「京都へ行きましょう!」
いつの間にか大神・刻の後ろに立ち発光する平家。
「と、唐突ですね、何故です?」
「観光ですよ、観光。たまには良いでしょう?」
「ふざけんナ!なんで俺とコイツと平家で京都までいかなきゃならねえんダヨ!」
刻が大神を指さしていう。
「真面目な話、何をしにいくんです?」
大神が再確認する。
「仕事ですよ。いつものゴミ掃除です」
「ハァ?なんで遠出してまでゴミ掃除──」
そこまでいって、刻はようやくあることに気づく。
「アレ?そういや東京以外のゴミ掃除って誰がやってんノ?」
「そういえばそうですね。コードブレイカーは各都道府県に配置されているんですか?」
大神達コードブレイカーは今まで東京で悪を滅していた。他府県に干渉することなどなかったのだ。
「えぇ。パーフェクトアンサーです、大神君。というわけでレッツムーヴです!」
「……」
大神はニコニコ顔で、しかし静かな怒りを宿しながら桜小路桜の頬をつねっていた。
「なんで桜チャンついてきてんの!?」
「平家先輩がみんなで京都観光にいくというからついてきたのだ!他のみんなが来れないのは残念だが……」
顔についた水を払うように頭を振り、大神から逃れた桜は目を爛々とさせている。
「なんでこの珍種連れてきたんだ!」
大神は小声で平家に問いただす。
「え?一緒に京都でお茶を嗜みたいです平家先輩殿!とおっしゃっていたので……」
その返答に、拳を震わせながら平家に対する文句を我慢する。
その時、ピロリロリンと携帯の着信音と思しき音がなる。大神がそれにでる。
「……なんだよクソネコ」
「いかにも!私は会長だが」
「切るぞコラ」
桜、平家ときて大神の怒りは限界値に到達していた。
「待って待って!今桜小路さんと一緒にいるよね?」
「えぇ、それが何か?」
「桜小路さんの身に何か起こらないよう頼むよ」
いつになく真剣な声だった。
「当たり前だろ」
大神は一言、そう答えて電話を切った。
「ところでサ、京都のコードブレイカーの本拠地ってどこ?エデンはないでショ?」
「ほう。珍しいですね刻君。普段のあなたなら京都の美女と遊びたい、なんていうと思っていましたが?」
「……情報隠蔽のためのエデンもエージェントも今はいないし、まずはそういうことしっかりしてからっショ?」
刻は真面目に考察していた。正直、京都にコードブレイカーがいるのなら京都のゴミ掃除はそれがするべきだし、わざわざ東京から自分たちがくる必要など本来ないはずなのだと。
「では刻君、質問です。京都のエデンはどこにあるでしょう?」
「ハァ?そんなのわかるワケないっショ?」
「しかし大神君はわかっているみたいですよ?」
大神は桜と話しながらいつの間にか歩き進めていた。
「置いていきますよ、刻、平家」
「ハァ!?ドコ行く気なんだヨお前!」
「それは博識な桜小路さんに聞いてください。僕は最初二条城かと思ったので……」
やっぱり城マニアじゃねーか、と全員思ったがあえてそこには誰もツッコまなかった。
「御所だと思うのだ!多分……」
御所といえば元皇居。
平家が100年以上も生きたというのだ。それより前にコード:ブレイカーが居てもおかしくないし、皇居が移った後だとしても広く不可侵の空間が存在する御所はコード:ブレイカーの本拠地として十分な役割を果たすものであった。