魔法科高校の劣等生 神速の魔法師   作:mr.KIRIN

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お久しぶりです。

今回も超亀更新すみません……


ブランシュ編Ⅳ

討論会での真由美の答弁は非の打ち所の無いものだった。相手方は発言する意欲も無くしたのか、ただ俯いて真由美の話を聞いているだけであり、最早それは真由美の独断場となっていた。

客席側で見ていた竜士も「流石は十師族か」と独り言ち、回りの生徒達も1科生、2科生関係なく彼女の話に聞き入っている。そんな真由美が意見を終えた丁度そのタイミングで事は起こった。

 

 

 

体育館の外で明らかな爆発が起きた。動揺する一般生徒に対して爆発を合図に行動を起こすエガリテ構成員。しかしその行動は事前に配置された委員会役員達によって予定通り直ぐに抑えられた。

竜士も手首にエガリテの証を巻いていたが、事前の通達で取り押さえられることは無い。

 

「七草会長、自分は実技棟へと向かいます」

『……了解したわ、けど無理はしないでね』

 

その場から壇上の真由美に向かって無線機で連絡を取る。真由美の反応は一度思案した鈍いものだったが、やがて了承の返事が返ってきたことを確認すると竜士はその場の処置を他の生徒に任せ体育館の外に飛び出した。 そこでは既に至るところで学校の警備とブランシュ構成員との間で刀剣を用いた戦闘が行われていた。

 

「これはもう要らないな」

 

敵味方が入り乱れた状況では却って見方から攻撃されかねない。竜士は右手に巻かれた帯を千切って捨てると。実技棟へと走った。

 

 

 

「……廿楽先生、これは」

「英君か、此方はもう片付いたよ」

 

途中誰とも遭遇することなく実技棟へと到着した竜士だったがそこは既に教職員によって鎮圧されていた。辺りには多数のブランシュ構成員が身体をロープで縛られたり、気を失っていたりしている。幸い教職員にも構成員にも生命に関わるような負傷者は居ないことを確認した竜士は真由美に実技棟の鎮圧を報告した。

 

『分かったわ。竜士君はそのまま図書館へと向かって。敵の狙いは恐らく特別閲覧室のデータよ』

「分かりました。自分もこれから前進します」

 

無線機を切るとその場を教職員に任せ、竜士は実技棟を後にした。

外に出るとそこには何処からか数名の構成員が各々に武器を持ち現れた。竜士はブレザーの脇から今まで使っていた何時ものシルバーホーンを取り出すとマニュアルレギュレータを調節する。

 

「投降しろ」

 

竜士が発したのはそれだけだった。

 

「この野郎っ!」

 

竜士の高圧的な態度が気に障ったのか、構成員は各々に突進する。

 

「警告はしたぞ」

 

竜士は拳銃形態のCADのトリガーを躊躇なく引き絞る。すると構成員は断末魔の悲鳴を上げながら苦しみだし一人また一人とその場に崩れ落ちていった。静かになった辺りを見渡すと地面に横たわり動かなくなった構成員の一人に竜士は近付きその容態を素早く確かめる。

 

「折れた肋骨が肺に刺さってる。動いたら死ぬぞ」

 

既に意識を手放して要るだろう男にはその言葉は届いたのかは分からない。竜士は再び無線機を真由美に繋ぐと構成員の処置を要請し、図書館へと向けたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ、竜士君。悪いんだけど手伝ってくれない?」

 

図書館に到着した竜士を待っていたのは敵ではなく誰かを背負ったエリカだった。エリカは竜士を目に止めると笑みを浮かべ足早に近づいてくる。

 

「エリカ……後ろは壬生先輩か?」

「うん。ちょっと気を失ってるから保健室まで運んでくれない?」

 

明らかに争った形跡が見られる彼女らの服から、大方の事情を察した竜士は「ああ」と短く返してエリカからゆっくりと紗耶香を引き継いだ。

 

「中の様子は?」

「今は、達也君と深雪が行ってるからもう片付いてるでしょーね」

「で、エリカは壬生先輩とやり合ったって事か」

「うん」

 

背中の紗耶香が僅かに強張ったのを背中で感じたが竜士は何も言わず保健室に向けてペースを上げながらも紗耶香を揺らさないように歩き出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

事件は外部からの構成員侵入もあったにも関わらず、職員及び一部生徒によりそれらは既に制圧されていた。

 

しばらく経って怪我の処置を終え、ベッドに横たわる紗耶香の回りには生徒会の面々と達也、深雪、エリカが紗耶香を囲み、やがて紗耶香は胸のうちを語り始めた。

 

「……渡辺先輩に稽古をつけて頂きたいとお願いしたのですが、軽くあしらわれてしまって、私が2科生だからなのかと思って」

 

紗耶香が言葉を切ると、直ぐに摩利と真由美の間に動揺が走る。達也の横にいたエリカが軽蔑を含んだら眼差しを摩利に向け口を挟もうとするが達也に言外に止めるように手を出された。

直ぐに、摩利が紗耶香の記憶のズレを指摘した。すると、紗耶香には明らかに混乱が見られ、やがて自分の弱さで長い時間を無駄にしたと後悔し、泣き出してしまった。達也はそんな紗耶香に「無駄ではありませんよ」と慰めるように声をかけた。

 

「ところで、竜士君は何処にいったのかしら?」

 

しばらく泣いていた紗耶香が落ち着いたタイミングで真由美が達也に問い掛けた。達也は胸のポケットから携帯端末を取り出すと慣れた手付きで電話発信した。

 

「ああ、俺だ……そうだと思った」

 

達也の発言は皆目検討のつかないものだったが、周囲の目を気にせず通話を終えた達也は真由美に対してごく自然に事実を報告した。

 

「英は今、ここの近くの廃工場に居るようです。どうやら、彼の情報だとそこがブランシュのアジトみたいですね」

「え?竜士君は何をしようとしてるの?」

 

その場の明らかな動揺が見られたただ達也と深雪、そして克人だけは冷静に状況を分析していた。

 

「……一戦構えるしか無いようだな」

「はい」

「ちょっとまって、二人とも。相手はテロリストなのよ?危険すぎるわ!」

 

初めて口を開いた克人がブランシュのアジトへの強襲を提案し、それに達也が同調した。周囲には再び動揺が走ったが静観を決める摩利に対して真由美は反対の意見を述べ、再考を提案した。この場合一般論として最も賢明だと判断できる真由美の意見を克人は否定はせずに可能性の提案に留める事にした。

 

「英が此処に居るならばそれもいいだろう。しかし、奴は既に敵地に居る。そして、我々が来なくても単独で行動するだろう。そうだな司波?」

「ええ、恐らくそのつもりでしょう」

「七草、どんな理由にしても当校の生徒が事件に巻き込まれる所を俺は部活連会頭として、そして十文字家代表代理として見過ごすことはできん」

 

克人はそこで一端話を切り、異論の無いことを確認した上で「それに」と続ける。

 

「我々で事態を収拾出来れば、警察の介入も最小限に出来る。それは当校としても望ましいことだ」

 

既に竜士が先手に行動してしまった為に、克人に選択の余地は無かった。と同時に、警察沙汰になった場合の学校側の不利益を考えると合理的な選択肢でもあった。これらを踏まえて克人は生徒会長である真由美に最後の決定権を委ねた。

 

「……そうね。それなら壬生さんも家裁送りになることもないわね」

 

真由美の了承ととれる一言に申し訳なく感じたのか紗耶香は深く項垂れたのだった。

 

 

 

 

 

「車は俺が用意しよう」

 

改めて地図を確認した上で克人は車での強行突破を提案した。どうせ見つかるのならば正面突破が一番意表を突けるとの判断に誰も異論は無く、その場の沈黙を了承と受け取った克人はそのまま振り返り、真由美に対して生徒会長として学校への待機を命じた。少しだけ不満そうな真由美はそのまま横の摩利を指差すと、治安維持と残党の検索を理由に摩利にも待機を命じ、ブランシュ急襲の参加メンバーは克人以下達也、深雪、エリカ、レオ、そして現地に居る竜士の6人となった。

 

 

 

 

 

 

 

 

桐原武明(きりはらたけあき)』は窮地に立たされていた。目の前には上級生でもあり、部活連会頭でもある克人が立ちはだかっている。

 

「会頭、自分も連れていって下さい!」

「駄目だ」

 

克人の言葉は短くそして重い。しかし、桐原にも譲れない理由があった。

 

「俺は中学のころの壬生の剣が好きでした。しかし、高校に入ってからアイツの剣は変わってしまった……アイツを変えてしまった奴を俺は許せないんです」

 

桐原は密かに保健室の外から一通りの事情を”聴いていた”。そして、紗耶香をたぶらかした犯人がブランシュであると分かるといても経っても居られなくなり克人に直談判したのだった。

 

「……いいだろう。男を賭けるのに十分な理由だ」

 

頭を深く下げる桐原に対して、克人は少しだけ笑みを浮かべると彼の同行を許可した。結局、ブランシュ急襲の参加者は桐原も加えた7人となったのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




原作では達也が主人公ですが、本作では竜士が主人公となりますので、原作と平行して物語は進むことになります。

次回もどうぞよろしくお願いいたします
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