江戸川コナンが恐い   作:麻咲代

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ちょこっと修正

書いていたデータが消えてしまい
バタバタしており手がつけられませんでした。

久しぶりに思い出しまた書いてみようと思います。

期待せずにお待ちください。


File1 俯く少女

東京都米花市米花町帝丹小学校

 

教室では始業前らしく児童の騒がしく賑やかな声が響いている。

そんな教室の中にその周りだけ静かな座席がある。

教室の後ろのドアの側の座席には一人の少女が着席しているが頭を下げじっと机の上を見つめ口を一文字に閉ざしている。

少女は肩まである黒髪は光沢があり俯いてはいるがその顔は可愛らしく白い長袖のワンピースで胸にリボン、質の良い生地で出来ているのは一目見てわかる。

大多数の児童はそんな少女を気にする様子もなく仲のいい友達と戯れていた。

 

少女はそんな俯く少女をみて溜め息をついた。

 

「はぁ、今日も美沙ちゃん元気ないね…」

 

ここ最近元気の無い少女、美沙を想い考え耽っているようだ。

その少女はお気に入りのカチューシャで髪を上げまんまる大きな目と可愛らしい顔の眉を歪め美沙を見つめている。

 

「どうしたの?歩美ちゃん、あの子がああしてるのいつものことじゃない」

 

クラスメイトの少女が若干非難めいた目で美沙を見つめている。

 

「美沙ちゃん、話し掛けても返事しないし喋ってるとこまともに見た事ないね」

 

別のクラスメイトの少女も同意するように美沙を見ながら呟いた。

 

「歩美、友達になりたいもん美沙ちゃんと」

 

歩美頑張る!と小さい拳を握り締め決意の篭った顔で今日は絶対話しかけると息巻いている。

クラスメイト達はそんな歩美を見て美沙が折れるのも時間の問題だと呆れた顔で見つめ合った。

チャイムと同時に教室のドアが開き担任の先生が入室し、歩美は美沙の方に進めていた足を自分の座席に急いで戻し着席した。

 

担任の先生はにこやかな顔で挨拶を済ませ何か企んでいる様な顔で前のドアの方を見た。

 

「今日から、新しくクラスの皆と勉強するお友達がいます」

 

急に言い出した転校生の紹介に沸き立つ児童達。美沙も珍しく新しい転校生が気になり顔を上げ教壇を見た。

 

「江戸川コナンです、よろしく」

 

メガネに青いタキシードに蝶ネクタイという妙な装いと妙に引き攣った顔で自己紹介するコナンにクラス中が沸いた。

美沙も珍しく口を開き小さな声で呟いた。

 

「変な名前…」

 

隣の男の子も新しい転校生に釘付けになっており美沙の呟きは誰にも聞こえていない様だ。

その後また口を閉ざし俯いた彼女を誰も気に止めていなかった。

 

その後、授業が終わり放課後になるまで美沙が顔を上げることは無かった。

歩美も新しい転校生に気を取られ、朝の決意は吹っ飛んでおりその日美沙に喋りかける事は無かった。

 

 

 

数日後

 

その日コナンは仲良くなった。歩美、元太、光彦と下校していた。

 

元太は恰幅のいいガキ大将風な容貌で坊主に十円ハゲが目立った食いしん坊。

光彦はひょろっとした体格でそばかすが目立つ少年。

吉田歩美、小嶋元太、円谷光彦 、そして江戸川コナンを加えた四人で少年探偵団を結成し活動している。

といってもコナンは嫌々付き合っている節がある。

 

何故なら

小学一年生江戸川コナンは実は高校生探偵、工藤新一その人である。

 

 

その工藤新一はある日、幼なじみで同級生の毛利蘭と行った遊園地で、サングラスに黒ずくめの服装をした男が怪げな行動をとっていたのを目撃してその後を追跡。

そして黒ずくめの男達の取引に夢中になっていた新一は後ろから近付く仲間に気付かず殴打され薬を飲まされ気付いたら…

子供の姿になっていた。周囲の人間に被害が及ぶと考えた新一は正体を隠し蘭に名前を聞かれ咄嗟に江戸川乱歩とコナン・ドイルの名前を合わせ江戸川コナンと名乗り、黒ずくめの組織の情報を集めるため探偵をしている蘭の父親の所に居候しているのである。

 

小さくなっても頭脳は同じ!迷宮無しの名探偵!!

 

その名は…「名探偵コナン!!」

 

 

「おい、コナンなんだよいきなり自分の事名探偵なんてカッコつけて言っちゃって」

 

元太が呆れた目で言い放つ。

 

「コナン君もカッコつけたがる年頃なんですよ元太くん、温かく見守ってあげましょう」

 

光彦がため息混じりに追い打ちを掛ける。

 

「コナン君やる気になってくれたんだね、歩美も頑張る!!」

 

歩美は爛々とした目でコナンを見つめ拳を握りしめる 。

 

「ば、ばーろー!思ってた事口に出しちまっただけだ!!」

 

…墓穴を掘ったコナンであった。

 

 

赤面しつつ話を誤魔化そうと辺りを見回すとふと信号機付き横断歩道の先に見覚えある姿を見つけた。

 

「おい、お前らあいつってウチのクラスの…」

 

必死に名前を捻り出そうとしたが出て来ないコナン。

 

「あー、美沙ちゃんだー」

 

歩美は嬉しそうに叫んだ。

 

「コナン君あれは、有栖川美沙さんですよクラスメイトの名前位覚えて下さいよ」

 

全くと光彦がコナンに名前を告げる。

 

「でもアイツ全然喋らねーし、友達いねーんじゃねーの?俺も話し掛けても無視されたし」

 

「僕も話し掛けてもずっと俯いたままでしたよ、授業中もですよ?」

 

元太と光彦が不満そうに打ち明ける。

 

「ふーん、ウチのクラスでも色々なキャラが居るんだな…」

 

食いしん坊のガキ大将、ひょろっとした理屈屋、天真爛漫な女の子、根暗な美少女…漫画かよとコナンは思ったが、自分の存在を思い出し考えるのをやめた。

 

「待ってよー、美沙ちゃーん!!」

 

歩美が信号が青になったのと同時に美沙を追いかけて行く。

美沙はちらっと振り返り歩美を見てから振り切るつもりなのか走って離れていった。

 

コナンと元太、光彦が追いついた時には曲がり角で様子を伺っている歩美がいた。

 

「どうしたんだよ歩美、アイツ見失ったのかよ」

 

元太が聞くと歩美は曲がり角の先を指さし言った。

 

「ほら、あそこの門の前で男の人と喋ってるよお父さんかな?」

 

歩美が指さす先には黒い高級外車の側にひげ面の男と美沙が居た。

美沙の家なのだろうか、門には有栖川と書かれた表札があった。

 

「というかこの家…でかくねぇか?」

 

元太が驚くのも無理はなく、コナンは自分の家、といっても工藤邸だが比較してもかなり大きく、比べるならば蘭の親友の鈴木財閥社長令嬢である園子の家ぐらいであった。

 

「お嬢様だったわけね…」

 

コナンは呆れ顔で呟いた。

 

 

「美沙、早く帰れといつも言っているだろう」

 

ひげ面の男は怒気を含んだ声で追求するが、美沙は俯いたままである。

 

「どうして私のいう事が聞けないんだ!!」

 

男は腕を振り上げ美沙の頬を打った。

打たれた美沙は尻餅を付き頬に手を添え涙で潤んだ目で男を見た。

 

「おい!おじさん!子供相手に大人気ないぞ!!」

 

見かねた元太が男に詰め寄る。

 

「そーだ、そーだ!!」

 

光彦が若干怯えながら非難の声を上げる。

 

「美沙ちゃん大丈夫??」

 

歩美が美沙介抱するように抱き起こす。

 

「早く帰れってまだこの時間、寄り道せず真っすぐ帰ってきた筈なのにそれでも遅いの?おじさん」

 

コナンは男が無茶苦茶な怒り方をしているのを指摘する。

 

「なんだお前ら!美沙、家に入ってなさい」

 

喚いたあと美沙を睨みつけ家に入るよう怒鳴る男。

美沙は歩美の腕を解き門の中に入って行った。

 

「お前ら!!美沙に何言われたか知らんが早く帰れ!美沙の奴まだ躾が足らんようだな…」

 

男は怒鳴ったあと車に乗り込み門の中に消えて行く。

 

「なんなんだよアイツ」

 

元太が怒りに燃える。

 

「有栖川さん大丈夫でしょうか?」

 

光彦は美沙を心配したように呟く。

 

「美沙ちゃん…」

 

歩美は美沙が消えていった扉を見つめ泣きそうな顔だ。

 

あの男、放っておくとまずい事になるかもしれない。

コナンは顎に手をやり思考に耽っていた。

 

四人は腑に落ちない感情になりながらも帰路についた。

 

 

米花市米花町5丁目毛利探偵事務所

 

 

コナンは有栖川邸から帰宅すると蘭の父親の探偵毛利小五郎に有栖川家について尋ねた。

 

「有栖川??有栖川っていったら商店街の近くのあの馬鹿でけぇ家のかぁ??」

 

ちょびヒゲのおじさん、毛利小五郎はビールを飲みながら問いに答えた。夕方なのに冷房を掛けキンキンに冷えた缶ビール飲んで大好きな沖野ヨーコの出演テレビの再放送を見ている。これでいいのか名探偵…

 

「うん、クラスの子がその有栖川の人みたいだから何か知ってるかなって思って…」

 

コナンは大人の前では猫をかぶり子供の振りをして可愛らしく振る舞う。

 

「ちょーが付くほど金持ちだってこと位しか知らねーぞ」

 

小五郎はヨーコちゃん見てんだから邪魔すんなと手を払い再び缶ビールをかっ食らった。それと同時に事務所の扉の開く音がした。

 

「またお父さんお酒なんか飲んで」

 

コナン君ただいまと小五郎の娘である毛利蘭がため息混じりに入室し、机の上にあるビールの空き缶を早速片付ける。続いて一人の女子高生も扉の後ろから顔を出した。蘭と同じ制服を着ている事から同級生だろう。

 

「ねーねー何の話?」

 

蘭の親友の鈴木園子だ、茶髪にいつものようにカチューシャで前髪を上げている。

 

「有栖川っていう家の話だよ、園子姉ちゃん」

 

げ、出たなガキんちょ!と園子は身構え有栖川という言葉に反応する。

 

「有栖川っていえば、美沙ちゃんとこの…さてはガキんちょ美沙ちゃんの事…」

 

「そ、そうじゃないよ園子姉ちゃん…家の前で男の人に打たれてたから気になって」

 

ははーんさてはとニヤニヤする園子に慌てて訂正するコナン。

 

「打たれてたって?それって大丈夫なの?コナン君」

 

蘭が血相を変えて詰め寄り心配した声色でコナンに問い詰める。

 

「うん、大丈夫だよちょっと赤くなってただけみたいだから…」

 

あははと急に出てきた蘭に乾いた笑いで誤魔化すコナン。

 

「それより園子姉ちゃん知ってるの??」

 

「有栖川家はこの辺の大地主で有名な資産家よ、美沙ちゃんのお父さんは株や金融業で成功してて最近は未来への投資だとかでエネルギーや色々な研究に投資しいてるらしいわよ」

 

園子が顎に手をやり中空を見つめ記憶を絞り出しながら説明する。

 

「商店街近くの屋敷は別邸で普段は何処かの国だかで広い敷地のもっと凄い豪邸に住んでいて、こっちには美沙ちゃんが小学校に入学するのを期に母親の意向で日本で生活する事にしたみたい……でも…」

 

「でも??」

 

途中で言い淀んだ園子にコナンや隣で聞いていた蘭や執務机に座っていた小五郎も興味津々で先を促す。

 

 

「あの娘の両親、1ヶ月位前から行方不明らしいのよ」

 

「ゆ…行方不明!?」

 

詳しい話は知らないけどねと園子の発言で一同に衝撃が走る。

 

「じゃあ美沙ちゃんは屋敷に一人で…」

 

「ああ、それは大丈夫勿論家政婦さんが居て生活に不自由してないはずよ」

 

心配する蘭に園子は安心させるよう私んちもそうだったからと付け足す。

そういえば普段の言動で忘れそうになるが園子も超お嬢様だったなとコナンは思い出す。

 

「それでも……」

 

蘭がそれでもまだ小さいのに両親が居なくなって心配だわと小さく呟いた

確かに幼い子供で両親が居ないのであれば、あの落ち込み様も暗さも頷ける。

しかし、あの門の前で美沙を打ったあの男。一体何者なんだ??コナンは下校時の光景を思い出し思考を巡らせる。

 

「コナン君…」

 

蘭がコナンの両肩を掴み自身も屈み目線を合わせ続ける。

 

「その美沙ちゃんと仲良くしてあげてね?」

 

コナンは薄ら顔を赤くしながらう、うんと肯定を示す。

 

「暗い話は終わり!じゃあ私帰るね、蘭また明日」

 

園子はまたねーと蘭に手を振り帰って行った。蘭もそれに応じてから夕御飯の支度しなきゃと事務所の上の階に有る住居へ上がっていった。

 

全くアイツは何しにきたんだ?と小五郎は園子に呆れながら再びテレビに集中しだした。

 

 

 

米花町有栖川邸

 

 

辺りも暗くなった有栖川邸に男の声が響く。

 

「何処にある!あれが無いと私は…」

 

離にある蔵といってもそれだけで美術館が出来そうな大きさと美術品が飾られている部屋の奥で夕方美沙を打った男が探し物をしているようだ。

相当焦っているのか額に汗が滲んでいる。

 

「屋根裏も地下室も倉庫も探したっていうのに…おまけにあの娘も知らないとなると…」

 

男は背広の内ポケットから携帯電話を取り出し何処かへ発信した…しばらく呼び出し音が鳴ると誰かが電話に出たようだ。

 

「ああ、俺だ。三日後に事を起こす、幸い両親は行方不明…護衛は最小限に残しあとは捜索に駆り出されているから俺が何とかする。娘や使用人に抵抗する術はない。」

 

男は階下に広がる広い部屋の美術品を見渡しながら宣言する。

 

「一人では限界がある、どんな手を使ってでも探し出すのだあの至宝を」

 

 

一方美沙の居る食卓では重苦しい雰囲気が流れていた。数十人が座れそうな大きな机には純白のクロスがシワ一つなく張ってありその上には高級レストランに出されそうな料理が出されているが座っているのは美沙一人で後ろには料理人の男 、世話役の若い女性、執事風の壮年の男が控えている。警備は屋敷内におらず、庭にある管制室に守衛が二人居るだけ。元々堅苦しいのが嫌いな両親だけに大きさの割に人は少なくなっている為、敷地内に居る人間は蔵にいる男合わせて七人。

 

「しかし、あの男は何なんだ…急に現れたと思ったら敷地内をこそこそと…」

 

料理人の男、室井は憤慨そうに呟いた。視線は明かりのついた美術品が納められた倉庫へ窓越しに向けられている。

 

「旦那様と奥方様が居ればこんな事には…」

 

執事風な男、斎藤が無念そうに呟く。

 

「ですが、本当にあるのでしょうか?ここに有栖川の至宝が…」

 

世話係の清水が興味深そうに尋ねる。

 

「我々使用人が知ることでは有るまい、在処を知っているとしたら旦那様か奥方様に後は…」

 

斎藤が発した言葉で使用人達の目が食事中の美沙に注がれる。

 

無言で食事を続けていた美沙は食べ終わったのかナイフとフォークを置いて徐に立ち上がる。

 

「……ごちそうさま」

 

美沙は小さく呟くと出口へ歩く。

 

「明日はお嬢様の大好きなハンバーグを作るよ」

 

室井が暗い空気を払拭するように美沙に喋りかけるが、美沙は小さく頷くことで応えた。

 

「食器は私が片付けるのでお嬢様を部屋に…」

 

斎藤が清水にそう伝えると清水は美沙の手を取り食堂から出ていった。

 

「お嬢様も両親が居なくなっても気丈に振舞ってたけどあの男が来てから何にも喋んなくなっちまったな」

 

室井は去っていく美沙を心配そうに見つめ小さく呟く。

暫く見つめたあと伸びをしながら言った。

 

「俺にはうまい料理作る事しか出来ないのか…さーて、俺は明日の仕込みすっかなー!」

 

自分の不甲斐なさを打ち消すように明るく去る背中に斎藤が告げる

 

「我々使用人の晩御飯も忘れず頼みますよ」

 

室井はげっと一瞬竦むが今日も世界一美味いまかないを食わしてやるぜーと意気込んで厨房へ消えていった。

 

 

美沙は部屋に戻ると清水に捕まっていた。部屋は入った時から既に暖かくエアコンを見ると暖房が付いている様だ。すぐに汗ばんで不快な気持ちになった。

 

 

「お嬢様、今日もあの男に打たれたんですか?すこし頬が腫れていますよ?」

 

清水は屈んで目を合わせ心配そうに聞くが美沙は答えない。

 

「お嬢様、本当に至宝の隠し場所知らないんですか?これ以上お嬢様が打たれるのを私見ていられなくて…知っていたら教えて下さいあの男に…」

 

涙ながらに懇願する清水に美沙はある一言をか細い声で呟く。

 

「…」

 

「お、お嬢様何言ってるんですか…ご飯食べて眠くなったのかな?さあ一休みしましょう」

 

急に告げられた美沙の言葉に慌てたように頬を掻きつつ話を誤魔化し寝かしつけると急いで部屋を去る清水。その手は冷や汗だろうか熱さでだろうかびっしょり濡れていた。

 

美沙はそんな清水を首を傾げながら見送るとエアコンを切って机に向かっていた。

 

その後美沙は日課だろうか日記を付けているようであった。

 

 

 

その日の深夜

 

あるビルの上、白いシルクハット、マントにタキシード。片目眼鏡をした男がいた。

 

「次のターゲットは有栖川家の至宝【ムーンチャイルド】」

 

 

マントを靡かせた怪盗は闇の夜に消えた。

 

 

 

 

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