車の移動中(助手席)とかにも書いているので誤字脱字が多いかもしれません。
それではどうぞ!!
「入学式には参加しないのか?」
「ああ、ちょっと気が変わってな」
「そうか、それなら俺は深雪の答辞を観に行くから、もう行くぞ」
「ん?深雪?」
竜士は達也の言葉に引っ掛かりを覚えてつい反応してしまった。竜士のこの反応に合点がいったのか達也は「ああ、そうか」と竜士に言い直す。
「『
「なるほどな、答辞ってことは深雪さんは新入生総代なのか」
竜士の自問自答とも取れる問い掛けに達也は短く「ああ」と肯定した。そしてこれ以上は何もないと判断した2人は互いに挨拶を交わし達也は講堂へと足を進めた。
達也が講堂の中へ消えていったことを確認した竜士は再びベンチに腰掛け、周囲に誰も居ない事を確認する。既に生徒の大半は入学式のため講堂に入っているようで辺りには誰もいなかった。
「……あいつが司波達也か、とんでもないバケモノみたいだな」
誰も居ないことを改めて確認した竜士は一人で呟いた。
講堂の中は既に大半の生徒が着席し開式の時を談笑しながら待っていた。しかし、その様子は明らかに”異常”なものだった。達也は周囲を見渡す。何も取り決めはないはずだが、コンサートホールの様にステージから放射状に広がる講堂はその前半分が1科生、後ろ半分が2科生と言う風に完全に別れて着席していた。
(最も差別意識があるのは差別される者である、か。深雪には悪いがこんなところで変に目をつけられるのも何だし後ろの席を探すか)
本当は壇上がよく見える前列に座りたかったが(壇上の深雪が達也を確認出来なければ本当に居たのかと無用な詮索を掛けられかねない)、状況を鑑み達也は後列を見渡し空いている席を見付けるとその端に座る。開式まではもう暫く時間があるが携帯端末を開く等と言うマナー違反な事をするつもりもない。電源が切れたことを確認すると再び胸のポケットに収め、開式まで静かに待つことにした。そんな事を知るよしもなく達也の左側から声が掛かった。
「すみません。隣、空いてますか?」
「ええ、どうぞ」
おっとりとした口調で尋ねられ達也は反射的にそう返す。目をやると眼鏡を掛けた女子生徒がそこに居た。
(眼鏡……)
達也は女子生徒を見るなりそう直感的に疑問を感じていた。魔法技術と共に科学・医療技術の進歩したこの世界では100年前では当たり前だった眼鏡も今ではファッションでの着用がメインであり矯正目的の使用は殆どない。
達也がそんな事を考えているとは知らず、女子生徒は後ろで待っていた他の女子生徒を手招きする。2人は達也の隣に腰を下ろすとほぼ同時に簡単な自己紹介を始めた。
「
「私は
「司波達也です。こちらこそよろしく」
達也が名乗り終わると、突然エリカが苗字の語録が面白いと美月に問い掛け2人は盛り上がる。一方の達也は2人の話に加わるでもなく無視する訳でもない立ち位置を維持しながら式の開始を待つのだった。
滞りなく式も終わり、3人は学内で使用するIDカードを受け取け取り、校内の廊下を歩いていた。達也としては別に一人でも構わなかったのだが、美月とエリカが勝手に付いて来ているので別に断る理由はないと一緒に歩いていた。因みにIDを受け取った際、3人は同じクラスの1―Eであった。
「ねぇ、このあとホームルーム行こうよ」
ホームルームが同じと言うことが分かり、早速エリカが達也と美月の両方に対して提案した。美月としてはエリカに反対する意思は無いのだろう2、3回頷いて肯定の意思を示す。美月も賛成の色を見せたので2人の視線は自然と2人の1歩先を歩く達也へと向かった。
「悪いがこのあと妹と待ち合わせがあってな」
「妹?司波君、妹が居たの?」
達也のこの発言にすぐさまエリカが飛びついた。達也としては2人はここで達也と別れてホームルームに向かうものだと予想していたのだが、どうやらこの千葉エリカという少女は面白そうだと判断した事にはとことん突っ込んでいく性格みたいだった。しかし、そんな期待に目を輝かせて迫るエリカを他所に、美月があっさりと正解を言い当てた。
「もしかして、司波君の妹って新入生総代の司波深雪さんですか?」
美月の発言にその場の視線が集まる。2人の視線に耐えられなかったのか若干頬を紅くし(ーー単に恥ずかしいだけだろうが)美月は俯いてしまった。
そのまま黙り込んでしまう美月を見たエリカはやれやれと苦笑いを浮かべながら話を引き継いだ。このような話題が大好物である彼女ではあるが、他人の話の邪魔をしない程度には良識的なようだ。
「ってことはまさか双子なの?」
「よく言われるけど双子じゃないよ。俺は4月生まれで、深雪は3月生まれなんだ」
達也からしたら自己紹介で聞かれるトップ3には入る質問だったため答えもテンプレートで用意されたものを用いる事にした。エリカは達也の説明を聞いて「そんなこともあるんだ」と一人で何回も頷いている。
「それじゃあ、悪いけ――」
「お!達也」
「――ど、待ち合わせの時間だから。先に帰るよ」とエリカに伝えてこの場を去ろうとしたところで達也は運悪く引き留められた。背後からの声に対し既に誰なのかは判るが、振り返って声の主に正対する。その背後ではエリカと我に返った美月が達也の横から覗きながら達也に問い掛けた。
「ねぇ、司波君。この人誰?」
「英竜士、今朝入学式の前にたまたま会ってな」
警戒心を剥き出しにするエリカに首だけを向けて達也は竜士を紹介した。エリカはもとよりエリカの隣で更に隠れている美月も達也の紹介で多少は警戒心を緩めたのか、エリカも美月も必要程度の自己紹介を済ます。その不審な態度が気になり達也はエリカと美月に理由を聞いてみることにした。
「いやね、何か私の直感がこの人はヤバいって言ってるような気がするんだ。いい意味か悪い意味かはわからないんだけど……」
本人の前ではあるが声のボリュームを落とすことなくエリカは達也にその理由を告げた。案の定、エリカの声は竜士にも届いていたようで竜士は苦笑いを浮かべながらやれやれと頭を掻く仕草を見せる。
「それで美月はどうしたんだ」
「いえ、私はエリカちゃんみたいに直感が鋭い訳じゃないんですが、何やら司波君と英君の纏っているオーラというか凛とした面影が似ているなって思いまして……そういえば新入生総代の司波深雪さんも同じような感じでした」
先程の一言で達也と竜士の表情が一気に変わった事に気付かず、ですが――と美月は続ける。
「ですが、お二人はジャンルこそ似ているもののその現れかたが全く違いますね。司波君は内に秘めた感じですが、竜士君は――」
「柴田さん……なるほどな。君はオーラの表情が分かるのか。いい目をしているな」
「……」
竜士は美月に最後まで言わせないように話を途中で切り、合点がいったように思案を巡らせる。その隣で達也も美月と竜士の2人を見比べていた。
(ふーん。やっぱりそうか)
(霊子放射光過敏症、彼女の前では余り力を見せない方がよさそうだな。これ以上俺の秘密を知られるのはまずい……それにしても英竜士、一体何者なんだ。家に帰ったら調べておくか)
正直、魔法科高校にこんな人材がいたとは思いもしていなかったため、普段はポーカーフェイスの竜士もとある予想にその顔に少し驚きの色を見せていた。そして、その後の美月の反応を見てその予想が的中していることを確信した。この時達也も竜士同様に美月の目の秘密に気が付いたが、それよりも美月の目のこと気付いたのが自分だけでないことに少し驚き、警戒心を巡らせていた。
「あの、お兄様?」
達也は背後から聞き覚えのある声が掛けられていることに気が付くと直ぐに声の主へと体の向きを変える。言葉からして達也には珍しく、美月と竜士に気を取られ過ぎていたようだった。
「すまない。少し気を取られていたようだ」
「まぁ、お兄様がお気を取られるなんて珍しい、余程気になられたのでしょう」
そう言いながら深雪は達也の背後にいる美月とエリカの”2人”に目をやり、達也に視線を戻すと満面の笑みを浮かべ兄に対する訊問を開始した。
「……ところでお兄様、お兄様が先程まで深雪の話にお気付きになられなかったのはそちらのお二人に見とれていたから、何てことは在りませんよね?」
周りではエリカが美月に「寒くない?」と問いかけ、竜士は冷やかしの表情を浮かべながら二人のやり取りを無言で楽しんでいる。背中に冷やかしの視線を受け、達也はため息混じりに深雪を諭す。
「……そんなわけないだろう、深雪。この方々に失礼だろう」
「も、申し訳ありませんでした。私は司波達也の妹の司波深雪と申します」
笑みの裏側に明らかな敵意を隠した妹は我に帰ったのか美月とエリカに丁寧に謝罪し、ついでに自己紹介も行う事としたらしい。深雪はエリカ達との自己紹介を終えると少し離れた竜士の元へとやって来た。
「先程はお見苦しい所をお見せしました。1―Aの司波深雪です。どうぞよろしくお願いいたします」
「1―Eの英竜士だ。こちらこそよろしく。ところで、さっきからずっと待ってるけどいいの?」
竜士は視線を深雪の後方に移す。その視線を追い深雪はそちらに目を向けるとそこには竜士も入学式の前に会った生徒会長の真由美と恐らくは同じ生徒会役員が1名、あとは1科生のグループがこちらの様子を伺っていた。
「へぇ、人気者だね。生徒会に同じ1科の1年生か」
「いえ、今日は無理だとお伝えしましたのに……」
竜士の牽制を軽く受け流し、深雪は困った表情を見せる。竜士と深雪の視線に気が付いたのか真由美達生徒会役員の面々は深雪の方へ足を進めた。
「こんにちは。また会いましたね」
真由美のそれは竜士か達也のどちらか又は双方に当てたものかは分からない。しかし二人とも一応会釈を返す。真由美は一度深雪の顔を見て、達也の方へ向きを変えると「構いませんよ」と一言残し他の役員の反対を宥めながら帰っていった。この時、真由美が達也と竜士に向かって(深雪には達也に対してにしか聞こえなかった)「また、時間のあるときにゆっくりとお話でも」と言い残したお陰で、真由美の後ろに控えていた役員に睨まれ、更に深雪の機嫌がすこぶる悪くなって周囲の平均気温が下がった事は言うまでもない。
「……帰るか」
達也にはこれしか適当な言葉が見付からなかった。
いかがでしたでしょうか?
個人的にはこの辺はさっさと終わらせたいです。
次もどうぞよろしくお願いいたします!