タツ 「てぇぇぇんんんめぇぇぇぇぇ!!!!!」
レイト 「うわあ! うわあぁぁぁぁぁぁ!」
短髪モヒカン頭のたっつぁんが、猛烈な勢いで迫り来る!!!
レイト 「ぎゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
何がそんなに気に食わないのだろうか?
キャンプを出るまで、あんなに優しかったあんちゃん・・・・・
今は、鬼のような形相で、左手にダンビラを振りかざし。
砂漠をセッタで疾走するたっつぁん。
それは、およそトレーダーとは思えないスピードだった!!!
タツ 「まあぁぁぁぁぁちやゃぁぁぁぁぁがれぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!!!!」
レイト 「うぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
バトルスパイクで砂漠を駆け抜ける、必死なレイト。
それを上回る勢いで長ドスを振り回しながら疾走する、イカレたっつぁん。
二人の追いかけっこは、小1時間ほど続いた!
そして、とうとうたっつぁんの腕が、リュックを掴んだ。
レイト 「ひぃー、ひぃー、ふぅー、はぁー、た、たっつぁん、な、なんなんですか、ひぃー、ひぃー、いったいなんなんですかぁぁぁ!」
タツ 「だからぁ、待てって言ってんだろうがぁぁぁぁぁ!!!」
レイト 「ひいぃぃぃぃぃ!!!」
たっつぁんの顔は、とても青鬼だった。
もともとこわもての表情が、さらに恐ろしい事になっている!
一重の目は釣り上がり、細い眉はハの字に下がり、への字に曲がった口からは長いベロがグルグルだ。
しかも、セッタで起伏のある砂上を全力疾走していたというのに、ほとんど息も乱さず涼しい顔をしている。
涼しい?
いやいや、それどころか、不自然に青い! 顔色が悪い部類の。
だけど、顔色以外は健康そのもの!
タツ 「があぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
レイト・恐 「ぎいぃやゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ! 殺されるぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!!!!!」
タツ 「れいとぉぉぉぉぉ! おめぇぇぇぇぇ! なんかぁ、勘違いしてんぞおぉぉぉぉぉ!!!!!」
レイト・涙 「ごめんなさい! ごめんなさぁぁぁぁぁい! もうお金はないでぇぇぇすぅぅぅぅぅぅ! ほんとにほんとうですぅぅぅぅぅぅ!!!」
タツ 「違うってんだろおぉぉぉぉぉがぁぁぁぁぁ!!! おちつけぇ、おちつけってぇぇぇぇぇ!!!」
レイト 「おちつくのはたっつぁんのほうだよーーー!!!」
二人の会話は怒号交じり。
たっつぁんは、リュックをがっしり掴みレイトを軽々と持ち上げていた!
子供と言えど、装備一式を着込んだ勇者は重量0.05トン、レイトは足をバタつかせながら泣き叫んでいる。
レイト 「降ろしてよー、おろせぇぇぇぇぇ!!! あんた、バケモンかよぉぉぉぉぉ」
タツ 「すうぅぅぅぅぅ・・・・・、 はあぁぁぁぁぁ・・・・・、 すうぅぅぅぅぅ・・・・・・」
おっそろしい形相の青鬼が、恐ろしい形相のまま気を練っていた。
いったい何が起こるのだろうか。
タツ 「こおぉぉぉぉぉ・・・・・、 ふうぅぅぅぅぅぅ・・・・・」
レイト 「いやだぁぁぁぁぁ!!! おろせー、降ろしてよー!!!」
への字に結んだ口からは白い霧のようなモノがたち込め、青鬼の表情が悟りを開いたかのように和らいでいく。
人外に柔らかい表情を浮かべる青鬼。
レイト 「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
・・・・・それはそれでおそろしい。
たっつぁん 「しっけいなぁぁぁぁぁ!」
青仏の目がクワッと見開いた。
リュックごと地面に叩きつけられる勇者!
そして、仏は鬼に戻った。
タツ 「レイト! おまえ、ハンターじゃねーのかよ!!!」
レイトはおバカだが、強い子だ!
父ちゃんが、どんなにどついても泣かなかったそうだ。
レイト・泣 「ふぇぇぇぇぇぇんんん、おいおい、しくしく」
タツ 「泣くんじゃねー!」
レイト・号泣「うわぁぁぁぁぁぁぁぁんんん」
泣いていた、よっぽど怖かったのだろうか・・・・・
タツ 「あ、ああ~、わ、悪かった、泣くな、泣かないでおくれよ~」
レイト・泣 「ふぇぇぇぇぇぇんんん」
タツ 「悪かった、悪かったって、ちょっと聞きてー事があるだけなんだって」
レイト 「しくしく、嘘だぁぁぁぁぁ!!! 顔が殺し屋だもーん!」
タツ 「ああ、そうか、やっぱりか」
レイト 「ひーん、ひっく、ひっく」
たっつぁんは、青鬼の形相のまま。
地面に突き立てられた長ドス。
不自然なジョジョ立ちで、左腕をコキコキしている!
タツ 「バカヤロ! じゃなかった。 ほーらほーら、怖くないよ~」
再び、青仏になった。
細い目が気持ち悪い・・・・・
レイト 「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」
こわもての笑顔・・・・・
子供は、余計に泣いた。
タツ 「うっせぇぇぇぇぇ!!! スッコロスぞ・・・ うっそぴょ~ん」
また、鬼に。
そして、ころっと仏に。
またまた。
そして。
タツの表情はコロコロ変わっていく。
タツ・仏 「まーまーまー」
レイト 「ぎゃー!!!」
タツ・鬼 「うっせぇぇぇ!!!」
レイト 「わー!!!」
タツ・仏 「いやいやいや」
レイト 「びえぇぇぇぇぇん!!!」
タツ・鬼 「こんにゃろめー!!!」
レイト 「ひーん!!!」
タツ 「ジョークで~す♪」
レイト 「何なんだよー! いったい、何がしたいんだよーーー!!!」