「授業終わりだー。吉井、数学の課題を放課後居残って提出するように。」
「はあ~、何てことだ……。」
授業が終わり、担任が出ていった。どうやら今から昼休みというやつらしい。食事の時間だ。ボクは目立たないようにするために一人教室を出ていこうとする。
「あ、お昼か……水飲み場に行かなきゃ。」
「?……明久よ、お主は食事の前にうがいをする趣味でもあるのか?」
直ぐにこの場を立ち去ろうと思っていたのだが、明久の発言が少し気になったので、なにげなしに聞いてみた。
「ん?何言ってるのさ秀吉、僕のお昼に決まってるじゃないか」
「は?」
訳が分からず聞き返す。
「うん、だからね、今月もお金が残ってないから、来月の仕送りが来るまでは水と塩だけだって、この前言わなかったっけ?」
……こいつは一体どういった生活を送っているのだろうか?普通人間の家庭と言ったら、親がいて子がいて、子の食事は親が用意してくれるっていう仕組みだったはずなんだけど……ということはこいつには親がいないということか?そうか、つまりこいつは捨て子って奴か……恵まれない環境に生まれてしまったことを同情する。
「……哀れな明久よ、よくぞここまで一人で頑張ってきたのう。」
「へ?ど、どうしたの、秀吉?」
「……もう無理をするな。ほれ、食べ物じゃ、これで腹を満たせ。」
そう言ってボクは自分の弁当を明久に渡す。そもそもボク達ゼツは食事がなくても生きていけるから、弁当なんて端から必要ない。
「え!?こ、これって秀吉のお弁当じゃ……わ、悪いよ!これじゃ秀吉のお昼がなくなっちゃうじゃないか!」
「案ずるな。わしは腹が減っておらん。それに、お主は育ち盛りなのじゃから、しっかりと食べねばならんじゃろう?」
「そ、それは秀吉だって_」
「じゃあ、わしは用事があるからこれで失礼するぞい。またの、明久。」
「あっ、待ってよ秀吉!」ガララッ
「……はあ、行っちゃった。やっぱり今日の秀吉はどこか変だなあ、何があったんだろう?」
そう言って明久は申し訳なさそうに秀吉の弁当を開けた。
「わあ、美味しそう。……でもやっぱり悪いなあ……」
その頃、
「サテ、オレタチモソロソロ食事ノ時間ダ。」
「うん、さっさと食べようよ」
「?お、お主、それは一体なんじ……うわああッ!!」
バキゴキ!グチャ!ムシャムシャ……
「ん?何って?」
「食事ダヨ」
「ひっ!や、やめるのじゃ!○をくわえながらこっちをむくでない!ああ!!な、なんということを、お、お主は…ひああッ!!」
「……安心シロ」
「君にも後でちゃんと食事を持ってきてあげるからさ」
ニコッ
「ば、バカ者!こんな光景を見せられて、食事を安心して待つなど…ひいッ!で、出来るわけなかろう!……
ま、待て、お、お主、まさか!や、やめるのじゃ!それだけは見せないでくれ!!うわあああああああああッ!!」
「さて、昼休みの間何するかなあ……。」
と言っても喋る相手もいないのでなにもすることがない。暇だ。
「あ~あ、退屈だし、なんか面白いことないか見てくるとしようかな!」
そうして校舎内を歩いていると、早速おかしな光景に出会った。……何だ、あれは?
「……浮気は許さない……今度こそ……○す。」
「や、やめろ!翔子!俺はなにもしていない!!無実だ!俺は無実だって言ってんだろ!?」
「……問答無用」ズルズルズルズル
「ギャアアッ!よ、よせ、翔子!!お、俺を一体どこへ連れていくつもりだ!?」
「……一緒になれないのなら……せめてあっちで一緒になるまで……。」
「ク、クソオッ!こんなところで死ねるかあアアッ!」
……何だ、あれは?確か片方の奴は、朝に吉井明久と一緒にいたガキ。もう一人の方は見たことのない女だ。確か人間の男と女がいがみ合うのは、ちじょうのもつれって言って、交際関係にある男女が互いへの疑心を発展させ、徐々に関係が崩れていき、最終的には○し合いにまで発展するらしい。それは大人の男女に起こる悲しい出来事だって聞いたけど、まさかあんな子供でももつれることがあるなんてなあ……。いやはや面白いものを見せてもらった。死体は後で処理してあげるとしようか。
「さてと、行動を起こすにしても放課後からになりそうだし、他に何か面白いものはないかなあ、ん?」
廊下の向こうから一人の人物がこちらに手を振っている。……あれは確か……同じクラスにいた…姫路っていう女だ。こちらに向かってきている様だが、一体何の用なのだろうか?
「木下く~ん!少しお時間頂けますか~?」
「む?おお、お主は姫路か。一体何の用じゃ?」
「いえ、実は…その…今日、皆さんと一緒に食べようと思って、クッキーを作ってきたんですよ♪他の人達にはもう配ったので、木下君もいかがですか?」
成る程、お友達のためにクッキーを焼いて来たというのか……なかなか良い子じゃないか。
「ほう、それは嬉しいのう。わしはクッキーが大好きじゃ。一つ、頂くとしようかのう。」
「喜んでいただけて、幸いです。では、また後程!」
そう言ってクッキーを渡すと、姫路は満足そうに去っていった。…さて、思わぬ収穫だ。早速頂くとしよう。
(……!?コ、コレハ……!!オイ、待テ、白ゼツ!!)
「ん?何?黒ゼツ?」
(コノチャクラ……何ト禍々シイ……!イイカ、白ゼツ、絶対ニソノクッキーヲ_)
「どうかしたの~?」ポリポリ
()
「」
………………………………
……………………………………。
「グハアアアアアアアアアアアアアッッ!!!???
な、何でだよ!?何でこうなんだよオオオオオオオオオッッ!?」
ドサッ
(…。)
~洞窟~
「……。」
「……。」
「分身が死んだ。」
「……バカヤローガ。ワザワザ警告シテヤッタニモカカワラズ。」
「……それにしても、一体何がおきたの?これ、どういうこと?」
「フン、簡単ニ説明スルトダナ、アノクッキーノ中ニハ致死率100%ノ猛毒性チャクラガハッキリト感知デキタ。」
「え!?そ、それって……まさか!」
「アア、アノ女ハオマエヲ暗殺スルタメニ、ワザトアノクッキーヲ与エタトイウワケダ。」
「……と、いうことはまさか……ボクの正体がバレたってこと!?」
「イヤ、ソレハマダ断定ハ出来ナイ。…ダガ、感ヅカレテイル可能性ハ高イ。……確カアイツハ他ノ皆ニモ同ジモノヲ配ッタトイッテイタナ?」「うん。」
「ソレハツマリ、アノチャクラハ敵ニダケ作用シ、殺スモノダトイウコトダ。…オイ、急イデ死体ヲ回収シ、新シイ分身ヲ送レ!奴ガ死体ヲ確認シニ戻ッテクル前ニ戻レバ、トリアエズハ奴ヲ欺クコトガデキル!」
「う、うん!分かった!!」ズズズズズ……。
「…………。」(今日は学校に行けなくて、良かったのじゃ……。)ガクブル
~廊下~
タッタッタ
「ハア、ハア、ふう、良かった、間に合ったみたいだ……。」新しい分身体で秀吉に化け、さっきの廊下に戻ると、死体はまだそのままだった。成り代わりの術を解いて死体を元の姿に戻し、そのまま別の分身に回収させた。
「ふう、一時はどうなることかと思ったけど、これで一安心だね。」
……それにしてもあの姫路っていう女、要注意人物だ。奴の前では……いや、奴だけでなくこの学校中の奴等全員に警戒しないといけないようだ。……これ以上の失態はさすがに許されない。くれぐれも油断は出来ないな……。
……その頃、教室では
「フッ、明久、お前のことは一生忘れないぜ。」タタッ
「……尊い犠牲だ。許せ……。」タタッ
「ぐうっ……このユダ共が……ゴハッ!」チーン
相変わらずの駄文を読んでくださり、ありがとうございました
それにしてもゼツってカッコいいですね、そして秀吉は可愛いですね。
ではまたお会いしましょう……。