魔法科高校の劣等生 神速の魔法師   作:mr.KIRIN

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こんにちは。

九校戦編Ⅳの投稿です。

さて今回は、九校戦に入って少しといった所です。
ですが、九校戦自体の描写は今のところありません。(間延びしてしまいそうなので・・・)

それではどうぞ!



九校戦編Ⅳ

 「お兄様、お邪魔してもよろしいでしょうか?」

 

 部屋のドアをノックする音と共に深雪の声が聞こえる。

 「構わないよ」と達也が即答すると、ドアは静かに開き、何故か深雪でなく一番にエリカ、そして美月、ほのか、雫といつものメンバーが口々に挨拶を述べながら入室する。

 

 「―――もしかして達也君、これって武装一体型CAD?」

 

 一番に入ったエリカがそのまま机の上に無造作に置かれたアタッシュケースの中身を見るなり興味津々に覗き込む。そこには(つるぎ)というには余りに重厚で大型のCADが収まっていた。刀身の長さはそれほど長くもなく途中にジグザグ状の継ぎ目が見られる。

 剣士であるエリカが興味を示したのも当然と言えるだろう。

 

 そんなエリカを他所に、続けて「邪魔するぜ」とレオ、幹比古、そして嫌々といった感じで竜士も部屋に入ってくる。

 その中に予想していなかった来訪者を見つけ、目を丸くする達也は「珍しいな」と竜士に言葉を向けるが、最後に入ってドアを閉めた深雪のご満悦といった表情を見て「なるほどな」と納得すると同時に、”半ば強制的に連れて来られたのであろう”竜士に同情の視線を向けた。

 

 

 

 部屋に入った各々はそれぞれに適当な位置に腰かけ、雑談を始める。しかし、その中で2人、竜士とレオはエリカの発言もあってか、先程から机の上に置いてあるアタッシュケースの事が気になるようだ。

 

 (―――武装一体型、ねぇ)

 

 竜士は少し思考を巡らせる。彼自身過去に考えた事もあるCADではあったが、その時はそれの有用性を感じられず、設計自体はしなかった思い出がある。

 

 そんな別々の意味で興味深々な2人の表情を見て、達也は僅かに笑みを浮かべると、アタッシュケースを予告も無く放り投げる。

 

 「……っと、危ねぇな、達也」

 

 視線こそ向けてはいなかったものの、達也の放ったアタッシュケースを難なく受け止めたレオは多少わざとらしく表面的に非難の言葉を向ける。そんなレオの言葉を受け流しつつ、達也は「試してみないか?」、と笑みを深めたのだった。

 

 

 

 

 

 ―――――――

 ―――――

 ―――

 

 

 

 

 

 「……ホントに浮いてらぁ、面白れぇ」

 

 場所を屋外の格闘戦用訓練場へと移した達也、レオ、エリカそして竜士はさっそくCADのテストを始めることにした。

 事前に多少の説明を受けてはいたが、いざCADを起動したレオはまるで少年のような無邪気な笑みを浮かべ率直な感想を述べる。起動したCADは刀身の途中の継ぎ目から分離していた。

 

 「3、2、1」

 

 続けて、手に持ったタブレット型デバイスを確認する達也のカウントで分離していた先端部分が勢いよく元に戻る。

 

 「すげぇな」

 「なるほどな硬化魔法か」

 

 再び感嘆の意見を述べるレオと冷静に分析する竜士。達也は「さすがだな」と竜士に向き直る。

 

 「ハード専門とは聞いていたが、一度見ただけで気付くとはさすがだな。竜士の言った通り、このデバイスは硬化魔法により刀身の相対位置をその延長線上に固定することで分離させている。感覚としては長い剣を振るのと同じという訳だ」

 「いや、俺も昔は武装一体型CADの設計を考えたこともあったけど、こんなのは思いつかなかったな。さすがというべきだな」

 

 話は達也、竜士、レオで盛り上がる。そんな中気にも留めず、意見を述べたのは先程から複雑な表情を浮かべるエリカだった。

 

 「確かに凄い、けど何かこれじゃないって感じがするわね」

 「全く、お前は文句しか言えないのかよ?」

 「だから、”凄い”って言ってるでしょ!」

 

 エリカが文句を言いたいことではない事は分かっていたが、レオは反応してしまう。しかし達也は割と真面目な表情で、エリカの意見を汲む。

 

 「……確かにこのデバイスの設計はレオの使用を前提に設計したものだから万人受けするものでは無いが……竜士はどう思う?」

 「確かに、達也の言う通り、俺もこれはエリカ向きではないと思う。仮に俺がハードを持つなら、もう少し細身のモノかな。エリカは剣士だから”そういう”使い方も考慮に入れるだろう」

 「小型化は確かにエリカ向きなのかもしれないな。だが火力はどうする?」

 「勿論、軽くなった分、破壊力は落ちる、がそこは刀身延伸と荷重系魔法のマルチキャストで稼げば」

 「なる程な、さすがというべきか……」

 

 顎に手を遣り、素直に感嘆の意見を述べる達也。

 「なら竜士君、アタシに作ってよ!」

 

 しかし、竜士の意見がイメージに合致したのかエリカが達也を差し置いて、上目遣いに竜士に強請る。

 当然そんなこと想像もしていなかった竜士は「いやいや」と苦笑いを浮かべ、言外に拒否する。

 

 「こうは言ってみたけど、俺はプログラミングが苦手でね。そういうのは余りやらないから」

 「じゃあ、暇な時でいいから作ってよ」

 

 「―――分かった、何時になるかは分からないけど」

 

 折れないエリカに竜士は仕方なく頷く。

 「やったね」とその場で小さくガッツポーズを決めるエリカに「図々しい奴だな」とため息をつくレオ。

 

  

 

 

 「……それじゃあ、レオ。テストを始めるぞ」

 

 随分と時間を取ってしまったが達也は本来の予定通りテストを始める事にした。

 

 

 

 

 

 ―――――――

 ―――――

 ―――

 

 

 

 

 

 「じゃあ将輝(まさき)、1校のあれは彼女たちの個人技能に寄る訳じゃ無いという訳か」

 

 各校の選手が宿泊するホテル、その会議場にて第3高校の首脳陣は会議を開いていた。議題は先日まで行われた1年女子スピードシューティング。この競技において、1~3位を全て第1高校に独占されてしまった事を踏まえて、首脳陣の一人である一条将輝(いちじょうまさき)は緊急会議を招集したのだった。

 

 「確かに、優勝した北山って子の魔法力は卓越していた。だが他の2人がそうであったかというとそうは見えなかった」

 

 一人の男子生徒の疑問に将輝はいたって冷静に回答する。現に、他の競技では1校に対して3校の成績が劣っている訳ではなく、ある一定の競技において今回のような1校の突出が見られているのもその判断を後押しする一因だった。

 

 「となると、選手のレベルでは負けてはいない。選手のレベル以外の要因だ」

 「エンジニア、だね」

 

 そう言って将輝の意見を肯定したのは同じく3校の吉祥寺真紅郎(きちじょうじしんくろう)だった。

 

 「……恐らく、女子スピードシューティングについたエンジニアが相当な凄腕だったんだろう」

 「その通りだジョージ、それに優勝選手の使っていたデバイス、気がついたか?」

 「うん、あれは汎用型だったね」

 

 あくまで表情を崩さない真紅郎の言葉に将輝を除くその場に明らかな動揺が走った。

 

 「そんな、だって照準補助が付いていましたよ?」

 「小銃形態の汎用型デバイスなんて聞いたことないわ!」

 

 その場の生徒が各々に否定的な意見を口にする。しかし、あくまで将輝と真紅郎の考えは変わらない。

 

 「いや、これらの技術は実は存在しているんだ。だが―――」

 「まだ実用的レベルじゃ無かったはずなんだ……」

 

 そこまで言って真紅郎は深く考えるように目を瞑る。普段滅多に見せることの無い真紅郎の表情に言葉に出さなくても今、第3高校が相手にしているものの異常さに気付く。

 

 「恐らく、1校のエンジニアに相当な凄腕が居るんだろう……一種のバケモノだ」

 

 将輝がおもむろに立ち上がると一面に張られた窓から遠くを見つめながら呟いた。

 

 

 「うん。それに噂によると1校1年のエンジニアはソフトとハード、その両方にエンジニアが居るそうなんだ。事実、北山さんの使用した魔法は魔法大全(インデックス)に載るかもしれないらしいし、デバイスに関しては、さっき言った通りだよね」

 

 

 

 

 

 ―――――――

 ―――――

 ―――

 

 

 

 

 

 竜士は今、第1高校の作業スペースに居た。本当であれば、自分の手が加わったデバイスがきちんと作動しているかその目で確認しておきたいところではあったが、今は急用で会場を離れていた。

 振動する通信端末をチェックする。達也からだ。

 

 「……スピードシューティング、優勝は北山さんだそうだよ」

 「本当ですか?これでまた竜士君の力が示されましたね」

 「いや、そんな大した事はしてないんだけどな。どちらかというと達也の方が凄いと思うけど」

 「……お兄様は勿論素晴らしいです。ですが、同じように竜士君も凄いと私は思います。お兄様自身、竜士君がデバイスを見てくれるからそれ以外に集中できると仰っていましたから」

 「素直に受け取っておくよ。ありがとう」

 

 あくまで操作する端末のディスプレイから目を離さない竜士の言葉に深雪は頬を僅かに朱く染める。

 2人は今、先のアイスピラーズブレイクに向けて深雪の要望でデバイスの微調整を行っているところだった。

 

 「それにしても、こんな小さな誤差に気付くとは流石だな」

 「すみません。その、お手間をお掛けして」

 

 別に他意のない竜士の言葉に深雪は僅かに恐縮する。

 予想外の反応を示されて竜士も「そういう意味じゃないから」と手を振って否定する。

 

 「それに俺は達也と違ってあくまでサブエンジニアだから」

 

 苦笑いを浮かべて竜士は椅子の背もたれに体重を預けると同時にふぅっと小さく息を吐く。とりあえずは深雪のCADの調整は終わったところだ。

 

 そもそもハード担当で来ている竜士だが、選手たちは事前にCADを用意しているしある程度の調整も出来ている。ハード担当として実際に行う仕事はいざ試合が始まれば少なかった。

 

 「だからこそ、嫌な予感がするんだけどな」

 「……どういう事でしょうか?」

 

 先日の摩利の事故は明らかにおかしな点を孕んでいる。竜士たち生徒に全く情報は無いが、恐らくは1校の優勝を快く思わない人間が居ることは明らかだ。更に今回、スピードシューティングで表彰台を独占してしまった事でまた何かしてくることは目に見えている。

 

 「いや、気にせず今は試合に集中してくれ」

 (……俺も準備をしておこうか)

 

 深雪の問いに答えられる言葉は見つからず、竜士は端末をシャットダウンすると先に退室した深雪の後を追った。




いかがでしたでしょうか?

九校戦の試合表現は原作やアニメ等もございますので、可能なら補完していただければと思います(間延びしてしまいそうですので)
 
一応、次回以降は深雪、雫の試合、後はモノリスコード等の試合は書いていきたいと思いますので、よろしくお願い致します!

前話までの誤字報告有難うございます!

それでは次回もどうぞよろしくお願いします!
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