「……偵察班、戻って来ました。現在のところ、気付かれた様子はないようです」
「おう、ご苦労さん。……ここ数日、大人しくしてただけでこの体たらくだ。奴らの脳ミソには、お花畑でも詰まってんのか?」
「この国自体、平和ボケしてるようなモンですからね。喉元過ぎればなんとやら、っすよ」
「ならその喉を切り裂いて、少しばかり目を覚ましてやるとするか。……しかし、なんであいつらは来てないんだ?」
「黒の騎士団ですか? 大方、リアルでパーティーでも開いてんじゃないすか?」
「ハン、つくづくおめでたい連中だな……まあその方が、オレ達にとっちゃ都合が良いか」
「さて……。クソくだらねぇイベントで舞い上がってる間抜け共に、サイコーにCoolでハッピーなプレゼントをくれてやろうじゃないか」
「ヒャッホォォォーッ!」
「さっすが~、ヘッドは話がわかるッ!」
「イベントボス狙ってる連中を丸ごと平らげようなんて、これはもう一般プレイヤー全員敵に回してるのと同じっすよね!」
「そこにシビれる! あこがれるゥ!」
「アスナ様どうしてあんな奴にアスナ様は騙されてるんだアスナ様今お助けしますアスナ様アスナ様アスナ様……」
「全員揃うのは初めてだな……。お前ら、準備は良いか? トイレ行っとくなら今のうちだぞ?」
「ギャハハハッ! ナイスジョークっすよ!」
「あははー、自分チャックも本気スイッチも常に全開ですからー」
「ギルド始まって以来の大仕事ですね、腕が鳴ります」
「ヘッド、はやく、命令してくれ。奴らの、悲鳴が、聞きたい……」
「いいだろう、オレが許可する。一人も生きて帰すな……皆殺しだ」
「イッツ・ショウ・タイム」
「ジョー、ワレェ……ワイがあれだけ目を掛けてやったっちゅうのに、恩を仇で返すんか!」
「キャハハッ! オレは最初からこっち側だっつーの! あと良い機会だから言っとくけどさぁ……あんたの髪型、ずぅ~~っと前から、バァ~~ッカみたいだって思ってたよ! ギャハハハッ!」
「ふんっ、ええ度胸や。そんなら思う存分、いてもうたるでワレェッ!!」
「モルテ……まさか君が、あんな連中と同類だったなんて思いたくなかったよ」
「あははぁー。もともと自分、面白そうな方に付いてくだけですからぁー。てゆーかそれ言うならぁー、ディアさんの方こそ本来こっち側じゃないですかー? しかも未だに自分から悪魔なんて名乗ってる癖にぃ、なにを今更良い子ちゃんぶってるんですかぁ?って感じなんですよねー。自分的にはそういうの、ぶっちゃけ激サックなんですけどぉー?」
「ベータ時代の話なんて、随分昔のことのように感じるよ。実際はほんの数ヶ月前なのにな……。だけど、人は変わるものなのさ。それに、あの頃は良かった、なんて懐古主義に陥るほど落ちぶれちゃいないよ。なんなら、今ここで証明してみせようか?」
「アッハァ……イイですねぇ、その表情。ゾクゾクしますよぉ。本当はまだ、あんまり目立ちたくはなかったんですけど……気が変わりました。ブラッキーさんの前にまず、あなたの首を先に頂いちゃいましょうかねぇー?」
「フッ……死神は大人しく、棺桶でも守ってる方がお似合いだぜ? 御託はいいから、さっさとかかってこいよ。一応言っとくが、手足の1、2本は持ってくつもりだから覚悟しとけよ?」
「アハァ。あの悪魔さん相手にそれぐらいで済んだら、間違いなく儲け物ですよねぇぇー!」
「……というようなコトがあったんだヨ!」
「それはまた、災難だったねぇ」
「かくしてレイドは全滅、弱ってたボスはラフコフが美味しく頂きましたとサ、ちゃんちゃん♪」
「あたし達がクリスマス会で盛り上がってる間に、そんなことがあったなんてびっくり」
「いいナー。オイラも行きたかったナー」
「だってアルゴさん、折角誘ったのに断ったじゃない」
「ジョーダンジョーダン! 言ってみただけだヨ! それにオイラは、メンバーですらないからネ」
「なら、もういっそ入団しちゃえば? キリトが断るとは思えないけど」
「残念だケド、そいつはできない相談だナ」
「どうして? ソロだといろいろ大変なんでしょ? いつもみんなお世話になってるし、協力は惜しまないよ?」
「情報屋にはまず、中立性ってモノが求められるんダ。それになによりオレっちハ、他人の情報はメシのタネにしてモ、自分がゴシップのタネになるなんてのはゴメンなんだヨ!」
「勝手なものねぇ……」
「ニシシシ……しかし忍者ロールなんて、メリっちも随分と思い切ったことをするもんだネ」
「情報屋さんには負けるわよ。まあおかげで、変な連中にも目を付けられてるけど……風魔忍軍って確か、ベータの頃にもいたわよね?」
「にゃハハ! あいつら昔から有名だったもんナ!」
「アルゴさんも、体術スキルの習得場所を教えろー!って散々追い回されたんでしょ?」
「まーナ。あれはもう、セクハラと言っていい執念深さだったでござるゾ」
「ご愁傷様。そういえばアルゴさんのおヒゲの理由って、結局あれだけなの?」
「ンー……ノーコメントで! まァどうしてもっていうなら、お値段次第で教えてあげるケド?」
「い、いやいい! 結構です!」
「そいつは残念ダ。そうそう、有名っていえば、メリっちも巷では結構話題になってるんだヨ? 黒の剣士のハーレムギルドには、美人くノ一まで参加してるらしい、なんてナ」
「あはは、ちょっと照れるね……ま、美人は余計だけど」
「ソレ目当てなことは否定しないんだネ?」
「んー……ノーコメントで。それを言うなら、アルゴさんはどうなの? あたしはてっきりそうだと思ってたんだけど」
「にゃハ、これは痛いところを突かれたナ。ま、オイラは見てる方が性に合ってるのサ。それデ、メリっちはこれからどうするつもりなんダ? おっと、この情報は売らないから安心してくれヨ」
「あたしは……これまで通り影に徹するよ。今までも、そしてこれからもね。うちにもそういう役目の人間がひとりは必要だし、結構あたしに向いてる気がするんだ。それになんてったって、あたしが一番最後だったからね。そのくらいの分は弁えてるよ」
「ふーン……まあメリっちがそれで良いなら、オイラが言うことなんて何もないヨ」
「……あたしの場合はさ。みんなとは違って、どちらかと言うと憧れなんだよね。ずっとあの人の背中を追いかけてるけど、決して追い付けない、みたいな」
「そっか。ならひとつダケ、オネーサンから忠告ダ……。後悔しないようにナ。いつの日か、伝えたくても伝えられない時が来るかもしれないゾ?」
「アルゴさん……意地悪ってよく言われない?」
「にゃハハハ! オイラにとっちゃ褒め言葉だゼ!」