気温は高いが、濃く舞い散る砂のおかげで日差しの強さはそれ程でもない。
だが、強烈な日光よりもその砂は凶悪だった。
3日半歩き続けた勇者。
歩き続けた彼は、どうにかなったのだろうか???
レイト 「・・・・・・・・・」
とうぜんのようにひっくり返っていた。
彼の装備では、当然なのだった。
レイト 「う、うう・・・・・」
大志では、お腹は膨れないのだった。
勇者はバカ者だった。
レイト 「うるさーい!!! コレは作戦だっつーの!」
作戦?
腹が減りすぎて、気が触れたか?
レイト 「腹なんか減ってねーやーい!」
あ、やっぱり頭を打って・・・・・
レイト 「オレはまともだぁぁぁぁぁ!!!」
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ガガガガガ! ちゅどーーーん!!!
!? 何があったのだろうか!
エジプシャン装備で非武装のおばさんと、銀色のボディーに赤字で大きな 「R・4」 の模様が入った4輪バギー改造・装甲車がひっくり返ったレイトの眼前で対峙していた。
いや、それどころか、本気のドンパチをやっていた!
レイトはまだ知らないのだが、エジプシャン(アラビアン風・高性能軽量砂漠装備)の美魔女系おばさまは、その特徴的な服装からして、多分トレーダーだろう。
そして、Rの装甲車はハンターが借りた、レンタルタンク・レンタ4号だと思われる。
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ハンター 「やっと見つけたぜ、クソババーーー!!! おとなしく返せば命だけは勘弁してやるってんだ!!!」
サーベラ 「おねーさんとお呼び(怒)、なっまいきなくそガキだね! 弱い犬ほどよく吼えるっていうだろ、金はくれてやっただろさ、さっさとママのところに帰んな♪」
ハンター 「ゆるさねー! あんただけは、あんただけわぁぁぁぁぁ!!!
サーベラ 「おねーさんの気が変わらないうちに、おうちに帰っておねんねしてろ、じゃねーと」
ハンター 「てんめーーーーー!!!」
レンタ車載の20mmバルカン、その銃口には火龍(ひりゅう)の名が与えられていた。
サーベラ 「聞き分けの無い子だね、そんなにおねんねしたいってんなら手ぇかそうじゃないさ」
サーベラ 「デック、ベロ、ショウ、クラウス、おいで!」
「ワン ワン ワン ワン」
火龍の銃口がサーベラを狙う!
だが、どこから現れたのか、鎧のようなものを着込んだ大型犬4匹が装甲車に激突、体当たりした。
3トンの4輪装甲車の右前輪が軽く浮き上がる、火龍は目標を見失った。
と同時にサーベラは、装甲車の死角に回り込むように走り出した。
サーベラ 「デウスー、トロイー、ジャーック!」
「ワン ワン ワン ワン」
走りながらポチたちを呼ぶサーベラ。
さらに12、7mm機銃を背負った2匹が駆けつけ、激しく機銃弾をばら撒きはじめた!
ガガガガガガガガガガ!!!
ハンター 「このやろおぉぉぉぉぉぉ!!!」
たまらず、装甲車が猛烈な勢いで前進を開始。
だが、背負子の大口径火砲は、正確無比に装甲車を捕らえていた。
ハンター 「ちくしょー!!! やるしか、やるしかねーか!!!」
ドロロロロロロロロロロ!!!
チュン! キュイン! キュイーン!
レイト 「わ! おわぁぁぁぁぁ!!!」
流れ弾が、少し離れたところで様子を伺っている レイトの砂山まで飛んでくる。
凄くはた迷惑だった。
車載の火龍は、その名に恥じない竜の火力を秘めていた。
5匹のポチたちが一瞬で丸焦げだった!
ハンター 「どこだ、ババぁぁぁぁぁ!!!」
サーベラは、砂に隠れていた。
そして、装甲車の至近からレーザーポインターを照射!
そして!!!
サーベラ 「(ニヤリ)」
ガガァァァァァァンンン!!!
どこからともなく、突如ミサイルが飛んできた!
装甲車は爆発炎上、乗員はかろうじて生きていると思われるが・・・・・
サーベラは砂の中から立ち上がりサバイバルシートを払うと、装甲車に向かって歩き出した。
サーベラ 「ちくしょー! おめーのせいで大損だよ! どうしてくれるんだい!」
炎上する装甲車を前に、おば様はご立腹のようだ。
愛犬を5匹も蜂の巣にされて。
怒りに任せて、装甲車なりハンターなりを蹴り上げたいが、熱風で近寄れなかった。
灼熱地獄の車内では、装甲車のスピーカーが ON のままで生きていた。
ハンター 「ぐぁぁぁぁぁ! く、くそばばぁぁぁぁぁ!!!」
サーベラ 「お姉さまだって言ってるだろ(怒) 女々しいガキだね。 そんなに会いたきゃ、会わしてやろうか!」
サーベラ 「ジャック、あの子を連れておいで」
「ワン!」
ミサイルランチャーを背負ったワンコロがどこかに消えていく。
サーベラはしばらくだまって、ハンターの断末魔の叫びを聞いていた♪
ハンター 「ぐわぁぁぁぁぁ、あちい、あちいよぉぉぉぉぉ」
サーベラ 「さっきまでの威勢はどおしたんだい! ほらほら、もう少し死ぬんじゃないよ♪」
ハンター 「ぐわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
サーベラ 「だっらしないねー! 男だろ!」
なんだか、とんでもない場面に遭遇したレイト。
離れて観察しているので、戦場の会話やいさかいのいきさつは一切わからない。
彼の目的は地球救済だが、善行やお人よしで全てが丸く収まると猛進するほどガキではなかった。
それに何より、今の自分の状態が、ゴミクズ以下だと自分でも理解している。
レイト 「うぐ・・・・・」
しばらくして、ワンワンのジャックが戻ってきた。
もう一匹の鎖を引きながら・・・・・
レイト 「おいおい、冗談でしょ」
サーベラ 「よしよし、ジャック♪」
ジャック 「ワンワン♪」
サーベラ 「よーしよし、可愛いフェネック、仕事だよ♪」
フェネック 「ぐるるるる!」
つれられてきたフェネックはなんだか反抗的な表情を浮かべている。
サーベラ 「まだダメか、フォックスシリーズは調教が難しいからね。 よーしよしよし、いい子だからコレをお食べ!」
そう言って、ワンワングルメ、チューブタイプを取り出した。
フェネックは首を横に振っている、食べたくないようだ。
サーベラ 「いいから、ほら! 言う事をお聞き!!!」
サーベラは、ワンワングルメを無理やり口に押し込んだ。
フェネック 「ぐぁぁぁぁぁぁ!!!!! ぐぉぉぉぉぉぉ!!!!!!!!!!」
サーベラ 「ジャック、ハウス!」
ジャック 「ワン!」
サーベラがサバイバルシートをかぶり地面に伏せると、ジャックは猛烈にサーベラに砂をかけ始めた。
そして、自分の穴も掘り、彼女達は砂漠に潜ってしまった。
レイト 「なんだよ、あいつら、何をやってるんだよ」
フェネック 「がるるるるるるるるるる!!!!!」
首輪の鎖につながれていたぼろぼろの身なりの少女が立っている。
焦点の定まらないが鋭い目つきでよろよろと。
口は半開きでよだれが止まらない、どう見ても危ない感じだ。
彼女のそばには、ジャックの置いていった黄金の斧が転がっていた。
その斧は妙な形をした笛のようなデザインをしている。
フェネック 「ぐぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!」
彼女は、雄たけびを上げながら、その斧を手に取り、装甲車を切りつけた!
ガギャァァァァァァァァァァァンンン!!!!!
ちゅどぉぉぉぉぉぉぉぉぉんんん!!!!!
レイト 「う、うそだ! ありえない、ありえないよー!!!」
燃え上がる装甲車が爆発した!
爆発の間際、見事に割れた。
まさに真っ二つだった!
とんでもないものを目撃したコソコソ隠れる勇者。
腹ペコも喉の渇きも忘れて、ただただ、成り行きを見守っていた。