一般的には厄介者な彼達。
そんな彼らは、勇者の資質を持つと言えるだろう。
さらに英雄ともなれば、人の話など聞きゃしない。
たつ 「いいか、よ~く聞くんだぞ!!!」
レイト 「だから、その先を早く教えてっていってるんだよ! 急いでるんだから!!!」
たつ 「ほんとに、ほんと~~~に! 大事な事だからな!!!」
レイト 「もー! その先は?」
たつ 「赤のあは安全のあ、黄色のきは気をつけろのき、ほら、復唱!」
レイト 「赤は安全、黄色は気をつけろ!」
たつ 「青色のあは危ないのあだ! いいか、青は危ないだぞ、忘れんなよ!」
レイト 「青は危ない!」
たつが、ドーピングタブの簡単な講義をレイトに開いていた。
たつ 「いいか! ドラッグを甘く見るなよ! さっき俺が使ったのもドーピング系ドラッグだ!」
レイト 「ふ~ん、それよりもーーー!!!」
たつ 「だから、ちゃんと聞きやがれ!」
レイト 「こんな事やってる場合じゃないよー! エイジがー!!!」
たつ 「エイジを助けたいんだろうが!!! だったらなおさら、黙って聞けってんだ!!!」
レイト 「ぶーぶー!!!」
たつ 「いいか! フィエって子を助けたいんだろ! その子は間違いなく薬に操られてる」
レイト 「だから、どうしたのさ」
たつ 「わからねー奴だな! オメーもさっき、副作用で大変な事になっただろうが! ドーピングの」
レイト 「え? 薬?」
レイトは、薬に手を出した覚えは・・・・・。
・・・・・・・・・・
覚えは・・・・・。
レイト 「・・・・・」
たつ 「おめーさん、何か飲みなすっただろう?」
レイトは、今日一日を振り返った。
ほんとーに、色々な事があった。
う~ん、しみじみ。
レイト 「・・・・・、・・・・・、・・・・・・・・・・おおおっ!」
エイジのバギーで、勝手に飲んだあの水。
水筒には、黄色いテープが巻いてあった。
そう言えば。
レイト 「うわあぁぁぁぁぁ!!!」
レイトは、慌てふためいた。
何か、口を大きく開けて「ぺっぺっ」としたり、指を喉に突っ込んだり。
レイト 「おげぇ!!!」
たつ 「やっぱ、何かやったんだな!!! オメー」
レイト 「ど、ど、どうしよう!!! お、オレ! うわぁぁぁぁぁ!!! おげぇ!!!」
たつ 「ろくな知識もねーくせに! まあ、解毒剤は打った、よっぽど強い薬じゃなけりゃ、とりあえず心配はいらねーよ」
レイト 「えーん! ひーん! もう、お嫁にも行けないよー!!! しくしく!」
たつ 「だから、よく聞いとけ! いっぱしにハンターの真似事やるなら、薬の知識ぐらいもっとかねーと死ぬぞ」
レイト 「さっきのアレは、薬の副作用? 青鬼のたつさんも?」
たつ 「そうだ、苦しかっただろ! フィエって子はたぶん、もっと強い薬で縛られてるはずだ!」
レイトは、瀕死の状態だが、強制的に「黄色の」ドーピングで無駄に動いていたようだ。
砂漠の格言 「他人の水筒で水を汲むな!」 (そんな格言はありません、念のために)
レイト 「・・・・・ねえ、もしかして」
たつ 「どうせ、止めたって行くってんだろ! 打っておいたよ、お前にも! へへっ♪ 強力な奴をよ!」
レイトは、青ざめた。
たつ 「「魔犬(マッドドッグ)のサーベラ」っつったらな、その筋じゃあ有名なマッド婆さんだ。しかもだ、正規の現役ハンターの上に、お尋ね者スコアを持ってやがる。はっきり言って、お前じゃあ、勝負にならねー」
レイト 「現役ハンターだって! ハンターが何で人狩なんか!」
たつ 「・・・・・、ほんとに何にも知らねーのか」
レイト 「だって、だってー! ハンターなんでしょ!」
たつ 「そうだな、これもよく覚えとけよ」
たつ 「この世界にゃな、さらにとんでもなバケモンがうじゃうじゃといやがるんだ。俺たちのチームも何度かそんなバケモンの情報を仕入れたことがある、まともにやってちゃダメなんだ・・・・・、ダメなんだよ・・・・・」
たつの拳が震えていた。
レイト 「たっつぁん?」
たつ 「だからな。そんなバケモンを潰すためには、あんな婆さんの力も大切だってことなんだろ」
レイト 「だけど、オレの村に人狩が来たときは、あの父ちゃんですら戦ってたよ! 奇襲の闇討ちだったけど・・・・・」
たつ 「父ちゃんですら? ・・・・・そうか、なかなかいい村みたいだな、お前の村」
レイト 「良い村? あそこが? ・・・・・」
勇者は、色々博識そうなお兄さんに、自分の故郷を褒められた。
だが、村にはあまり良い思い出の無い、その村を守るために多くの兄弟を前線で失っているレイト少年。
たつ 「な、わかるだろ。 ハンター達はバケモンを退治する正義の味方、「英雄様」ってわけだよ」
レイト・絶叫 「んんんなわけがあるかよぉぉぉぉぉ!!! そんなのは英雄じゃねえぇぇぇぇぇ!!!!!」
勇者は吼えた!
青いゴルゴの表情で!
それは、自分の生きる道を完全に否定するも同然だった。
レイト 「うううぅぅぅぅぅうおぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!!!!!」
レイトの表情が、みるみる青ざめていく!
たつ 「おい! レイト! いいか、よく聞けよ、二つだけ言っておく!!!!!」
レイト 「うおぉぉぉぉぉ!!!!!!!!!!」
たつ 「その、「青」の効果は、少なく見積もっても半日は持続する。 瞬発力は飛躍的に増大するが、副作用で感情のコントロールができねー。 それと、切れたときの反動もでかいぞ」
レイト 「ぐうぅぅぅぅぅあああぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!」
たつ 「解毒も面倒ごとの後処理も一切引き受けた。 だからよ、エイジをつれて返ってきてくれよ。 頼むからよ! 必ず生きて返ってくるんだ、約束だぞ」
レイト 「うらぁぁぁぁぁ!!!!! いいぃぃぃってきぃまぁぁぁぁぁすうぅぅぅぅぅ!!!!!」
勇者は、あさっての方角に、すっ飛んで駆け出した!
たつ 「レイトォォォォォ!!! 忘れもんだぁぁぁぁ!!! それと、そっちじゃねーだろー!!!!!」
砂煙を上げながら、半端無い勢いで走るレイト。
その疾走(はしり)は蒸気機関車のごとくだった。
レイト 「ううぅぅぅぅぅおおぉぉぉぉぉらあぁぁぁぁぁ!!!!!!」
Uターンして戻ってくるが、コーナーでも勢いを殺さないため、すっごい大回り。
激しく砂煙を巻き上げながら戻ってきた。
たつ 「必ず生きて戻れよ! ちびっ子ハンター!」
レイト 「バッカヤロー! オレは違うぜ! ハンターじゃねー! オレは本物の勇者「レイト様」だぜぇぇぇぇぇ!!!!!」
鋭い眼光のアメコミヒーローと化した勇者が、リュックを背負いなおし、戦場に向かって走りだした。