エイジ 「ただの ク・ソ・ジ・ジ・イィ!!!」
ガリィ 「クソガキ、仕事の時間だぞ」
受身も取れずに投げ飛ばされた少年。
そして、いつものそのむかつく言葉。
エイジ 「何しやがる! クソジジイ!!!」
シートに深く腰掛け、右手にハンドル、左手にシフトレバー。
フットペダルとスターターのチェック。
一連の動作を、無意識的にこなしていた。
ガルシアの言葉に、条件反射で体が勝手に動いている。
そして、ほんんんっとーーーに、空気の読めない彼もようやく気がついた!!!
エイジ 「!!!!! なんだ!? こりゃいったいなんだ! おい、ジジイー! これ!!!」
ガリィ 「だーから! ガキの退職金じゃ、言うとるじゃろーが!!!」
エイジ 「・・・・・まじか、本当に貰ってもいいの、これを?」
タイトなコックピット。
オープンパイプフレームのボディー。
子供用に高めの座席調整されたシートと各操作系。
そのシートは、エイジのサイズにぴったりだった。
ガリィ 「そのポンコツをくれてやるぜ。 さあ、わかったらさっさと出て行きやがれ!」
エイジ 「・・・・・ジジイ」
ジジイの柄にも無いその奇行に当惑するエイジだったが、状況は一刻の猶予も無駄にはできない。
エイジは、スタータースイッチを押した。
ふぉぉぉ・・・・・
ふぉぉぉ・・・・・
・・・・・・・・・・
ふぉぉぉん ふぉぉぉぉんんん ふぉぉぉぉぉんんん ♪
スターターがゆっくり動き出す。
いつもの660cc改とは、まわりかたが違う!
相当に大型のエンジンが積んであるようだ。
ぶわぁっ!!! バババ! ボワァバババボボボボボボ! ババババリバリバリバリ♪♪♪
けたたましく、不安定にアイドリングしながら、爆裂にはじけるエンジン音!
コンディションはあんまりよくないようだ。
アクセルに足をのせてみる。
エイジ 「 !? 」
ホォワァン♪ ホォワァン♪ フォワァァァァァァァァンンン!!! ファン!ファン!ファン!!!
重々しく不安定なアイドリングからは、想像できないぐらいに超絶リニアな吹け上り。
エイジ 「すっげぇーーー!」
ガリィ 「拾いモンのポンコツだからよ。 いつバラバラになるかわからねーけどな」
エイジ 「・・・・・、らしくねーよ、気持ちわりーけど・・・・・、 ありがと、ガリィじいさん、ちょっと行ってくるわ!」
ガリィ 「バッカヤロー、せいせいするわい! 2度と帰って来るなよ エイジ」
エイジは、胡散臭い者を見るような細目で、爺さんにお礼を言った。
名前で呼ばれた事など、いつ以来だろうか・・・・・?
ガリィ 「いいか、一度しか言わねーぞ!」
珍しい事もあるものだ!
ジジイが、他人にアドバイスのような事をしようとしていた。
ガリィ 「オフィスに行ってそこのカードを見せるんじゃ、武装とクルマが借りれるはずだ」
エイジ 「・・・・・爺さん、何してるんだ? それってもしかして、アドバイスか? アドバイスなのか???」
エイジの細目が、さらに細く、横長になる。
助手席には、投げ込まれたコインと一緒に3枚のカードが落ちていた。
ガリィ 「いいから、まじめに聞くんじゃ!!!」
エイジ 「・・・・・」
アクセルをあおりながら、二人の会話が続く。
ガリィ 「そのカードは、ワシが昔、使こうとったハンターライセンスじゃ」
エイジ 「ジジイ、ハンターだったのか!!!」
ガリィ 「いいから、黙って聞きやがれ! 理解しろ! じゃねーと死ぬぞ!」
エイジ 「・・・・・」
ガリィ 「その3枚のライセンスで、Bランク装備までのレンタルなら借り倒せるんじゃ」
エイジ 「借り倒す?」
ガリィ 「3回までなら、ライセンスで有効なサポートを受け逃げしても足はつかん!」
エイジ 「・・・・・?」
ガリィ 「だが、使うときは気をつけろ。 顔を隠せ、名前を偽れ、おめぇみたいなバカ正直はとくにだ!!!」
エイジ 「・・・・・偽造カード!」
とても、ジジイらしい餞別だった。
エイジ 「守りてぇモンがあるんじゃろ! だったら、そいつを守ってやれ、手段を選んでる暇はねーぞ」
エイジは、初めて聞いた。
瞬間だったが、ガルシアの言葉は強く優しく、確かに思いやりに満ちていた。
内容は、とんでもないが。
とくに、くるまについてのレクチャーも、ハンターとしての心得も無く、偽造カードの使い方を教えてもらい、とあるハンターの旅が始まろうとしていた。
エイジ 「・・・・・、ああ、理解した」
ガリィ 「それともう一つ、サイボーグには何があっても関わるんじゃねーぞ」
エイジ 「サイボーグ?」
ガリィ 「体の一部がメカだったり生態兵器だったりするやつらは、みんなまともじゃねーからよ」
何か、駆動音のような音がする。
ジジイの目が明滅する。
エイジ 「そうなのか、覚えておくよ」
ガリィ 「だから、気をつけろよ!!!」
エイジ 「わかったよ、ありがとう、ガリー」
ガリィ 「・・・・・」
ガリィ 「ほんとにわかったんだな! それだけは覚えとけよ」
エイジ 「わかった。 理解したよ」
ガリィ 「・・・・・・・・・・」
ガリィ 「ほんっとにほんとーだな!!! サイボーグには・・・・・」
エイジ 「わかってるよ、サイボーグには気をつける!」
ガリィ 「・・・・・・・・・・・・・・・」
ガリィ 「じゃあ、さっさと出て行け! とっとと出て行って俺の目の届かないところで野垂れ死にやがれ」
エイジ 「ガリィ、サンクス♪ 行ってきます」
ガリィ 「・・・・・ああ、たっしゃでな」
快音を響かせながら、とてもピーキーなエイジの冒険が始まった。
老人一人に見送られながら。
ガリィ 「・・・・・エイジ、間違っても俺のようになるんじゃねーぞ」
-
レイト 「ところでエイジ、サイボーグって見たことあるの」
エイジ 「いや、まだ見たことは無いなー」
レイト 「どんな感じかな~?」
エイジ 「う~ん、 ジジイが関わるなってぐらいだから、相当危ない奴らなんだろ、やっぱ」
レイト 「ふ~ん」
ガリィ 「へっくしょーんっっっ! ・・・・・・・・・・ 」