「で、私たちをここに呼んだ理由、いい加減話してもらえないかしら?」
私、遠坂凛はアヤネと名乗る店主を問い詰める。
いきなりアーチャーが消えたと思ったら、頭の中で声が響くんですもの。しかもその内容がこっちに来い?は、ふざけんなって話よ。
けど、聖杯戦争を生き延びる上でサーヴァントは必要不可欠。私は渋々地図が示す場所に行った。
で、中に入ったらこれだ。
私とさっき入ってきた女の子、他11名がいるスペースとアーチャーにブロントさん、さっきまで戦っていたランサーに他11名がいるスペース。
流石に察せるわよ。これ、マスターとサーヴァントで分けているわね。
「ええ、それでは皆様をお呼びした理由を話しますね。
まず、見ての通り今回の聖杯戦争はマスター7人、サーヴァント7体といったものではなく、その倍近いです。それによって、今までのそれより遥かに規模が大きくなることが予想されます。
ですので、皆様をこの場にお呼びしたのは今回の聖杯戦争を円滑に、スピーディーに終わらせるためです」
「円滑に、且つスピーディーに?」
「はい。
言ってはなんですが、サーヴァント7体でも情報が漏れる時があるのです。それなのに、14体もいれば、情報が漏れやすくなるのは明白に明瞭であり、そのために動く労力もバカにはできません。そうしていても、もしかしたらまだそういった記憶を消去しきれていない人がいる。そういった可能性が0ではないのです」
……「」確かにそれもその通りね。
いくら深夜にやったとしても、破壊規模の大きい宝具なんか使われたら誤魔化すのも非常に面倒となるわ。
でも、普通それならお目付役の聖堂教会の人員が増える方向になるんじゃないかしら?
「実を言うと、皆さんが今いるこの場所。皆さんが店に入ってきた時点で異世界となっております。
正確には、冬木市を再現した異世界、と言ったところでしょうか」
「……は?今、なんて言ったの?」
「ですから、冬木市を再現した異世界です。
これで皆さんは昼でも夜でも被害を気にせずに気軽に戦うことができますよ」
……いや、いやいやいや、ちょっと待って。
その話が本当ならセカンドオーナーとしては非常にありがたい。けど、市を丸ごと一つ再現しただなんてありえないでしょ!
一部分なら兎も角、まるごと?
「疑問は尤もですが、それができてしまっているんですよ。ええ、できてしまっているのが問題で、できてしまっているからこそのこの人数と言いますか。
ま、兎に角皆さんは軽い自己紹介でもしてください。あ、言っておきますけど……」
アヤネが言葉を一旦切り、笑顔をこちらに向けながら、言い放つ。
「当店でのリアルバリスタは禁止となっております。もしも破られた場合は……ふふふ……」
アヤネは見た目は柔和な微笑みを浮かべるが、私と他数名は怖気を感じて、自己紹介に入った。本当はする気なんてなかったが、しなかったらどうなるかわからないと思ったからだ。
「……えーっと、私が言い出しっぺみないなもんだし、私から自己紹介するわね。
私の名前は遠坂凛。この地の----正確にはこの地じゃないんだけど----セカンドオーナーである遠坂家の6代目当主よ。
私の目的は聖杯を持ち帰ること。こんなもんでいいかしらね」
……最後のは言う必要はなかったんじゃないかな?
まあ、別に知られたところで痛くも痒くもないからいいか。
「おやおや、ミス遠坂は自分の目的まで話されるとは、中々豪胆ですね」
「あ?」
くつくつと笑いながら、こちらに話しかけてくる少年がいた。
なんというか、赤い。私の私服も赤いけど、こいつも赤い。
「申し遅れました。
僕はレオナルド・ビスタリオ・ハーウェイと言う者です。親しみを込めて、レオとでも呼んでください。
ミス遠坂が目的を話されたので、僕も目的を話しましょうか。
僕の目的は箔をつけることです。ですので、聖杯自体にそれほど興味はありませんし、別段勝とうとも思っていません。
ミス遠坂はこれに関しては話していませんが、僕はキャスターを召喚しました。ほら、そこにいる小さいのが僕が召喚したキャスギャァァァァァァ!」
「⁉︎」
目の前で人体発火現象が発生。至急応援を求む!
これ、向こうのキャスター(小)がやったのよね……?私みたいに令呪を一画使えばよかったのに。
「じゃあ次は私!
私はイリヤスフィール・フォン・アインツベルン。召喚したサーヴァントはセイバーさん。あっちのアホ毛がピョコンしているのね。んで、目的は特に無し。でもまー、召喚した以上は頑張りまーすってことで」
イリヤは相変わらず適当ね……。
「じゃあ次は私が。
私は間桐桜と言います。召喚したのはあそこの目隠しプレイしているライダーで目的は特に無し。……いえ、姉さんをボコることにしておきましょうか」
⁉︎
ちょっと、桜?お姉ちゃんそれは悲しいかなって。
「じ、じゃあ次は僕の番っすね。
ぼ、僕はジナコ・カリギリって言うっす。召喚したのはあそこにいる紫プラモで、目的は……お父さんとお母さんの蘇生。こ、これでいいっすよね?」
なんなの、あの女……?
π/しやがって、嫌味か!
「ほう……!君があのジナコ・カリギリか!私は君にも尊敬の念を抱いていてね。今度お茶でもしてくれないかな?」
「え、遠慮しとくっす……」
「それは残念だ。
私は……そうだな。名は明かせないから取り敢えず大統領とでも呼んでくれたまえ。召喚したのはそこで目線をつけている黒ずくめのアサシン。目的は……これも言えないな。別に言わなくても構わんのだろう?」
今度は黒人の大人が流暢な日本語で自己紹介をする……いえ、違うわね。これ翻訳されているわ。口の動きが違うもの。そう考えると、レオも翻訳されていたわね。
てゆーか、大統領って。どこの国のよ。
「それじゃあ次は私ね。
私は沙条愛歌よ。召喚したのはそこにいる兜をかぶった踊り手のライダーよ。目的は----素敵な騎士さまに会うためよ!」
「ハァ↑?」
え?何言ってんのこいつ。
聖杯戦争を婚活か何かと勘違いしてんの?バカなの?死ぬよ?
……って、沙条ってもしかして綾香の関係者?「」確かにあそこは魔術師の家系だったけど、妹さんなんていたかしら?
「あそこにいる褐色の肌をした背丈が高い騎士さまなんてとても素敵だわ!是非とも交流を持ちたいところね!」
しかもブロントさんに狙いを定めている⁉︎
……ガンバ!ブロントさん!
「ふほんほはんはへっはひひはへはひんはははへ!」
「そこ!口に物入れたまま喋るな!行儀が悪い!」
「もぐもぐもぐもぐ……ゴクン。
やー、このミスラ風山串美味いね!ガーリックが効いてて最高!
あ、私は岸波白野って言って召喚したのはブロントさん。沙条さんが言っていた騎士ね。多分セイバーじゃないかな。知らないけどきっとそう。
目的は特に無し!けど面白そうだから首を突っ込んでみました!まる!」
帰れ。いや本当に帰れ。
好奇心だけでこんなとこに突っ込んでくるな!本当に死ぬかもしれないのに!
「あ、でもあえて言うなら記憶を取り戻したい、かな?ま、そんなもんでがもぐもぐもぐもぐ」
また料理食べに戻ったわね……。
濃いメンバーいすぎでしょ、もう。
「……私は葛木宗一郎と言う。召喚……召喚したサーヴァントはキャスター。目的はキャスターの願いを叶えることだ」
葛木先生⁉︎ナズェココニイルンディス⁉︎
まさか魔術師だったと言うの?それとも自覚していない魔術回路持ち?
「じゃあ次は俺だな。
俺の名はジーク。召喚したサーヴァントはそこにいる褐色の肌の女の子で、目的は聖杯の奪取。これでいいか?」
聖杯の奪取ですって……?
てことは、この聖杯を狙っている誰かからの刺客ってことかしら?でもだとしたらわざわざ目的を明かすかしら?
あー、わけわかんなくなってきた。やっぱり人間と機械は複雑すぎるわよ。
「なら次は私ですわね。
私の名前はルヴィアゼリッタ・エーデルフェルトと申しますわ。召喚したのはそこのちょっと、目に困る格好をした尻尾を生やしているバーサーカーですわ。目的はレオと同じで箔付けですわね。尤も、私は参加する以上勝ちに行きますわ」
目と目が逢う瞬間敵だと気付いた。
貴女は今、この場で私がモンクの格闘術でぶっ飛ばしたい……!けどリアルバリスタしたらアヤネさんに何されるかわかったもんじゃないし、ここはお預けにしておきましょう。
「それでは私が。
私はラニ=Ⅷというアトラス院が創り上げたホムンクルスです。召喚したのはそこにいるサムライみたいな姿をしたバーサーカー。私自身は師に言われたので聖杯戦争に参加しました」
ちょっとこれを創った責任者出てきなさいよ!
アトラス院って、アトラス院っておま……!大変大変&大変じゃないのよさ!
「では最後は私が。
私はバゼット・フラガ・マクレミッツと言います。魔術協会からの依頼で聖杯戦争に参加しました。召喚したのはランサーです。
……これでいいのですか?」
「はい、それで結構です。
それでは、皆さんには後日改めてここに来てもらいます。それまでに魔術を知る人なら一人だけ助っ人にしても構いませんよ?」
助っ人、ねえ。
別にいらないわね。多分大多数いらないって考えているか、そもそもそんな知り合いがこの冬木市にいるなんてありえないし、ね。
「それでは皆さんはこれで。あと白野さんは1800円支払ってくださいね?」
「ふほんほはんひふへほひへ!」
まだ食うんかい。
多分マスターはこれで全部書いた……はず。
合計13人のはずだからもし多かったり少かったりラジバンダリしたら即おるに言ってくれ。
次はサんゔァーントの心温まる交流だぬ。ブロントさんも旧知の間柄とツモる話をするんだろうな。
それじゃあ闇系のモンハンがあるからこれで