魔法科高校の劣等生 神速の魔法師   作:mr.KIRIN

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暫く異常に開いてしまいました。

スミマセンでした。この辺りから弱オリジナル展開となるはずです。


ブランシュ編Ⅱ

「竜士君、やりすぎだぞ!君が相手をした内の一人は胸骨骨折、もう一人も達也君が止めに入らなかったらどうなっていたか分からないとの目撃情報も上がっている。服部の時も感じていたが君は手加減という言葉を知らないのか?」

「自分は一応警告しました。しかし、当該生徒は停止する素振りを見せる様子がなく、尚且つ興奮状態にありましたので早々に無力化しなければ第三者に被害が出る恐れがあると思い、多少乱暴ではありますが実力行使に移りました」

「それにしてもだ!記録映像も確認したが、これ程の動きができる君なら他にも手段はあったのではないか?」

 

静まり返った部活連本部に摩利の怒声が響き渡る。夕陽の差し込む部屋の中央には机が1つと椅子が3脚が用意されていた。肩を並べて休めの姿勢で立っている竜士と達也と机を挟んで座っているのは左から摩利と真由美、そして真由美の隣だからか一際大きく見える男子生徒の3名だった。

 

(部活連会頭の『十文字克人(じゅうもんじかつと)』、とても高校生とは思えない肉体だな、そして纏ったオーラも並じゃない、流石は十文字家代表代理を務めているだけの事はある)

 

竜士の舐めるような視線にも僅かにも動じることなく克人はその太い右腕を伸ばし激情する摩利を静止すると何かを思案するように口を開いた。

 

「まぁ、落ち着け渡辺。確かに、英の対応は過剰だったかもしれないが、元はと言えば剣術部に非があることだ。ここは注意程度に留めておいて問題は無いだろう、剣術部にも俺から言っておく。七草、それでどうだ?」

「そうね、私も賛成よ。となると、これで竜士君の話は終わりね。それで達也くん、話を本題に移すけど私達が聞きたいのは『何故、最初から仲裁に入らなかったのか』と『桐原君以外に魔法を使用した生徒は居なかったのか』という2点なんだけど。どうかしら」

「まず自分は両者の主張を始めから見ていません。そして、軽度の負傷で済むのならそこは自己責任だと判断した為に最初から仲裁には入りませんでした」

「うむ、妥当な判断だな。それで、魔法を使ったのは本当に桐原だけなんだな?」

 

達也の回答に対して摩利は一定の評価を見せると、続けて2点目の質問の答えを求める。2点目の質問に「はい」と短く即答した達也に対して確認を取れたのか、更に追及する者は居らず、結果として桐原への口頭注意という形で話し合いは終了する運びとなった。

「それでは本会議はこれにて終了とします。摩利、十文字君も良いわね?」

「ああ、私はそれで構わないぞ」

「部活連からも特にはない」

 

風紀委員と部活連の双方から異論のないことを確認した真由美は竜士の方に向くと「お疲れさまでした」と改めて労いの言葉をかけた。先に動きだした竜士と共に退出しようと3人に礼をした達也はしかし、退出を許されなかった。

 

「あ、達也君は少し残っていてね」

「……了解しました」

 

満面の笑みの裏に何かキナ臭いものを感じた達也は嫌々な心境を何とか封じ込めポーカーフェイスを貫いたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(何でこんなことになってるんだ)

 

部活連本部を後にした竜士は今、学校近くの喫茶店の2人用テーブル席に腰掛けてため息をついた。時刻は午後7時を過ぎた頃、少し遅めだが竜士を含め店内はまだ多くの高校生達で賑わっていた。友人同士、恋人達がそれぞれの話で賑わう中、一人でコーヒーを楽しむのは一般論では些か寂しい状況であろう。しかし、竜士がため息をついたのはそんなことが理由ではなかった。若干俯いていた顔を上げる。視線の先には一人の美少女が頼んだジュースを勢いよく飲んでいた。

 

(2年E組、剣道部所属『壬生紗耶香(みぶさやか)』か、エリカの話では剣の腕も確かなようだが俺に何のようだ?)

 

目の前の紗耶香は既にジュースを飲みきろうとしている。恋人同士ならばそんな彼女の仕草を楽しみでもするのだろうが二人はそんな間柄ではなかった。

 

「あ、ごめんなさい。私は2年E組の壬生紗耶香、体育館にも居たから知ってると思うけど剣道部所属よ。英竜士君、今日は忙しいのに付き合って貰って御免なさい」

(付き合って――じゃなくて連れ出してなんだがな)

 

竜士の視線に気付いたのか恥ずかしそうに頬を紅く染めた紗耶香は一応謝罪の言葉を添える。確信犯か天然なのか、彼女の発言には色々と突っ込み所は有ったが早急にこの場を去りたい(――同級生も居るだろうこんな場所で少なくとも美少女の先輩と二人きりでコーヒーを飲んでいたなんて噂が流れたでもしたら当分は面倒なことに巻き込まれるだろうことが容易に想像できる)竜士は「それで、ご用件は何でしょうか?」と本題を迫った。

 

「えっ?あ、うん。それで本題なんだけど……剣道部に入らない?」

「折角ですが、お断りします」

「……理由を聞いても?」

「逆に剣道経験者でない自分を勧誘する理由を聞いてもいいでしょうか?」

 

竜士に質問で返された紗耶香は一呼吸置くとその胸の内を竜士に話した。紗耶香の言い分は魔法技能だけで自分の剣の腕まで評価されたくない、その為に魔法系競技と非魔法系競技に、ひいては1科生と2科生に対する学校側の差別を撤廃させる為に剣道部で結束して行動を起こすと言ったものだ。

並みの2科生だったならば彼女の誘いに二つ返事で了承したかもしれない、しかし、竜士が首を縦に振ることは無かった。

 

「先輩にはそれだけの強い意志が在るのですから、それこそ2科生である事など気にせず剣道に打ち込めば良いのでは無いでしょうか?勝手に差別意識を持っているのは先輩自身ですよ」

「……え?」

一通り紗耶香の主張を聞いた竜士は試しに彼女の主張に対して抱いた自身の疑問を投げ掛けた。普通ならば方向性はともかくそこは内容に一貫性のある答えが返ってくるはずだ。しかし、何時まで経っても紗耶香から一貫性のある答えは返ってこなかった。

 

(やはり、そうか。ということは……)

 

彼女の不自然な反応に”とある事”を確認した竜士はため息をつきながら席を立ち上がった。

 

「取り敢えず話は分かりました。入部の件につきましては自分も気になることが在りますので直接部長と話をしたいのですが、連絡先を聞いても構いませんか?」

「ええ!主将の名前は司甲、プライベートナンバーはこれ。よろしくお願いします!」

 

既に入部を承諾したものと勘違いしたのか紗耶香は先程までの様子が嘘のようなハキハキとした声で竜士に自身の携帯端末を差し出した。しかし、そこには何故か2つのプライベートナンバーが表示されていた。

 

「……司主将は端末を2台お持ちなのですか?」

「ううん、1つは私の番号だから良ければ登録しておいて下さい!」

 

律儀に頭を下げる紗耶香に毒気を抜かれた竜士は「また連絡します」と言い残し、喫茶店を後にしたのだった。

 

(勧誘週間が明けたら少し休むか……)

 

携帯端末に登録した授業リストを確認しながら頭の中でスケジュールを立てる。通常なら入学してままない高校生の取れるような事ではないが、課題さえクリアしておけばこれといって大きな問題にならない2科生だからこそ行える一種の特権だと竜士はキャビネットに乗るべく歩を進めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日の昼休み、竜士は昼休みを生徒会室で過ごすこととなった。

事の発端は登校時に遡る。何時も通り登校し、自分の席に着席しようとした竜士はホームルームの入り口からの声に呼び止められた。反射的に顔を向けた竜士に深雪は用件ありとばかりに軽い会釈で外へと呼び出した。

 

「七草会長がお昼休みに生徒会室で食事をするようにと仰られていましたよ」

「……それは強制ですか?」

 

苦笑いを浮かべながら、一応の確認を行う竜士にクスリと笑顔を浮かべながら「さぁ、どうでしょうか」と言外に拒否権の否定を行う深雪。

内面を悟らせない笑顔に嫌な想像をするも選択権は無いと溜め息をつきながら首を縦に振る。せめて食事だけであってほしいと望み薄な希望を浮かべる竜士の心中を察したのか深雪は丁寧にお辞儀をするとその場から立ち去ったのだった。

 

 

 

 

 

(……こんなことになるなら無理にでも断ればよかったか)

 

嫌な予感というか予想通り、重い足取りで生徒会室に辿り着いた竜士は昨日の紗耶香との一件を執拗に問い詰められていた。目の前で繰り広げられる2年女子達による妄想談義を頭の隅に追いやり、竜士は直ぐにでもこの場を立ち去りたい気持ちを堪えて無表情を貫き通すことに決める。

こういう話に飛び付く辺りが魔法師と言えど年相応の高校生といったところか、所々誇張表現された質問に竜士は苦笑いを浮かべ否定することしかできなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




いかがでしたでしょうか?

次回もどうぞよろしくお願いいたします!


因みにインフルBでした。皆さんも御体に気を付けて下さいね!
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