みんな地べたを這いずり回り、死にもの狂いで死んでいた。
人一人は所詮、ありふれた一人。
がんばってみても、規格品。
身長、約145センチのちっぽけな命。
生まれてから、約10年のはかない人生
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少年 「オレ、勇者になるんだー!」
まだ幼さの残る横顔の少年が、親父に向かって意気込んだ!
父親 「・・・・・・・・・・」
夕食中の父親が、ポカーンしている。
少年 「父ちゃん、オレ、立派な勇者になりたいんだ、どうすれば勇者になれるんだ! 教えてくれよ!」
父親 「おめぇが勇者にかぁ・・・・・、 それにしても痩せてんな、お前」
とーちゃんこと、顔に大きな傷のある、この肉達磨は孤児院のおじさん。
おじさん一人と30人の子供が食卓を囲んでいた。
だが、30人の子供達は、うつむきかげんにまずそうな晩飯をすすっているのだった。
父親 「そうだなぁ・・・・・、とりあえず飯食え、人のだってかまやしねー」
おじさんは立ち上がると、30人の中で弱虫の子供のスープを奪い、少年のテーブルに置きなおした。
飯を奪われた少年が号泣した。
だが、周りの子達はどうする事も出来ない。
父親 「ほれ、食え、食って強くなるんだぞ、弱肉強食の世界だからな」
おじさんは、少年少女全員に聞こえるようにそう言った。
少年 「・・・・・・・・・・」
ガリガリの少年は、1日中の重労働でくたくただった。
もちろん、この少年だけではない。
30人、皆、腹ペコだった。
だが、成長期の子供達に見合う食料の量では無い。
一人の少女が立ち上がった。
少女 「ほらほら、もう泣かないの」
子供・泣 「ひっく、ひっく」
父親 「甘やかすんじゃーねぇー!!!」
おじさんが、突然怒り出し、少女をはたいた。
さらに、飯を奪われ、泣いてる子も。
そして、二人を外に放り出した。
子供 「うわぁぁぁぁぁぁぁん(泣)」
父親 「うるせぇー! なくんじゃねー!」
少女 「・・・・・(泪)」
父親 「おめーら、そこで頭冷やしてろ!」
砂塵舞う寒空に放り出される二人。
少年 「・・・・・・・・・・(怒)」
父親 「なんだよ、その目つきは」
おじさんを睨む少年。
少年は、2杯のスープを一気に飲み干した!
少年 「やっろぉぉぉぉぉ!!!」
そして、無謀にも突貫した。
父親 「おいおい、なんだよ、他人のために怒るなっていつも言ってんだろーが」
おじさんは、少年をボコボコにして、外に放り出した。
ボコボコにしながらおじさんは、言っていた。
「お前らの命は村のモンだ、その食料もその服も、この家だって村で面倒みてやってるんだぞ」
「その上、この世界で生き残る技術まで教えてやってる、労働に耐えられない弱い奴、心の弱い出来損ない、村の役に立たない奴らを養う余裕はねーからな」
体罰ではなく、完全に暴力を振るわれて少年は放り出された。
少年 「ぐはぁ・・・・・」
父親 「2度とたてつくんじゃねーぞ!」
少年は、あざだらけ、血まみれで、意識も朦朧と倒れこんだ。
少女 「きゃぁぁぁぁぁ」
子供 「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ(泣)」
少年 「・・・・・・・・・・」
フラフラの少年はよろよろと上体をおこし、座りなおした。
そんな彼を心配した姉は、傷の確認をする。
少女 「だ、大丈夫なの、ひどい、血が出てる」
少年 「い、いてーよ! ねーちゃん」
子供 「うわぁぁぁぁぁん! レイトが死んじゃうよー!!!」
少年 「いてて、ハハ♪ 大丈夫大丈夫だって♪」
顔は歪み、右目は紫に腫れ上がり、斜めに傾いた姿勢で少年は強がった。
少年 「横取りしてごめんな」
子供 「ひっく、ひっく、・・・・・」
少年は、後ろポケットから、潰れて少し汚くなった食べくさしのサンドイッチ的なモノを取り出すと、子供に手渡し、頭を優しく撫でるのだった。
子供 「ひっく、・・・・・、え?」
少女 「レイト、それ!」
少年 「ハハ♪ いいから、ほら、食えって♪」
子供 「貰ってもいいの、わーい、いただきまーす♪」
泣き虫の子供は、空腹だった。
そして、潰れたサンドイッチはとても美味しかった。
それもそのはず、それは戦闘での戦利品、おじさんのスペシャルサンドイッチ❤
少年は、ちゃっかりパチってきていた。
だがそのとき、孤児院のドアが乱暴に開いた!
父親 「れいとぉぉぉぉぉ!!!」
人の飯を横取りしたレイトは、こっぴどく殴られた。