」

 

中には勿論の事、キース教官が正面の椅子に座っていた

1つ驚きだったのは机の前にもう1人いたことだ

 

「やあ、君が変人君かい?」

最初に口を開いたのはその女の人だった

 

「立体起動が出来ないのに巨人を倒すって面白い事を考えるよね」

その女性は眼鏡の中の瞳をキラキラと輝かせてこっちのことを見ている

 

「……は、はぁ…」

ただ、ただ唖然するだけのアレク

 

「こらハンジ、お前が話し出したら進む話も進まんだろうが」

やっと口を開いたキース教官がその女性(ハンジと言うらしいが)に釘をさす

 

「はあ、私としてはもう少しこの子とお話がしたいんだけどな」

 

「それでは本題に入るぞアレク訓練生」

 

「無視!」

その二人のやり取りは見ていてとても滑稽だった

 

「アレク訓練生!君は立体起動が出来ないな」

 

「はい!」

 

「うむ、よい返事だ…」

少し微笑み頷く教官

 

「君が立体起動を出来ない事で、他の訓練生に一歩遅れを取ることになる」

 

「一歩どころか百歩は遅れてくるんじゃない」

ハンジという女は無駄にどうでもいい所を修正してきた

 

「そこでだ、そこの変わり者に協力を頼んで君への特注品を作ったわけだ」

 

「はーい、分隊長のハンジ・ゾエです。よろしくねアレク訓練生」

陽気な声で話かけてくる

 

なるほど分隊長だったわけか……ハンジ・ゾエ覚えておこう

 

「最初は何を作ればいいか迷ったんだけど、立体起動の素質がないんだからバランスの用いられるものはダメだと思って、だったら腕から伸る立体起動はどうだと考えたんだけど、それだと下半身の重心が重くなりすぎてまともに動けないと分かってね、ならばry」

ハンジ・ゾエの説明は長々と続いた

 

なるほど、変わり者と言われるわけだ

 

この時にはハンジの言葉はアレクには9割頭に入っていなかった

 

「もういい、ハンジ分隊長」

あまりにも長い説明に教官がそれを遮る

 

「え、何故だい?まだ3割も喋り終わってないのに」

 

あれで3割なのかよ……

アレクは驚愕すると共に、それを止めてくれたキース教官に感謝の念を唱えた

 

「君がそれ以上話したらアレク訓練生の夕食がなくなってしまうだろ」

 

「はあ、分かったよ」

何とか妥協してくれたハンジ分隊長

 

「つまりだアレク訓練生、君にこの変わり者が作ったブーツを差し上げよう」

 

そうしてハンジが机の死角から普通となんら変わらないブーツを取り出した

 

「ブーツ…」

状況が読めないのでブーツとおうむ返しに言ってしまった

 

「そうだよ、でもただのブーツじゃないんだ、なんとこのブーツは人のジャンプ力を3倍にできる代物なんだよ」

 

「3倍…」

 

「そうそう、靴裏には特殊なバネが入っていて人の力を底上げさせてくれるようになっているんだよ!」

えっへん、と言いたげにハンジがブーツの説明をする

 

「扱いは立体起動の何百倍も難しいから、最初は気をつけて使わないといけないよ。飛びたい時に飛べずに飛びたくない時、飛んでしまう可能性があるからね」

 

「そういうことだ、どうするアレク訓練生?欲しくないと言ったら即刻藻って帰させるが……」

最後にキース教官がそんなことを問うた

 

 

立体起動の何百倍も難しい…………だけどそれくらいしないと家族の仇をとれない

なにより難しくても使える、ただ難しいだけなら俺ならやれる!

 

「はい!有り難く貰います!」

 

 

「分かった、これからも訓練に励むように」

 

「はい!失礼しました。」

 

そう言って俺はキース教官の部屋を後にした

 

 

 

 

 

 

「いやぁ、変わった子だったね」

 

「それをお前が言うのか?」

 

「あぁ、あの子の将来が楽しみだよ」

 

「そうだな」

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

その次の日からアレクの立体起動の訓練が変わった

遅くなったか、速くなったかと、問われれば遅くなったのだが、動きが今まで以上に良くなった

なんと言ってもやっぱりジャンプ力だ、上に飛んだら足元が2メートルは飛び、横に助走をつけて飛んだなら軽く7、8メートルは行くだろう

まあその分沢山の木にぶつかった。とにかくコントロールが難しいのだ、いきなり前におもいっきり跳んだと思ったら次の踏み込みでは全然翔ばなかったり

ブーツに踊らせれているような感じだ

 

だけれども、もしこのブーツをアレクが使いこなせるようになったら、それはきっとアレクにとって大きな糧となるだろう。

それだけは断言できた

 

 

 

 

 

 

 





アレクにオリジナルの装備を着けさせてもらいました。
流石に人間の身体能力だと限界があるので仕方なくつけさせました
名付けるなら『キッ○力増強シューズ』なんてどうでしょう
あ、シューズじゃないじゃないですか!

あと、地味にハンジさんと初対面を果たしたアレクでした
次回は二年位いっきに進むと思います
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