トレーラーの後ろ扉がわずかに開く!
「がるるるるる~! ワンワンワンワン!」
扉の隙間からは、殺気立ったワンワン約10匹が外に飛び出していった。
その運転席に座る、美しきサーベラ婆さん。
険しい表情で口笛を一吹き、そして手に持ったマイクを置くとアクセルべた踏みのまま、コンソールとタッチパネルを激しく叩き始めた。
ディスプレーに表示される情報は、黄色と赤文字の大小様々な「Unknown」ばかり。
サーベラ 「このー! ポンコツがー!!!」
悲鳴を上げ続ける接敵警報。
だけど、「それは何か?」とCユニットに問うても、返答は決まって「わかりません!」
そして、ご機嫌斜めの「ウォズニアクD」通称二ア君とカンシャクな婆さんは喧嘩を始めた。
そんななか、サーベラは些細な情報を一つ、見落としていた。
他の赤字の情報や、赤い警報ランプにまぎれて、サブモニターの端にも赤い警告灯が一つ光っている。
後ろ扉の半ドア警告灯が。
戦車大隊。
鋼鉄の怪物達が近づいてくる。
はたして敵か味方か?
少なくとも、ババアの敵なのは間違いないようだった。
この暗闇ではシルエットしかわからないが、目を凝らしてよーく見てみると・・・・・
軽戦車が3両と兵員輸送装甲車、それに・・・・・、無限軌道トラック?
うーん、大隊と言うには、なんだか意外としょぼい。
あっ! いや! だがしかし!
どの くるま にも、とんでもない大型砲が搭載されている♪
戦車に対峙するかのように、勇敢なポチたちが駆け寄ってくる。
ドデカイ大砲を搭載した軽戦車軍団は、ワンコなど眼中に無いのだろうか?
機銃を撃ちまくりながら近づいてくるワンワンを無視して、トラックを追いつめにかかっているようだ。
ワンワン達は、激しく牽制をかけながらコンビネーションで包囲を狭めつつあった。
すると!
ちゅどぉぉぉぉぉんんん!!!!!
どぉぉぉぉぉん! ごごぉぉぉぉぉんんん!!!
先頭を走っていた、とんでもない大砲を積んだ戦車が吹き飛んだ、木っ端微塵に。
爆発の瞬間、砲塔と主砲は見事に折れちぎれ、吹き飛んでいた。
なんだか、おかしなベストを着込んだポチが、牽制射の間隙を縫うように、次の戦車に突っ込んでいく。
ちゅどぉぉぉぉぉんんん!!!!!
どぉぉぉぉぉん! ごごぉぉぉぉぉんんん!!!
ポチが自爆攻撃を仕掛けていた。
さながら、自走誘導爆雷、ミスター・ポチ。
顔が半笑いでないぶん、本家よりたちが悪い。
そして、次の戦車もぶっ飛んだ。
だが、いくらポチの自爆ベストがとんでもない破壊力だとしても、いくら軽戦車だからといっても、それにしてももろすぎる印象は拭えなかった。
まるで、ブリキの戦車軍団のようだ。
いったい彼らは何なのだろうか?
ちゅどぉぉぉぉぉんんん!!!!!
そして、また一両が木っ端微塵に。
サーベラ婆さん 「・・・・・? なんだって?」
サーベラは、コンソールボックスをしばきながら、独り言を言っている。
モニターには、予測される危険度MAXの光点が5つ、それがなぜか次々に消滅していた。
婆さん 「いったい何だってんだよ?」
そのもろさが逆に、まるで砂漠全体を駆け巡る大破壊3伝説の一つをれんそうさせた。
3伝説とは。
大破壊事態が伝説、と言うよりは伝説的、口頭伝承による噂なので嘘臭いのだが、その中でも一際胡散臭いストーリーが3つあった。
とあるハンターの英雄物語
呪われた亡霊戦車大隊の怪奇譚
そして、魔剣士伝説
どれも一般にはおとぎ話だが、その一つが現に、ここに実在している。
だとしたら、亡霊戦車だって、もしかして・・・・・
車内ディスプレー全てが青ざめていく・・・・・
婆さん・怒 「なーんでそうなるんだい! このポンコツがー!」
そんなお茶目な推論を立てる二ア君の頭を軽く、ぶんなでながらも、婆さんは逃走スピードは落とさずに、だが、一目散に離脱するルートは取らず、戦車大隊と距離を置いての情報分析を開始した。
二ア君 「いや、だって、「美しき」サーベラ様が、「Unknown」以外の返答を要求されましたので、ボクのお勧めを提示いたしました、なにせ情報不足なモノで・・・・・」
モニターには、そんな、なんだかめんどくさい文章がパララララと表示されて、文章の後には「SORRY SORRY SORRY ・・・・・」、永遠とパラララしていた。
いったい、どんな調教をしたのだろうか?
そんな、ちょっとめんどくさい「二ア君」は、それでもとっても優秀なのだった、実は!
警報 「ビーーーーー!!!」
ディスプレーに赤い大文字が走る!
二ア 「美しきサーベラ様、大変ですよ」
婆さん 「どうしたの!」
二ア 「美しきサーベラ様、外れてます」
婆さん 「外れた! 何がよ?」
二ア 「美しき・・・・・」
美しきを大きく強調するあまりに、モニターがほぼ真っ赤に染まり判読できなくなってきた。
サーベラが、再び二ア君をぶんなでる。
二ア 「外れてます、外されてます、大変ですー! フェネックの拘束がです!」
婆さん 「おバカー!!! それを先に言えー!!!!!」
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あとがき
一応確認を。
ニア君との会話は、あくまでもディスプレー上でのやり取りです。
ただし、音声自動入力なので、婆さんは独り言をブツブツと。
ニア君は、その他の多くのCユニットと同じように、ババア専用に調整(調教?)され個性的ではあるのですが、自我を持つほど高度知能を有してはいません。
たぶん・・・・・